14[処暑]しょしょ 8月23日頃
暑さがやむという意味の言葉です。盆休日が終わり、夏の甲子園野球も終了すると、急に朝夕涼風が感じられるようになります。
芒の花が咲き、桔梗の花の青紫も冴えて、空に浮かぶ雲も真綿のように、足の長い形に変化してきます。農家は収穫の準備を始めます。

帯は秋を締める
避暑に行っていた人も、遠く海外旅行組も、田舎でのんびり過ごしていた人たちも、通常の生活に戻るために、我が家に帰ってきます。
 お中元のお礼をうっかり忘れた相手には、残暑御見舞を、またこの時期、親戚を集めての会合や法事なども多いようです。
 そんなとき、余り色の強くない色彩のきものを着ていくと、その場の雰囲気を柔らげます。
 秋に近いとはいえ、まだ夏の署さは統いています。素材を織りのものにするときは、涼し気な色を。また平絽やたて絽など柔らかい素材のきものを着るならば、やや濃い色合いの方がバランスよいように思います。
 きものは夏、帯は秋という装い方、またはきものは秋、帯がまだ夏の名残りを持っている。こんな装い方もこの気候にはマッチするようです。
 長橋件などの下着や小物類はまだ夏もの。また急に冷え込む日のために、ぼつぼつ秋ものを用意しておくと安心です。
 家具も夏のものをしまうのがこの時期です。朝夕が急に冷えてきますから、寝具なども麻のシーツから木綿に、タオルケットから合ぶとんに替える頃です。
 きものや帯も半衿は平絽、麻、紗をまだ便っています。素材は夏でも、柄や色が秋らしいものに替えていきます。
 季節の早どりは、日本人の美意識の原点で、きものの色や柄は、自然界の推移の一歩前を進んでいるもののようです。

◇きものは生成り色の夏結城紬です。源氏車の飛び柄で着やすいきもの。帯も結城紬の糸でくし織にし、やはり結城紬の繭で作った帯芯を入れて仕立てています。
◇夏の半衿は、平絽、麻、紗、絽縮緬、楊柳などがあり、きものの素材によって半衿を替えてゆきます。その方が衿がスッキリと決まります。
◇半衿/秋櫻社
◇藍地の浴衣は秋を招きます。絞り加工の浴衣はちょっとした街着でもおしやれ。
◇きもの/よねはら

【戻る】 【次へ】【一覧】