女が階段を上る時
1969

監督

  成瀬巳喜男
音楽
  黛敏郎
出演
 

高峰秀子
森雅之
団令子
仲代達矢

 

 

 銀座に生きる女を描いた成瀬巳喜男の傑作。
 銀座の雇われママ圭子(高峰秀子)は売り上げが落ちて悩んでいる。独立したユリ(淡路恵子)に顧客を取られたからである。結局彼女はマネージャーの小松(仲代達矢)、ホステスの純子(団令子)といっしょに店を移る。そしてユリの死、純子の独立、度重なる男性の裏切り、小松の愛の告白を拒絶し銀座の女として2階の店へ上っていく。客にしてもホステスにしても店への階段は特別な空間への通路であったのだろうか。水商売の女の生き様を成瀬は黛敏郎のアンニュイな音楽とともに格調高い映像でつづっている。

 私がこの映画を見たのは確か高校生の頃だったが、初見の際は「大人の映画だなぁ」と思ったものであるがそれは高校生の感想と思っていた。しかし今回見直してみてあまりに出演者の大人っぽさに改めて感心してしまった。当時、高峰秀子は36歳(設定は30歳)、仲代達矢は28歳である。それを踏まえても「大人」の映画である。現在(2005年)36歳の俳優諸氏は吉田栄作氏、マルシアさん、的場浩司氏、千堂あきほさん、森高千里さん、山瀬まみさん、石田ゆり子さんといった方々である。良い悪いは別にして「大人っぽい」方がいるだろうか?  

 

   本作品の脇役人も芸達者な俳優ぞろいである。高峰秀子が思いを寄せる客が森雅之、調子の良い客が小沢栄太郎、先代中村鴈治郎、加東大介とイイ顔のオッサンが総出演。短いながら山茶花究の出演も忘れがたい。先代中村鴈治郎は映画主演作も多く数々の名演を残しているが本作品でも独特の関西弁のイントネーションで、「ママ、ちょっとこっち来いな。」と 口説くシーン(左写真)は関西弁以上にそのイントネーション、ノリが関西ものである。

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