内分泌学会/Endocrinology誌 2020年9月23日
ビスフェノールAの健康影響アップデート:
有害性を示す圧倒的な証拠[アブストラクト]

フレディリック S ボンサール、ローラ N バンデンバーグ
情報源:Endocrine Society/Endocrinology, September 23, 2020
Update on the health effects of bisphenol A:
Overwhelming evidence of harm [Abstract]

By Frederick S vom Saal, Laura N Vandenberg
https://academic.oup.com/endo/advance-article-abstract/
doi/10.1210/endocr/bqaa171/5910267?redirectedFrom=fulltext


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2020年9月30日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/Int/200923_
EDS_Update_on_the_health_effects_of_bisphenol_A.html

 1997年、内分泌学者らによる最初の in vivo ビスフェノールA(BPA)研究は、妊娠中のマウスに BPA を与えると、2μg / kg /日の低用量で雄の子孫に生殖への悪影響が誘発されることを報告した。

 それ以来、何千もの研究が低用量の BPA を投与された動物への悪影響を報告している。動物実験でも BPA と疾患/機能障害との関連を示唆する 100 以上の疫学研究があるにもかかわらず、規制当局は BPA 暴露は安全であると主張し続けている。

 この不一致に対処するために、CLARITY-BPA 研究は、同じ動物における毒性の従来のエンドポイントと現代の仮説主導の疾患関連の結果を評価するように設計された。

 試験した最低用量(2.5μg/kg/day)において、毒性及び機械論的エンドポイント(toxicity and mechanistic endpoints)の両方で広範囲の有害影響が報告されたので、独立系の専門家らは、最小毒性量(LOAEL)を現在の古い LOAEL 50,000μg/kg/日から 20,000分の 1 に下げるよう求めた。

 FDA の仮定は内分泌学の基本原則に違反しているという内分泌学会のメンバーによる批判にもかかわらず、FDA は全ての低用量データを生物学的にもっともらしいものではないとして拒否した。

 彼らの決定は4つの誤った仮定に依存している。すなわち、用量反応は単調でなければならず、それ以下では影響がない閾値が存在しなくてはならず、男女は同様に反応しなければならず、毒物学的ガイドライン研究のみが有効である。

 このレビューは、20年以上にわたる BPA 研究について詳しく説明し、規制アプローチと内分泌科学の間に存在する溝に目を向けてる。

 最終的に、CLARITY-BPA は、毒性を評価する従来の方法が内分泌かく乱化学物質を評価するには不十分である理由を明らかにした。


訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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