ゾンダリアン

   当初はゾンダーとは異なる性質を持った機界四天王を指す獅子王凱機動部隊々長の造語であった。基本的な意味合いとしては間違ってはいなかったが、正しくは地球人類以外の知的生命体、いわゆる異星人がゾンダーメタルに支配され、機界昇華の行使力として存在する姿を指す。
   ゾンダリアンが生まれる過程(ゾンダーメタルの知的生命体への寄生)はゾンダーのそれと共通しており、機械類との融合が可能であるなどゾンダーと同様の性質も備えているが、ゾンダーとは異なるいくつかの性質を持っている。まず言語機能が健在であることが挙げられる。ゾンダーの生態を観察すれば容易に分かることだが、ゾンダー化した場合、素体の言語機能は完全に休眠する。これはゾンダーが素体の欲望を満たすべく本能的な行動原則で活動しているからだが、ゾンダリアンにその傾向が見られることは多くない。またゾンダリアンの行動はきわめて理性的かつ合理的である。これも欲求を充足させるという本能的な行動に終始するゾンダーとの大きな違いといえるだろう。
   その他にもマモル少年のセンサーに感知されることがなく、また成長するか否かは不明だがゾンダー胞子を育てる事はできない。純粋に機界昇華の行使力としてのみ存在するのだ。その性質上、闘争心、怒り、憎しみといったマイナス思念も、敢えて消去しないままにしている(精神状態が身体機能に対して大きく作用することは、現代スポーツ医学の分野でも広く認められている)。
   同じゾンダーメタルから生み出されるにも関わらず、ゾンダーとゾンダリアンはその基本的な性質からして大きく異なる。これはゾンダーメタルがそれぞれの惑星によってその性質が異なる事に由来する。その差異はマスタープログラムによって生まれるのだが、それには対象となる知的生命体の生体としての強度が大きく関係している。
   爪原種が評したように銀河系規模でみれば、地球人類は総体として比較的「もろい」即ち、生体としての強度が低い生物である。これは戦闘能力、あるいは精神的成熟度において程度が低いと解釈しても良い。このような知的生命体は「ゾンダー」としてゾンダー胞子の苗床とすればいいのだが、逆にきわめて高い戦闘能力、あるいは知能を持つ知的生命体は「ゾンダリアン」として機界昇華の行使力として利用する方が、ゾンダー胞子の苗床とするよりも、結果的に銀河全体の機界昇華を早めることができるのである。
   プリマーダ・ポロネズ夫妻、そしてトモロ0117ソルダート・J−002はその優れた知性、戦闘能力を買われてゾンダリアンとして生き長らえる事となったのだが、「ピッツァ」の記憶巣に幾度かフラッシュバックしたソルダートJ時代の記憶やパスダーに対する反抗に見られるようにゾンダリアンはそのマイナス思念故に精神的に不安定な部分も見られ、最近ではゾンダリアンとなる知的生命体の数も減少傾向にあるようだ。しかしゾンダーの行動原理が欲望の単純な充足である以上、ゾンダーそれ自体の知的レベルは極めて低い場合が多く、機界昇華に対する重大な障害が存在した場合、生物本能のままに行動するだけの「ゾンダー」では機界昇華の遂行にいささか心許ない。機界31原種が地球侵攻に際して「ゾンダー」単体ではなく「ゾンダリアン」を派遣したのは、障害を排除するための複雑な作戦の立案と遂行要員として「ゾンダリアン」が必要とされた結果であろう。