旧大戦機

 

 この「大ゾイド展」で、最も人を集めていたと思われるのが、堂々並んだ旧シリーズゾイドの全ラインナップである。

 会場入り口から入って右手にあった前線基地のディオラマベースのすぐ隣から始まる長いガラスケースに、90種類を超える旧シリーズの全てが、有る程度の登場順を意識しながら、展示されていた。おそらくこの旧シリーズの展示が、この「大ゾイド展」で最も人を集めていたコーナーではないかと思われる。旧シリーズからのファンでも「○○をはじめて見た」という声も聞こえたり、「旧大戦のゾイド」と叫ぶ小学生もいたり、皆展示されている機体を指さしながら、思いを述べている姿が見られた。これだけ人が集まれば、写真を撮る人が多かった集まったコーナーでもある。

 単純に入り口に最も近い右側をスタートとしてその最上段を最初の機体と考えてみると、まずはガリウスから展示は始まっていることになる。

 ガリウスから始まり、グライドラー、エレファンタス。いずれも、ゾイドの前身、メカボニカの時代から有る、メカギラス、メカトロス、メカファントスであった機体である。となりは、ハイドッカー、下段に行きフロレシオス、グランチュラ、アクアドン、ダブルソーダ、プテラス

 

 この辺の小型ゾイド中心のガラスケースは、3段にされた展示になっており、最下段には、ヘルキャット、ザットン、イグアン、モルガが並んでいた。

 見てのとおり、それぞれのネームプレートには、共和国、帝国(ゼネバス帝国)の当時の国籍マークが入ったネームプレートに、モチーフの型の名前、そして、全長、全幅、重量のスペックが書かれていた。

 ガラスケースは横の長いので、写真の都合上、左右に分割して有る。

 改めて最上段に戻ると、ゴルゴドス、スパイカー、ペガサロス。ここまでで、共和国軍最初期の580円シリーズのラインナップが終了する。そして中段、

スネークス、ガイサック、ゴドス、カノントータスへと並んでいく。これら、共和国軍の旧780円シリーズ、要は「共和国軍重装甲スペシャル」は、全て既に新シリーズで焼き直されており、新シリーズ世代には、色の違う機体として有る種塗装の参考になったのではないかと思われる。

 最下段には、帝国軍のゲーター、マーダ、サイカーチス、ゲルダーが並ぶ。尚ゲルダーは、当時の日本版のゲルダーではなく、アメリカ版ゾイドROBOSTRUXに焼き直された機体が持ち込まれていた。マーダについても顔色の悪い・・・、つまり、当時のマーダのコクピットではなく、おそらくZOIDS2のコクピットで補われての展示であった。

 次のガラスケースは、まずは、サイカーチスを除く帝国軍重装甲スペシャルが並ぶ、マルダーシーパンツァー、ツインホーン、シュトルヒ。シュトルヒは3機が並んでいた。大人の目線ほどの高さの展示位置に、3機のシュトルヒとは、航空機好きの者には、編隊飛行を思わせ、目を引いた。

中段は、まずはハンマーロック。そして、いよいよB/Oゾイド、レッドホーンとサーベルタイガー、ディメトロドン。レッドホーンとサーベルタイガーは、新シリーズでは、同じ赤系でありながら旧シリーズとは異なる色使いになっており、旧シリーズからのファンには、しっかり記憶し直して、色を再現するための良い見本となったであろう。

 そして、ここが全ゾイド展示の中でも、最も旧シリーズファンの注目を集めたのはビガザウロである。メカボニカがゾイドに変わるためには、このビガザウロが不可欠であった。それが堂々と3体も並んでいたのは驚かされる。また、ビガザウロの首の動きを見せようと、首の角度と足の開き具合がそれぞれ異なっていたのは、動くゾイドであるが故の良い展示方法ではなかったかと思われる。やはりこの展示の前では、旧シリーズのファンの声からも「初めて見た」という声や「3つも有るよ」という驚きの声が聞こえていた。しかし、当のビガザウロは1986年には第一線を退いており、寄る年月にはかなわず、一部の武器パーツが新シリーズのゴジュラスの武器で補われていた。

再び最上段に戻ると、残りの重装甲スペシャルが2体。帝国軍からはシンカー、共和国軍からはバリゲーターである。そして、Hiパワーユニット搭載ゾイドに入っていく。登場順とは異なるのであるが、まずはブラキオス・旧タイプからである。

 中段にはグスタフ。おわかりの通り一体は旧シリーズの日本版の機体である。隣に並ぶもう1体は、日本版の濃いグリーンの部分が濃い赤となり、装甲部分が帝国軍のシンカーやヘルキャットのボディーのようなシルバーとなっているグスタフ、おそらくヨーロッパ版の帝国仕様のグスタフではないかと思われる。

 最下段はゴルドスとマンモス。未だ再販されていないマンモスは、ビガザウロとのコンバーチブルキットでの再販希望の声を聞くのであるが、実際問題として、マンモスとビガザウロではパワーユニットが異なるので、コンバーチブルキットは難しいであろう。仮にコンバーチブルキットとした場合、ビガザウロの動きが物足りなくなるか、マンモスの金型の大きな修正が必要となるであろう。

 しかし、マンモス、ゴルドスビガザウロを同じガラスケースの同じ段に並べるという、ビガザウロ級3体を比較させる展示は、この「大ゾイド展」におけるトミーからのメッセージと思いたい。この同じ駆動系を用いながら異なる機体を作ろうとしていた、当時のトミーのゾイド開発のあり方を感じることができれば、メーカーもユーザーもゾイドとの接し方を考え直してもらえるのではないかと思われる。

 ブラックライモスが新旧2体並ぶ上段。既にゲーターがアメリカ版で妥協された展示を見たとで、こうしたMk-2ではないニュータイプという色変えバージョンが両方展示されることはないであろうとあきらめていた。しかし、それをいい意味で裏切る新旧比較可能な展示である。

 そして、ウオディック、ブラキオス・ニュータイプ、レドラーである。新シリーズしか知らないニュージェネレーションにとって、濃いピンクのボディーカラーのレドラーは、その名前の由来を理解させる事になったのではないかと思われる。

下段には、アイアンコングのそろいぶみ。アイアンコングMk-1、アイアンコングMk-2量産型、そしてアイアンコングMk-2限定型。アイアンコングMk-2限定型は、ゾイド復活の予兆として1997年春のおもちゃショーに前線基地のディオラマベースとともに展示され、一部では話題になっていた。1体のアイアンコングMk-2限定型は、背中のバッテリーボックスが開いていた。

 共和国軍Hiパワーユニット搭載ゾイド、アロザウラー、ベアファイター・旧タイプ、コマンドウルフ・旧タイプ、ゴルヘックスがまず並ぶ。入り口からここまで見てくると、とりあえず登場順で並んでいるのはわかるが、もう少し脈絡のある並べ方にして欲しかったと思いたくなる。

 そして下段はゴジュラス群。グレー基調のゴジュラスMk-1。ネームプレートには、「ゾイドゴジュラス」となっており、おもちゃとしての正式名称である。ビガザウロは、「ゾイド」を省いたネームプレートになっていたが、マンモスとゴジュラスは「ゾイド」を冠してのネーミングである。このゾイドがつくかつかないかの意味はニュージェネレーションに伝わるであろうか・・・・・・。となりは、ゴジュラスMk-2量産型。ネームプレートは「ゾイドゴジュラス・Mk-2量産型」になっていたが、ここは、「ゴジュラスMk-2量産型」とネーミングする方が適切であったと思われる。

 上段に戻り、シールドライガー、ディバイソン、レイノスが並ぶ。シールドライガーは人気機種であるモノの、早々とMk-2へと移行したため、Mk-1は、ゾイドにしては、かなり短命に終わった機体である。そのため、なかなかMk-1にお目にかかるのは珍しく、旧シリーズからのファンにとっても、新シリーズのシールドライガーとの青さの違いを感じる事のできる、良いチャンスであった。隣のディバイソンは、新シリーズに焼き直されたとき、旧シリーズよりも明るい色になっている。これは、シールドライガーの青が濃くなったことと、逆の結果である。機体により、焼き直され方の違いの意図を考えるのもおもしろいかもしれない。

 下段は、ゴジュラスMk-2限定型。ネームプレートは、「ゾイドゴジュラス・Mk-2限定型」になっている。この機体は、かなり部品の欠損があり、背びれはおそらくゴジュラス・ジ・オーガのモノではないかと思われる。また、左側のあごを止めるワッシャー状の部品は、ZOIDS2のZoidzillaのモノを持ってきていると思われる。このワッシャー状の部品が、茶色いボディーに白く目立つため、「?」を与えてしまっているのは残念であった。そして、ゾイドの中でも、ギミックの複雑さは1・2を争うサラマンダー。ビガザウロのように3体展示が可能であるなら、是非このサラマンダーも、2体並べて、動きの複雑さをアピールして欲しかった。

 Hiパワーユニット搭載ゾイドのカノンフォート、ライジャー、ヘル・ディガンナー。この時代は既に重装甲スペシャルは全て退役。1000円のゾイドが最安価クラスである。ゾイドの高価格かが指摘され、小学生ファンが、ついて来にくくなっていた時代かも知れない。そして、ウルトラザウルス。早速先行販売のウルトラザウルスを買った新世代ファンは、かなり暗い色のウルトラザウルスを見てどんな印象を持ったであろうか。やはりウルトラザウルスも寄る年には勝てず、背中の飛行甲板と通信アンテナのないまま展示となっていた。ある意味、モチーフの恐竜のシルエットに近づいたのかも知れないが、ゾイドのウルトラザウルスのシルエットを思い浮かべたとき、飛行甲板と通信アンテナがないだけで、これほど違和感を覚えるとは思っていなかった。デスザウラーも、シールドライガー同様、旧シリーズになって色が濃くなった機体の一つである。アニメでは色が表現しづらいせいもあり、どちらかというと、アニメに登場したのは、旧デスザウラーそのまま、と感じるかも知れない。

 上段に戻るとダークホーン。アニメにも、コロコロコミック誌上にも登場しているため、初見ではないニュージェネレーションもいることであろう。そして、デッドボーダー。こちらも、次世代ワールドホビーフェアやゲームショーでの限定販売、改造コンテストでの賞品など、新シリーズからのファンの一部にも既に知れ渡っているであろう機体である。そして、グレートサーベル。

 下段に行って、マッドサンダー。人気機種であるため、再販を望んでいるファンも多いであろう。サラマンダーF2は、翼を持ち上げた状態での展示であった。その意味では、前述のサラマンダーと比較して、動きを見ることはできるかも知れない。だが、見比べるという点では、すぐとなりでないのは、親切とはいいがたい展示であり、あくまでも単体紹介ととらえるべきであろう。だが、このサラマンダーF2は、翼は広がっているにもかかわらず、首が上を向いて口を開けていないのである。本来、この翼の状態なら首を上に向けて口を開かなければならないはずであるが・・・・・。どこかギミック部品に欠損があり、サラマンダー本来の動きがとれなくなってしまっているのであろうか。

 居並ぶ共和国軍Mk-2部隊。シールドライガーMk-2、コマンドウルフ・ニュータイプ、ベアファイター・ニュータイプ。こうした、何かしら意味を持たせた展示方法があると、何かしら伝わってくるモノがある。中段にはガンブラスターガンブラスターの配色は、かなりMk-2部隊カラーが意識されているといえ、この位置は良い展示であると思われる。そしてハウンドソルジャー。

 ここからいよいよ24シリーズの登場。まずはショットウォーカー。最下段に行って、サンドスピーダ、ネプチューン、バトルローバー、メガトプロス。共和国軍24シリーズの、スケールの違いと透明カウルの機体に、新世代ファンはどんな印象を持ったであろうか・・・・・

 最上段は、現在でも異色のトランスファイターゾイドシリーズ、ショットイーグル、ゴルゴランチャー、サンダーカノン。トランスファイターとの説明も変形後の形の展示もなく、後日変形した形を見たら、驚くファンもいることであろう。そして、バトルクーガーの一団。手前3体は純粋なバトルクーガーで間違いないであろうが、後ろ2体は、おそらくテクノゾイド版のバトルクーガー、StormTigerであろう。さて並ぶのは、現コマンドゾイドシリーズ、旧称はアタックゾイドというのであるが、この辺は疎いので、全てが集まっていたかは確認できていない。ただ、ここには、アタックゾイドにはなかったゴーレムとバトルローバーは加わっていた。

 最下段は、帝国軍24シリーズ。デスピオン、ドントレス、ロードスキッパー、ゴーレム。このデスピオンとデススティンガーを比較した、新世代ファンの意見を聞いてみたいものである。ロードスキッパーは、その隣にゼブルシリーズに焼き直されたゼーヴァが並んでいた。ちなみにこのゼーヴァのコクピットには、ショットウォーカーに付属するパイロットが乗っていた。

 

 最後のガラスケースは、まずは、ゴッドカイザー、キングライガー、キングバロン。旧シリーズのファンには、人気薄の機体が並ぶ。下段には、オルディオスとガン・ギャラドというライバル機どうしが並んでいた。オルディオスは、アメリカのTechnoZOIDS版の機体が伴われていた。共和国側オルディオスと帝国側オルディオスのそろい踏みとも言えなくもない展示は興味を惹かれるところであり、ゲームボーイソフトの限定商品として、帝国側コマンドウルフが世に出回っている現在、新たなゾイドの展開の方法を予感させているのかも知れない。ガン・ギャラドの前では、旧シリーズのファンが、ネットオークションでいくらで売られていた、などの会話がされていた。こうした、せっかくのファンのための展示の前で、あまりに現実的すぎる会話はちょっと・・・・・・。

 上段に戻って、ガル・タイガー、アイス・ブレーザー、ジークドーベル、デスキャット。その下段にはギル・ベイダーとキングゴジュラス。旧シリーズからのファンにとって、最後のガラスケースは、あまり人気のない機体が集まる興味の薄い場所であったかも知れないが、新世代ファンにとっては、初めて見る機体であり、この前だけ人だかりがないということはなかった。

 

 こうして、旧シリーズのゾイド本体は、全て並べられた訳だが、冒頭にも紹介したとおり、ニュージェネレーションのファンの口から「旧大戦のゾイド!」と叫ばれると、はなはだ複雑な思いがした。なぜなら、旧シリーズからずっとファンである者にとって、旧大戦のゾイドは、つい1年程前までは「旧」という古いゾイドではなく、現役ゾイドだったからであり、「新シリーズ」ができてしまったからこそ、「旧」にされてしまった機体達だからである。また、ご存じの通り、当生産工場では、新シリーズのキットを用いながらも旧シリーズに準じた設定の改造を行っており、ゾイドはゾイドに変わりなく「旧大戦機」とくくって、古いモノと押しやっている訳ではないからである。つまるところ、「新・旧」の違いとはソフト面の話しであり、動くおもちゃのシリーズ、ととらえれば、この中のいくつかは新シリーズでライナップされている以上、必ずしも「旧」ゾイド、ではないであろう。メディアミックス展開されている中で、ゾイド当初のコンセプトをどこまでニュージェネレーションに伝えて理解してもらえるのかは難しいのはわかるが、そのコンセプトがあったからこそ、ゾイドの復活ができたことも忘れて欲しくはないし、いつかは彼らにもそれをわかってほしいと思わされた。

 この旧シリーズのラインナップには、18種類のアクセサリー関係は紹介されていなかった。こんなアクセサリーシリーズも、ゾイドの人気を支えた一部であることは間違いなく、アタックゾイドを並べるのであれば、展示に混ぜて欲しかった商品である。

 

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