諜報部

   ここではGGG諜報部の事を指す。参謀部が管轄し、猿頭寺耕助がそのオペレーティングを行なう。機界文明に関する情報や、ゾンダー化した素体の身元割り出しとゾンダー化の背景を調べその解析も行なう。その構成員は旧GGGの場合、内閣調査室を出身とするものが圧倒的に多かったが、GGGが全世界的な組織となってからは、各国の諜報組織から多種多様な出自の人物が数多く参加している。
   GGG要人(主に長官大河幸太郎をはじめとしたメインオーダールームおよびセカンドオーダールームに常駐する人々)の警護も行なっており、ボルフォッグによる天海護特別隊員の護衛が取りざたされる事が多いが、実際は猿頭寺耕助は勿論、卯都木命牛山一男スワン・ホワイトといったGGG各部署のメインオペレーターの身辺は諜報部によって密かに、かつ厳重に警護されている。加えてEI−15を撃退した「侵入者破壊プログラム」に見られるようにGGGの蔵する多くの機密情報を、機界文明をはじめとするハッカーおよびクラッカーから防衛するのもGGG諜報部の任務である。なおGGGは初期段階において日本政府直轄の秘密組織であり、Gストーンとそれに伴うオーバーテクノロジーも日本一国が独占するところとなっていた。各国は各々の独自の諜報活動によって「黒いロボット」の情報とそれに先立つ「メカライオン」の墜落事件の概要を把握しており、一方で日本政府を非難しつつ、一方で更なる情報の収集とあわよくばGストーンの獲得を画策していた。よって旧GGG発足寸前における日本政府内閣調査室と、各国の諜報組織の諜報合戦は熾烈を極め、幾人もの諜報活動者が落命するに至る。日本政府およびGGG諜報部においては、日本きっての諜報手腕を謳われた犬神霧雄の殉職は大きすぎる痛手といえただろう。
   結局各国政府はGストーンの機密情報が日本一国に集中する事で機界文明の脅威を日本へ集中させる事ができると判断。一端は旧GGGに対する諜報活動を停止させたが、EI−02戦における「黒いロボット」の驚異的な破壊力を目の当たりにした各国政府はその多くが諜報活動の本格的再開を指令。以前にも増して熾烈かつ密やかな情報戦争が繰り広げられる事になる。その渦中にあって、ゾンダー浄解(もっともこの頃はまだその呼称は定められていなかったが)出来る天海護少年の突然の登場は各国の諜報組織に大きな波紋を呼んだ。一夜にしてマモル少年は各国の諜報組織のターゲットとなったのである。Gストーンに類する、あるいは全く異なった異文明の力を確保すべく、各国の諜報組織は総力を挙げんとしたが、なにぶん今現在機界文明の脅威に唯一相対している日本の、その国内でおおっぴらに活動する事はままならず、結果GGG諜報部の一連隊が、一応、少年の保護に成功。天海護少年はGGGによって確保され、諜報部所属のビークルロボットによって護衛される事となった。他国の諜報部によって「浄解」能力を持つ少年を「拉致」される事を考えれば、過剰とまで言えるあの保護方法も頷けないことはないが、多少ヒステリックに過ぎる活動だった事は否めない。
   ともあれGGG諜報部の活動は水面下にありながら、機動部隊の繰り広げる戦いに劣らず苛烈であり、あるいは一層に深刻であった。そのなかにあって各国と異なり日本およびGGGに対してほとんど唯一友好的態度を保ったのはアメリカ合衆国で、旧GGGの日本単独による設立や、その前後の諜報戦争下において、有形無形の協力活動があったといわれている。確かに経済的にも密接な関係にあり、更に極東の前線基地たる日本を、他国と並んで攻撃してもアメリカに利益は少なく、むしろ懐柔策をもって、穏便にかつ他国よりも優先的にGストーンとそれに伴うオーバーテクノロジーを譲渡させる方が得策との判断があった事は想像に難くない。その甲斐あってか、アメリカ合衆国は他国に大きく先駆けて日本の技術提供を受ける事に成功し、EI−15戦当時には既にプライヤーズの開発および、マイクサウンダースシリーズ7号機までが完了していたとも言われている。
   またGGGメインオーダールームに唯一、自国の重要組織に属する、または関係が深い人物を参画させる事にも成功している。火麻激参謀主任、スワン・ホワイトはNASAに所属していた事は周知の事実であり、同時にスワン・ホワイトはマイクサウンダースシリーズ開発の立役者であり、後にセカンドオーダールーム入りするスタリオン・ホワイトの妹にあたる。またGGGスーパーバイザーである獅子王麗雄博士は、スタリオンと共にマイクサウンダースシリーズを開発に携わり、プライヤーズエネルギーアキュメーターを開発した獅子王雷牙博士の弟である。もっとも獅子王麗雄博士の人事は日本政府自身が必要とした事であって、この場合たまたま両国の人事計画が合致したに過ぎない。
   紆余曲折を経て設立されたGGGの諜報部は確かに優秀であり、全世界的探知システム「サテライトシステム」や収集した情報を一括して集積、大まかな解析を行なう「多次元諜報潜水艦」を擁し、後期においては百式司令部多次元艦スサノオ」を得て、前線に立つ事も多くなった。もっともボルフォッグは旧GGG時代より前線に立つ事が多く、諜報部が表立った戦闘の矢面に立つような体制は多くの批判を呼んだが、機界31原種の出現等によって改革の機会を失い、2006年3月に至っても組織再編案が是非が討議される状態であったといわれている。