アイアンコングMk-2量産型

重装甲格闘攻撃型

Ironkong Mk-2

帝国軍

型式番号

EPZ-002

シリーズ

B/O

タイプ

<ゴリラ型>

発売

1987年6月〜end

全長

19.1m

定価

4500円

全高

20.8m

オペレーション

バッテリー

全幅

13.1m

ライト点灯

重量

198t

使用電池

単3×4

最大速度

150km/h

部品点数

97(Mk-2仕様にしたときに使用しない部品を含む)

乗員

3名

ゴムキャップ

E(グリーン)40個

搭載ビークル

1(ブースターパック)

主成形色

ブラック・オレンジ

主要目的

格闘戦・戦隊指揮・戦略的攻撃

キャッチフレーズ

精かん、パワフル帝国軍のスーパーヒーロー

重装備のパワフル戦闘メカ(1989年2月のカタログのみ)

出力

6270ps

ギミック

首を左右に振り、目のライトを光らせ、鳴き声をあげながらのし歩く。背中のロケットも回転する。

その他

1989年6月のカタログ以降、キャッチフレーズは記載されなくなります。

装備

装備名

搭載数

特徴

6連装大型ミサイルランチャー

1

右肩に装備

ミサイルポッド(10発用)

1

左肩に装備

レーザーライト

1

ミサイルポッドカバーに装備

赤外ライト

1

ミサイルポッドカバー上部に装備

高機動ブースターパック

1

単独にて飛行可能

長射程対地ミサイル

2

背中のターレットに装備

大型レーザーサーチライト

1

頭に装備

特徴

Mk-2はMk-1のパワーアップ型として機動性と火力の能力アップが行われた。しかし量産体制がとれないため、武装が簡略化された。Mk-2量産型として任務に着いた。※1

掲載バトルストーリー

ゾイド星の中央大陸におけるヘリック共和国とゼネバス帝国との戦いは一進一退を繰り返していた。だが共和国軍が超巨大ゾイド、ウルトラザウルスを開発したことにより戦局はしだいに帝国軍の敗北に向かってゆく。帝国領内奥深くへと後退する帝国軍。共和国軍はついにウルトラザウルス部隊を主力とする大部隊を投入、帝国主とを陥落させた。ゼネバス皇帝とその残党は魔の海域トライアングルダラスを越え、北にある未知なる暗黒大陸へと脱出していった。闘いはやみ1年の歳月が流れた。ある日の夜バレシア湾(※2)に今まで見たこともない強力なゾイド軍団が上陸し、一瞬にして共和国軍守備隊を全滅してしまった。ゼネバスが帰ってきたのだ。しかも、強力な暗黒大陸ゾイド軍団を率いて。ゼネバス帝国とヘリック共和国の闘いは新たな段階に突入していった。

※1:パッケージ上「Mk-1・Mk-2」の「1・2」はローマ数字で記載されています。

※2:パッケージに掲載されている通りです。「バレンシア湾」?「バレシア湾」?


 アイアンコングMk-2限定型を経て発売された、量産型。その名の通り、設定だけではなく、おもちゃ的にも量産され、ゾイドの最盛期を支えたのは、Mk-1よりもデスザウラー登場と時期のダブる、こちらである。

 

 黒い装甲部品に、小豆色の内部構造とシルバーの武装を装備したアイアンコングMk-1のバージョン替えである。ウルトラザウルス登場以降、小学館とのメディアミックスの展開も行われ、「ゾイド・バトルストーリー」との連携が図られた結果の、バージョンアップであると考えるべきであろう。D-day、ゼネバスがかえってきたことからハイパワーユニット搭載ゾイドとMk-2部隊へのバージョンアップが図られるようになる。ストーリーでもわかるように、厳密に言うと、中央大陸を襲った最初の暗黒ゾイドは、バレシア湾から上陸した、ディメトロドンやウオディックでありデッド・ボーダーではない。すると、Mk-2には暗黒軍の技術がこの時期からすでに入り込んでいたと考えるのが妥当であるかも知れない。そんな意味も含め、ゾイドの世界が変わった、ということをアピールする必要から、バージョン替えが必要であったのだろう。

 

 当たり前であるが、ギミックにおいてMk-1と変わるところはない。よって、パワーユニットも特に変わっているわけではない。変わっているところと言えば、やはり成形色であり、パワーユニットにおいても小豆色の部分は全てオレンジ色に換装されている。Mk-1とMk-2の大きく目立つ違いである背中のブースターパックには、ギミックが内蔵されているわけではないので動きの違いにはならない。アイアンコングでは、背中の長射程ミサイルのターレットにギアの歯が刻んであるのである。背中のブースターパックに、このターレットのギアの歯にかみ合うようなギアを使った何かしらのギミックを搭載して新たな動きを加えて差別化を図っても良かったのではないかと思われる。

 

 このブースターパックを含める関連部品は、ゾイドの特徴の一つである改造セットに入っているパーツと成形色が異なるだけで全く同じモノである。

 本来、ゾイドは改造して遊ぶモノであるが、ゾイドはただ組み立てただけでも十分に楽しむことができるようになっているので、成形色の減色について触れておく。アイアンコングMk-2量産型には、成形色が2色しか使われていない。多くのB/Oゾイドの成形色は3色となっているのは、ただ組み立てただけの場合の見栄えを考えての考慮である。しかし、アイアンコングMk-2では、Mk-1の小豆色部品がオレンジになるだけで対応すれば良かったモノを、6連装ミサイルランチャーと長射程対地ミサイル関係部品をメタリックシルバーから装甲部品と同じ黒にしてしまったため、ただ組み立てただけでは面白味のないゾイドになってしまったといえる。更に、ブースター関連部品までもが、黒の成形色となっているため、本来のボディーの装甲が目立たなくなってしまったと言える。

 ここで、ゾイドの本来の遊び方を考えられるのであれば、改造、塗装が思いつく。だが、ゾイドのまた別の長所は、各種部品の規格が統一されたり流用されているため、ブロック的な部品の差し替えが可能になっていることである。そこで、この主成形色の減色による色的見栄えのつまらなさをカバーするために、改造セットのブースターを装備することも不可能ではないことを指摘しておかなければならない。すると、とりあえず、黒・オレンジ・シルバーの3つの成形色を得ることができるようになる。これを入れ替えたからと言って、ゾイドを改造したと言い張るのは疑問があるかも知れない。しかし、ゾイドの長所の一つを生かした遊び方であることは間違いないであろう。

 この帝国軍ゾイドのバージョンアップと同時に起こる減色はアイアンコングだけではなかった。これには、ゾイドの特徴の一つである、成形色そのままで楽しめることが原因となっている。ゾイドは、成形色そのままで楽しむことができることも考慮されていると同時に、部品ナンバー順に組み上げていくという事も考慮されていた。そのため、ランナーへの部品のレイアウトは、必ずしも隣り合っている部品が次の番号という風にはなっていないのである。そして、当初はMk-2へのバージョンアップまで考慮には入っていなかったので、Mk-1時にやりやすい部品レイアウトになっているのである。ここにMk-2用の成形色の法則を持ち込むことになるので、当初の法則では対応できなくなってしまったと考えられる。また、同時に商品の差別化も要素として加えられたであろう。結果的に、新しい成形色を添加することができず、減色という方法に解決を見いだしたと思われる。

 更につけ加えれば、この成形色の減色という方法をとってまで、所属サイドの色を合わせようとする方向は、当初の作って改造するゾイドから、組み立てたままで遊ぶキャラクターとしてのゾイドに変貌していった証と見るべきであろう。

 

 もともと、3800円のアイアンコングであったが、それにブースター部品を装備して4500円に価格も設定されている。少々割高感があるのは、人気商品は値上がるという経済原則にのっとったモノであり、トミーとしても単純にMk-1に新価格と称しての価格改定を加えるのではなく、バージョン替えと同時に価格改定を加えることで、消費者の不満を避けながらの思索であったと考えられる。実際、プラモデルメーカー各社では、商品そのものは変わらないまま時代に合わせて価格改定が加えられている。それを考えれば良心的な対応を考えるべきか、それともMk-1をそのまま価格改定をして売り出すべきであったのか、今となっては疑問である。

 しかし、それ以上にファンとしては、Mk-2を売り出したとしてもMk-1を平行販売するべきであったと声を大にして発言しておきたい。つまり、安くアイアンコング単体(3800円)を買うか、そして後になって改造セット(1200円)を買い足すか、ブースターパック付きの本体を買うか(4500円。ただし単体と改造セットをバラ買いするよりも安いが、バラ買いしたときに手に入る部品が全て同梱されているわけではない。)、商品を購入する上で選択の幅が広がるのである。改造するのがゾイドである。逆に、バラ買いしたいと思う人間ほど改造を意識していると思われる。色替えによるバージョンとしての考え方よりも、部品の入手しやすさ(改造する者にとっては、本体も部品である。)、という視点での展開をして欲しかったと、悔やまれる部分である。それとも、ゾイドの当初のコンセプト、改造して遊ぶ、というモノを、トミーが自ら捨て去った証と見るべきなのであろうか・・・・・。

 

アイアンコングMk-2量産型パッケージより転載