定義:《実数の集合》の境界点 boundary point  


ビギナー向け「境界点」定義 

厳密な「境界点」定義

  → 距離のみを用いた表現
  → 開区間を用いた表現
  → 近傍を用いた表現
  → 内点・外点を用いた表現 
  → 内点・補集合を用いた表現

 【一般化】
  → R2における境界点/Rnにおける境界点 
  → 距離空間一般における境界点
実数−《実数の集合》間の位置関係一覧
→[トピック一覧:距離空間(R,d)]
総目次 

厳密な「境界点」定義 〜 近傍を用いた表現      


・「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、

  実数a、《実数の集合E》が、

   《aのε近傍Uε(a)の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
          Uε(a) には《Eに属す実数》も《Eに属さない実数》も存在する 

 という位置関係に、置かれているということ[→表現5]。

   [能代『極限論と集合論7章3(p.131):Rn] 


   R上の点集合の境界点の図例





[文献]
 ・高木『解析概論』第1章12(p.29):特にRの例をあげず、一般的に。
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』6-§1(pp.154-155)
 ・松坂『集合・位相入門』第4章§1B(p.141)
 ・松坂『解析入門3』12.1-C集合の内部・外部・境界・閉包(p.52):
 ・de la Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,2.4(a)Definition4.5(ii)(p.59):距離空間一般において。∃ε>0 Uε(a)Ac 
 ・一楽『集合と位相―そのまま使える答えの書き方』定義3.3.3(pp.100-101) :Rnにおいて。Aの外点とは、Aの補集合の内点。
 ・能代『極限論と集合論7章3(p.131):Rn
 ・黒田『微分積分』8.1.4-(ii)(p.271):
 ・笠原『微分積分学』1.3(p.18):R2
 ・杉浦『解析入門I』言及見当たらず。


 ・奥野鈴村『ミクロ経済学』数学附録T-2-B(pp.262-3)Rn上
   R上の点集合の境界点ではない点の図例    R上の点集合の境界点ではない点の図例
   


境界点トップ
実数−《実数の集合》間の 位置関係一覧
トピック一覧:距離空間(R,d)
総目次


近傍概念を用いた厳密な「境界点」定義 〜 集合の記号・論理記号による様々な表現          



近傍概念を用いて操作化した「実数aが『《実数の集合Eの境界点である」の定義 
 





実数a、《実数の集合E》が、
  《aのε近傍Uε(a)の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
       Uε(a) には《Eに属す実数》も《Eに属さない実数》も存在する 
という位置関係に、置かれているということ





 は、集合概念論理を用いて厳密に表現すると、どうなるのだろう?

・実のところ、さまざまな同義異表現が可能。
 ざっと挙げただけで、
 →【表現1】
 →【表現2】
 →【表現3】
 →【表現4】
 →【表現5】
 →【表現6】
 →【表現7】
 →【表現8】
 →【表現11】
 →【表現12】

・これらの表現は、あまりに多様すぎて、同じ事態を表していると思えないほど。混乱してくる。

・しかし、実のところ、これらの表現が表しているのは、次に述べるごく単純な事態。
 あらかじめ、この事態を頭に入れておいて、【表現1】〜【表現12】を読むと、無用な混乱を避けられる。    

集合概念をつかうと、一般に、
 《実数aのε近傍Uε(a) と、 でない《実数の集合》E の位置関係を、
 次の5パターンに分類できる。
    


【パターン1】 【パターン2】 【パターン3】 【パターン4】 【パターン5】


 《aのε近傍》とEは互いに素 
 Uε(a)Eは、互いに素

 《aのε近傍》⊃E 
 「Uε(a)E かつ Uε(a)含まれないE
  というかたちで
  Uε(a)E交わる

 E⊃《aのε近傍》 
 「Uε(a)EかつUε(a)含まれないE」 
 というかたちで、
  Uε(a)E交わる

 《aのε近傍》=E
 「Uε(a) E
  すなわち
 「Uε(a)EかつUε(a)E」  
   というかたちで、
  Uε(a)E交わる。  

 《aのε近傍》とEは交わるが互いに互いの部分集合にはならない 
 「Uε(a)含まれないEかつUε(a)含まれないE」 
  というかたちで、
  Uε(a)E交わる。 

・この分類のなかで考え直してみると、
 「実数aが『《実数の集合Eの境界点である」
 すなわち、
 





実数a、《実数の集合E》が、
  《aのε近傍Uε(a)の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
       Uε(a) には《Eに属す実数》も《Eに属さない実数》も存在する 
という位置関係に、置かれている





 とは、
 





aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、
 《実数aのε近傍Uε(a) と、《実数の集合》Eの位置関係が、


【パターン2】
 《aのε近傍》⊃E 
Uε(a)E かつ Uε(a)含まれないE
  というかたちで
  Uε(a)E交わる
【パターン5】
 《aのε近傍》とEは交わるが互いに互いの部分集合にはならない 
 「Uε(a)含まれないEかつUε(a)含まれないE」 
  というかたちで、
  Uε(a)E交わる。 

 のいずれかに収まり、[→表現6]

 《実数aのε近傍Uε(a) と、《実数の集合》Eの位置関係が、


【パターン1】
 《aのε近傍》とEは互いに素 
 Uε(a)Eは、互いに素
【パターン3】
 E⊃《aのε近傍》 
 「Uε(a)EかつUε(a)含まれないE」 
 というかたちで、
  Uε(a)E交わる
【パターン4】
 《aのε近傍》=E
  「Uε(a) E
   すなわち
 「Uε(a)EかつUε(a)E」 
   というかたちで、
  Uε(a)E交わる。  

   に該当することはありえない





 という事態に他ならないと気づく。

・この
 





aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、
 《実数aのε近傍Uε(a) と、《実数の集合》Eの位置関係が、


【パターン2】
  《aのε近傍》⊃E 
  「Uε(a)EかつUε(a)含まれないE
  というかたちで
  Uε(a)E交わる
【パターン5】
  《aのε近傍》とEは交わるが互いに互いの部分集合にはならない 
  「Uε(a)含まれないEかつUε(a)含まれないE」 
  というかたちで、
  Uε(a)E交わる。 

 のいずれかに収まり、[→表現6]

 《実数aのε近傍Uε(a) と、《実数の集合》Eの位置関係が、


【パターン1】
   《aのε近傍》とEは互いに素 
   Uε(a)Eは、互いに素
【パターン3】
   E⊃《aのε近傍》 
   「Uε(a)EかつUε(a)含まれないE」 
   というかたちで、
   Uε(a)E交わる
【パターン4】
  《aのε近傍》=E
  「Uε(a) E
  すなわち
   「Uε(a)EかつUε(a)E」 
  というかたちで、
  Uε(a)E交わる。  

   に該当することはありえない





 という事態を様々なかたちで表したのが、

 「実数aが『《実数の集合Eの境界点である」定義の【表現1】【表現2】【表現3】【表現4】【表現5】【表現6】【表現7】【表現8】【表現11】【表現12】

・これらはどれも同じことだから、互いに言い換えてよい。

 





【表現1】
実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
    《aのε近傍 Uε(a)》は、《実数の集合Eとの交わりを維持するものの、《実数の集合Eに部分集合として吸収されてしまうことはない 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、∀ε>0 Uε(a) E ≠ φ かつ Uε(a)含まれないE  という関係  
 に、置かれているということ

ないし


・「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
    《実数の集合E》は、《aのε近傍 Uε(a)との交わりを維持するものの、《aのε近傍 Uε(a)を部分集合として吸収してしまうことはない   
 という位置関係    論理記号集合の記号で表すと、∀ε>0  EUε(a) ≠ φ かつ E含まれないUε(a) という関係  
 に、置かれているということ。

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【文献】  



 小平『解析入門I』§1.6-b(p.56) 
 







 





【表現1'】
実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
    《aのε近傍 Uε(a)》は、《実数の集合E》と互いに素になったり、《実数の集合Eに部分集合として吸収されたりしない。 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、∀ε>0  ¬ Uε(a) E = φ または Uε(a) E という関係  
 に、置かれているということ

ないし


・「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
    《実数の集合E》は、《aのε近傍 Uε(a)》と互いに素になったり、《aのε近傍 Uε(a)を部分集合として吸収したり、しない   
 という位置関係    論理記号集合の記号で表すと、∀ε>0  ¬ E Uε(a)  = φ または EUε(a) という関係  
 に、置かれているということ。


【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現1'】【表現1】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → AB ≠ φ かつ A含まれないB」の言い換え可能表現一覧   






   
 





【表現2】

(1)実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
  実数a、《実数の集合E》が、
    《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
     《aのε近傍 Uε(a)》は、「実数の集合Eに部分集合として吸収されてしまうこともなければ、「《実数の集合Eの補集合に部分集合として吸収されてしまうこともない 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、 ∀ε>0  Uε(a)含まれないE かつ Uε(a) 左は右の部分集合ではないEc  という関係  
 に、置かれているということ

ないし


(2)実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
  実数a、《実数の集合E》が、
    《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
      《実数の集合E》が「aのε近傍 Uε(a)を部分集合として吸収してしまうこともなければ、
      《実数の集合E》が「《aのε近傍 Uε(a)》 の補集合に部分集合として吸収されてしまうこともない    
 という位置関係    論理記号集合の記号で表すと、 ∀ε>0  E含まれないUε(a) かつ E含まれないUε(a)c  という関係  
 に、置かれているということ。


【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現2】【表現1】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → AB ≠ φ かつ A含まれないB」の言い換え可能表現一覧   








 





【表現2’】
(1) 実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
     《aのε近傍 Uε(a)》は、「実数の集合Eに部分集合として吸収されてしまうこともなければ、「《実数の集合Eの補集合に部分集合として吸収されてしまうこともない 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、 ∀ε>0 ¬ Uε(a)E または  Uε(a)Ec  という関係  
 に、置かれているということ

ないし


(2) 実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
     《aのε近傍 Uε(a)》は、「実数の集合Eに部分集合として吸収されてしまうこともなければ、「《実数の集合Eの補集合に部分集合として吸収されてしまうこともない 
 という位置関係    論理記号集合の記号で表すと、∀ε>0 ¬ EUε(a) または EUε(a)c という関係  
 に、置かれているということ。


【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現2'】【表現1】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → AB ≠ φ かつ A含まれないB」の言い換え可能表現一覧   







 





【表現3】
実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍Uε(a)の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
    Uε(a)のなかに《Eに属す実数》が存在するが、「すべてのUε(a)に属す実数》が、Eに属す」ことはない 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、 ∀ε>0 ωUε(a) ωEかつ¬ ωUε(a) ( ωE )」 という関係  
 に、置かれているということ。


【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現3】【表現1】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → AB ≠ φ かつ A含まれないB」の言い換え可能表現一覧   







 





【表現4】
実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
    《aのε近傍 Uε(a)》は、《実数の集合E》《Eの補集合》の両方と交わる 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、 ∀ε>0 Uε(a) E ≠ φかつUε(a)Ec φ という関係  
 に、置かれているということ。

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現4】【表現1】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → AB ≠ φ かつ A含まれないB」の言い換え可能表現一覧   







 






【文献】
 吹田・新保『理工系の微分積分学』』6-§1(pp.154-155):R2;
 松坂『集合・位相入門』第4章§1B(p.142);
 笠原『微分積分学』1.3(p.18;19):R2;
 杉浦『解析入門I』U章§8定義3(p.150):Rn 
 de la Fuente;
 黒田『微分積分』8.1.4(8.1.7)(p.272):Rn一般,境界点を「内点でも外点でもない点」として定義したあと、その必要十分条件として提示









 





【表現4'】
実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
    《aのε近傍 Uε(a)》は、《実数の集合E》《Eの補集合》の両方と交わる 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、 ∀ε>0 Uε(a) E ≠ φかつUε(a)(RE) φ という関係  
 に、置かれているということ。


【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現4'】【表現4】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → −の定義 







 






【文献】
  奥野鈴村『ミクロ経済学』数学附録T-2-B(pp.262-3)Rn上示








 





【表現5】
実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍Uε(a)の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
       Uε(a) には《Eに属す実数》も《Eに属さない実数》も存在する 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、 ∀ε>0 ωUε(a) ωEかつωUε(a)の元ではないE )」 という関係  
 に、置かれているということ。


【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現5】【表現1】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → AB ≠ φ かつ A含まれないB」の言い換え可能表現一覧   







 






【文献】
  能代『極限論と集合論7章3(p.131):Rn.実数aのいかなる近傍にも、《Eに属す実数》と《Eに属さない実数》とが同時にはいってくるということ。








 





【表現5'】
実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍Uε(a)の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
     Uε(a)のなかに、『Eに属す実数』も、『《Eの補集合に属す実数』も存在する 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、  ∀ε>0 ωUε(a) ωEかつωUε(a)Ec)」   という関係  
 に、置かれているということ。

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現5'】【表現1】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → AB ≠ φ かつ A含まれないB」の言い換え可能表現一覧   








 





【表現5-2】

 「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍Uε(a) の幅εを、どんな値に変更したときでも、 Uε(a)に《Eに属す実数》が存在し、 
    なおかつ      
    《aのε近傍Uε(a)の幅εを、どんな値に変更したときでも、 Uε(a)に《Eに属さない実数》が存在する 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、  ∀ε>0 ωUε(a) ωE  かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE  という関係  
 に、置かれているということ。

【一覧】
 →境界点の定義
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現5-2】【表現5】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → ∀と∧の分配則   








 





【表現5-2'】

 「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍Uε(a)の幅εを、どんな値に変更したときでも、 Uε(a)に『Eに属す実数』が存在し、 
    なおかつ      
    《aのε近傍Uε(a)の幅εを、どんな値に変更したときでも、 Uε(a)に『《Eの補集合に属す実数』が存在する 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、  ∀ε>0 ωUε(a) ωE  かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωEc  という関係  
 に、置かれているということ。

【一覧】
 →境界点の定義
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現5-2'】【表現5'】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → ∀と∧の分配則   







 





【表現5-3】

・ 「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
   実数a、《実数の集合E》の位置関係が、次にあげる位置関係の少なくとも一方に該当すること。

  位置関係1: 実数aは《実数の集合Eに属しているが
          aのε近傍Uε(a) の幅εを、どんな値に変更したときでも、 Uε(a)に《Eに属さない実数》が存在する。
 
  位置関係2: 実数aは《実数の集合Eに属さないが
          aのε近傍Uε(a)の幅εを、どんな値に変更したときでも、  Uε(a)に《Eに属す実数》が存在する。 

・ 以上を、論理記号集合の記号で表すと、

  「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
      aE かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE 
      または  
       aの元ではないE  かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωE    
  ということ。

【一覧】
 →境界点の定義
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現5-3】【表現5-2】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして?   

【表現5-2】 【表現5-3】  【表現5-3】 【表現5-2】

【表現5-2】 ∀ε>0 ωUε(a)  ωE  かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE
∀ε>0 ωUε(a) ωE  かつ s∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE かつ ( aE または aの元ではないE )   
  ∵排中律より「 aE または aの元ではないE 」は恒真命題であること、Pかつ恒真命題」と「P」とは互いに言い換えてよいことから。   
( ∀ε>0 ωUε(a) ωE  かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE かつ aE
 または
 ( ∀ε>0 ωUε(a) ωE  かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE かつ   aの元ではないE )     
         ∵《かつ》《または》の分配律にしたがって  
【表現5-3】 aEかつ ∀ε>0 ωUε(a)ωの元ではないEまたは aの元ではないE かつ ∀ε>0 ωUε(a)ωE    
    ∵「かつ」の除去則 
・一般に、 「『命題Aまたは命題B命題C」 は、「命題A命題Cかつ「命題B命題C」と言い換え可能だから(→含意の言換3)、
    【表現5-3】 aEかつ ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないEまたは aの元ではないE かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωE  
    【表現5-2】 ∀ε>0 ωUε(a) ωE  かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE
 を示すには、
  (1) 「aE かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE」   「∀ε>0 ωUε(a) ωE  かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE
  (2) 「 aの元ではないE  かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωE 」   「∀ε>0 ωUε(a)  ωE  かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE
 の両方が成り立つことを示せばよい。
aE   「∀ε>0  aUε(a) かつ aE 」 なので、 aE   「∀ε>0 ωUε(a) ωE 」。だから、(1)は成り立つ。 
aの元ではないE   「∀ε>0  aUε(a) かつ aの元ではないE 」なので、 aの元ではないE  「∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE」。だから、(2)は成り立つ。







 





【表現5-4】

・「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、 

 ケース1: 実数aEに属すならば
          Uε(a)の幅εを、どんな値に変更したときでも、 Uε(a)に《Eに属さない実数》が存在し、
 ケース2: 実数aEに属さないならば、 
          Uε(a)の幅εを、どんな値に変更したときでも、 Uε(a)に《Eに属す実数》が存在する
 ということ。

・以上を、論理記号集合の記号で表すと、

 「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、

     「 aE  ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE 」
     かつ
     「 aの元ではないE  ∀ε>0 ωUε(a) ωE  」

  ということ。

【一覧】
 →境界点の定義
 →実数−《実数の集合》間の位置関係






 





【表現5-4】【表現5-2】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして?
  【表現5-4】aE ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE   かつaの元ではないE ∀ε>0 ωUε(a) ωE
     aの元ではないE または ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないEかつaE または ∀ε>0 ωUε(a) ωE  ∵「ならば」の同義異表現  
     aの元ではないE または ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないEかつ aE
      または
      aの元ではないE または ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないEかつ ∀ε>0 ωUε(a) ωE          ∵《かつ》《または》の分配律   
    aの元ではないEかつaE または 
     ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないEかつaE または aの元ではないEかつ∀ε>0 ωUε(a) ωE  
     または∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωE  ∵《かつ》《または》の分配律   
    ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないEかつaE または aの元ではないEかつ∀ε>0 ωUε(a) ωE  
        または∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωE   ∵矛盾律より(aの元ではないEかつaE)は恒偽命題であること、「恒偽命題またはP」と「P」は互いに言い換えてよいこと、から。
    ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωE
        または∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωE   ∵【表現5-3】の右コラムに示したように、
                                                       【表現5-3】 aEかつ ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないEまたは aの元ではないE かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωE   【表現5-2】 ∀ε>0 ωUε(a) ωE  かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE   
    【表現5-2】∀ε>0 ωUε(a) ωの元ではないE かつ ∀ε>0 ωUε(a) ωE     ∵ ベキ等律









 





【表現6】
 「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを、どんな値に変更したときでも、 
      「Eφ かつ Uε(a)含まれないE かつ Uε(a)Eまたは  「 Uε(a) E ≠ φ かつ Uε(a)含まれないE かつ Uε(a)含まれないE 」
 という位置関係
   論理記号集合の記号で表すと、
       ∀ε>0 Eφ かつ Uε(a)含まれないE かつ Uε(a)Eまたは  「 Uε(a) E ≠ φ かつ Uε(a)含まれないE かつ Uε(a)含まれないE   という関係  

 に、置かれているということ。

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現6】【表現1と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → AB ≠ φ かつ A含まれないB」の言い換え可能表現一覧   








 





【表現7】
実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍Uε(a)の幅εを変更して、 
      Uε(a)を、《実数の集合E》と互いに素にしてやろう、とか、
      Uε(a)を、《実数の集合Eに部分集合として吸収させてやろう、とか、
    いくら目論んだところで、
    そんなUε(a)の幅εなんて、ありゃしない 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、 ¬ ε>0  Uε(a) E = φ または Uε(a) E という関係  
 に、置かれているということ

ないし


・「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍Uε(a)の幅εを変更して、 
      《実数の集合E》を、《aのε近傍 Uε(a)》と互いに素にしてやろう、とか、
      《実数の集合E》に、《aのε近傍 Uε(a)を部分集合として吸収させてやろう、とか、いくら企んだところで、
    そんな《aのε近傍 Uε(a)》の幅εなんて、ありゃしない   
 という位置関係    論理記号集合の記号で表すと、 ¬  ε>0   E Uε(a)  = φ または EUε(a)  という関係  
 に、置かれているということ。

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現】【表現1’】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → 全体否定の2表現 にしたがって。   








 





【表現8】
実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを調整して、、 
     Uε(a)を、《実数の集合E》と互いに素にしてやろう、とか、
     Uε(a)を、《実数の集合Eに部分集合として吸収させてやろう、とか
    いくら目論んだって、
     そんなUε(a)の幅εなんて、存在しない 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、 ¬ ∃ε>0 Uε(a) E = φ または ∃ε>0 Uε(a) E という関係  
 に、置かれているということ

ないし


・「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
   《aのε近傍 Uε(a)》の幅εを調整して、
      《実数の集合E》を、《aのε近傍 Uε(a)》と互いに素にしてやろう、とか、
      《実数の集合E》に、《aのε近傍 Uε(a)を部分集合として吸収させてやろう、とか、
      いくら企んだところで、
      そんな《aのε近傍 Uε(a)》の幅εなんて、ありゃしない   
 という位置関係    論理記号集合の記号で表すと、 ¬ ∃ε>0 E Uε(a)  = φ  または ∃ε>0 EUε(a)  という関係  
 に、置かれているということ。

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現】【表現7】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → ∃(∨)      








 





【表現9】

 「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、

  実数aは、《E内点》にも《E外点》にもならない 

    論理記号集合の記号で表すと、
      ¬ 実数aが『E外点である」または実数aが『E内点である」    

  ということ。

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現】【表現8】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? 
  内点の定義:「実数aが『E内点である」⇔「ε>0 Uε(a)E
  外点の定義:「実数aが『E外点である」⇔「ε>0  Uε(a)E=φ」   








 





【表現10】

 「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、

  実数aは、《E内点》にも《E外点》にもならない 

    論理記号集合の記号で表すと、
      ¬実数aが『E外点である」  かつ ¬実数aが『E内点である」      

  ということ。

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現】【表現9】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? 

  「または」の否定¬(∨)







 






【文献】
 ・松坂『解析入門3』12.1-C-定義c(p.52)
 ・黒田『微分積分』8.1.4(p.271):Rn一般








 





【表現11】
実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
    《aのε近傍Uε(a)の幅εを調整して、 
      Uε(a)を、《実数の集合Eの部分集合にしよう、とか、
      Uε(a)を、《E補集合Ecの部分集合にしよう、とか、
    いくら目論んだところで、
    そんなUε(a)の幅εなんて、ありゃしない 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、 ¬ ε>0    Uε(a)E または  Uε(a)Ec という関係  
 に、置かれているということ

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現】【表現2’】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → 全体否定の2表現 にしたがって。   






 





【表現12】
実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
 実数a、《実数の集合E》が、
    《aのε近傍Uε(a)の幅εを調整して、 
      Uε(a)を、《実数の集合Eの部分集合にしよう、とか、
      Uε(a)を、《E補集合Ecの部分集合にしよう、とか、
    いくら目論んだところで、
    そんなUε(a)の幅εなんて、ありゃしない 
 という位置関係   論理記号集合の記号で表すと、 ¬ ∃ε>0  Uε(a)E または ∃ε>0  Uε(a)Ec という関係  
 に、置かれているということ。

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現】【表現11】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → ∃(∨)      








 





【表現13】

 「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、

  実数aは、《E内点》にも《Ec内点》にもならない 

    論理記号集合の記号で表すと、
      ¬ 実数aが『E内点である」または実数aが『Ec内点である」    

  ということ。

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現13】【表現12】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? 
  内点の定義:「実数aが『E内点である」⇔「ε>0 Uε(a)E
 







 





【表現14】

 「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、

  実数aは、《E内点》にも《Ec内点》にもならない 

    論理記号集合の記号で表すと、
       ¬実数aが《E内点である」  かつ   ¬実数aが《Ec内点》である」      

  ということ。

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現14】【表現13】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? 
  
  「または」の否定¬(∨)






 






【文献】
 ・一楽『集合と位相―そのまま使える答えの書き方』定義3.3.3(pp.100-101):Rnにおいて。









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