更新記録と日記

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2008/12/30

 ゴドフスキー「ジャワ組曲」の出版されました。私も微力ながら校正をお手伝いしたので楽譜を送っていただきました。解説が充実していてこの解説を読むだけでも価値あるものです。ゴドフスキーについての偏見を見直す気風は既にありますがやはり今でも十分「ゲテモノ」であることでしょう。しかしこの楽譜の解説を読むとゴドフスキーがラフマニノフ、ホフマン、レヴィーンといった20世紀初頭高く評価されていた事がわかります。そしてこの曲集のどれか一曲音にしてみると豊饒な和声と対位法を聴く事が出来ます。「採点」「批評」をする立場からでなく演奏者としての自らの指で作品を捉えて頂きたいです。
 ちなみに最後のページに協力者として私の名前が小さく出ています。ちょっとみていただけると嬉しかったりします(^^;

2008/12/27

 年末恒例の阪神百貨店レコードセールへ行く。最近は無精になって分類されていないレコードを見るのが結構めんどくさかったりします。せめてオーケストラ、器楽、オペラくらいに分類してあれば見る気もするのですが分類されていないレコードをチェックして行くのは大変です。しかしこういう中に掘り出し物があるのも事実。安そうなコーナーを漁ってみました。Ades原盤フィリップスのブーレーズ指揮シェーンベルグ「月につかれたピエロ」、ブーレーズ「ル・マルトー・サン・メートル」2枚組み、石井真木、湯浅譲二、水野修考の作品集、エルフェのドビュッシーを購入。価格は3,000円ほど。ブーレーズの2枚組みは当時の邦盤特有の分厚い解説が一番のお目当てかもしれません。吉田秀和氏、故柴田南雄氏の解説が収録されています。故石井真木氏「遭遇T番(「ピアノ曲’70」「尺八のための音楽」同時演奏)」、湯浅譲二氏の「プロジェクション・エセムプラスティク」と水野修考氏の「ピアノのための仮象」はピアノ作品で演奏は故園田高弘氏。園田氏はバッハ、ベートーヴェン等いわゆるオーソドックスなイメージが強いですが若い頃は「実験工房」で実験的な作品も手がけられていました。私は氏の演奏を一度しか生で聴いた事がありませんがそれは一柳慧氏の個展でした。その時も一柳氏の作品の他、権代敦彦氏の「2台ピアノのための『69』」を園田、一柳デュオで演奏されていました。ある種の鋭角的な感覚のなさはありますがこのような作品を録音当時既に「巨匠」であった園田氏が演奏されるのは素晴らしいことです。「ピアノのための仮象」は高橋アキさんの名演のイメージが強いですが園田氏もなかなか鮮やかに演奏されています。解説に「ピアノのための仮象」の初演者が和田則彦氏であると書かれていて驚きました。

2008/12/26

 1月18日の遊音堂での演奏、時間の都合で残念ながら出演出来なくなってしまいました。スケジュールも訂正します。

 先日、西宮で忘年会がありました。楽譜校正の難しさやアンプの話など暴走気味の飲み会。すっかり終電を逃して大変なことになりました。反省して来年はこんなことのないようにしないといけませんね。

2008/12/21

 2009年1月30日午後6時よりハービス大阪JEUJIAで演奏会を行います。プログラムは
 L.v.ベートーヴェン ピアノソナタ作品13「悲愴」
 L.v.ベートーヴェン エリーゼのために
 J.シベリウス 「ピヒヤラの花咲く時」「もみの木」
 R.シューマン 「君は花のように」(ゴドフスキー編)
 C.ドビュッシー 「ヒースの茂る荒地」「花火」
 です。

2008/12/15

 2009年2月10日午後7時より東京田町のFAZIOLIショールームで演奏会を行うことになりました。プログラムは
 F.リスト 3つの愛の夢
 J.ロイプケ ピアノソナタ
 C.ドビュッシー 前奏曲集第2集
 です。

 カプスチンの楽譜を発行しているプリズムから12月25日ゴドフスキーの「ジャワ組曲」が発売されます。編集は「オリヴィエ・メシアンに注ぐまなざし」管理人の西村さんです。私も微力ながら校正チェックをお手伝いさせていただきました。ゴドウスキーの楽譜は主にカール・フィッシャー社から出ています。プリズムの楽譜もカール・フィッシャー版を底本にしていますが今回の校訂で初版から現在に至るまで少なくとも1回の楽譜の修正が行われている事がわかりました。それは主に「念のための」臨時記号や声部の書き分け方などです。ただでさえ複雑なゴドフスキーの楽譜ですがそれを一つづつ見て行くのは大変な作業でした。しかし初版と現行版を比べると楽譜編集者が実に細やかなところまで考えている事がわかります。色鉛筆を片手にまるでミステリの読むような興奮を味わいました。大変貴重な経験でした。
 12月25日プリズムから定価2400円で発売されます。

2008/11/27

 野田阪神の「遊音堂」が移転します。詳細は未定ですが「遊音堂」で来年の1月18日ロイプケのソナタを演奏します。新年早々ロイプケとは…。詳細決定次第お知らせします。

 今日はプリアンプにやり残していた入力配線(テープモニターと云うやつ)を行い最後のチェックをして蓋をねじでしめて完成。
 このプリアンプはフォノイコライザ部を12AX7を2本、ラインアンプ部を12AT7と云う真空管3本で構成したシンプルなものです。逆にいえば失敗する方がおかしいのでしょうが自分なりに部品の変更などを行ったり、製作書の実態配線図(実際の配線をイラストにしたもの)に間違いがあったりと3日間ほど大いに悩まされました。しかし完成して音を聴いているとその苦労も自慢のような気がしてくるから単純な人間なものです。
 製作書では入力部はAUX(CDなどを入力する)端子が3つにLPプレーヤーの入力端子が2つでしたが、AUX端子を4つにしLPプレーヤー入力端子を1つにしました。録音出力、テープモニター、バランスボリュームは信号ラインに接点が増えるので省略しようかとも考えましたが折角なので付ける事にしました。このバランスボリュームが意外に高価でした。また昔のアンプに付いていたAC出力も3つ付けました。
 さてこれがハラワタです。

 左が電源トランスと電源回路、真ん中の基盤と3つの金属棒みたいのが真空管です。基盤は左がラインアンプ部、右部分と金属棒2本がフォノイコライザ部です。この金属棒みたいなのはアルミの筒でこれで真空管を外部のノイズからシールドします。シールドを外すとこんな感じです。

 部品は見る人が見ると「あれだな」というものですが別に特別こだわりがある訳ではなく通販で安かったので使ってみただけです。ナニナニのフィルムコンデサがいいとかドコドコのオイルコンデサが音がいいとか聞きます。気にならないといえばウソですがオイルコンデサは一本2,000円くらいするので、このアンプだと4本、それだけで8,000円かかるので諦めました(^^;他にも気休めのように「オーディオ用」と称した部品を使っていますがこれも安かったと云うのが大きな理由です(^^
 このプリアンプの音質がどうのと云うことは昨日の更新でも書いたようにあまり意味のない事でしょう。「聴くに耐えないひどい音です」とは書きませんから。ただ、今はレコードを聴くのが楽しくてしょうがありません。苦労のし甲斐があったと云うものです(^^

2008/11/26

 新発見されたと云うベートーヴェンの「最後のピアノ曲」。ベートーヴェンの悪筆は有名ですが速記を使ったと云うこの楽譜は強烈。

 何がなんだかさっぱりわかりません。これを清書すると下のようになるそうです。

 どうなんでしょうか?
 しかしこの作品「バガデレ(小品)」として構想されたのか、更に規模を大きくするためにスケッチされたのか気になるところです。もしかすると「ディアベリ変奏曲」並みの巨大な作品や後期の難解な弦楽四重奏、管弦楽に発展したのかもしれません。そう考えて弾いてみるのも楽しいものです。

 演奏会も終りこの土日祝に真空管プリアンプを作りました。フラットアンプ部の音が異常に小さいトラブルがありましたが何とか完成。誠文堂新光社刊「蘇る真空管オーディオ・アンプ」を基に作りましたが実態配線図に間違いがあります。私も最終的には回路図を見て修正できましたが、もし私が作る1台目のアンプなら完成させることはできなかったでしょう(1台目がプリアンプと云うこともないかとは思いますが)。是非HP、重版では訂正して頂きたいです。
 出来上がりですがフォノイコライザも搭載の私にしてはよく出来たものだと思います。ケースも奮発してちょっといいものを使ったので見栄えも満足です。指定されていない電源トランスを使ったのでノイズが心配でしたがボリュームを最大にしても聴こえません。またフォノイコライザも現段階では極めて安定しており良い感じです。1ヶ月ほど使いこめば更に良くなるのではないかと思います。
 当初、制作費7万円くらいの予定でしたが電源トランスの変更、ケースが廃盤品のためショップの展示品処分価格で入手、電解コンデンサ等の部品の変更、などにより5万円弱で造る事が出来ました。
 さて音のほうですが自分で作ったアンプの音の感想くらいいい加減なものはありません(^^;プリアンプは必要ないと云う人もいますが私は簡単なオペアンプによるプリアンプを作って以来プリアンプの魅力にとらわれています。よく云われるのが「音をつくる」のがプリアンプだと聴きます。確かに立体感が増し、雰囲気が出て、録音されている情報を…やめておきましょう。こういった感想は個人の問題で、ましてや自作アンプでは冷静な判断が付きません(^^;

2008/11/22

 演奏会終了しました。アンコールは
 オルンスタイン 「6つの水彩画」から第1曲
 フリャルコフスキー 前奏曲ト短調
 プッチーニ(生誕150年) 小さなワルツ
 レビコフ 「クリスマス・ツリー」からワルツ
 シューベルト 楽興の時(ゴドフスキー編)
 ファジル・サイ トルコ行進曲
 でした。ご来場いただきました皆様に心から感謝します。

 今回はアンコールもすべて暗譜演奏で挑みました。一番大変だったのはやはりロイプケのソナタ。30分近い曲をよく弾いたものです。舞台で演奏すると曲の構成力の弱さを感じました。特に第1部は「行き当たりばったり」といった感じがします。しかし2部から3部、圧倒的なコーダは演奏しがいあるものです。初めてこの作品を聴いた方からも好評だったようです。
 今年はメシアン生誕100年の年で、メシアンが取り上げられる機会が多かったようですが、私はプッチーニとフロラン・シュミット(没後50年)を考えていました。ただシュミットの重要なピアノ曲「影」や「ミラージュ」は非常に難しい曲なのでプッチーニの作品をアンコールで取り上げました。プッチーニは6曲のピアノ曲しか残されていませんが「電気ショック」など一風変わった作品があります。「小さなワルツ」後に「ボエーム」のムゼッタのアリアとなる作品です。

2008/11/19

 今日演奏するリストの「愛の夢」。今回の演奏に際し参考にした楽譜を紹介します。「My favourite scores」こちらから。

2008/11/18

 先日大阪いずみホールで演奏されたカプスチンの「11人の奏者のための協奏曲 作品 90」の楽譜がはやくも出版されるそうです。私は聴きに行く事が出来ませんでしたが比較的大きな編成の室内楽作品です。

 明日の演奏会の調整。今更することもないと想いますが楽譜を見ながら復習すると新しい発見があります。この「新しい発見」は終りのないものだと思いますが、それを突き詰めていくのが演奏者の役目ではないかと思います。
 今日ははやく寝る事にしましょう。

2008/11/16

 演奏会が近づくと酒量が増えるのはよくないことです(^^;別に「ヤケクソ」で飲んでる訳ではなく一種の精神安定剤のかわりのつもりです。最近は若年層を始め大麻汚染が広がっているようです。自慢でもなんでもないですが私はその手の葉っぱ、薬はやった事がありません。オランダに行けば出来るようですが海外にもいった事がないので未経験です。私の場合酒でけでもタイガイな状態なので、もはや葉っぱに手を出す必要もないといった感ですが葉っぱは本式の犯罪なので興味本位で手を出すのはやめましょう。否覚悟があっても手を出すべきではないですね。

 さて覚悟と云えば今回の演奏会はすべて暗譜で演奏します。リスト、ドビュッシーはともかくロイプケは実は最近まで楽譜はおこうかと思っていました。しかしながら来年1月に大阪、2月に東京で演奏する予定なのでこの2ヶ月間(前日の日記にあるように)猛練習で何とか暗譜演奏までこぎつけました。とはいえ何かしらの事故はあるかもしれません。しかし事故を含め暗譜で音楽を演奏する重要性は大変なものであると思います。演奏とは演じることであるとは誰の言葉だったでしょうか。ただ楽譜を綺麗に追っているのが良い演奏なのでしょうか。その音符が奏者の血と肉となり音楽を創っていくべきであると思います。その点でも暗譜は必要不可欠のような気がします。
 丸山圭三郎氏は「意識の深層から表層の日常へと立戻り、この制度化された現実をくぐりぬけて再び制度以前の文化発生の場へと降りていく、絶えざる〈生の円環運動〉をくりかえす強靭な精神力」を芸術家と書きました。一見特別な才能を描いたような文章ですがここに書かれている事は「練習と精進」です。勿論大きな才能は必要ですが「生の円環運動」は既成概念と非常識の間を試行錯誤する運動であり、天才の直感だけでなく絶え間ない練習と精進から生まれ出るものであると思います。

2008/11/10

 久しぶりの更新となりました。演奏会まで1週間少し頑張ってます(^^

 心配だったロイプケのソナタも暗譜で演奏できるようになり、余裕はありませんが少しほっとしています。この夏は本当に弾けるようになるのかと云う感じでまさに数小節づつ譜面を弾いていくような状態でしたが10月中旬に何とか暗譜が出来、弾き込んでいます。曲は3つの部分に分かれていますが最も覚えにくいのが第1部です。悪くいえば理屈で書かれた風で手に馴染まない感じです。特に主要部分をつなぐ経過的なパッセージが調性の移行のため非常にややこしくなっています。おまけに楽譜(初版のリプリント?)の誤植も散見され明らかにわかるものは訂正して弾いていますが、どちらとも付かない部分も多くあります。しかし作品はそのような事は些細な事と云わんばかりに壮大です。ちなみに今回は若い頃のティル・フェルナーの録音ではカットされた箇所も演奏します。通して弾いて見るとカットした理由も解らないではありませんがなかなか盛り上がるかっこいい部分です。
 楽譜も随分使い込んでいい感じにボロが出ています。後1年も練習すれば崩壊しますね。


少々ピンボケではありますが色分けされて少しでも
判りやすいようにとしてかえってカオスと化した経過部


色分けや音の入りを解りやすくしようとしたもものの
楽譜が次ページに跨ったいるため格闘の後も生々しい

 ここからは趣味の話。風呂の中で真空管の増幅回路を見比べていますが「全段差動回路」というものが非常に気になっています。真空管の増幅回路は簡単分けると真空管1つによる「シングル回路」、2つの真空管を組み合わせて1信号を増幅させる「プッシュプル回路」があります。「全段差動回路」この「プッシュプル回路」の仲間であるようですが動作回路が根本的に違います。その事によって起こることは唯一つ「音の違い」です。ネットで「全段差動回路」による自作アンプ評判はこのようなものです。
「真空管アンプにありがちな脚色した音でなく正確で淀みの無い音であった。趣味の音と言うよりハイエンドの音と言うべきか。」 
もう、シングルには戻れない
 ちょっと褒めすぎかもしれないですが回路上のオーディオ信号の流れを見ると確かに独特な動きをしています。そして何より興味を惹かれるのはこの「全段差動回路」による商業製品はないそうです。自作で作って約5万ほど。これは私の貧乏オーディオにもそった考えであるように思います。
 ただひとつ気になるのが最終的な出力が5〜6W程度と云うのは少しさみしい気がします。何も75W大出力とは云いませんが。しかし今年に入って元祖「情熱の真空管」HPで出力15Wの全段差動アンプが紹介されました。これは聴いてみたい。しかもメーカー製品はない訳で自分で作ってみたい!
 と毎晩お風呂の中で研究中であります。勿論机上の設計です。入浴中、アンプの通電実験を行うのは自殺行為になるかもしれません!?
 また1年くらいかけてじっくり創り育ててやりたいものです(^^; 

2008/10/27

 映画を更新。成瀬巳喜男「女の中にいる他人」。

 以前に「女が階段を上がる時」を取り上げた事がありますが、成瀬巳喜男の女性を描く非凡な才能をはまったく素晴らしいものです。故新珠三千代さんの演技は最低限の表情とモノクロの光と影によって能面のような多様な複雑な心理を描いています。また若林映子さんはほとんど科白のない役ながら忘れがたい印象を与えます(私は大ファンです^^;)。本文では触れていませんが草笛光子さんの美しさも成瀬映画特有のものに思われます。俳優陣の名演もさることながらその魅力を最大限に引き出した成瀬の演出は「男の映画」の多い東宝で製作された中でも素晴らしいものです。晩年の成瀬の心理描写は素晴らしく長らく比較されていた小津安二郎よりも私は好きです。高峰秀子さん、司葉子さんも成瀬映画では特別な存在感があります。
 林光さんの音楽も素晴らしいです。新藤兼人監督とのコンビで知られる林光さんですが本作のようなリリックな音楽も忘れがたい作品です。成瀬の遺作となる「乱れ雲」のサントラは武満徹が担当しました。これも私の大好きなサントラです。

2008/10/20

 久しぶりに映画を更新。吉村公三郎「婚期」。

 演奏会まで1ヶ月を切りました。そろそろ作品解説などを書き始めていますがリストやドビュッシーは資料があり、むしろ多すぎるくらいなのですが、ロイブケになるとCDの解説などをもとに書く事にありがちです。そうなると書いてある事は重複する事が多くなりどれも一緒の記述になりかねません。演奏会で配られるプログラムの曲目解説に求められることはどんなことなのでしょうか。作曲者、曲の資料的記述(〜年作曲)、曲の構成、構造の解説など色々考えられますが私は演奏者が何故この作品を弾こうとしたのかという問題を取り上げるのは無駄な事ではないと思います。「弾きたかったから弾いた」と云うのも一つの答えですがわざわざ練習して演奏する訳ですからもう少し理由があるはずです。この事は個々の曲だけでなく演奏会全体のプログラムをどのように構成したかと云う問題になります。プログラムは演奏者の哲学が最もあらわれる部分です。

 演奏会を行うのはなかなか大変なことですが頑張らなくてはいけません。

2008/10/11

 東京田町にオープンするFAZIOLIのショールームのオープンセレモニーに行って来ました。サントリーホール小ホールで開かれたセレモニーにはイタリアからパオロ・ファツィオリ氏、この度ピアノフォルティ株式会社を立ち上げたアレック・ワイル氏、更にはスタニスラフ・ブーニン氏の308の演奏、中村紘子さんの祝辞と大変なもので私は終始小さくなっておりました(^^;308は以前イハラ楽器さんで試弾した事があるのですがやはり改めて素晴らしい楽器であると思いました。
 セレモニー後の308を試弾させていただいたのですがブーニン氏や中村紘子さんの前で演奏するのはまさに厚顔無恥の極み…。中村紘子さんから予想もしなかったお褒めの言葉を頂きすっかり有頂天になってしまいました。

 今回の上京はこのためだけに行ったようなもので自由時間が当日の昼少ししか取れませんでした。それでも秋葉原に真空管を見に行ったのですが…(^^;秋葉原に出たついでに電車で3駅ほど先の亀戸に以前Kさんに教えていただいた「亀戸餃子」を食べに行きました。昭和の雰囲気の店内でメニューは餃子のみというお店です。私は大阪でも立ち飲み屋、串かつ屋や通天閣周りの店なども好きなので別に違和感無く堪能できたのですが中には従業員の方の態度を気にする人もいるようです。私はそれも魅力の一つだと思うんですが。

 帰ってきて最近疲れ気味なので練習も程ほどに前回収穫したレコードを聴く。若きアシュケナージがEMI録音。収録曲はラフマニノフ「コレルリの主題に夜変奏曲」、リスト「メフィストワルツ」「鬼火」、プロコフィエフ「ソナタ7番」。アシュケナージの元気な頃の演奏です。何かでアシュケナージがプロコフィエフのソナタを再録音した際前回のこの録音は未熟でよくないと書いてあるのを読みました。私はどちらかと云うとEMI録音の方が元気があって良いと思うのですが。ちなみにPrecipitatoは3分で弾ききっています。
 イゴール・ジューコフがソリストを務めるスクリャービン「幻想曲」「ピアノ協奏曲」。メロディア時代のジューコフの演奏は素晴らしいものであると思います。決して緻密と云う感じではありませんがロシアらしい野太さが感じられます。これでジューコフがメロディアに残したスクリャービンの録音はすべて入手できたはずです。

 11月のリサイタルの練習、調整が大変ですがこの日曜日に楽器店の発表会が終わると大きなイベントも無くなり練習に専念できそうです。

2008/10/4

 久しぶりの更新となります。

 東京での「ぴあの好きの集い〜第 9回演奏会〜」も終了しました。「無事終了」とは少し云いがたい出来でしたが楽しく演奏する事が出来ました。とにかく緊張しました(^^;

 東京ではいつものように神保町、御茶ノ水、秋葉原と廻りましたがレコード屋は廻る時間があまり無くこれといった収穫はありませんでした。秋葉原では名球EL34を購入。新しいアンプの構想を練っています(^^

 本日は調律師のMさんの計らいで大阪城公園、いずみホールの1回のヤマハのショールームに試弾に行ってきました。今回試弾した中でではC6-XAが良い楽器でした。特に低音の充実感はなかなかのもので同じサイズのC6とは随分違いがありました。ヤマハの方によると満を持しての発表となった機種で気合も相当に入ったものだそうです。YAMAHAのHPに特設サイトもあります。興味のある向きは一度試弾されてみては如何でしょうか。

2008/9/23

 フランツ・リスト(左)とユリウス・ロイブケ(右)について。

 11月のリサイタルで取り上げるロイブケのソナタ。これが予想以上に難しい。曲は3部構成なっているのですが第2部、第3部は大方暗譜も出来、何とか手の内に出来そうですが第1部がやけに難しい。特別吃驚するような楽譜面ではないのですが、妙に弾きにくいのです。序奏の直後の経過的な部分、ここはあっさりと次ぎのセクションへの橋渡しとして扱いたいのですが非常に弾きづらく、覚えにくい。第1部はこの調子で「難しい」と云うより「弾きづらく、覚えにくい」です。しかし音楽は雄大にして甘美、若々しい躍動感、時に繊細な部分もあり傑作であると思います。これからどれだけ弾きこめるかが問題です。
 一方リストの「愛の夢」全曲。こちらは遥かにやさしいです。「やさしい」と云うのも語弊がありますがロイブケ程弾きづらくはありません。暗譜も2,3日で完了。しかしリストも和声が結構手が込んでいて特に第1番、有名な第3番の和声はうっかりすると迷い込んでしまいそうになります。
 ショパンはピアノからピアノ以上の音響を引き出しましたがリストはピアノが最もピアノらしく鳴る術を心得ています。「愛の夢」3曲を弾いていても性格の違う曲想の夜想曲で、それぞれに魅力があります。特に第1番は何故演奏頻度がこれほど低いのか不思議な曲です。とはいっても第3番がその和声感、ピアノ書法ともに際立っていて華やかで最も有名なのは納得いきます。

 リストの愛の夢は1850年、リストが39歳の時の作品です。この時ロイブケは16歳です。リストはその3年後の1853年、42歳にして「ソナタ」を書き上げます。その時ロイブケは19歳。1856年ロイブケはハンス・フォン・ビューローの薦めでリストの弟子となります。リスト45歳、ロイブケ22歳の時です。1年後の1857年、23歳のロイブケは師リストに自作の「ソナタ」を捧げます。そしてロイブケはもう一曲オルガンのための「詩篇ソナタ」と云う傑作を同じ年に書き上げ、翌1858年僅か24年の生涯を閉じます。
 もし、などと云うことは歴史にはありませんが、もし仮にロイブケが1894年、60歳まで生きていたとしたらどうなったでしょうか。ロイブケの1歳上の61歳のブラームスがこの年に前後してピアノ「4つの小品 作品119」「クラリネット(ヴィオラ)ソナタ 作品120」を書いています。フォン・ビューロー、アントン・ルビンシュタインが死去するのもこの年です。そしてドビュッシーが「牧神の午後の前奏曲」を発表するのもこの年です。

 おそらくロイブケのピアノ技法も「ソナタ」の時のものとは変わっていたでしょうし、管弦楽曲、室内楽も作曲していたでしょう(なんといっても先生がリストだったのですから)。これだけの完成度をもったピアノとオルガンのための「ソナタ」これらは巨大なる習作であったのかもしれません。ひょっとすると反対にこの作品を凌ぐものを書けなかったのかもしれません。
 いずれにせよ今回のプログラムの前半はリストとロイブケに彩られた1850年代、そこに生まれた偉大な二つの「ソナタ」が浮かび上がってきます。

2008/9/17

 昨日の日記でちらりと書いたKenwoodの「アローラXJ5M」ですが私が学生の頃に近所のダイエーで展示品処分で安く買ったものです。よく使っていたのですがCDの音飛び、認識しないCDが増えてきてピアノの下にしまいこんでいました。今年の春先そろそろ処分しようと思ったのですがネットで調べて見ると音質重視のモデルでセット価格も14万(私は4、5万で買ったと記憶しているのですが)と云う情報をみて思いとどまりました(^^;とはいってもCDは聴けるものと聴けないものがあって聴けるものでもどうも動作が安定しません。そこで蓋を開けてレンズを清掃。これでCDは問題なくかかるようになりました。ただCD-Rはどうやっても認識してくれません。14年も前の機種なのでしょうがないかと諦めて修理終了としました。私の部屋にはもう置く場所がないのでリビングのオーディオセットとして置きました。
 さて昨日記事を書いていて急に聴いてみたくなりCDかけてみるとトラックの最後の方で音飛び、認識拒否などごねています。これはもう一度カツを入れてやらないといけないと再び蓋を外しまずレンズの清掃。これでCDは調子よくなります。念のためCD-Rをかけますがまったく認識してくれないダメ元でレーザー出力調整用半固定抵抗部分(右写真の黄色い部分)をいじってみます。元の場所に戻せるように印と念のためメモを取って4つある半固定抵抗の怪しい一つをまわすと変化があります。ただ一つだけではダメらしくとりあえず普通のCDでかける事の出来るギリギリのラインを調べます。その状態でもう一つの半固定抵抗をゆっくり回転させると…かかりました!CD-Rも問題なくかかるようになってしまいました(^^
 この10分ほどのインチキ調整のおかげ(?)か普通のCDの再生も安定しています。改めて鑑賞すると私の一連の自作オーディオに比べ大人しくいかにも「メーカー製」という感じですがこれでも十分鑑賞に耐えうる音質です。オーケストラも過不足なく低音もなっています。最初のリンク先のHPでも褒められていますがまさにバブル期の低価格帯コンポセットとしてはかなり贅沢なつくりなものです。アンプ部が個別部品によるディスクリート構成となっているのも驚きました。こんな手の込んだ事今のシステムコンポにはないんじゃないでしょうか?
 ピアノを思わせる黒く光るボディも美しくこれからリヴィングルームのオーディオセットとして活躍してくれそうです。

 オーディオに限らず何事もその人の価値観と哲学です。「アローラXJ5M」の音などオーディオマニアが聴けばおもちゃの音でしょう。しかしこれはこれで素晴らしいシステムであると思います。また向きになって「ハイエンドより90年代バブル期の中級機が最もコストパフォーマンスに優れている」と批判する人もいるかもしれません。
 それぞれの楽しみ方には価値観があり、その価値観に沿った評価がされるのです。ファッションにしてもユニクロのTシャツを着こなす人もいれば1回洗濯すればダメになる高級ブランドのTシャツを着る人もいます。これは「どちらが悪い」などと云う問題ではなくその人の価値観なのです。「ものを入れて運ぶ機能としてのカバン」であればスーパーのビニール袋、スポーツメーカのバッグ、ルイ・ヴィトン、エルメスのバッグすべて同じです。しかしその選択はあくまで個人の選択でしかありません。その選択の根拠は個人の価値観、哲学です。ボードリヤールは先進国の消費を大胆に分析しました。最近はあまり人気がないようですが私はボードリヤールの云うことは先進国の消費体系をある程度批判的に分析してみせ示唆に富んでいると思います。詳しい説明は大変なのでそのうち(^^;
 どちらにせよ、(仮にオーディオに於いてB級側、ハイエンド側と云う図式でみて)それをどちらか一方の側から批判するのはそれこそ「論理的」でありません。「自らが何に価値を見出しているか」この事を考えなくてはオーディオ、いや音楽も読書もスポーツも人生さえも外から振り回されてしまい、無意味な所作になってしまうのではないでしょうか。

2008/9/16

 昨日更新後「サクッ」とバンコードでリングを作りました。YAMAHAのCDX-700Dのベルトの長さを大体計って、その長さのバンコードをライターで炙ったカッターの刃で両端を付けて固定して就寝。今日つけてみるとぴったり一発で出来ました。不具合がないかCDを数枚かけっ放しにしていましたが音飛びなどもなく大丈夫のようです。写真オレンジのゴムが「バンコード」です。
 蓋をして螺旋止めし完了。今回の修理(?)は大成功でしょう。
 さて時間がないのでまともに鑑賞したのは少しなのですが幾つか。フー・ツォンのドビュッシー「前奏曲集第2集」。実にしなやかな彼の演奏を聴く事が出来ます。「花火」の高音部などははじける火花を見るようです。グールド、ラレードによるバッハ「ヴァイオリンとクラヴィアのためのソナタ4番」。グールドの電子ピアノのような音質は幾分柔らかさを増しラレードのヴァイオリンの響きが非常に美しい。グールドの録音は音響操作が大きいと言われますが事実はどうあれこの録音に関してはグールドのピアノは幾分「遠慮」しているのがわかります。私がLPから作製したペトロフの弾く「夜のガスパール」。私の作成にも問題がありLP本来の爆発的な感じはないもののペトロフのデジタル臭い(?)ピアニズムを伝えています。しかし20年前に発売された機種でCD-Rがかかるのはオドロキです。
 総じてCDX-700Dは6万円ほどの中級機にしては頑張っていると思います。というか80年代から90年代中盤にかけての中級機は今では考えられない程頑張っていると思います。私が学生時代に現物処分で安価で買ったKenwoodの「アローラXJ5M」も今年の5月に蓋を開けてレンズの清掃、可変抵抗を弄って修理したのですがビックリしたのがミニコンポでありながらアンプ部がディスクリート構成でした。バブル期には珍しい事ではなかったのでしょうか。
 兎にも角にも「オーディオ」と云うものは良くも悪くも「過剰」さが必要なのかもしれません。

2008/9/15

 携帯電話を機種変更しました。勿論望んで変更した訳ではありません。落としてしまったのです。2年ぶりの機種変更となりました。過去の更新記録を見ると2006年6月に機種変更しているので2年ぶりの新しい携帯です。前の携帯、その前と偶々SANYOの機種を使っていたのですが、これは無論その機種が一番安いものだったからです。今回も携帯ショップへ出向いて機種を見るとSANYOは結構高い…。別に思い入れがある訳ではないのですがボタンの配置や使い勝手などに慣れているので出来ればSANYOにしたかったのですが、諦めてPansonicのW61Pにしました。ポイントや色々割引で4000円ほど。こんなもんですかね。
 偶然携帯を落とす1週間前に大々的な(?)バックアップを取っていたのでアドレスなどのデータは問題ありませんでした。普段の行いがいいのか悪いのか…(^^;
 携帯電話にはまったく拘りがない人間なので、この綺麗な携帯まだ自分のもののような気がしないです(^^;

 予定が重なり多忙に加え11月のリサイタルの練習、今月末には東京行きと結構大変です。予定していたイベントを一つ潰したので精神的に少し余裕が出たかもしれませんがなんとなく疲れ気味の9月です。

 まったく自作オーディオも手付かず。先日の日記に書いた「バンコード」も届いたのですがまだ処置をしていません。輪ゴムでもちゃんと聴けるから恐ろしい事です。どう考えても機械的にもよくないし、精神衛生上もよくないので、早く交換してやりたいのですが長さを計って「バンコード」をリング状にするのにちょっとした手間がいります。まだ0時すぎなので今からサクッとやって寝ようかとも思いますが、結構時間がかかって2時3時になると明日が辛いのです…。
 ところでYAMAHAのCDX-700Dですがこれはなかなかいい機種ではないかと思います。中級機ですが80年代のオーディオの元気のあった頃の心意気の感じられる音がします。電解コンデンサの交換や信号部の抵抗の交換、更には電源部を別電源で作ってやれば音ももっと良くなるのでしょうがそんな時間はとれそうにありません…。

2008/9/9

 以前オークションで買ったPIONEERのCDプレーヤーPD-7070がある日トレーがまったく出なくなってしまいました。早速蓋を外して調べて見ると理由がよくわからない…。しかしよく見るとCDを押さえる「ディスクスタピライザー」の一部が破損しているの発見。これが原因でトレーの開閉が出来なくなったようです。以前にレンズを拭いた時傷付けていたのかもしれません。機構部品はお手上げでまたPD-01AにつないでCDを聴いていましたがオークションを見ていると5〜10万円代の往年の機器が出品されているのを見てまた欲しくなってしまいました。私はド素人修理なのであまり高値で買うのもナンなので1000円以上は入札しません。つまり人気のある機種は競らないと落とせない訳で10品くらい入札しましたが落とせませんでした。さてしつこく「1000円入札」をしていると目出度く1986年に発売されたYAMAHAのCDX-700Dを入手する事が出来ました。
 電源は入るが動作確認は一切なしとの事でどうなることかと、早る心(?)を落ち着けてスイッチをいれるとカラカラカラとモーターの空回りする音が。まさかとトレーの開閉ボタンを押すしますが出てきません。これはベルトの劣化によるものだと思い蓋を開けて見ると…。ベルトそのものがなかったと云う…(^^;しかも2箇所ありません。さてどうするかと考えながらとりあえずレンズの掃除をしているとふと綿棒を束ねている輪ゴムに目が(^^;
 適当な大きさに輪を作って付けて動作確認をすると開閉は問題なく出来ます。CDの方も問題なくかかります。なんとCD-Rも問題なくかかります。一応修理完了です。しかしベルトが輪ゴムと云うのはかなり問題があり周りの樹脂にも悪影響が出るかもしれません。ネットを探して見ると「バンコード」というゴムがベルトに使えると云う情報を見つけて早速販売しているサイトがないか調べて見ました。なんとAmazonで取り扱っていたと云う…(^^;

 さて音の方ですが聴き疲れのしない音で非常に綺麗です。PD-7070と同じ頃に出た機種(奇しくも定価も一緒)ですがPD-7070の方が音がきつい感じだったように思います。バンコードでベルトの交換を早くしてやりたいものです。

2008/9/8

 My favourite composerに初の日本人松平頼則を追加。

2008/9/7

 scheduleを更新。
 2008年11月19日(水)午後7時から兵庫県立芸術文化センター小ホールでリサイタルを行います。プログラムは
 フランツ・リスト 愛の夢(3つの夜想曲)S541
 ユリウス・ロイブケ ソナタ
 クロード・ドビュッシー 前奏曲集第2集
 です。リストの「愛の夢」1番、2番、ロイブケの大作「ソナタ」というほとんど演奏される事のない作品を取り上げます。

 東京の大和さんのお誘いで「ぴあの好きの集い〜第 9回演奏会〜」で演奏します。私の演奏曲は
 アンリ・ラヴィーナ 100の前奏曲op.110から『前奏曲』イ短調
 フリャルコフスキー 24の前奏曲とフーガから『前奏曲』ト短調
 オルブライト/ボルコム Brass Knuckles
 の3曲です。どれも短い一発芸のような作品です。

2008/8/30

 「非音楽的教材考」の第3回目。今回は大御所コルトーの「ピアノ技巧の合理的原理(邦訳「コルトーのピアノメトード」)」です。

 特別オーディオマニアでもない友人とマニアと云うにはあまりにお粗末な機器の私の頗るいい加減オーディオネタ。
 友人「コンポ買おうと思ってるンやけどお勧めある?」
 私「うーん、最近メーカー品はあんまり興味ないからなぁ。それにコンポってセットになっとるヤツ?」
 友人「別にこだわっとらん。」
 私「プレーヤーはともかくアンプは自作が安くつくからなー」
 友人「ナンボくらい?」
 私「オーディオICを使ったモンなら1万円もかからんな」
 友人「音はいいのン?」
 私「まぁ、ミニコンポよりは本格的な感じではあると思うけど」
 友人「作ってくれんかなー」
 私「今時間がないかならなー。使ってないアンプなら貸してあげるけど」
 と云う訳で前に作ったTDA1552Qを使ったアンプを引き渡しました。これにはボリュームを付けていなかったので別に作ったボリュームも一緒に渡しました。
 友人「何でボリュームが二つあるノン?」
 私「右と左と別れてる」
 友人「へぇー、初めて見た」
 確かに左右別れたボリュームは高級機にしかついてません。しかし高々2千円ほどで作ったボリュームが高級機とは…。
 さて音の方は満足していただけたようです。買い取りたいと、かなり安値を言ってきたので断りましたが、友人のために実費で一台作ってもいいかとも思っています(などと書くと作れとせっつかれるのであくまで「思っている」だけです)。兎にも角にもアンプ作りで一番大変なのはケースの加工です。これさえなければ楽なんですが…。

 先日祖父と母と三人でビヤガーデンに行って来ました。正直なところビヤガーデンの料理は特別おいしいと云う訳ではないのですが屋上の解放感の下、飲むビールは別格です。日頃の雑事を忘れ大いに飲みすぎてしまいました。帰りに母と最近行き出したショットバーで一杯飲んで帰りました。ショットバーの暗いカウンターで飲む苦いジントニックも別格であります(^^

2008/8/28

 楽譜が何点か到着。随分以前注文して入手出来なかったEubie Blakeの作品集が届きました。たまたま在庫がなかったのか再版されたのかわかりませんが傑作「チャールストンラグ」を含む9作品が収録された本です。私はウィリアム・オルブライトのラグアルバムに収録されているのを聴いて「チャールストンラグ」は優れた作品だと思いましたが楽譜を見るとやはり難しい…。冒頭独特な指使いによる半音階グリサンド(?)が出て来ます。そう言えばコンフリーを弾いた際も2指の黒鍵から白鍵への「滑らし」が多用されていてこれが彼の「手癖」なのかと思っていましたが、あの世代で指の滑らしは常套的なテクニックだったのかもしれません。
 さてオルブライトの演奏は実に鮮やかです。ちなみにこのアルバムはオルブライト、ボルコム共作「ブラス・ナックル」と云う傑作が収録されています。自演盤な訳ですが、別にノンサッチからやはりボルコムが弾くラグアルバムがありこの「ブラス・ナックル」を弾いているので自作自演が異なる人物により二種類あると云う前代未聞の作品となっています。

 さてそのオルブライトですがこちらも「夢のラグ」が到着。作品はボルコムに比べると旋律の乏しさも感じないこともないのですが私は何故かオルブライトの作品が結構好きなのです。演奏は概して難しいのですがどこか戯画的と云うかバカバカしさのようなものを感じる作風に惹かれます。楽譜の巻末に彼の他の作品のリストが出ていますが(勿論その出版社から出ているものですが)2台のチェンバロの曲やチェンバロ協奏曲、ピアノと電子音の為の作品など興味深いものが並んでいます。
 さて作品は三曲からなり「夢遊病者のシャッフル」「悪夢のラグ」「朝の夢想」と云う題名を見るだけで口角が上がってしまうようなものです。中でも「悪夢のラグ」は演奏時間10分近い大作。演奏はかなり大変そうです。ちなみに1曲目はEubie Blake2曲目はボルコムに捧げられています。見事にリンクしてますね。

 これでボルコムの作品も届いていたら完璧だったのですが「The World's Best Piano Arrangements」というジャズの小品集が同封されていました。編曲者はアート・テイタム、テディ・ウィルソンなど豪華な顔ぶれですがジョージ・シェアリングの編曲(オリジナルを含む)が多いように思いました。「Over the Rainbow」などは独特な和声です。代表作の「Lullaby of Birdland」が入っていないは残念ですが、値段は22$弱にして収録曲数100曲(!)というボリュームには驚きです。

 これらの楽譜を見ていると明らかにラグとジャズは違う音楽です。具体的にどう違うのかを説明するのは難しいのですがラグは基本的に楽譜、エクリチュールに忠実であり、ジャズはあくまでメロディや骨格があり即興性を重んじると云う点でしょうか。勿論「The World's Best Piano Arrangements」には(採譜でしょうが)すべての音符が書きこまれてあるのですがこれを正確に再現する事はジャズではないということは直感的にわかります。よく「ラグが発展しジャズになった」とかラグの事を「古き時代のジャズ」などと云う形容を目にしますが浅学を恐れずに云うならば両者はまったく違う音楽です。アムランが云うようにクラシックピアニストは「ジャズ風」の作品を弾いておくか、そうでなければジャズを学んでおかなくては「ジャズを弾く」などとはいえないと思います。

2008/8/25

 「非音楽的教材考」の第2回目です。ツェルニーとピシュナを取り上げて見ました。

 久しぶりにプロフィールを見てみるとHPの中で最も更新していない所でした。演奏会の記録を中心に少し加筆。

 8月も残すところ僅か大阪は今までの酷暑が朝夜急に涼しくなりました。あまりの暑さにアンプ作りは一切中断していました。冗談ではなく半田ごてなど握ってられなかったのです(^^;先日夕方涼しかったのでケースの加工を少し行いました。中身はスカスカですが見た目はそれなりに出来たと満足しています。音の方もそれに似合うものになればいいのですが。

 今年は激しい雷と夕立も多かったように思います。

 ゆふだちの雲もとまらぬ夏の日のかたぶく山に日ぐらしの声 式子内親王

2008/8/23

 「非音楽的教材考」なる文章を書き始めました。かつて「ピアノ演奏覚書」という文章で私のピアノ奏法に関する考えを体系的に書こうとして失敗した経緯がありピアノ演奏法に関しての文章は避けてきたのでしたが今回は様々な教材の紹介と感想、ピアノ演奏を嗜む皆様の少しでも役に立てればと思います。

 My favourite composer」にカルクブレンナーを追加。

2008/8/18

 怒涛の勢いの更新でありますが「My favourite comporser」にヨーク・ボウエンを追加。スキャナのケーブルの調子が悪く譜例一つ目の前奏曲が掲載されていませんが後ほどアップします。楽譜掲載しました。

2008/8/17

 昨日に続き「My favourite comporser」にイグナツ・ブリュルを追加。去年の年末に彼の作品を纏めて演奏しましたが魅力的なピアノ小品が多くお勧めの作曲家です。

2008/8/16

 2004年のHPリニューアル後ほったらかしにしていた「My favourite comporser」に記念すべき一人目を追加。さて誰が追加されたかは実際に見て下さい。

 連日北京五輪の報道が入ってきます。普段スポーツは観戦する事などないのですが五輪の時ばかりは陸上や体操、更には飛び込み、射撃、カヌーといった普段目にする事もほとんどない種目も見ています。むしろそういったマイナー競技の方が面白かったりします。水泳の北島康介の快挙も凄かったですが、フェンシングでは太田雄貴さんが日本初のメダルに輝きました。リアルタイムでその決勝の模様を見ましたがフェンシングという競技をこんなに真剣に興味深く見た事はありませんでした。体操では若き俊英内村航平さんが銀メダル。冨田洋之さんが得意のつり輪で失敗したものの4位になったのも驚きました。今回初めて知ったことですが冨田洋之さんの美意識の高さと演技への拘りはジャンルは違えど楽器演奏者の端くれの私も感動しました。その審美的な態度は音楽家は大いに見習うべきです。しかも彼等は技術と芸術とを採点によってシビアに数値化されるのです。音楽家は数値化を極端に嫌います。勿論すべてを数値化してその演奏を評価するのはどうかと思います。しかしそれぐらいシビアに自らを採点しないといけないように思います。自分には幾らでも甘くなってしまうものですから。 

 しかし暑い日々が続きます。先週までは激しい雷を伴う夕立が多くありましたが近日の茹だる様な暑さには閉口します。こんな時は暑気払いに辛いものでも食べましょう。カレーにナンを大汗かきながら食すのも一興です。

2008/8/10

 ギンズブルグ編曲集の楽譜を入手。出版元はJurgenson。2005年の出版と云うことですので少し古い楽譜のようです。ギンズブルグの楽譜は幾つか持っていたのですがグリーク「ペールギュント組曲」クライスラー「序奏とアレグロ」の楽譜は初めて見るものでした。どちらもよく出来た編曲ですが「序奏とアレグロ」は後半のアレグロ部分も非常にピアニスティックで弾いていて実に気持ちいい編曲です。マツーエフのアンコールピースとして有名なロッシーニ「セヴィリアの理髪師」は楽譜を見ると非常にすっきりしていてマツーエフが音を足しているのではないかと思ってしまいます。しかし実際弾いてみると音の不足感は感じられません。マツーエフほどのテンポで鮮やかに弾きこなす事が出来れば大喝采間違いないでしょう。
 マツーエフと云えばこんな映像が。ロータ「8 1/2」のサントラをバックに紹介されるシーンに始まりすごい展開になります。なにかのイベントの映像なのでしょうか(同じシリーズでサックスとの共演もあります)。

2008/8/4

 Books詭弁論理学」及びfilms斑女」を更新。まったく久しぶりの更新です。

 真空管プリアンプの作製のため久しぶりに日本橋の電気屋街に行ってきました。ほとんど部品はそろっているので足りない部品を買うためにいったのですがパーツショップは100円ショップより性質が悪いです(^^;「これは何かに使えるぞ」と思うと思わず手が出てしまいます。しかも一つの単価は数十円のものも多いのです。レジに持って行くと「こんなに買ったっけ」とビックリすることも多々あります。今日は我慢してセール品やジャンク屋は見ずに必要な物だけを買って帰りました。
 さて家で設計図を元に真空管のヒーター回路を作ってみました。予定では6V強出るはずだったのですが何故か8V出ています。負荷を付けていないせいか計算間違いか、どちらにせよもう少し電圧を下げなくてはいけません。素人工作はこれだからこまります(^^;

2008/8/1

 前回の日記は少々暗い話を書いたので今日は明るい話を。
 You Tubeで見つけたいつものアレです。

 名作と誉れ高い「トムとジェリー」の「The Cat Concerto」。アカデミー賞を受賞した作品だそうですが確かに素晴らしい作品です。特筆すべきはトムがリスト「ハンガリー狂詩曲2番」を弾きはじめる部分、右手はいい加減な音ではなくちゃんと楽譜どおりに弾いています。冒頭のショパンの前奏曲24番のピアノとオケ版もなにやら物々しくて笑ってしまいます。
 さてトムが華麗に弾いている「ハンガリ狂詩曲2番」ですがロジャー・ラビットも弾いています「Rhapsody Rabbit」。トムとジェリーのには及ばないもののなかなか奮闘しています。非常にリズム感が良いです。しかし「トムとジェリー」にそっくりです(^^;
 「ハンガリ狂詩曲2番」以前に紹介したヴィクトル・ボルゲの爆笑連弾があります。「ハンガリー2番」はゆっくりの部分と速い部分、どこかしらコメディチックの曲想、しかも超有名曲であるので色々弄りやすいのかもしれません。

 ベレゾフスキーの弾くチャップリン「街の灯」。爆裂系のイメージの強い彼ですがこのような曲もサラリとお洒落に弾いています。またこの映像を見て譜めくりの難しさを改めて感じました。

 ゴドウスキーの映像を探していると度肝を抜かれた映像を発見。「Doll plays : Chopin=Godowsky 'Tristesse' (ちょっとビックリしますので閲覧注意です)」。ゴドウスキーのショパン練習曲、左手のための「別れの曲」の映像なのですがなんと弾いているのは人形。勿論人形といっても人間なのですが所謂ドーラーと呼ばれる人形の格好をしている人が演奏しています。私はこの映像を夜中に見たのですがビックリして鼓動が速くなってしまいました。下手な心霊動画よりも怖いです(^^;演奏はなかなか上手ではないかと思います。

2008/7/30

 最近はすっかり近況報告に堕している当HPですが一月でカウンタが1000あがっているようです。細々と更新していきますのでこっそり応援してください(^^;

 と云う訳で久しぶりに楽譜の話を。話題のペルルミュテール校訂版「夜のガスパール」を読む。私の想像ではペルルミュテールの死後残された楽譜の書き込みからおこされたものかもしれません(これは憶測です)。今までの楽譜に比べ「書き込み」が少ないように感じました。しかし「ラヴェルの指定したテンポで弾けるように」音の修正などなかなか興味深い楽譜です。2000年(もう7年も前なのですね)にペルルミュテール校訂のラヴェルの楽譜が出た時は驚喜しましたが巻を重ねるごとに記譜の難しさを感じていました。勿論大変優れた校訂楽譜であるとは思うのですが、どういうのか「楽譜の読み解き方」を書かれているように思われてきます。運指も大変合理的ですが、合理的過ぎるところがあります。ラヴェルの楽譜の一種破天荒で奇矯な指使い(これはアルベニスにもあります)、これを全く無視する態度も「音楽的」かもしれませんが些か疑問を覚えます(とはいえいざ弾くとなれば楽な運指を選ぶでしょうが)。Virtuoso Piano Transcription の夏井さんがリスト作曲ブゾーニ編曲の「メフィストワルツ」を「整い過ぎているのだ,楽譜が」とお書きになったのと同じ感想を思い描きました。ラヴェルの想像力の飛翔の足跡であるエクリチュールをここまで整理してしまっていいのかと云う問題です。確かに演奏はしやすくなっているのですが…。私はバカのように作曲家指定の指使いを守る方なのですが、届かない和音などは両手で取ったりすると云う不徹底さです(唯一の例外はバッハ作曲ブゾーニ編曲「シャコンヌ」の冒頭の和音)。様々な考え方がありますしナニが「答え」ということもないのですがこの楽譜を読んでいて複雑な気持ちにさせられました。
 とは言えブゾーニの編曲技術は素晴らしく、ペルルミュテールの楽譜も一見の価値ある楽譜には変わりありません。

 西宮のNさん宅で飲み会。毎回多才なゲストを集める名オーナーNさんの飲み会、今回も大変楽しく思わず飲みすぎてしまいました(^^;哲学などと云うと難解、大袈裟、ですがNさんの前では「人生の生きる方法」と。宗教社会学やハイデッガーまで飛び出すまさに侃々諤々の飲み会でした。こう聴くと所謂「処世訓」かと思われる向きも多いかもしれません。しかしフランスのミシェル・フーコーは自身の著書及び思想を「現実問題解決のための実践の業」として空疎な机上の空論とは言いませんでした。現代思想は実効性を持つ社会的な思想であると云う面があるのです(まぁそれで上手くかたずくかどうかは別問題としておいて)。無論私には解き得ない大問題なのですが楽しい談義でした。
 私は常々演奏家の究極的な目的は「何のために演奏するのか」というところに尽きると思っています。「人のため」「神の為」「自分のため」…「愛のため」なんてバカバカしい答えもあるかもしれません。私は自らがしかも世間とは違うレパートリーを、殊更ピアノと云う楽器で行うことの意味は意外に深いのではないかと思っています。勿論サンプルはアムランやハフ、ピアーズ・レーン、金澤攝、レスリー・ハワードなどを見なければなりませんが、彼等が果たしてマイナー珍曲好きだけであったのか、と云う問題は慎重に調べなくてはなりません。
 と書きながらピアニストは「いいと思っているものを弾いている」の事実です。アムランはアルカンの聖性は疑いませんし、ハワードもリストへの信仰(これに関しては幾分微妙であるが)にのっとています。私は今は差し詰めドビュッシーの天才性に心酔しているところでしょう。橋本治が書いたように「信じられている時点で正しい」と云うのは当を得た言葉であると思います。キリスト教の教義とイスラム教の教義のどちらが正しいかなどという問いはナンセンスです。私は更にここに科学、常識などを加えたいと思います。科学が真理を追求すると云うことも「科学」を信じている訳で、「キリスト」を信じている人と同等であると言えます。「科学」には真実がある。となれば「キリストにも真実がある」となります。「真実と云う言葉は今や科学者は使わず宗教家、革命家が使う言葉(野崎昭弘著「詭弁論理学」)」。となると真実を語るのは科学者でもなく宗教家、革命家となるのですがこれらは「(思想に)取り付かれた」人でもあります。
 このような取り付かれた人は殉教、殉職を恐れません。例えは悪くともオウム事件のサリン散布事件の時の信者は「強烈に信じていた」と言えます。
 バブル期を過ごしITバブルを経過した私を含む今の人間はこの強烈な「信じる」事を持っていないように思います。頻発する犯罪をこれだけで分析する事は不可能ですしする必要もないと思いますが何も信じる事が出来なくなった時「人間を信じる事が出来ない」と言うのは絶望の他にありません。約束を守るとかといったコミュニケーション上のものではなく「人間と云う仕組み」に対して深い絶望を抱いているのです。この「信ずるものなき」若者は表面的な部分からでも小林喜多治「蟹工船」ドストエフスキー、マルクスを読みゲバラの柄のTシャツを着ます。これは日本の今の虚無性を明確に表しているような気がします。

2008/7/24

 スタインウェイ限定モデルをお持ちのNさんのご自宅でホームパーティーに誘っていただきました。ピアノは貴重なヘンリー・Z・スタインウェイモデルで勿論内部にはメダルもはまっています。以前一度弾かしていただいた事があるのですが、今回はご厚意で数名集まって弾かして頂きました。最初はグチンスキー氏のグリンカ「ひばり(バラキレフ編)」で開始。私はボウエン「3つの舞曲から第2曲」、リスト「愛の夢3番」、コンフリー「鍵盤上の子猫」などを演奏。更にピアノと電子ピアノ(こちらはヤマハのグランタッチDGP-7)でオタッキーさんとグァスタヴィーノ「ロマンス(先日アンコールで弾いた「少女」の2台版)」や石川県在住のMさんとベネット「哀しみのサンバ」を演奏しました。途中オタッキーさんのヴァイオリン演奏やフルート、歌など楽しい一時を過ごさせていただきました。
 夜はNさんを囲んで中華料理店へ。ビールを一杯飲んだところで紹興酒にチェンジ。私はすっかり紹興酒で調子が落ちてしまいテンション低調で申し訳なかったです。食後新阪急ホテルのバー「リード」で2次会。そこでやっと本調子が出てきましたが23時半ごろお開き。皆様お疲れ様でした。

 さて石川県在住のMさんとお話していてキーボード・マガジンに掲載された上原ひろみの「アイ・ガット・リズム」の楽譜の話を伺いました。以前に某メーリングリストでもお書きになっていたのですが私自身あまり上原ひろみに興味がなかったので見ておりませんでした。大阪の本屋で在庫があったので買ってみて見ましたが確かに雑誌掲載の楽譜としてはお買い得でしょう。こういう貴重な情報は一人ではなかなか収拾出来ないものです(私は「キーボード・マガジン」を初めて買いました)。改めてお礼申し上げます。

2008/7/21

 アマデウスのライヴ無事終了しました。予想以上に大勢の方にご来場いただき感謝しております。
 アンコールはカルロス・グァスタヴィーノ「少女」、ファジル・サイ「トルコ・アラ・ジャズ」、ヨーク・ボーエン「3つの舞曲から第2曲」、シャルル・トルネ「街角」、スティーヴン・ハフ編曲「ロンドンデリーエア」でした。

 終演後は中華料理屋で食事。大人数で押しかけ申し訳なかったのですがビールを相当飲んでしまい、フラフラになってしまいました。やはり年には勝てないものです…。

 今回は本プロ以上にアンコールも力を入れていたのですが、グァスタビーノが非常に好評でした。ちなみにこの作品は2台のピアノのバージョンもあります。ボーエンを弾き終わると「綺麗な曲やな〜」と云う声が聞こえました。ピアノを弾いていて本当によかったと思った瞬間でした。

 聴きに来て頂いた方々に深く感謝します。

 さて、11月のリサイタルの曲を仕上げなくてはいけません。今年の夏休みの宿題(?)はなかなか大変そうです…。

2008/7/18

 NHK−FMでマルク=アンドレ・アムランのリサイタルを放送。曲目は
 ハイドン ピアノ・ソナタ ヘ長調 Hob.16:23
 ハイドン ピアノ・ソナタ 変ロ長調 Hob.16:41
 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 作品110
 モーツァルト ピアノ・ソナタ ハ長調 K.545
 ベルグ ピアノ・ソナタ 作品1
 エテュ 変奏曲 作品8
 アンコールはシャルル・トレネ作曲、アレキス・ヴェイゼンベール(マニアックな表記です)編曲 「パリの4月」と「街角」でした。どの作品もライヴとは思えない程の出来栄えでしたが中でもベルグ、エテュは圧巻でした。またモーツァルトは中庸なテンポで実に天真爛漫、素直な演奏でアムランの音楽性の素晴らしさを再確認しました。アンコールはアムラン得意のジャズ風小品でさらりと弾いていますが実に凝った演奏でした。アムランと云えばそのマニアックな選曲と超絶技巧ですが、真面目でありながらユーモアを含み、どことなく上品な感じは私の好みでその魅力をたっぷり堪能しました。
 ただ私の家は電波状態が悪く専用チューナーを使ってもステレオではノイズがかなり乗り、モノラルでの鑑賞。高音質で聴いてみたかったです。

 気がつくと一つ年をとっていました。ここ近年は自ら誕生日を忘却しているようで、友人からのメールで確認しました(^^;
 20代の頃はただ目の前の曲を練習していると云う感じでしたが最近は自分の人生を考え、これからレパートリーとして手に入れたいものを少し計画的に考えるようになりました。とは言え結局は目の前の演奏会の曲に息切れしているのですが…。

 本日は喫茶アマデウスでの演奏会。アムランの演奏を聴いて刺激も受け頑張りたいと思います。アンコールも新ネタを仕込んで気合を入れています。お時間ありましたら是非お越し下さい。

2008/7/7

 大阪で通りかかったレコードセールでフィニアス・ニューボーンJrの「A World Of Piano」のLPを購入。ニューボーンJrは以前にYou Tubeで「Oleo」を見てCDを聴いていましたがLP盤(オリジナル盤ではなくContemporary S 7600)が1000円であったので思わず買ってしまいました。家で聴いてみるとCDとは全然違います。これはもう懐古趣味と言われようが、オカルトと言われようが構いません。LPで聴く方が遥かにいいです。ラヴェルのソナチネが冒頭、顔を出す「Lush Life」などはややたどたどしさを感じますが、「Oleo」「Dahoud」は文句なしにカッコいいです。録音もなかなか良く、オーディオマニアにジャズファンが多いのも頷かれます。部品だけかってほったらかしのプリアンプを組み立てたくなりました(^^;

 ブラームス編曲のシューマン「ピアノ四重奏」のピアノ連弾版の楽譜を入手。長らく探していた楽譜です。美しい3楽章がピアノ連弾(しかもブラームス編曲)で演奏できるのはまさに至福の瞬間ではないでしょうか。連弾や2台ピアノの楽譜は一時かなり集めた時期がありましたが相方が見つからず実際に音にしたものはそんなに多くありません。大作ではアントン・ルビンシュタインの「夜会」(連弾、全曲演奏すると2時間近い)がやってみたい曲です。レーガーの諸作は連弾、2台共に傑作ぞろいです。グァスタビーノのロマンス(2台ピアノ)も美しい。先日演奏したドヴォルザーク自編の「新世界から」も全曲やってみたい作品の一つです。

 先日NHKで放送されたピエール・ロラン・エマールのヴィグモアホールに於けるバッハ「フーガの技法」全曲演奏を鑑賞。エマールらしい情感豊かな演奏が印象的でした。エマールは現代作品を得意としている割には熱い演奏をする人です。私は特にベートーベンなどはもう少しクールな方がいいような気がしますが、「生きた」現代音楽を演奏できる数少ない演奏家であると思います。バッハもかなり気合の入った演奏でした。
 余談ながら私の家は空港が近いせいか電波状態がよろしくありません。大阪に住んでいてテレビ大阪が映らないという…。NHKも地上波の映りはかなり悪いです。受信料何とかなりませんかね(^^;

2008/7/5

 アメリカのピアニスト、レナード・ペナリオ氏が亡くなられました。享年83歳。私はそう多くの録音を持っている訳ではありませんがラヴェルの「ラ・ヴァルス」やシュルツ・エヴラーの「青きドナウ」の編曲、ペナリオ自身の編曲による「皇帝円舞曲」「シェルブールの雨傘」などを聴くといかにもアメリカらしい華麗流麗な演奏であると思います。反面「技巧だけの無内容」「低俗」という批判もあったようです。確かにセミ・クラシックというかライト・クラシックといった感じを受ける面もありますが、その確かな技巧と音楽性は決して安っぽいものではありません。「エンターテイメント」は「芸術性」がない、と云う風潮は音楽だけ出なく文学、映画あらゆる分野に共通する偏見のように私は思います。久しぶりにペナリオの弾く「ラ・ヴァルス」、「シェルブールの雨傘」を聴きましたが眉間に皺を寄せ深刻に顔を歪める演奏家が多い現在、このような大らかに余裕を持った演奏をする「大時代」の「大ピアニスト」の時代は確実に終焉にさしかかっているといえるでしょう。
 謹んでご冥福をお祈りします。

 ところでペナリオにはオリジナル作品(映画音楽)を含む編曲などが残されています。手元にあるものは「皇帝円舞曲」の楽譜のみですがまさに暴風雨吹き荒れる「シェルブールの雨傘」や「真夜中の断崖」などが残されています。そのスジでは有名なマニルディ氏が「真夜中の断崖」を録音しています(楽譜はあるということですね……)。「シェルブールの雨傘」の採譜は出ないものでしょうか…。

 7月3日、大阪のB級グルメツアーと題し頼み会を企画しました。串かつ、駄菓子屋、レトロ雑貨屋、韓国料理これらの雑多なものが大阪の中心部梅田から天満駅までの一駅間(主に中崎町、黒崎町界隈)に密集しておいります。同行頂いたO女史、Mくんもご満足頂けた様でよかったです。韓国料理屋でヴァイオリニストのSさん、オタッキーさま、声楽家のKさんと最終的には濃いメンツが集まりました。
 みなさま私の至らぬ企画でしたがお楽しみ頂けましたでしょうか。
 次回は「大阪のヴェニス イタリアンツアー」「大阪の沖縄 大正界隈」「天満屋台バーめぐり ワインからお好み焼きバーまで」などなどど〜でもいいような企画はどんどん出てきます。よろしければまたお付き合いくださいませ。

2008/7/1

 「万里の長城杯コンクール」受賞者披露演奏会、無事終了しました。演奏の方は好評だったようでよかったと思います。ピアノの状態がかなり悪いというように聞いていたのですが、少々扱い難かったものの特別悪いという訳でもありませんでした。そりよりも待ち時間が長い!3時間以上待ちました(^^;緊張感が持続出来ないです。反面、舞台に立つ直前に急に不安になったりします。こう云う時、私は「自動的に指は動く」と考えるようにしています。そうでも考えないと不安でしょうがないです(^^;
 このような制限時間が設けられている演奏会ではやはり時間を守らなければいけません。これは常識です。

 終演後ヴァイオリニストのSさん、聴きに来て頂いたOさん、Nさんとインド料理店へ。本格的なインド料理(いや、パキスタン料理だったか…)を食べるのは何年ぶりでしょうか。食後飲みに行って12時ごろ帰宅。私には珍しく健康的な打ち上げでした。

 気がつくとカウンターが130000を突破。このような独り言のようなHPに来ていただきありがとうございます。キリバン取られた方はご連絡頂ければ粗品を進呈致しますm(_ _)m

2008/6/14

 本日(13日)は所用で西宮へ。阪神西宮の商店街に戎座人形芝居館が明日開館するそうです。なかなか面白い企画があるそうなので一度足を運んでみたいと思います。

 久しぶりにYou Tubeで見つけたナニ、です。コンフリーの自演などを聴いていたのですがたまたま某メーリングリストで色々な映像を教えていただき堪能させていただきました(^^中でもT氏からご教授いただいたRosario Mastroserioの演奏。「リベルタンゴ」「黒いオルフェ〜エル・チョクロ(おそらくベサ・メ・ムーチョの間違い)」などが聴く事が出来ます。高度のピアノ技法と書法(即興ぽいですが)が結びついた演奏です。私は「リベルタンゴ」もですが「黒いオルフェ」の楽譜があるものなら見てみたいです。この人は他にも編曲もしてそうです。「ひまわり」とか「ロシュフォールの恋人たち」なんか編曲してくれると嬉しいのですが。
 チェルカスキーの弾くホフマン「カレードスコープ」。相変わらずというか、上手いです。チェルカスキーの死をもって大ピアニストの時代は終わったも言われるのも頷かれる貫禄です。
 Anderson & Roe Piano Duoによる「リベルタンゴ」。連弾ですがなかなかトリッキーな演奏で引き込まれます。このデュオは他にもサン−サーンス「白鳥」や「スター・ウォーズ幻想曲」などの演奏を聴く事が出来ます。いやぁ映画って本当にいいもんですねぇ。

 水野晴郎氏が逝去されました。在りし日の氏の姿はこちら。私が子供の頃はテレビの映画番組が「映画を見る」ことでもありました。それぞれ個性的な映画解説者がそろっており、今思うと大変贅沢であったと思います。3月には声優の広川太一郎さんも逝去されなんともさみしい感じがします。広川氏の天才的吹き替えはこちらを見ていただけばご理解いただけるでしょう。ムーミンのエンディグも歌っておられます。歌詞どおりに微妙に歌っていないのがすごいです。

2008/6/10

 7月18日の喫茶アマデウスでの演奏会はベートーヴェンからラグタイムまでビールかワイン片手に気軽に聴いて頂きたいと思っています。「悲愴」やリストの「ソナタ」をビール片手に気軽にというのもなんですが、あまり構えなくてもよいと思っています。音楽にはその場その場の楽しみ方があります。ホールで一瞬の間の緊張感に戦慄するのも、ビール片手に楽しく聴くのもどちらが悪いと云う訳ではありません。聴衆が気楽に聴いているからといって演奏者が気楽と云う訳でもありません。かといって演奏者が構えすぎるとやはり聴衆も構えてしまいます。この辺はまさに「場の空気」の問題でバランスは難しいところです。

 コンフリーの曲を演奏するにあたって色々な演奏を聴いたのですがやはりコンフリー自身の演奏が一番面白いです。「Kitten On The Keys」ではピアノロールはおそらく色々と手を入れてまさにロールそのものが「作品」といった感じがあります。SP盤の演奏はなんとも言えない楽しさです。こういったリズム感やノリはなかなか難しいのですがじっくり楽譜をみて考えています。コンフリーの作品は90数曲、電話帳のような楽譜に纏められ、中には子供用の作品や歌曲も収められています。「Kitten On The Keys」は当時大ヒットしたので歌のバージョンもあり当時の流行を伺う事ができます。コンフリーの作品は書法がしっかりしているのが特徴の一つでしょう(本人の演奏は完全にラグピアニストのものですが)。そして何より楽しい作品ばかりです。また「演奏会用練習曲」や「幻想曲」といったクラシックを意識したものやチャイコフスキーの交響曲の編曲なんかもあり、なかなか不思議な音楽家であります。アントン・ルビンステインの「へ調のメロディ」の編曲では彼好みの3+3+2のリズムで編曲されています。これが難しいのですが結構なテンポで弾くとかなりノリのいい曲でしょう。

 明日は仕事先の人とビアガーデンへ。練習もしなくてはいけないんですが…(^^;

2008/6/3

 忙しさに感けてご無沙汰の更新ですが今月は頑張っていきたいと思います。

 まず7月18日午後18時30分からの神戸元町喫茶アマデウスの演奏会情報。プログラムは
L.v.ベートーヴェン
   ソナタ 作品13「悲愴」
Z.コンフリー
   Humorestless
   Dizzy Fingers
   Romanza
   Kitten On The Keys
F.リスト
   ラ・カンパネラ S141-3
愛の夢 第3番 S541-3
   ソナタ S178

 ベートーヴェンからラグタイムまで気軽に聴ける内容です。入場料2500円でケーキとお茶がついてきます。

 先日加古川ピアノ会の発表会がありOさんとドヴォルザークの「新世界」交響曲の連弾版の4楽章を弾いてきました。この編曲は作曲家本人によってなされており非常に良く出来た編曲になっています。無理の無い編曲でピアノ曲として自然に聴こえます。テンポ上の問題としてゆっくりな部分と速い部分の設定がありますがこれはオーケストラ作品の編曲であればついて廻る問題です。この問題の解決案の糸口を探るのはなかなか難しいところですが今回の演奏では比較的納得いく演奏が出来たのではないかと思います。これは編曲の良さもあるのですが…。

 レコード半額市へ。予算3,000円で物色しましたがヒンデミットの室内協奏曲集3枚、ヴァンガード盤のP.D.Q. バッハ2枚、デシャーブルのショパン練習曲などを購入。3,000円を少し出てしまいました。P.D.Q. バッハの解説はこの手のレコードではお馴染みの和田則彦氏。内容は冗談音楽には違いないのですがやや「出来が良すぎる」といった感じもしないではありません。もっと馬鹿馬鹿しい遊びがあってもいいかもしれません。
 さて余談ですが和田則彦氏には少なからず自作作品があってこれがどれも話を聴く限りとんでもないものばかりです。ベートーヴェンのソナタの冒頭部分のみを集めて構成された「目次録ソナタ」、ピアノとオケによるハチャメチャ協奏曲「ウェーバーの主題による交狂的変容」、そして5000発ものおならをサンプリングしたという「ワンダープーランド」…。どれも聴いてみたいです。しかし驚くべきはこの「ワンダープーランド」東芝EMIからレコードが出ていたんです。私は見たことないんですが。是非手元においておきたい1枚です。

2008/5/16

 先日金澤に在住の友人Mさんを囲んで飲み会をしました。なかなかの文人であるMさんのお話は興味深くまた示唆ある所で楽しい飲み会でした。加えて金澤という土地にますます興味を覚えました。是非訪れてみたいところです。

2008/5/3

 久しぶりに「暗譜に関するひとこと」に加筆。

 来る7月18日午後6時30分より神戸元町喫茶アマデウスで演奏することになりました。曲目は
ベートーヴェン ピアノソナタ作品13「悲愴」
リスト 「愛の夢3番」「ソナタ」
 の予定です。詳細は決まり次第アップしていきます。

 世間は連休ですが私は毎日が仕事のようです。実際仕事なんですが(^^;

2008/4/19

 関東の友人から久しぶりの電話。話題がLPの話になり、最近CDよりLPの方をよく買っているとの由。私もおそらく年間を通じてみれば購入するのはLPの方が多いと思います。理由はCDより値段が安い、CDになっていないものがある、そしてLPが好きということがあげられます。勿論現行の新譜、アムランの新譜はLPで出る事はないでしょうからCDを買いますが昔の録音などはCDで持っていても中古屋でLPを見かけると気にいった演奏であれば買ってしまいます(勿論値段が許せばですが)。LPの方がCDより音がいいとか周波数がどうとか色々論議されていますがそんな事は私は別にどうでもよく結論から言えば「LPが好き」という一言に尽きます。傷つきやすい盤面、手間のかかる針圧調整など手間のかかる事の多いLPですが音楽を聴くと云うことはその手間が必要な気がします。演奏会に行くのであればチケットを買い席を確保し雨が降っても会場に赴き演奏を聴く訳です。CDを片手で放り込んでボタン一つで聴くのと手間が違います。人間とはいい加減と云うか現金なもので手間がかかればその分しっかり鑑賞するものです。私はCDは当然持っていますががMDは持っていません。アイポッドとかいうものもあれば便利なのでしょうが別に欲しくも無いですし必要も無いと思っています。時代遅れで頭が硬いのかもしれませんが「音楽を聴く」ということは少々の「手間」があってこそじっくり聴く事が出来るのではないかと思う今日この頃です。

 両親に自作の真空管アンプと塩ビ管スピーカーを聴いてもらいました。反応は「凄い」とのこと。特にスピーカーの能力に吃驚していました。フルレンジ(一つのスピーカーユニットで全音域をカバーする)ユニットで出る音とは思えないようでした。スピーカーの設計上の課題は色々ありますが一つにはその共鳴する箱の容積があります。その容積を確保するために様々な工夫がされているいる訳ですが長岡鉄男氏の「スワン」のような凝った作りのものはメーカー製のスピーカーにはありません。そして塩ビ管スピーカーのようなものも無い訳です(バズーカやYoshii9とかはありますが)。私の自作のスピーカーもおそらく容積は普通のスピーカーよりはあるでしょう。音の良さはまぁ別にして、その臨場感はなかなかのもがあると思います。そして私の両親いわく「上品な音」ということです。自作オーディオ派にとって嬉しい一言です(^^。
 私のシステムは真空管アンプ(制作費2万円ほど)と塩ビ管スピーカー(制作費1万円ほど)、ケーブルBelden8412(制作費500円ほど)とチャチなものですが鑑賞には十分耐えうるものです。低価格オーディオオカルトですな(^^;

2008/4/9

  自作の8B8シングルアンプですが程良くエージングされてますます良くなってきています。というのは自作ならではの依怙贔屓ですが、真空管アンプと云うものはその見た目のノスタルジックな感じからは想像も出来ないほどクリアで張りのある音であります。未だに熱烈な真空管ファンがいるというのも頷かれることです。性能の面だけを見れば絶対に半導体アンプには勝てない筈ですが聴き疲れしない音の感じ、演奏の空気までも伝えてくれるような再現性には驚かされます。尤もこれは私が、しかも自作のアンプを聴いて感じていることですから多分に私情が挟まっており当てにならないものです。半導体アンプの音がどうしようもない悪い音なのかというとそんな事はありません。
 ちなみにケーブルはBelden8412、1万円近くするケーブルで…というのはウソで私がケーブルとRCAプラグを買って作ったものでせいぜい500円くらいで作ったものです。更にはLANケーブルをばらいて中の単線(二本がよじってある)を使ったケーブルも使ってあります。「シールドなしRCAケーブル」な訳ですが場所によってはノイズを拾うの使えません。しかしそのストレートな音はBelden8412(といってもこちらも自作ですが)とは違う魅力があります。科学的にはケーブルによって音質が変わる事は証明されていないそうです。しかし私の駄耳には変化して聴こえます。これは実際にやってみないとわからないものです。やってみて「変わらない」と思う人もいるでしょうし「変わった」と思う人もいるでしょう。そのケーブルにどれだけ重きを置くかは個人の問題です。私は数万円もするケーブルを買う気はしません(というか手が出ないだけです)が、自分で作って聴いてみるくらいの事はします。100円ショップのRCAケーブルが聴くに耐えない音なのかというとこれもそういう訳ではないと思いますが。

 さて前置きはこれくらいで最近試聴したCDから。
 アルヒーフのリヒターのバッハ「音楽の捧げもの」「フルートソナタ集」。やはりアンプの規模からしてこのような室内楽が最もよくあっているように思います。活き活きとした各楽器の動きやその典雅な演奏スタイルは改めてリヒターと云う音楽家の偉大さを認識させられます。
 グールド「未完のイタリアアルバム」。グールドの未発表録音を含むバッハ、C.E.バッハ、スカルラッティなどが収録されています。バッハでも「マルチェロオーボエ協奏曲」のバッハによる鍵盤楽器編や「イタリア風アリアと変奏」「幻想曲ハ短調」と珍しいものも含まれています。マイクが近いせいもありグールドの録音もはっきりとした音がします。和音のアルペジオなど思わずハッとするような表現もあり改めて感心しています。はっきりとペダルの踏んでいる箇所と踏んでいない箇所がわかるのも色々と勉強になります。グールドの歌声も生々しく再現されています(^^
 アムラン「カレードスコープ」。私が最も好きなアムランのアルバムの一つです。このマニアックで思い入れの強そうな曲目、演奏共にアムランの魅力が存分に出たアルバムであると思います。音像はグールドに比べるとやや遠いですがそのクリアで上品且つユーモラスなアムランのピアノを堪能できます。特にホフマンの「夜想曲」のような平易な曲でのアムランの細やかな心配りはピアニストとして大変学ぶところがあります。
 映画「カジノロワイヤル」のサントラ。最近製作されたものではなく勿論1967年版です。私にとって「カジノロワイヤル」はこの映画しかないといってもいいです(^^;バート・バカラックによるビッグバンド、ハーブ・アルパートのトランペットとゴージャスなサウンドの筈なのですが録音のかげんかその響きは室内楽のようでなかなかいい感じで聴く事が出来ます。ダスティ・スプリングフィールドによる「愛の面影」も生々しい歌声です。ヴォーカル(特にジャズヴォーカル)の再生に関しては真空管アンプマニアの間では侃々諤々、この程度で「生々しい」などと書くと怒られそうですが…。
 ホロヴィッツ「アンコール」。聴いていて驚いたのがモノラル録音の力強さ、生々しさです。再生は勿論ステレオでモノラル音源を再生している訳ですが、モノラル再生マニアがいるのも少しわかるような気がしました。ステレオ再生に於ける楽器は言ってみれば二本のスピーカーの間に生まれる「幻影」です。しかしモノラル再生に於いては一つのスピーカーから出てくるまさに「実体」を持ったものです。大阪のバー「カザルス」で蓄音機を聴いた時に実に感動したのですが、これは78回転による情報量に加え、その蓄音機と云う木製の箱によって絶縁された一つの個体から音が出てくるということが大きいようです。「蓄音機と云う楽器」などと言いますがこれは強ち間違いではないようです。

 自作の真空管アンプで音楽を聴くのは楽しいものです。しかし内部では280Vもの高電圧がかかっています。電流量は少ないので死ぬ事はないかもしれませんが高圧部に触れれば激しく感電しますし、電源をつけっぱなしで放っておくと火が出るという自体は十分考えられます。メーカー製品ならそんな事はないでしょうが、自作では安全管理も自己責任でしなければなりません。アンプを作り出して電源を切る(機械個体だけでなく)のが習慣になったのはいい事ではあると思います。ただ飲みながら音楽を聴いてそのまま寝てしまうという堕落的な快楽を手放さなくてはいけないのはちょっと寂しいですね(^^;

2008/4/5

 6月28日尼崎のピッコロシアター大ホールにて「万里の長城杯コンクール」受賞者披露演奏会に出演する事になりました。ドビュッシーの前奏曲集第2集から「カノープ」「交代する三度」「花火」ともう一曲弾く予定です。

 Booksに芥川龍之介「邪宗門」を追加。

 真空管プリアンプの構成が大体決まりました。と、偉そうに書いていますが丸々作成例のコピーです。ただトランスやコンデンサなどは指定の物が入手困難だったりと幾つか変更しています。このような融通がきくようになったのは少し進歩したのでしょうか(^^プリアンプはノイズに非常に敏感なので不安もありますがものは試しに作ってみたいと思います。尤も完成はいつになるかはわかりませんが…。

2008/3/30

 真空管アンプですがかなり注意深く作ったので動作も安定して私の作ったアンプとしてはよく出来たものだと思います。ただやはり2段構成のシングルアンプなので増幅率が低いのが気になります。以前から使っているオペアンプを使ったプリアンプをいれると問題は解決しますが、ここは真空管プリアンプが欲しくなるのが人情です。またプリアンプを通さない真空管だけの増幅の方が音の感じはいいです。これはかなり微妙な問題でどちらの音が良いかというのは愚問で趣味の問題でしょう。真空管アンプの方が半導体アンプより音がいいという訳でもないでしょうし、その逆もしかりです。以前は私もいわゆるブラインドテストはどんどん行うべきであると考えていました。勿論今でも自分の耳を信じるべきであると思いますが、ブラインドテストには大きな落とし穴があると思います。最終的には音の良い、悪いは個人の趣味、好みへと収斂されてしまうからです。ブラインドテストでどちらが高級オーディオ、安物(言葉は悪いですね)か中てさせるような記事を見かけますが、これもあまり問題として成立っていないように思います。「どちらの音が好きか」という個人的な問いは意味があると思いますが「どちらの音が良いか」という問いは意味があるのかどうか判りません。「良い音」といっても「厭味の無い良い音」とか「味付けされたゴージャスな良い音」とかひょっとすると「嫌いだが良い音」なんて感想もあるかも知れません。嫌いだが良い音のオーディオは私は使わないでしょう(^^;

 そしてオーディオ製品の値段というのは内容と比例はしていないということも考えなくてはなりません。例えばルイ・ヴィトンのかばんは非常に高価です。勿論材質、アフターケアや製品の頑健さなど価格に反映される部分もありますが、その価値は「他ならぬルイ・ヴィトンである」という事によって大きくなります。「かばん」という機能だけがその製品の価値を決定しているわけではありません。このことは洋服やオーディオ製品などにも当てはまります。ボードリヤールが分析したように私達は価値の体系を消費しているのであって物々交換のような世界では生きているわけではないのです。ボードリヤールは「(先進国に於いて)生産は終わった」と書いています。これはかなり極端であると私は感じますが、やはり現代の私達の消費のある側面を描いているとは思います。
 オーディオに於いても「他ならぬ〜製品」は高くなって当然なのです。またその機構内容を換算して価格が高すぎると言うのもおかしな問題です。私は出来るのなら自作しますがそれに満足するかメーカー製の良いケースに収まった美しい製品に満足するかは個人の趣味の問題です。

 さてとり憑かれたように聴きまくっているのですがやはりオーケストラはプリアンプが無いと少々物足りないですが室内楽、ピアノソロなどはプリアンプなしでも十分に楽しめます。特に弦楽四重奏などは今まで聴いてきた半導体アンプに比べクリアさと聴き疲れしない音で大変美しいです。はっとするような部分もありやはりオーディオは奥深いものであると思いました。別に何十万もかけなくとも「自分の好きな音」を見つける努力、それは色々な製品を試聴していく事や自作して行くなどの方法を通して探していくと云うのが「高音質」への道であるのではないでしょうか。

2008/3/27

 念願であった真空管アンプが完成しました。この2、3日かけて一気に作りました。やはり一番の難物はケースの加工。結構大きなミスをした事に気付いた時は本当に諦めようかと思うくらい大変な作業でした。しかしそこは素人工作の強み、強引に修正して何とか完成にこぎつけました。音出しも一発OK。懸念していたハムノイズも拾わずちゃんとなってくれています。今までのキット、オペアンプ工作の経験のおかげでしょうか。とは言え電源部のチェック時やはり電圧280Vを測る時は緊張しました。幾ら小電流とはいえ一歩間違えば大変危険ですし、生死とまでいかなくても強烈に感電します。幸い感電することなく完成する事が出来ました。細かな測定は明日にまわし今はただ出て来る音を楽しんでます。

 思えば2年ほど前サンスイのアンプの不調から始まった自作オーディオでしたが当初の予定は真空管アンプでした。しかしケースの加工に挫折しもっと楽に作製できるデジタルアンプのキットやオペアンプによるプリアンプを作っていましたがやはり自分の手で真空管アンプを作ってみたいという思いはずっとありました。今日やっとその真空管アンプ、といっても僅か出力2Wほどの初心者向けのものですが、を完成し音が出ているのは感慨深いものがあります。
 作例は有名な真空管6BM8によるシングルアンプ。ネットでも沢山の作例が見る事が出来ますし入門用のキットもあります。
 実際に私のアンプにささっている真空管は8B8です。厳密にはヒーター電圧を変えなくてはいけないのですが2V弱の差であり東京の真空管専門店のおじさんも「6BM8と差し替えても大丈夫」といっていたのでよしとしました。そもそもこの8B8を買ったのがレジに6BM8を持っていくとそのおじさんが「8B8の方が低ノイズでいいよ、絶対。リピーターも多いよ」と勧められたので買ったものです。私は真空管の個々の癖などは良く判りませんし第一6BM8の音を聴いた事がないのでなんとも言えませんが、まあそう仰るのですからそうなのでしょう。ちなみに6BM8と8B8は同じ値段でしたから特別「売りつけた」という不信感もありません(8B8は人気の無い真空管なので在庫一掃したかったのかもしれませんが)。

 さて音の方ですがはっきりいってビックリしました。真空管が独特な音を出すというのは聞き知っていましたし、またオーディオ店で試聴もしたもないわけではないのですが今まで聴いていたオーディオICによる音とはまったく違います。私の駄耳で聴く限り真空管アンプの方が自然です。自然という点では随分部品を交換したトライパスの「TA2041」も生々しい音を聴かせてくれました。しかし真空管アンプの音はなにか聴き疲れしないと言うか、耳に優しい響きをします。だからといってぼけた様な音なのかといえばそうではありません(尤もこれはベテランのアンプビルダーが聴くとボケきっているのかもしれませんが)。少なくとも私の聴感上ではしまりのある発音の良い音です。これは真空管以外の抵抗やコンデンサにもよるかもしれません。この真空管、出力トランスのレベルに比べ随分贅沢な部品を使っています。といっても勿論通常より安価で買う事が出来たからです。Daleの抵抗などは半導体アンプの部品交換でその能力を知っていますので是非とも使ってみたかった部品でした。

 なおオーディアIC、オペアンプの名誉のために書いておくと私が専らこれらの機材を起動していたのはスイッチング電源、ACアダプターでした。電源部をもっとしっかりとしたトランスで構成すれば音の感じはまた変わるものであると思います。実はこれらのトランスも手元に揃えてあるのですがなかなか組み組む事が出来ません。自作オーディオで尤も金のかかる部分、それはトランスをはじめとする電源部ですがそれと同じかそれ以上にかかるのがケースなのです。

 真空管アンプはアナログデバイスならではのいい加減な部分があります。今回の私のアンプにしても本来電圧8Vをヒータートランスをかけねば本来の特性を出さないはずですが6BM8用に設計された6.3V で動いています。聴感上はまったく問題ありません。
 しかし本当に良い音です。大オーケストラの大音響は少々きついかと思いますがそれもで夜小音量で聴く際には十分の音質であると思います。まぁ、自分で作ったアンプはミスから歪んだ音が出ていても「味」のある音であると満足すほどなのですが…。

 しかしこうなると次ぎは真空管プリアンプが欲しくなります。私は普段レコードを聴くことも多く、また自他ともに認めるプリアンプ好きなのでぜひとも作ってみたいです。また1年計画で作ってみますか(^^;

2008/3/25

 ペルレの前川さんのご厚意でファッツィオーリの最大モデルF308を試弾させていただきました。日本に2台しかないというピアノで以前ファッツィオーリの展示会では弾くことができなかったので非常に楽しみにしていました。調律師のM君と前川さんとお知り合いの方の4人で楽器店へ。
 さてF308ですが長さが3メートル8センチもあるので大きいです。弾いてみると実にストレートな艶やかな音がします。ラフマニノフやリストのソナタなどを弾いてみましたが低音の響きの豊かさや中音域の発音の良さ、高音域の煌びやかな音色など実の能力の高い楽器であると思いました。強音でもまだ余裕があり実に安心できる響きです。前川さんが「コントロールが難しいと仰る人もいるのですけど」と言われていましたがコントロールが難しいのでは無くコントロール出来ていないというのが本当の所であると思います。
 このピアノには「第4ペダル」がついています。これがまた非常に興味深いものでこのペダルを踏むとハンマーが少しあがります。つまりハンマーと弦の間が短くなる訳です。これによって音色が変わりますが、ソフトペダルと違い3本の弦を打弦するので音の艶は変わらないという不思議な効果が出ます。実験的にリストのソナタの331小節からを「ソフトペダルだけ」「第4ペダルだけ」「ソフトペダルと第4ペダル」の3種類弾いてみました。私の感じでは「第4ペダルだけ」が音色を変えながらも音雄の抜けが良くいいように思いましたが「ソフトペダルと第4ペダル」の併用も良いかもしれません。尤もこの時は右足はダンパーペダル、左足は第4ペダルとソフトペダルを一緒に踏まなければならないので少し足が大変です。
 ドビュッシーの前奏曲でもダイナミクスの差も各声部の分離も非常に明快です。最後は少し練習しているロイブケのソナタのコーダを弾いてみましたがこういう低音オクターブの連続するような曲ではこのピアノはその能力を特に発揮するようです。低音部の鳴りも素晴らしいですがそれに埋もれてしまわない中音域や高音域の音も素晴らしいです。
 是非ともこのピアノを使って演奏会が出来ればいいな思いました。

 帰りに前川さんが「F308を日本で弾いたピアニストはチッコリーニとアンジェラ・ヒューイットと鈴木謙一郎さんと八木さんの4人ですよ」と仰ってましたが私をこの中に並べるのは如何なものかと…恐れ多いです(^^;

 4月18日20日東京オペラシティコンサートホールで行われるアンジェラ・ヒューイットによるバッハ平均律全曲演奏会でこのF308を使用されます。興味のある方は是非聴きにいかれる事をお勧めします。


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