2変数関数の連続性:トピック一覧 |
・ 連続性の定義:点での連続性/右連続/左連続/点集合上連続/連続関数/一様連続性・2変数についての連続性の性質:各変数についての連続性との関係/点列の収束との関係 ・連続関数一般の性質:関数の和差積商の連続性/合成関数の連続性 ・有界閉集合上の性質:連続関数による有界閉集合の像は有界閉集合/有界閉集合上連続な関数は有界/最大値最小値定理/ 関数f (x)を有界閉集合D上で連続とすると、fはDにおいて一様連続 ・連結な集合上の性質:中間値定理/連続関数による領域の像は区間/連続関数による閉領域の像は閉区間 |
※ 2変数関数以外の関数の連続性:1変数関数の連続性/ n変数関数の連続性/ベクトル値関数の連続性※2変数関数の連続性の一般化:実数値関数の連続性/距離空間のあいだの連続写像/位相空間のあいだの連続写像 ※2変数関数に関する他の概念:2変数関数の諸属性/極限/極限の性質/偏微分/全微分/矩形上の積分/点集合上の積分 ※ 参考文献/総目次 |
定義: 2変数関数が点Aで連続 |
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はじめに |
「 f (P)すなわちf (x,y)は、点A(a,b)で連続であるcontinuous」とは、 次の3条件がすべて満たされることを言う。 (1) f (A)、すなわち、f (a,b) が定義されていること (2) ![]() が存在すること。 つまり、P→Aで、f (P)が収束すること。 (3) ![]() が成立すること。 つまり、f (P)→f (A)(P→A) ※上記条件の一つでも満たされていないとき、 f (P)は点Aで不連続であるdiscontinuous、 ないしは、f (x,y)は点(a,b)で不連続であるという。 |
類概念: 1変数関数の連続性連続性の一般化: n変数関数/実数値関数/ベクトル値関数の連続性/距離空間上の写像/位相空間上の写像[ 文献]和達『微分積分』pp.115-6; 吹田新保『理工系の微分積分学』p.160 杉浦『解析入門I』定義5(p.55-56); 木『解析概論』10連続函数(p.26) |
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舞台設定 |
厳密には、「 2変数関数が点Aで連続」の定義は、以下の手順で設定された舞台上でなされる。Step1:平面R2を用意する。 *R2とは、実数を2個並べた組 (x,y ) をすべてあつめた集合。 実2次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。 Step2:平面R2に距離dを定めて、距離空間(R2,d)を設定。 *普通は、平面R2にユークリッド距離を与えて、ユークリッド平面を考える。 Step3:平面R2上の点集合のひとつを選んで、集合Dと名づける。つまり、「D⊂R2」 *Dは、「実2次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 Step4:平面R2上の点集合Dで定義された2変数関数 f を用意。 つまり、f : D→R (D⊂R2 ) , z=f(P) ( z∈R, P∈D⊂R2 ) , z=f(x,y) ( z∈R, (x, y)∈D⊂R2 ) *fは「Dに属す各実2次元数ベクトルから実数への対応付け」だとも言える。 Step5:「平面R2上の点集合D」に属す動点を、P=(x, y)と名づける。 「平面R2上の点集合D」に属す定点を、A = (a,b)と名づける。 つまり、「P, A∈D⊂R2」 *P, Aは、「Dに属す実2次元数ベクトル」といってもよい。 |
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厳密な |
「 f (P)=f (x,y)は、点A(a,b)で連続であるcontinuous」とは、任意の正数εに対して、ある正の実数δが存在して、 「 d ( P, A )<δ ならば、d ( f (P), f (A) )<ε 」 を成り立たせる、ということ。 この定義を、論理記号で表せば、 (∀ε>0)(∃δ>0)(∀P∈R2 )( d( P, A )<δ⇒ d ( f (P), f (A) )<ε) * d ( P, A )は、2次元平面R2上での点Pと点Aとの距離を、 d ( f (P), f (A) )は、R上のf (P)とf (A)との距離| f (P)−f (A)|を表す。 * 「P→Aのときf(P)が収束する」の定義では、 0<d( P, A )<δ であった。つまり、関数の「極限」では、P=Aを除外して考えたが、 「連続」ではP=Aを除外しないことになる。 |
[ 文献]小平『解析入門U』定義6.2 (p.260); 『理工系の微分積分学』p.160; 杉浦『解析入門I』命題6.5-b(p.55-56); ルディン『現代解析学』4.5(p.83):一般の距離空間上で。 |
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※ユークリッド距離が定められたユークリッド空間 R2における連続概念2変数関数f (P)=f (x,y)、すなわち「『2次元平面R2の部分集合』から『実数体R』への写像」を扱う際には、 特別な目的がない限り、 2次元平面R2上の距離をユークリッド距離で定めて、2次元平面R2をユークリッド平面R2とし、 実数体Rの距離をユークリッド距離で定めて、Rを1次元ユークリッド空間Rとする設定のもとで 考えるのが普通。 この設定下では、 ![]() d ( f (P), f (A) )=| f (P)−f (A)|=| f (x,y)−f (a,b)| だから、 「f (P)=f (x,y)は、点A(a,b)で連続である」の定義は、具体的には ┌任意の(どんな)正の実数εに対して(でも)、ある正の実数δが存在して、 | 「 ![]() | ならば | f (x,y)−f (a,b)|<ε」 └を成り立たせる (∀ε>0)(∃δ>0)(∀x,y∈R )( ![]() となる。 * 小平『解析入門II』定義6.2(p.260)は、「f (P)=f (x,y)は、点A(a,b)で連続である」の定義を、さらに簡略化して、 「任意の(どんな)正の実数εに対して(でも)、ある正の実数δが存在して、 『| x−a|<δ かつ | y−b|<δ ならば、| f(x,y)−f(a,b) |<ε』 を成り立たせる」 (∀ε>0)(∃δ>0)(∀x,y∈R )((| x−a|<δ かつ | y−b|<δ)⇒| f (x,y)−f (a,b)|<ε) としている。 |
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※ 2次元数ベクトル空間の上に定義されたユークリッド空間R2における連続概念R2にベクトルの加法・スカラー乗法・自然な内積(標準内積)・ユークリッドノルム‖‖が定義されており、 R2を実2次元数ベクトル空間・計量実ベクトル空間・ノルム空間として扱える場合、 任意の実2次元数ベクトルx, y∈R2のユークリッド距離は‖x−y‖ と表せる。 このユークリッド距離を定義したユークリッド平面R2のもとでは、 d( P, A )=‖P−A‖ だから、 「f (P)=f (x,y)は、点A(a,b)で連続である」の定義は、 「任意の(どんな)正の実数εに対して(でも)、ある正の実数δが存在して、 『 ‖P−A‖<δ ならば | f (P)−f (A)|<ε』 を成り立たせる」 (∀ε>0)(∃δ>0)(∀P∈R2 )(‖P−A‖<δ⇒| f (P)−f (A)|<ε ) と表せる。 ただし、上記のPは、「点P(x,y)」を表す実2次元数ベクトル(x,y)、 上記のAは、「点A(a,b)」を表す実2次元数ベクトル(a,b) である。 |
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厳密な |
「 f (P)は点Aで連続であるcontinuous」「f (x,y)は点(a,b)で連続である」とは、実数f (A)の任意の(どんな)「R上のε近傍 Uε( f (A) )」に対して(でも)、 ある「R2上の点Aのδ近傍Uδ(A)」が存在して、 f ( Uδ(A) ) ⊂Uε( f (A) ) を満たす ということ。 この定義を別の表現でいうと、 任意の(どんな)正の実数εに対して(でも)、ある正の実数δが存在して、 「 f ( Uδ(A) ) ⊂Uε( f (A) ) 」 すなわち「 (x,y)∈Uδ(A) ならば、f (x,y) ∈Uε( f (A) )」 を成り立たせる、 ということ。 この定義を、論理記号で表せば、 (∀Uε( f (A) ))(∃Uδ(A))( f ( Uδ(A) ) ⊂Uε( f (A)) ) (∀ε>0)(∃δ>0)( f ( Uδ(A) ) ⊂Uε( f (A) ) ) (∀ε>0)(∃δ>0)(∀P∈R2 )( P∈Uδ(A) ⇒ f (P) ∈Uε( f (A) )) となる。 |
[ 文献]杉浦『解析入門I』命題6.5-c(p.55-56); |
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活用例 |
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不明 |
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→ [トピック一覧:2変数関数の連続性]→総目次 |
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定義: 2変数関数が点集合D上で連続 |
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はじめに |
「 f (P)=f (x,y)は、点集合D上で(二つの変数x,yについて)連続continuous」 とは、 f (P)=f (x,y)が点集合Dに属す各点で連続であることをいう。 |
cf .点での連続性/一様連続性類概念: 1変数関数の区間連続性/一般化: n変数関数/実数値関数/ベクトル値関数/距離空間上の写像/位相空間上の写像[ 文献]小平『解析入門U』p.260; 吹田・新保『理工系の微分積分学』p.160; 杉浦『解析入門I』225. |
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舞台設定 |
厳密には、 Step1:平面R2を用意する。 *R2とは、実数を2個並べた組 (x,y ) をすべてあつめた集合。 実2次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。 Step2:平面R2に距離dを定めて、距離空間(R2,d)を設定。 *普通は、平面R2にユークリッド距離を与えて、ユークリッド平面を考える。 Step3:平面R2上の点集合のひとつを選んで、集合Dと名づける。つまり、「D⊂R2」 *Dは、「実2次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 Step4:平面R2上の点集合Dで定義された2変数関数 f を用意。 つまり、f : D→R (D⊂R2 ), z=f(P) ( z∈R, P∈D⊂R2 ) , z=f(x,y) ( z∈R, (x, y)∈D⊂R2 ) *fは「Dに属す各実2次元数ベクトルから実数への対応付け」だとも言える。 Step5:「平面R2上の点集合D」に属す動点を、P=(x, y)と名づける。 「平面R2上の点集合D」に属す定点を、A = (a,b)と名づける。 つまり、「P, A∈D⊂R2」 *P, Aは、「Dに属す実2次元数ベクトル」といってもよい。 |
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厳密な |
「 f (P)=f (x,y)は点集合D上で(二つの変数x,yについて)連続continuous」とは、点集合Dに属す点Aをひとつ選んで固定した上で、 任意の正数εに対して、ある正数δをとると、 「d ( P, A )<δ ならば、| f (P)−f (A) |<ε」 …(1) が成り立ち、 これが、すべての点A∈Dについてもいえるということ。 論理記号で表せば、すなわち ( ∀ A∈D ) ( ∀ε>0 ) ( ∃δ>0 ) ( ∀ P∈D ) ( d ( P, A )<δ ⇒ | f (P)−f (A) |<ε) [杉浦『解析入門I』225] ※ここで、(1)を満たすδを全てのA∈Dに対して共通に選ぶ必要はないことに注意。 「f(P)がD上で連続」と言った場合、A∈Dの選び方で(1)を満たすδが変わってもよい。 これに対して、 (1)を満たすδを全てのA∈Dに対して共通に選べる、 A∈Dの選び方によらず、εだけに対応して (1)を満たすδを一様に選べることを意味する概念は、 一様連続性。 |
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2変数連続関数 | ||
関数f(x,y) が定義域Dに属する全ての点で連続であるとき、 関数f(x,y) を(2変数x,yの)連続関数と呼ぶ。 |
[ 文献]小平『解析入門U』p.260 |
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2変数についての連続性」と「各変数についての連続性」との関係 | ||
f (x,y)はD上で二つの変数x,yについて連続 ⇒ f ( x, y ) はD上でyを固定したときxについて連続、 D上でxを固定したときyについて連続 ※逆は必ずしも成り立たない。たとえば、以下の関数の(0,0)での連続性。 ![]() |
[ 文献]小平『解析入門U』p.260 和達『微分積分』pp.115-6; |
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→ [トピック一覧:2変数関数の連続性]→総目次 |
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2変数関数の点における連続性の、点列・数列の収束への言い換え | |||
→ 1変数関数の連続の、数列の収束への言い換え→ n変数関数の連続の、点列・数列の収束への言い換え → 距離空間のあいだの写像の連続性の、点列の収束への言い換え |
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要旨 |
2変数関数f の連続性は、収束点列の像の数列の収束に、言いかえられる。 | ||
定理 |
次の命題 P,Q,Rは互いに言い換え可能である。つまり、命題P⇔命題Q⇔命題R。 命題 P:f (P)=f (x,y)は、点A=(a,b)で連続 |
[ 文献]吹田・新保『理工系の微分積分学』p. 160. |
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命題 Q:どんなR2上の点列{ Pn }={ P1 , P2 , P3,…}={ (x1 ,y1 ) , (x2 ,y2 ), (x3 ,y3 ),…}についてであれ、 その点列{ Pn }={ P1 , P2 , P3,…}={ (x1 ,y1 ) , (x2 ,y2 ), (x3 ,y3 ),…}が点A(a,b)に収束する限り、 その点列の各項 P1 , P2 , P3,…を2変数関数f によりR上に写した像の数列 { f ( Pn ) }={ f ( P1 ), f ( P2 ) , f ( P3 ) ,… }={ f ( x1 ,y1 ) , f (x2 ,y2 ), f (x3 ,y3 ),… } は実数f (A)=f (a,b)に収束する。 つまり、 任意のR2上の点列{ Pn }={ P1 , P2 , P3,…}={ (x1 ,y1 ) , (x2 ,y2 ), (x3 ,y3 ),…}について、 Pn→A (n→∞) ならば、f (Pn)→f (A) (n→∞) 論理記号で表すと、 (∀{ Pn })(( Pn→A (n→∞) )⇒( f (Pn)→f (A) (n→∞))) 命題 R:いかなる「実数aに収束する数列{ x1 , x2 , x3 ,…}」と「実数bに収束する数列{ y1 , y2 , y3 ,…}」に対しても、 数列 { f ( Pn ) }={ f ( P1 ) , f ( P2 ), f ( P3 ),…}={ f ( x1 ,y1 ) , f (x2 ,y2 ), f (x3 ,y3 ),…} が実数f (A)=f (a,b)に収束する。 つまり、 (∀ { xn } { yn } )((xn→a (n→∞) かつ yn→b (n→∞))⇒(f (xn ,yn)→f (A) (n→∞))) ※なぜ? 関数の収束の定義と、関数の連続性の定義を見比べたうえで、 関数の収束と点列の収束の関連性についての定理を、関数の連続性向けに修正。 |
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活用例 |
→ [トピック一覧:2変数関数の連続性]→総目次 |
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定理: 2変数関数の和差積商の連続性 |
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設定 |
この定理は、以下の手順で設定された舞台上で成立する。 *R2とは、実数を2個並べた組 (x,y ) をすべてあつめた集合。 実2次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。 Step2:平面R2に距離dを定めて、距離空間(R2,d)を設定。 *普通は、平面R2にユークリッド距離を与えて ユークリッド平面を考える。 Step3:平面R2上の点集合のひとつを選んで、集合Dと名づける。 つまり、「D⊂R2」 *Dは、「実2次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 Step4:平面R2上の点集合Dで定義された2変数関数 f を用意。 つまり、f : D→R (D⊂R2 ) z=f(P) ( z∈R, P∈D⊂R2 ) , z=f(x,y) ( z∈R, (x, y)∈D⊂R2 ) *fは「Dに属す各実2次元数ベクトルから実数への対応付け」 だとも言える。 Step5:「平面R2上の点集合D」に属す動点を、P=(x, y)と名づける。 「平面R2上の点集合D」に属す定点を、A = (a,b)と名づける。 つまり、「P, A∈D⊂R2」 *P, Aは、「Dに属す実2次元数ベクトル」といってもよい。 |
[一般化] n変数関数の和差積商の連続性/実数値関数一般の和差積商の連続性 [文献] 小平『解析入門U』p.261 吹田・新保『理工系の微分積分学』p. 160. |
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定理 1 |
2変数関数f (P)=f (x,y)が、点A=(a,b)において連続であり、 かつ 2変数関数g (P)=g (x,y)が、点A=(a,b)において連続である ならば、 2変数関数f ( P )±g ( P )=f (x,y)±g (x,y)もまた、点A=(a,b)において連続となる |
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定理 2 |
2変数関数f (P)=f (x,y)が、点A=(a,b)において連続であるならば、 任意の定数k∈Rにたいして、 kf ( P )=kf (x,y)もまた、点A=(a,b)において連続となる。 |
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定理 3 |
2変数関数f (P)=f (x,y)が、点A=(a,b)において連続であり、 かつ 2変数関数g (P)=g (x,y)が、点A=(a,b)において連続である ならば、 2変数関数f ( P ) g ( P )=f (x,y) g (x,y)もまた、点A=(a,b)において連続となる。 |
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定理 4 |
f (P)=f (x,y)が、点A=(a,b)において連続であり、 かつ g (P)=g (x,y)が、点A=(a,b)において連続であり、 かつ f(A)=f(a,b)≠0 ならば、 2変数関数g( P )/f( P )=g(x,y)/f(x,y)もまた、点A=(a,b)において連続となる. |
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証明 |
関数の極限値どおしの演算についての定理より。 | ||
→ [トピック一覧:2変数関数の連続性]→総目次 |
[space2:7&y] |
compositionの連続性 | ||
要旨 |
二つの 連続関数の合成関数は連続。 |
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設定 |
この定理は、以下のように設定された舞台上で成立する。 ※これは実2次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある (R2,d) :平面R2に距離dを与えてつくった距離空間。 普通は、 平面R2にユークリッド距離を与えたユークリッド平面 を考える。 D :平面R2上の点集合。つまり、D⊂R2 。 E :平面R2上の点集合。つまり、E⊂R2 。 ※D,Eは、「実2次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 A=(a,b):平面R2上の点集合Dに属す定点。つまり、A=(a,b)∈D⊂R2 ※ある特定の「Dに属す実2次元数ベクトル」といってもよい。 P=(x, y):平面R2上の点集合Dに属す動点。つまり、P=(x, y)∈D⊂R2 |
[文献] 小平『解析入門U』p.261 吹田・新保『理工系の微分積分学』p. 160. 高橋『経済学とファイナンスのための数学』p.146:ベクトル値関数のケース; |
f :平面R2上の点集合Dで定義された2変数関数。つまり、f : D→R (D⊂R2 ) z=f(P) ( z∈R, P∈D⊂R2 ) , z=f(x,y) ( z∈R, (x, y)∈D⊂R2 ) g:平面R2上の点集合Dで定義された2変数関数。 つまり、g : D→R (D⊂R2 ) z=g(P) ( z∈R, P∈D⊂R2 ) , z=g(x,y) ( z∈R, (x, y)∈D⊂R2 ) ※f,gは「Dに属す各実2次元数ベクトルから実数への対応付け」だとも言える。 φ:平面R2上の点集合Eで定義された2変数関数。 つまり、φ : E→R (E⊂R2 ) z=φ(Q) ( z∈R, Q∈E⊂R2 ) , z=φ(x,y) ( z∈R, (x, y)∈E⊂R2 ) ※φは「Eに属す各実2次元数ベクトルから実数への対応付け」だとも言える。 |
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定理 |
2変数関数f (P)=f (x,y)が、R2上の点集合Dで連続であり、 かつ 2変数関数g (P)=g (x,y)が、R2上の点集合Dで連続であり、 かつ 点集合Dに属す任意の点P=(x, y)にたいして、 点( f (P), g (P) )=( f (x,y), g(x,y) )がR2上の点集合Eに属す ならば、 合成関数φ(f (P), g(P))=φ( f (x,y), g(x,y) )は、Dで連続。 |
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証明 |
小平『 解析入門II』p.261をみよ。 |
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※ |
関連事項: 1変数関数の合成関数の連続性、二つの1変数関数と一つの2変数関数から出来た合成関数の連続性 |
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→ [トピック一覧:2変数関数の連続性]→総目次 |
[space3:vc] |
2変数関数の中間値定理 intermediate value theorem | |
要旨 |
弧状連結な点集合Dで連続な2変数関数fは、f (P)≠f (Q)とすると、D上でf (P)とf (Q)の間の全ての値をとる。 →詳細 |
※ |
類例: 1変数関数についての中間値定理、 |
2変数関数の最大値・最小値定理 | ||
要旨 |
有界な閉集合Dで定義された2変数連続関数はそこで最大値、最小値をとる。 →詳細 |
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※ |
類例: 1変数関数の最大値最小値定理、 |
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→ [トピック一覧:2変数関数の連続性]→総目次 |
2変数関数の一様連続性 uniformly continuous | |||
設定 |
「 2変数関数の一様連続性」の定義は、以下の手順で設定された舞台上でなされる。 Step1:平面R2を用意する。 *R2とは、実数を2個並べた組 (x,y ) をすべてあつめた集合。 実2次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。 Step2:平面R2に距離dを定めて、距離空間(R2,d)を設定。 *普通は、平面R2にユークリッド距離を与えて ユークリッド平面を考える。 Step3:平面R2上の点集合のひとつを選んで、集合Dと名づける。 つまり、「D⊂R2」 *Dは、「実2次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 Step4:平面R2上の点集合Dで定義された2変数関数 f を用意。 つまり、f : D→R (D⊂R2 ) z=f(P) ( z∈R, P∈D⊂R2 ) , z=f(x,y) ( z∈R, (x, y)∈D⊂R2 ) *fは「Dに属す各実2次元数ベクトルから実数への対応付け」 だとも言える。 Step5:「平面R2上の点集合D」に属す2点を、 P = (x, y) , A = (a,b) と名づける。 つまり、「P, A∈D⊂R2」 *P, Aは、「Dに属す実2次元数ベクトル」といってもよい。 |
Cf .D上で連続:δが各A∈D毎にちがっていてもよい。[ 文献]小平『解析入門U』定義6.3(p.262) 吹田・新保『理工系の微分積分学』p. 160. 杉浦『解析入門I』W§4定義1(p. 225).; 木『解析概論』10連続函数(p.28) ルディン『現代解析学』 4.18(p.88):距離空間一般上。 |
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定義 |
「 2変数関数f (P)=f (x,y)が、点集合D上で一様連続uniformly continuousである」とは、任意の正数εに対して、ある正数δが存在して、 「d (P, A)<δを満たす限りで任意の『Dの元』」P,Aについて、 | f (P)−f (A) |<ε を成り立たせる ということ。 論理記号で表せば、すなわち、 ( ∀ε>0 ) ( ∃δ>0 ) ( ∀ A∈D ) ( ∀ P ∈D ) ( d (P, A)<δ⇒| f (P)−f (A) |<ε) ※δが、各A∈Dに対して一様にとれることを意味している点が、重要。 |
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性質 |
・ 2変数関数f が点集合D上で一様連続ならば、f は点集合D上で連続。・一般には、2変数関数f が点集合D上で連続だからといって、点集合D上で一様連続だとは限らない。 ・点集合Dが有界な閉集合ならば、2変数関数f が点集合Dで一様連続であることと連続であることは同値 →詳細 |
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否定命題 |
「 2変数関数f (P)=f (x,y)が、点集合D上で一様連続でない」とは、( ∃ε>0 ) ( ∀δ>0 ) ( ∃A∈D ) ( ∃ P ∈D ) ( d (P, A)<δかつ| f (P)−f (A) |≧ε) [杉浦『解析入門I』W章積分§4連続関数の可積分性-定理4.1証明(4.4)(p. 226)] |
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※ |
関連事項: 点での連続性、D上で連続 / 1変数関数の一様連続性Cf.D上で連続:δが各A∈D毎にちがっていてもよい。 |
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→ [トピック一覧:2変数関数の連続性]→総目次 |
[space4:apple computer] |
(
reference)『
岩波数学辞典(第三版)』項目441連続関数 (pp.1329-1331).神谷和也・浦井憲『
経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.148-160.高木貞治『
解析概論 改訂第三版』岩波書店、1983年、pp. 26-8.小平邦彦『
解析入門II』(軽装版)岩波書店、2003年、pp.260-264.和達三樹『
理工系の数学入門コース1・微分積分』岩波書店、1988年、pp.115-6.吹田・新保『
理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年、pp.160-1。杉浦光夫『
解析入門』岩波書店、1980年、pp.55-56;74-75. 極限の定義が特殊なので注意。高橋一『
経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.144-146.ルディン『
現代解析学』共立出版、1971年、4.5-4.24(pp.83-91)。一般の距離空間の上で論じている。→
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