ChemSafteyPro 2016年3月9日
アメリカの内分泌かく乱物質規制とリスト

情報源:ChemSafteyPro, March 9, 2016
Endocrine Disruptor Regulations and Lists in USA
http://www.chemsafetypro.com/Topics/USA/
Endocrine_Disruptor_Regulations_and_Lists_in_USA.html


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2016年12月3日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/USA/
160309_ChemSafetyPro_Endocrine_Disruptor_Regulations_and_Lists_in_USA.html

 連邦食品・医薬品・化粧品法(FFDCA)の第408条(p)は、環境保護庁(EPA)に、ある物質が天然由来エストロゲンによって引き起こされるのと同様な人間への影響、又はEPA長官が指定するかもしれないその他の内分泌影響を持つかどうかを調査するために、適切な有効性が確認されたテスト・システム及びその他の科学的に関連性のある情報を用いて、スクリーニング計画を開発するよう求めている。

 現在EPAは、農薬、化学物質、及び環境汚染のエストロゲン、アンドロゲン、及び甲状腺ホルモン系への潜在的な影響を審査するために、二段階のアプローチを使用する科学に基づく内分泌かく乱物質スクリーニング計画(EDSP)を運用している。
  • 第一段階(Tier 1)スクリーニング・データは、内分泌系と相互作用する可能性を持つ物質を特定するために用いられる。第一段階スクリーニングを受け、エストロゲン、アンドロゲン、及び甲状腺ホルモン系と相互作用する可能性を示すことが見出された化学物質は、テストのための第二段階に進む。

  • 第二段階(Tier 2)テスティング・データは、その物質によって引き起こされるどのような有害な内分泌関連影響をも特定し、容量と有害影響との間の量的関連性を確立する。第二段階テスティングの結果は所与の化学物質に関する有害情報及び暴露評価と統合されてリスク評価に反映される。リスク評価は、必要に応じてリスク緩和措置と、化学物質に関する規制決定を行うために使用される。
 EPA は、ひとつの化学物質が内分泌系をかく乱することによりに、人間又は環境にリスクを及ぼすかどうかを決定するするために、有害物質規制法(TSCA)、連邦殺虫剤殺菌剤殺鼠剤法(FIFRA) 及び連邦食品・医薬品・化粧品法(FFDCA)の下でテスト要求を満たすよう意図された内分泌かく乱物質スクリーニング計画テスト・ガイドライン(試験管内テスト及び動物テスト)を開発した。これらのテスト・ガイドラインは下記で見出すことができる。

第一段階内分泌かく乱物質スクリーニング・テスト・ガイドライン
第二段階内分泌かく乱物質スクリーニング・テスト・ガイドライン

アメリカの内分泌かく乱物質規制の最新情報

 米EPAはすでにEDCテストに関する政策の実施に着手している。2009年、EPAは産業側に対して第一段階テスト・バッテリー(訳注:総合的な判定を行うために組み合わされた複数のテスト)を使用して67種の化学物質のテストを求める最初のテスト命令を発出した。2013年、第一段階スクリーニングのための化学物質の最終第二次リストが発表された。このリストは、EPAの飲料水及び農薬プログラム内の優先物質としてリストされている109種の化学物質と物質を含む。現在までにEPAは52種の農薬を第一段階スクリーニングの結果として発表している。
 上記化学物質のための第一段階スクリーニングは、内分泌機能をかく乱する可能性の確定であるというだけでのことであるということに留意すべきである。可能性を示すという結果は、EPAがその化学物質が内分泌かく乱物質であると結論付けたという意味に解釈すべきではない。EPA は、内分泌系に影響を及ぼす可能性のある化学物質のために、第二段階テストとして知られる追加的なテストを計画している。

アメリカの内分泌かく乱性物質のリスト

 EPA は、確認された内分泌意かく乱物質のどの様な公式リストをも発表していない。人間への内分泌かく乱物質であるということはアメリカでは直ちに禁止又は制限をもたらすものではない。内分泌かく乱物質は、有害影響を生成することができる暴露レベル間の相違、及び人間と野生生物が経験する典型的な暴露レベルを考慮しつつ、EPAにより包括的なリスク評価の対象とされるであろう。そして、EPAはこの安全基準が、特に感受性が高いグループを含んで公衆の健康と環境守るために適切であるかどうか、又はその化学物質のある使用の制限又は禁止が考慮されるべきかどうかを決定するであろう。

参照


訳注:参考情報
環境省化学物質の内分泌かく乱作用に関するホームページ >米国環境保護庁(USEPA)の取組



化学物質問題市民研究会
トップページに戻る