定義:《実数の集合》の境界点 boundary point  

ビギナー向け「境界点」定義 
厳密な「境界点」定義

  → 距離のみを用いた表現
  → 開区間を用いた表現
  → 近傍を用いた表現
  → 内点・外点を用いた表現 
  → 内点・補集合を用いた表現

 【一般化】
  → R2に おける境界点/Rnにおける境界点 
  → 距離空間一般における境界点

実数−《実数の集合》間の位置関係一覧
→[トピック一覧:距離空間(R,d)]
総目次 

厳密な「境界点」定義 〜 距離を用いた表現     

 





【表現5】

・「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、

  距離εの大きさを操作して
     《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅を変えていくと、  

  《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、  

  その都度その都度、
  《実数aから距離ε以内のゾーン》には
    《Eに属す実数》《Eに属さない実数》の両方が存在している      

 ということ。

    [→能代『極限論と集合論7章3(p.131):Rn]  

論理記号集合の記号で表すと、
    ∀ε>0    ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) かつ ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωの元ではないE )  







   上記の定義は、 【開区間を用いた表現5】   【近傍を用いた表現5】開区間近傍の定義を、距離を用いて書き下して得たもの。 

 ・「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」を、下記のように定義しても同じこと。
  だから、これらを互いに言い換えても差し支えない。


 





【表現3】

実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、

  距離εの大きさを操作して
     《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅を変えていくと、
 
  《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、

       《実数aから距離ε以内のゾーン》のなかに《Eに属す実数》が存在するが、
       そのとき 実数aから距離ε以内のゾーン》のなかにある実数すべてが、Eに属すのではない   
ということ、

 論理記号集合の記号で表すと、
    ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) 」かつ¬ ωR ( a−ε<ω<a+ε  ωE )」 

   上記の定義は、【開区間表現】/【近傍表現】開区間近傍の定義を、距離を用いて書き下して得たもの。 

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





この定義は、
 



【開区間を用いた表現3】   【近傍を用いた表現3】開区間近傍の定義を、距離を用いて書き下して得たもの。 
  







 





【表現5'】

実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、

   距離εの大きさを操作して
    《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅を変えていくと、
 
   《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、

   《実数aから距離ε以内のゾーン》には
       『Eに属す実数』『《Eの補集合に属す実数』の両方が存在している
ということ、

 論理記号集合の記号で表すと、
   ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)」かつωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωEc )」

   上記の定義は、【開区間表現】/【近傍表現】開区間近傍の定義を、距離を用いて書き下して得たもの。 

【一覧】
 →境界点
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





この定義は、  



【開区間を用いた表現5'】   【近傍を用いた表現5'】開区間近傍の定義を、距離を用いて書き下して得たもの。 
  








 





【表現5-2】

・「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、

   距離εの大きさを操作して
    《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅を変えていくと、
 
    《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、《実数aから距離ε以内のゾーン》には《Eに属す実数》が存在し、
    なおかつ      
    《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、《実数aから距離ε以内のゾーン》には《Eに属さない実数》が存在する

 ということ。

論理記号集合の記号で表すと、

   ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE) 

   上記の定義は、【開区間表現】/【近傍表現】開区間近傍の定義を、距離を用いて書き下して得たもの。 

【一覧】
 →境界点の定義
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現5-2】【表現5】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → ∀と∧の分配則   








 





【表現5-2'】

・「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、

   距離εの大きさを操作して
    《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅を変えていくと、
 
    《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、《実数aから距離ε以内のゾーン》には『Eに属す実数』が存在し、
    なおかつ      
    《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、《実数aから距離ε以内のゾーン》には『《Eの補集合に属す実数』が存在する

 ということ。

論理記号集合の記号で表すと、

   ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ω∈Ec) 

   上記の定義は、【開区間表現】/【近傍表現】開区間近傍の定義を、距離を用いて書き下して得たもの。 

【一覧】
 →境界点の定義
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現5-2'】【表現5'】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして? → ∀と∧の分配則   









 





【表現5-3】

・ 「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
   実数a、《実数の集合E》の位置関係が、次にあげる位置関係の少なくとも一方に該当すること。

  位置関係1: 実数aは《実数の集合Eに属しているが
        《実数aから距離ε以内のゾーン》に《Eに属さない実数》が、
        《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、
        存在する。
 
  位置関係2: 実数aは《実数の集合Eに属さないが
        《実数aから距離ε以内のゾーン》に《Eに属す実数》が、
        《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、
        存在する。

・ 以上を、論理記号集合の記号で表すと、

  「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、
          
      aE かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE) 
      または  
       aの元ではないE  かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)    

  ということ。

   上記の定義は、【開区間表現】/【近傍表現】開区間近傍の定義を、距離を用いて書き下して得たもの。 

【一覧】
 →境界点の定義
 →実数−《実数の集合》間の位置関係





 





【表現5-3】【表現5-2】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして?   

【表現5-2】 【表現5-3】  【表現5-3】 【表現5-2】

【表現5-2】 ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE) 
∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE)  かつ ( aE または aの元ではないE )   
  ∵排中律より「 aE または aの元ではないE 」は恒真命題であること、Pかつ恒真命題」と「P」とは互いに言い換えてよいことから。   
( ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないEかつ aE
 または
 ( ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないEかつ   aの元ではないE )     
         ∵《かつ》《または》の分配律にしたがって  
【表現5-3】 aEかつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないEまたは aの元ではないE かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)    
    ∵「かつ」の除去則 
・一般に、 「『命題Aまたは命題B命題C」 は、「命題A命題Cかつ「命題B命題C」と言い換え可能だから(→含意の言換3)、
    【表現5-3】 
      aE かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE) または  aの元ではないE  かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)
    【表現5-2】 ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE) 
 を示すには、
  (1) 「aE かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE)」   ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE) 
  (2) 「aの元ではないE  かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)」   ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE) 
 の両方が成り立つことを示せばよい。
aE   「∀ε>0  a−ε<a<a+εかつ aE 」。なので、 aE   「∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)」。だから、(1)は成り立つ。 
aの元ではないE   「∀ε>0  a−ε<a<a+ε かつ aの元ではないE 」。なので、 aの元ではないE  「∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE)」。だから、(2)は成り立つ。







 





【表現5-4】

・「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、 

 ケース1: 実数aEに属すならば

        《実数aから距離ε以内のゾーン》に《Eに属さない実数》が、
        《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、
        存在する。

 ケース2: 実数aEに属さないならば、 

        《実数aから距離ε以内のゾーン》に《Eに属す実数》が、
        《実数aから距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、
        存在する。

・以上を、論理記号集合の記号で表すと、

 「実数aが『《実数の集合E》の境界点である」とは、

     「 aE  ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE 」
     かつ
     「 aの元ではないE  ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) 」

  ということ。

   上記の定義は、【開区間表現】/【近傍表現】開区間近傍の定義を、距離を用いて書き下して得たもの。 

【一覧】
 →境界点の定義
 →実数−《実数の集合》間の位置関係






 





【表現5-4】【表現5-2】と同じこと。互いに言い換えてよい。
 



どうして?
  【表現5-4】aE ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE   かつaの元ではないE ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)
     aの元ではないE または ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないEかつaE または ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)  ∵「ならば」の同義異表現  
     aの元ではないE または ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないEかつ aE
      または
      aの元ではないE または ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないEかつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)          ∵《かつ》《または》の分配律   
    aの元ではないEかつaE または 
     ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないEかつaE または aの元ではないEかつ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)  
     または∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)  ∵《かつ》《または》の分配律   
    ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないEかつaE または aの元ではないEかつ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)  
     または∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)  ∵矛盾律より(aの元ではないEかつaE)は恒偽命題であること、「恒偽命題またはP」と「P」は互いに言い換えてよいこと、から。
    ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)
        または∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)  ∵【表現5-3】の右コラムに示したように、
                                                       【表現5-3】  aE かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE) または  aの元ではないE  かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)   【表現5-2】 ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE) かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE)    
    【表現5-2】∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつωの元ではないE かつ ∀ε>0 ωR ( a−ε<ω<a+ε かつ ωE)     ∵ ベキ等律








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