靴ベラの工程

黒檀の靴ベラの製造工程をサンプルに紹介します。実際、木取りからの時点で一般に取り扱う材とは異質のモノです。「黒檀」はあらゆる意味で非常に高価な材料となります。
また、実際扱うまでわかりませんでしたが、割れが多く捨てる部分が他の材料に比べると非常に多くなります。 それ故、木取りも難しく仕上がりの進む中で割れが出て捨てになる事も多数あります。「靴べら」の場合16cmと9cmの物を当初から作りましたが、16cmになった途端取れが悪い のと加工に時間がかかります。全工程全てハンドメイドです。

写真解説

靴ベラ原木 黒檀原木、今回手に入れた材です。
なかなか黒檀を手に入れる事自体難しく、欲しい厚み・幅の要求は難しく、作製においても難しいです。
辺材の白と芯材の黒がハッキリしています。材としては良いのですが、木取りが非常に難しい。

靴ベラ工程1 先ずは、サイズごとに板状に切り出し1個づつ型を描いて切り出します。
きれいな板だったらもっと木取りは効率よく出来るのですがなんせ、割れと材の形での取れの悪さは半端ありません。
材自体も大変高価なものですが、写真下にある様に型を描いているのですが、それ以外の部分は捨てる様になります。
サイドから穴を開けるため一度その部分だけ平行を出すように木取ります。

靴ベラ工程2 大まかな横からみた型を一個づつ手描きで下書きをします。描いたラインはまだラフな状態です。 しかし、このラインが基準となり最終的な仕上げにつながっていきます。
このデザインは、サイドから穴を開けています。ここに一手間かかります。 この穴も持ち手の型の基準になりますが、やはり自分で握ってみての感じが最も重要な要素です。

靴ベラ工程3 靴ベラの裏側を大まかにノコで切り落としたところです。全て削り出すのは流石に大変なので出来るだけ切り出せる部分は落としていきます。 ただ、微妙なラインが必要となるのでそこは手で触りながら削り出します。
この後は、全て削っていきます。

靴ベラ工程4 表側の削り出しです。滑りの部分の角度を決めます。このでの角度は非常に重要で、あまりフラットでも曲がきつくても使いにくい。 基本的に表面を決めて裏面で厚みの調整をしていきます。

靴ベラ工程5 とりあえず、両面を荒削りでラフな形を出しました。ここでの型が何気に大切で基本となります。 この後の番手で傷を残さず型を整えるどの番手でどこまで削るか?ここが難しい所ですね。

靴ベラ工程6 ここにくると厚みはありますが、ほぼ靴ベラの形状になってきます。
この後の削り出しは、サンドペーパーの番手を5種類、回転数・太鼓の大きさペーパーの生地の硬さを変えて追い込んでいきます。 下地の仕事は、表面には現れませんが、非常に重要です。仕上げれば仕上げるほど粗が出てきます。目に見えない部分が、大切です。

靴ベラ工程7 まだ厚みは、ありますが靴ベラらしくなりました。ここから手感覚で厚みを整えていきます。
この後使うペーパーの番手を考えて厚み・曲がり・型の調整をしていきます。
ここからが、微妙な仕上げで1mm変われば人は持った時に感じとります。薄く・シャープに! 全て手感覚で削っている時の振動や重みなどから厚みを感じて整えます。

靴ベラ工程8 先ずは、表側の仕上げをして裏面から再度厚みの調整に入ります。型の調整から仕上げの美しさに…
この時に一本づつ実際に手に持って握りやすさを感じつつ、仕上がりの手触り、艶の出方を目と手で確かめながら仕上げていきます。 検品はやはり人の目と手が重要です。
誰が作ったかが重要です!