ペンチノン

 機界司令パスダー直属のゾンダリアン機界四天王のひとりで、小型の船に目玉や、歯車、手足をつけた一見ユーモラスな容貌の持ち主。主に船舶やその関係者を好んでゾンダー素体に選抜する。北海道苫小牧の粒子加速器イゾルデにおける対EI−12戦で、ボルフォッグの接近遭遇によりその存在が確認された。無機質な声と狂った霧笛のような笑声が特徴で、常に冷静に戦況を見極める、参謀タイプ。一方白兵戦闘は不得手であり、個体としての戦闘力も同じ機界四天王であるピッツァなどと比較すれば格段に低いが、背負った歯車を車輪として走行することで高い機動性を発揮するほか、自らの小型の分身を目標に特攻させるという攻撃能力を有している。
 ピッツァとはペンチノン自身が赤の星で目的を失い流浪の身であった彼をゾンダリアンの道へと導いて以来の朋友であり、対GGG戦略に関して「まず緑の髪の子供を抹殺すべし」という点で一致した見解を持ち共同作戦をとることも多く、その際にはピッツァに助言を与える「補佐」的立場に徹していたようだ。
 東京における機界四天王最終作戦においては、自ら海上自衛隊が保有していた護衛フリゲート艦はるなと融合、EI-27となりボルフォッグをマモル少年と分断するとともに、ボルフォッグおよびガンマシンの抹殺を図った。その際、常に自らの作戦を阻んできたボルフォッグに対する妄執をあらわにする。その執念のなせる業か、圧倒的な強さを見せたがボルフォッグと遠頭寺耕助が仕掛けた最後の罠にはまり、多次元諜報潜水艦とともに爆散、回復不能の損傷を負う。その彼を死の淵から救い出したのはJの力を有する一人の少年と戦士であった。
 ペンチノンはかつて生体コンピュータ・トモロ0117の名で呼ばれ、三重連太陽系赤の星において対機界31原種用決戦兵器Jアークのメインコンピュータたる存在であった。しかし31隻建造されたJアークもそのほとんどがシステムの起動をまたずして破壊され、起動に成功したJアークも主を持たないまま星の海へと彷徨い流れていった。その乗り手たるソルダート師団と生体兵器・アルマもほとんどが原種の手により抹殺された。だが、生体コンピュータ・トモロシリーズはその高機能を買われ、また素粒子Z0と反発するJジュエルを搭載していなかった事もあり、その多くが原種の手によりゾンダリアンへと変質したと考えられる。ペンチノンもその一人として鋼の体を与えられ、そして赤の星をさ迷い歩いていたひとりのソルダート戦士を、ゾンダリアンとしたのである。
 ゾンダリアンは戦闘能力を高めるために、機界文明の中にあって敢えて感情を残されている特異な存在である。ゾンダリアンと化したとき、それ以前の記憶は封印されるが、消去されるわけではない。自分たちはかつて敗れた者たちであるという認識が彼らの深層を支配していたことは想像に難くない。彼が「ピッツァ」をゾンダリアンとした、それは互いが同じであることを感じ、そしてそれゆえにまだ戦えるのなら、同じ戦いの地平に立つことをペンチノンは求めたのではないか。「緑の髪の子供の抹殺」という戦略にピッツァとペンチノンがともに到達したのは、彼らの出自と無関係ではないだろう。守るべき星とアルマ。その意識し得ない記憶が反転し、捻じれて超常的な能力を有する子供への固執と敵意に発展していったのではないだろうか。
 戒道少年によって浄解を受け本来の姿を取り戻した彼は、阿蘇の火口に眠っていたJアークと融合、そのメインコンピュータとしてJジュエルの戦士たちの戦いを支援してゆくこととなる。
 ちなみに本来の姿を取り戻した際、ソルダートJは「ピッツァ」というかつての名を捨てたが、トモロ0117はまれに「ペンチノン」という名で呼ばれることもある。これはゾンダリアン時代にふたり共闘した記憶が彼らの中に息づいていることの証明となるだろう。
 声優は柏倉つとむさん。

 分類 Zonderian
   型式 アンドロイド(一部に生体部品を使用)
   身長 1.3m(人間形態)
   推定体重 1.8t(人間形態)
   年齢 不明
   備考 機界四天王の一人。冷静かつ慎重な性格。本来は赤の星で開発された生体コンピュータ・トモロのうちの一体であった。