トモロ0117(ともろぜろいちいちなな)

   赤の星で開発、生産された生体コンピュータ・トモロのうちの一体で、機界四天王ペンチノンとなり地球を襲撃した。機界四天王の東京最終作戦においてボルフォッグの捨て身の作戦により致命的な損傷を被り、「目玉焼き」になっていたところを戒道少年に浄解され本来の姿を取り戻した。ピッツァことソルダート・J−002とは赤の星での邂逅以来の友人関係にあり、互いに全幅の信頼を寄せている。生活雑務から火器管制、オペレーターまでこなすJアーク一の働き者。
   超弩級戦艦・Jアークの中枢であり、ソルダートJの指令の下に艦内のあらゆる機能を管制する。メガ・フュージョン後も基本的にそれは変わりない。ただし機体の制御は主にソルダートJが直接行なうため、トモロはその補助にあたっている。
   ゾンダリアン・ペンチノン時代(?)にGGG諜報部所属のビークルロボボルフォッグを仇敵視していた経緯から、GGGという組織を高く評価しており、同時に柔軟な考えを有していたようで、状況次第によっては共闘も可能、と考えていた節がある。木星においてジェイダーがとらわれた際、アルマを連れオービットベースを目指したのはその現われであろう。その際、ボルフォッグによるシステム調整を受けており、この時「互いがもはや敵対するものではない」という相互理解を育んだものと思われる。後のボルフォッグの回顧によれば、ふたりは「かけがえのない友人」であった。
   ここまでは「ちょっといい話」だが、実はあのシステム調整には重大な意味があった。地球とJアークの提携による赤の星の軍事テクノロジーの一部譲渡である。本来GGGは地球圏を防衛する国連機関であり、「木星に遠征する」ことには国連議会でも反対が相次いだ。GGGは地球「防衛隊」である。ゆえにこちらから攻勢に出る、ということはその性格と理念に反し、またESウィンドウを使用するとはいっても木星はあまりに遠すぎる。補給線が確保できないばかりか、通信すらままならない。また木星には機界31原種、残り17体(当時)が集結しており、これを殲滅するにはGGG艦隊の総力を持ってなさなければ不可能だ、と考えられていた。これまでの戦闘からも原種は一体一体が強力な戦闘力を持っている事が明白だったからだ。では、GGGが出払った後の地球防衛はどうするのか、といった問題も生じてくる。機界31原種は木星にGGGを引き付けておき、別働隊を持って地球を機界昇華するつもりではないか。地球に残された戦力で機界31原種に対抗できるものは数少ない。
   これら様々な木星遠征反対論を抑え、ジェイダーを救出するためにはトモロも手段を選ぶ事はできなかった。そこで赤の星のテクノロジーをボルフォッグを介して地球人類に譲渡する事を条件にGGGの派遣を約束させたのである。地球の防衛にはフランス・シャッセール勇者光竜闇竜がその任にあてられることとなり(もっともこの時彼女らはGギガテスクによって深刻な損傷を被っており、木星遠征には参加できなかったという事情もあったのだが)、GGGの木星派遣は決定されたのである。あるいはトモロ0117はこの時既に死を覚悟しており、自分達の痕跡を何らかの形で残そうとしたのかもしれない・・・。
   本来赤の星で彼がどのような任務に就いていたのかは不明である。地球に辿り着いていたJアーク級が本来彼のものであったとは考えにくい。なぜなら彼のナンバーを鑑みるに、赤の星には数多くのトモロがいたと考えられる。その多くはゾンダリアンとなった可能性が高いであろう。トモロは巨大な要塞とも言えるJアークを一体(もっとも艦内には多くの補助コンピュータが存在するが)で究めて有機的に運用することができる性能を備えている。この優秀な能力を機界31原種が利用しなかった筈はなく、やはり多くのトモロが機界昇華の尖兵であるゾンダリアンへと変質させられていたのだろう。その中の一体がたまたま、J−002の勧誘にあたり、そのピッツァとともに地球へとやってきた。そこに赤の星が遺したふたつの希望が眠るとも知らずに。地球における彼らの邂逅はおそらく多分に偶然の支配するところであった。こう考えると、実はJアーク一行というのは赤の星の敗残兵の寄せ集めだったわけだ。しかし彼らにとってそんな事は問題ではなかったろう。彼らの果たすべき目的はただひとつだったのだから。
   戒道少年が「J−002の」アルマであり、阿蘇山に眠っていたJアークは「J−002」と「トモロ0117」のもので、彼らは運命的に再会したのだ、という推論は確かに魅力的だ。だが、実際にその可能性は極めて低い。「一度別れた三人」がもう一度、しかも偶然出会うには、何分宇宙は広すぎるのである。
   ソルダートJ、戒道少年と共に原種核を求めて地球各地を転戦したが、木星におけるZマスター殲滅戦においてザ・パワーを用いて心臓原種を撃破、ふたりの戦友と共に行方を晦ました。その後、ヴォイドにおいて宇宙収縮現象を観測し、その原因究明のために木星圏へと帰還したがソール11遊星主のうちのひとりであるピア・デケムの攻撃を受け、拿捕されていた。しかし、マモル少年によって拘束を解かれ、同様に解き放たれたソルダートJと共にソール11遊星主に戦いを挑む。