世界のEDC政策の動向
アメリカの動き


化学物質問題市民研究会
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更新日:2021年2月2日
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国際的な動き欧州連合(EU)の動きアメリカの動き日本の動きEDCsの低用量曝露当研究会が紹介した世界のEDC 政策関連情報

■アメリカの動き

(内容)
 ▼USRTK 2020年11月13日 新たな研究が除草剤グリホサートはホルモンをかく乱するという証拠を加える (21/02/02)
 ▼内分泌学会/Endocrinology誌 2020年9月23日 ビスフェノールAの健康影響アップデート:有害性を示す圧倒的な証拠[アブストラクト] (21/02/02)
 ▼EHP 科学セレクション 2020年3月11日 レシートを確かめる? ビスフェノールの皮膚吸収の新たな証拠 (21/02/02)
 ▼CLARITY-BPA(2018年9月現在) (18/09/29)
 ▼EPAの取組(2016年3月現在) (16/12/07)
 ▼アメリカの EDC 政策に関連するトピックス(2013年〜2016年) (16/12/18)
 ▼ビスフェノールA(BPA)規制の論争(2012年現在)
 ▼内分泌学会のEDCsに関する科学的声明(2009年)
 ▼可能性あるEDCsのTEDXリスト

▼CLARITY-BPA(2018年9月現在) (18/09/29)
  • アメリカでは、ビスフェノールA(BPA)を中心とする EDCs の低用量曝露の評価について、先進的な科学者及び市民と、特に米国食品医薬品局(FDA)及び産業側との間で大きな論争が行なわれている。(EHN 2008年10月30日論文解説 ビスフェノールAに関するFDAの決定案には重大な欠陥がある 解説:ジョン・ピーターソン・マイヤーズ)
  • CLARITY-BPAとして知られるようになった「BPA の毒性に関する学問的及び規制上の見識に関連するコンソーシアム」 は、げっ歯類において比較的低用量の BPA へのばく露は発達への影響にいくつかの懸念があるとの提起をした 2008年の国家毒性計画(NTP) 報告の後に、米食品医薬品局(FDA)と米国国立衛生研究所(NIH)の米国環境健康科学研究所(NIEHS)によって設立された。(食品安全総合情報システム 2018(平成30)年2月24日

  • CLARITY-BPA では FDA 自身が研究を行うとともに、FDA が通常行う方法で BPA の標準”ガイドライン”評価を実施できるよう十分な動物を飼養し処理し、その動物の必要量(及び組織/器官)を学究的科学者らに送り、彼らが科学文献中で報告していた影響を評価する−というものである。CLARITY-BPA が立ち上げられてから 6年以上経過し、数十回の会合と議論が持たれたが、FDA は、学究的科学者らの研究結果を待たずに、FDA の研究だけに基づく結論に達しようとしている。すなわち、2018年2月23日に FDA 側の研究結果だけを発表し、また、2018年9月13日に FDA 側の研究を学究的科学者らの参加なしに発表した。FDA 側の研究からの報告だけに基づく FDA 、及び世界の他の規制機関による性急な BPA の有害性判定は、 規制上の研究と学究的研究の融合を図るという CLARITY-BPA の意図と目標を無効にするものであると、NIEHS の外部研究管理部門の科学プログラム管理者としての職務を長年勤めたジェリー・ハインデルは述べた。(Environmental Health News (EHN) 2018年9月10日 ジェリー・ハインデル:FDA は BPA のリスクを理解するための大きな努力を避けているのか?

  • 米国食品医薬品局(FDA)の 2018年2月23日のプレスリリースで示された食品及び獣医学担当の FDA 副長官ステファン・オストロフ博士による声明は、国家毒性計画(NTP)によるラットを用いた 2年間の研究のピアレビュー前の 報告書案は、BPA は食品容器及び包装のために現在認可されている使用にとって安全であるとする FDA の以前の決定を支持したと述べた。また FDA 長官スコット・ゴットリーブ博士は、”BPA は現在認可されている用途で安全であるとの結論を継続する”とツイートし、”プラスチック添加物 BPA は大きな脅威ではないことを政府の研究が発見”という見出しの 米公共ラジオ局(NPR)の記事シェアした。(米国医師会 JAMA Network 2018年3月21日  科学者らは、ビスフェノールAは安全であるとする FDA の声明は時期尚早であると考える)

  • フレデリック・ボンサールやアナ・ソトらの科学者は、BPA の安全に関する FDA の声明は早計であるととする論評を発表した。(Frederick vom Saal, Jodi A. Flaws, Ana Soto and Gail S. Prins, Mar 05, 2018 Commentary: FDA statement on BPA's safety is premature)
     また内分泌学会も BPA の安全性に関する FDA 声明に専門家らが懸念を表明するとするプレスリリースを発表した。(Endocrine Society Press Releas, February 26, 2018, Endocrine Society experts express concern with FDA statement on BPA safety

▼EPAの取組(2016年3月現在) (16/12/07)
(参照:ChemSafteyPro 2016年3月9日 アメリカの内分泌かく乱物質規制とリスト
  • 連邦食品・医薬品・化粧品法(FFDCA)の第408条(p)は、環境保護庁(EPA)に、ある物質が天然由来エストロゲンによって引き起こされるのと同様な人間への影響、又はEPA長官が指定するかもしれないその他の内分泌影響を持つかどうかを調査するために、適切な有効性が確認されたテスト・システム及びその他の科学的に関連性のある情報を用いて、スクリーニング計画を開発するよう求めている。

  • EPAは、農薬、化学物質、及び環境汚染のエストロゲン、アンドロゲン、及び甲状腺ホルモン系への潜在的な影響を審査するために、二段階のアプローチを使用する科学に基づく内分泌かく乱物質スクリーニング計画(EDSP)を運用している。

  • 第一段階(Tier 1)スクリーニング・データは、内分泌系と相互作用する可能性を持つ物質を特定するために用いられる。第一段階スクリーニングを受け、エストロゲン、アンドロゲン、及び甲状腺ホルモン系と相互作用する可能性を示すことが見出された化学物質は、テストのための第二段階に進む。

  • 第二段階(Tier 2)テスティング・データは、その物質によって引き起こされるどのような有害な内分泌関連影響をも特定し、容量と有害影響との間の量的関連性を確立する。第二段階テスティングの結果は所与の化学物質に関する有害情報及び暴露評価と統合されてリスク評価に反映される。リスク評価は、必要に応じてリスク緩和措置と、化学物質に関する規制決定を行うために使用される。

  • EPA は、ひとつの化学物質が内分泌系をかく乱することによりに、人間又は環境にリスクを及ぼすかどうかを決定するするために、有害物質規制法(TSCA)、連邦殺虫剤殺菌剤殺鼠剤法(FIFRA) 及び連邦食品・医薬品・化粧品法(FFDCA)の下でテスト要求を満たすよう意図された内分泌かく乱物質スクリーニング計画テスト・ガイドライン(試験管内テスト及び動物テスト)を開発した。

  • 第一段階内分泌かく乱物質スクリーニング・テスト・ガイドライン

  • 第二段階内分泌かく乱物質スクリーニング・テスト・ガイドライン

  • 2009年、EPAは産業側に対して第一段階テスト・バッテリー(訳注:総合的な判定を行うために組み合わされた複数のテスト)を使用して67種の化学物質のテストを求める最初のテスト命令を発出した。

  • 2013年、第一段階スクリーニングのための化学物質の最終第二次リストが発表された。このリストは、EPAの飲料水及び農薬プログラム内の優先物質としてリストされている109種の化学物質と物質を含む。現在までにEPAは52種の農薬を第一段階スクリーニングの結果として発表している
    (参照)
  • 上記化学物質のための第一段階スクリーニングは、内分泌機能をかく乱する可能性を確定するというだけのことである。可能性を示すという結果は、EPA がその化学物質が内分泌かく乱物質であると結論付けたという意味ではない。EPA は、内分泌系に影響を及ぼす可能性のある化学物質のために、第二段階テストとして知られる追加的なテストを計画している。

  • EPA は、確認された内分泌意かく乱物質のどの様な公式リストをも発表していない。人間への内分泌かく乱物質であるということはアメリカでは直ちに禁止又は制限をもたらすものではない。内分泌かく乱物質は、有害影響を生成することができる暴露レベル間の相違、及び人間と野生生物が経験する典型的な暴露レベルを考慮しつつ、EPA により包括的なリスク評価の対象とされる。EPAはこの安全基準が、特に感受性が高いグループを含んで公衆の健康と環境守るために適切であるかどうか、又はその化学物質のある使用の制限又は禁止が考慮されるべきかどうかを決定することになる。

  • EPA が内分泌かく乱物質スクリーニング・プログラム第一段階評価を発表
    Bergeson & Campbell, P.C. 2015年7月10日
     第一段階スクリーニング評価の対象となった 52 の化学物質について、個別的に発表された証拠の重み(WoE)評価はオンラインでアクセスすることができる。関連する調査のためのデータ評価記録(DER)もまた、EPA により来週中には発表されると思われる。EPA は第一段階 WoE 評価の結論を次のように概説した。
    • 20 の化学物質について、どの内分泌経路とも潜在的な相互作用をするという証拠がないと特定された。
    • 14 の化学物質について、ひとつ又はそれ以上の経路との潜在的な相互作用があるが、利用可能な情報に基けば、内分泌かく乱のリスクは及ぼさないことを示した。
    • 8 の化学物質については、甲状腺経路との潜在的な相互作用を示し、そのうち、17 の化学物質がアンドロゲン経路との相互作用を示し、14 の化学物質がエストロゲン経路との相互作用を示した。

     EPA が上記の第3のグループに分類した 18 の化学物質によって引き起こされるかもしれない内分泌系への潜在的な有害影響をさらに調べるために、EPAは、下記の様々な生物種についての第二段階の多世代調査(Tier 2, multigenerational studies )の実施を勧告した。
(参照:EPA文書)
Endocrine Disruptor Screening Program Timeline
Endocrine Disruptor Screening Program (EDSP) Overview
Endocrine Disruptor Regulations and Lists in USA

▼アメリカの EDC 政策に関連するトピックス(2013年〜2016年)

▼ビスフェノールA(BPA)規制の論争(2012年現在)

▼内分泌学会のEDCsに関する科学的声明(2009年)
  • 内分泌学会が2009年に発表した EDCsに関する科学的声明(Endocrine Reviews 2009年6月号 内分泌かく乱化学物質に関する内分泌学会の科学的声明 重要な点)は、同学会95年の歴史の中で最初のものであり、ひとつのターニングポイントであったと言われています。同声明は7つのキーポイントを提起しましたが、そのうちの二つは次のような点です。
    • EDCs曝露による有害な生殖影響(不妊、がん、奇形)の証拠は十分にあり、甲状腺、神経内分泌、肥満、代謝、インスリン及びグルコースを含む他の内分泌系への影響の証拠も増大している。
    • 予防原則が内分泌及び生殖の健康にとって重要であり、潜在的な内分泌かく乱物質への曝露及びそれらからのリスクについて決定を下すときに適用されるべきである。

▼可能性あるEDCsのTEDXリスト
  •  EDCsの人の健康や環境への脅威に関し広く著作・講演活動をしているシーア・コルボーン博士が設立した非営利公益法人 TEDX は、内分泌系に影響を与える可能性のある化学物質のデータベースとして、TEDX リストを作成しました(TEDX (The Endocrine Disruption Exchange, Inc.)潜在的な内分泌かく乱物質TEDX リスト 概要)。このリスト上の化学物質はどれも内分泌系への影響を示すものとして、公表され入手可能な主要な科学的研究に、1回又はそれ以上、確認されて引用されているものであり、2011年10月13日現在、870の物質がリストされており、検索、並び替えが可能なエクセルファイルで提供されています。

  • 尚、環境ホルモンの問題に長年取り組まれ、TEDX の創設者であり、「奪われし未来」の著者の一人でもあるシーア・コルボーン博士が 2014年12月14日に亡くなられました(87歳)。
    In Remembrance: Theo Colborn, 1927-2014 (Beyond Pesticides Blog)


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