Endocrine Reviews 2009年6月号
内分泌かく乱化学物質に関する
内分泌学会の科学的声明
重要な点

情報源:Endocrine Reviews, June 2009
Endocrine-Disrupting Chemicals
An Endocrine Society Scientific Statement
Evanthia Diamanti-Kandarakis, Jean-Pierre Bourguignon,
Linda C. Giudice, Russ Hauser, Gail S. Prins, Ana M. Soto,
R. Thomas Zoeller, and Andrea C. Gore
http://www.endo-society.org/journals/ScientificStatements/upload/EDC_Scientific_Statement.pdf
訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年8月27日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/Endocrine_Society/EDS_Scientific_Statements.html

 『Endocrine Reviews』 2009年6月号で内分泌かく乱化学物質(EDC)に関する内分泌学会の科学的声明が発表されたことが、同学会のウェブサイトのトップで次のように紹介されました。
http://www.endo-society.org/journals/scientificstatements/

 内分泌学会の科学的声明は、基礎科学者、臨床科学者、及び、疾病の科学的な基礎及び予防と管理の両方に関する医学の実践への応用に関わる開業医を教育することを意図している。科学的声明は、新たに出現している科学的重要性のトピックスに関する基礎的及び臨床的科学内容の概要を提供する。内容は、可能な限り証拠ベースであるが、追加的な研究が必要な基礎的又は臨床的知識の領域もまた特定する。トピックスは、新たに出現している疾病への科学的影響及び一般集団への広範な臨床的関連性に基づいて選択された。科学的声明は、内分泌学会内の様々な委員会を代表する専門家からなる多領域タスクフォースによって開発された。

 以下に、同声明の冒頭に述べられている”Key Points”を紹介します。


重要な点(Key Points)
  • 内分泌かく乱物質は、天然又は合成の化合物であり、環境的な又は発達時の不適切な暴露を通じて、生物が環境と情報を交換し応答するホルモン系及びホメオスタシス系を変更する。

  • 内分泌かく乱化学物質への暴露による作用と結果のメカニズムを理解するための重要な鍵は、暴露年齢、暴露からの潜伏期間、化学物質の混合、用量−反応ダイナミックス、及び長期的潜伏影響である。

  • 化学物質の共有する特性とホルモンの合成、放出、分解に関与する受容体及び酵素の類似性のために、内分泌かく乱化学物質に影響を受けない内分泌系は存在しない。

  • 内分泌かく乱化学物質の影響は、生殖細胞系エピジェネティック(訳注1)変異を通じて、又は子孫の継続的暴露による環境的損傷により、次世代に伝達されるかもしれない。

  • 内分泌かく乱化学物質への暴露による有害な生殖系影響(不妊、がん、奇形)の証拠は十分にあり、甲状腺、神経内分泌、肥満、代謝、及びインスリンとグルコース ホメオスタシスなどを含む他の内分泌系への影響を示す証拠も増大している。

  • 予防原則は、内分泌系と生殖系の健康を高めるために重要であり、潜在的な内分泌かく乱物質への暴露、及びそれらからのリスクについての決定に情報を与えるために使用されるべきである。

  • 北米内分泌学会のような科学界は、ヒトにおける内分泌かく乱化学物質の影響を評価するために、他の組織と科学的及び医学的専門性について連携すべきである。

訳注1
化学物質とエピジェネティックス



化学物質問題市民研究会
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