24[大寒]たいかん 1月21日頃
だいかん。たいかんとも読みます。寒さの絶頂期。あの夏の太陽を裏返えしにしたような日々です。しかし春はもうすぐ間近か。外に出てみると、花壇のチューリップの芽が力強く芽ぶいていたり、水仙の芽がのぞいたり、土の中でエネルギーをたくわえた、小さな命が力強く出てきて感動的。

古代縮緬で包まれる
凍てつくような冬の月を眺めながら、ふと何処からか、柔らかくほのかな香りが漂ってきます。香りがまず流れてくる、そんな花が、この季節の主人公。沈丁花や梅です。
 厳寒の中で、私たち人間に清らかなプレゼントを贈ってくれるこの花たちを、先人たちはきものの柄にして愛でてきました。
 土の中から生じた命を、あれも、これもと身にまとい、その精気、エネルギーを身に受けようともしたのだと思います。
 きものという衣類が、ただ「着る物」ではなく、自然賛歌であることを、私達はこの二十四節気で学びます。
 平安時代の色襲ね(いろかさね)にしても、紅梅襲ね、柳襲ね、桃襲ねと、自然にある色の重なりを、その季節に先がけて着ていたのです。
 私達も、もっと自然を観察するようにすれば平成の新しい色襲ねも誕生するかも知れません。メタリックなピルの谷間の中にすら、夕日が窓に映えたり、小菊が道路でひっそり咲いていたり、自然から教わる色や柄は、まだまだ山のようにあります。
 春がすぐそこにあるこの時期は、できるだけ甘い色を身につけて、冬の厳しさを忘れます。老いも若きも、可愛いい色を身につけると、この時期、明るさのある装いが楽しめます。
 帯は黒地や白地より、暖かみのある明るい色でコーディネートします。色で春を着る、柄で春を呼ぶ、ともに甘やかな香りを感じさせる着方がのぞましいものです。

 大輪の梅の花が、ぼっかりと雪の中にでも咲いているような訪問着です。帯は組み紐織の袋帯。
きもの/石田桂子(よねはら)帯・小物/よねはら
◇草履/秋櫻社 着る人=西条晴美
 あけぼのの生地に、雪待梅を小紋風に配置しました。雪待柄もこの大寒から立春まで手を通せます。帯は花華紋の袋帯。
◇きもの/錦工房 帯/龍村
◇帯・丸美 小物/加藤萬
◇草履/秋櫻舎
◇着る入=水谷由紀子

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