→参考文献・総目次 |
定義 |
・Xを任意の集合とする(数の集合にかぎらない。なんでもよい。)。 P,Q,R∈Xにたいして、 以下の4要件を満たす(ならば、どんな)非負実数値関数d:X×X→R+(であれ、それ)を、 集合X上の距離関数metric,distance、d(P,Q)をP,Q間の距離と呼ぶ。 (i) 正値性: 任意のP,Q∈Xに対して、d(P,Q)≧0 (ii) 任意のP,Q∈Xに対して、d(P,Q)=0⇔P=Q つまり、P=Qのときd(P,Q)=0、 また、d(P,Q)= 0になるのは、P=Qのときだけ。 (iii) 対称性: 任意のP,Q∈Xに対して、d(P,Q)=d(Q,P) (iv) 三角不等式 triangle inequality: 任意のP,Q,R∈Xに対して、d(P,R)≦d(P,Q)+d(Q,R) つまり、 Q経由でPからRまで測った値は直接PRを測った値以上。 |
[文献]・志賀『位相への30講』第10講;・松坂『集合・位相入門』6章§1A (pp.234-5); ・佐久間『集合・位相』3.3節 (pp.56-8); ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』4.5.1節(pp.125); ・ 矢野『距離空間と位相構造』1.1.1距離p.2 ・彌永・彌永『集合と位相II』pp.135-141. ・『岩波数学辞典(第三版)』項目92距離空間(pp.253-256); ・吹田新保『理工系の微分積分学』pp.154-157; ・神谷浦井『経済学のための数学入門』pp.131-148; ・西村『経済数学早わかり』第6章1.3-1.4節(pp.278-280); ・二階堂『現代経済学の数学的方法』§11(p.79) |
定義 |
・
距離dが定義された集合Xを「距離空間」とよび、 距離空間(X,d) と書く。 このことを、「Xに距離distanceまたは計量metricがあたえられた」という。 |
Cf. 距離空間のイントロダクション、距離空間(R,d)、距離空間(R2,d)、距離空間(Rn,d)、位相空間 ※距離の活用例:ε近傍定義、有界な集合、直径、 点列の収束の定義、写像の極限の定義、写像の連続性の定義 |
定義 |
・Xを距離空間(X,d)の台supportと呼ぶ。 |
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定義 |
[離散距離と離散距離空間discrete metric space ]・Xを任意の空でない集合、P,Q∈Xとして、┌P=Qのとき、d(P,Q)=0 └P≠Qのとき、d(P,Q)=1 と、d(P,Q)を定義すると、d(P,Q)は集合X上の距離関数となる。 これで定義した距離を離散距離、 これで定義された距離を与えた集合Xを離散距離空間と言う。 |
[文献]・矢野『距離空間と位相構造』1.1.1距離p.3;・佐久間『集合・位相』3.3節問1(pp.57-8) ・ cf. Rにおける距離、R2における距離、Rnにおける距離 |
定義 |
[ユークリッド距離とユークリッド空間] →実数全体の集合R2におけるユークリッド距離とユークリッド空間 →実数全体の集合Rnにおけるユークリッド距離とユークリッド空間 |
|
定義 |
[変分ノルムから導かれる距離] |
|
定義 |
[supノルムから導かれる距離] |
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定義 |
・P,Q,R∈Xとして、 以下の4要件を満たす(ならば、どんな)非負実数値関数d:X×X→R+(であれ、それ)を、 集合X上の擬距離pseudodistanceと呼ぶ。 (i) 正値性: 任意のP,Q∈Xに対して、d(P,Q)≧0 (ii) 任意のP,Q∈Xに対して、P=Q ⇒d(P,Q)= 0 つまり、P=Qのときd(P,Q)= 0でなければならないが、 また、P=Qでないときに、d(P,Q)= 0になってもよい。 (iii) 対称性: 任意のP,Q∈Xに対して、d(P,Q)=d(Q,P) (iv) 三角不等式 triangle inequality: 任意のP,Q,R∈Xに対して、d(P,R)≦d(P ,Q)+d(Q ,R) つまり、Q経由でPからRまで測った値は直接PRを測った値以上。 |
[文献]・『岩波数学辞典(第三版)』項目92距離空間B(p.254) |
定義 |
・擬距離dが定義された集合Xを「擬距離空間pseudometric space」とよび、 (X,d) と書く。 |
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定義 |
・n個の距離空間 (X1,d1),(X2,d2),…(Xn,dn)があるとする。 この直積をXとおく。 すなわち、 X=X1×X2×…×Xn= { (x1,x2,…,xn) | x1∈X1かつ x2∈X2かつ…かつxn∈Xn } 集合Xの2点P(p1,p2,…,pn),Q(q1,q2,…,qn)をとる。 (p1,q1∈X1 , p2,q2∈X2,…, pn,qn∈Xn) PQの距離d ( (p1, p2,…,pn) , (q1, q2,…, qn) )を、
これを、(X1,d1),(X2,d2),…,(Xn,dn)の直積距離空間という。 例:ユークリッド空間Rnは、 距離d(x,y)=|x-y|と定義された、実数全体の距離空間(R,d)、 のn個の直積距離空間。 |
[文献]・松坂『集合・位相入門』第6章F(pp.243-4);・『岩波数学辞典(第三版)』項目92距離空間B(p.254) ・彌永『集合と位相II』p.147 ・矢野公一『距離空間と位相構造』第1章距離空間1.1節距離(pp.2-25) |
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ある集合X、 集合X上の任意の2点P,Q間の距離を与える距離関数d(P,Q)が、 すでに定義されているとする。 つまり、距離空間(X,d)がすでに定義されているとする。 * * * X'をXの任意の部分集合とする。 X'上の任意の2点P',Q'にたいして値をとる関数d'(P',Q')を、 X上の距離関数d(P,Q) (P,Q∈X) を用いて、つぎのように定義する。 d'(P',Q')≡d(P',Q') ※P',Q'∈X'、P,Q∈X、X'⊂Xとなっていることに注意。 このd'(P',Q')は、 X'上の任意の2点P',Q'間の距離を与える距離関数となり、(距離関数の要件を満たすことを確認せよ) (X',d')は、距離空間となるが、 このようにしてつくった距離空間(X',d')を、 もとの距離空間 (X,d)の部分距離空間metric subspaceと呼ぶ。 |
[文献]・松坂『集合・位相入門』第6章F(p.243);・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』第四章§5問題3(p.133); ・彌永『集合と位相II』p.147 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目92距離空間B(p.254) |
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・距離空間(X,d)のにおける点集合とは、 距離空間(X,d)の台である集合Xの部分集合のこと。 ・幾何学的表現においては、 普遍集合Ωを空間spaceと呼び、 Ωの元を点point、Ωの部分集合を点集合point setと呼ぶ。 |
[文献]・『岩波数学辞典』項目162B(p.429)Cf.Rnにおける点集合についての諸概念/平面R2における点集合についての諸概念/距離空間一般における点集合についての諸概念 |
(はじめに読むべき定義)・「点Pのε近傍」とは、「点Pからの距離がε以内の点」をすべてあつめた集合のこと。 ただし、εは正ならばどんなに小さくてもよいとする。 (正確な定義)・ (X,d)を距離空間、PをXの点とする。Uε(P)≡{ Q∈X | d(P,Q)<ε } (ただし、半径εは任意の正の実数) で定義される集合を、「点Pのε近傍」「Pを中心とする開球」と呼ぶ。 cf. Rにおけるε近傍、R2におけるε近傍、Rnにおけるε近傍 |
[文献]・志賀『位相への30講』第11講・小平『解析入門I』pp.54-65. ・吹田・新保『理工系の微分積分学』p.154; ・『岩波数学辞典』項目92距離空間C(p.254) ・松坂『集合・位相入門』第6章B(p.237); ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』第四章§5項目4.5.2(p.125); ・彌永『集合と位相』§1.3(p.147); ・『岩波数学辞典(第三版)』項目92距離空間B(p.254) |
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※利用例:内点・外点・境界点・開集合の定義/集積点の定義/点列の収束の定義/写像の極限の定義/写像の連続性の定義 ※ε近傍と位相 |
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定義 |
・「点Pの除外ε近傍」とは、 点Pのε近傍から、点Pを除外したもの。 U*ε(P)={ Q | 0<d(P,Q)<ε} 半径εは正ならばどんなに小さくてもよい。 |
[文献]・杉浦『解析入門I』p.113;・Fischer Intermediate Real Analysis,207. ・ |
cf. Rにおけるε近傍、R2におけるε近傍、Rnにおける除外ε近傍 | ※活用例:写像の極限の定義 |
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・εの値を加減して、様々な大きさの「点Pのε近傍Uε(P)」をつくる。 そのなかに、 点集合Eにすっぽり含まれるようなUε(P)が、「ひとつでも」つくれれば、 点Pは点集合Eの内点であるという。 すなわち、 点Pが点集合Eの内点⇔「ある」Uε(P)に対して、Uε(P)⊂E ⇔「ある」ε>0に対して、Uε(P)⊂E |
[文献]・小平『解析入門I』p.56;・吹田・新保『理工系の微分積分学』pp.154-155; ・奥野鈴村『ミクロ経済学I』p.262 ※利用例: 内部の定義/開集合の定義 |
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※Rにおける内点/R2における内点/Rnにおける内点 |
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・εの値を加減して、様々な大きさの点Pのε近傍Uε(P)をつくる。 そのなかに、点集合Eと共有点を持たないUε(P)が「ひとつでも」つくれれば、 Pは点集合Eの外点であるという。 すなわち、 点Pが点集合Eの外点⇔「ある」Uε(P)に対して、Uε(P)∩E=φ |
[文献]・吹田・新保『理工系の微分積分学』pp.154-155.・奥野鈴村『ミクロ経済学I』p.262 ・ |
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※Rにおける外点、Rnにおける外点 | ※利用例:外部の定義 |
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・点集合Eの内点でも外点でもない点を「点集合Eの境界点」という。 点Pが「点集合Eの境界点」であるための必要十分条件は、 どんな風にεをとっても、点Pの「すべての」ε近傍Uε(P)が、 Eに属す点もEに属さない点も含むこと。 すなわち、 点Pが点集合Eの境界点 ⇔Pの「任意」のUε(P)に対して、 Uε(P) ![]() ⇔Pの「任意」のUε(P)に対して、 Uε(P)∩E≠φかつUε(P)∩Ec≠φ |
[文献]・小平『解析入門I』p.56・吹田・新保『理工系の微分積分学』pp.154-155 ・奥野鈴村『ミクロ経済学I』p.262 ※利用例:境界の定義、閉包の定義、閉集合の定義 ※Rにおける境界点/R2における境界点/Rnにおける境界点 |
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・点集合Eの内点全体からなる集合をEの内部と呼ぶ。 記号:Int E ※Rにおける内部/R2における内部/Rnにおける内部/位相空間一般における開核 |
[文献]・奥野鈴村『ミクロ経済学I』p.262 |
・点集合Eの外点全体からなる集合をEの外部と呼ぶ。 記号:Ext E ※Rにおける外部/Rnにおける外部/距離空間一般における外部 |
[文献]・奥野鈴村『ミクロ経済学I』p.262 |
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・点集合Eの境界点全体からなる集合を、Eの境界と呼ぶ。。 記号:Bd E ※Rにおける境界/R2における境界/Rnにおける境界、 |
[文献]・小平『解析入門I』p.56・吹田・新保『理工系の微分積分学』p.155. ・奥野鈴村『ミクロ経済学I』p.262 |
定義 |
・点集合Eの閉包とは、 「点集合E」と「点集合Eの境界」との合併集合のことをいう。 ※R/R2/Rnにおける閉包 |
[文献]・小平『解析入門I』p.56・岡田『経済学・経営学のための数学』定義4.5(p.159) |
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定義 |
[文献]・小平『解析入門I』p.58 |
定義 |
・どんな風にεをとっても、点Pの「すべての」ε近傍Uε(P)が、 点集合Eの点を無限個含むとき、すなわち、Uε(P)∩Eが無限集合となるとき、 点Pを「点集合Eの集積点」という。 |
[文献]・小平『解析入門I』p.58・吹田・新保『理工系の微分積分学』p.155. ・矢野『距離空間と位相構造』1.3.5(p.47) |
定義 |
・点集合Eに属す点Pが点集合Eの集積点でないとき、PをEの孤立点という。 |
[文献]・小平『解析入門I』p.58・吹田・新保『理工系の微分積分学』p.155. |
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定義 |
(はじめに読むべき定義)・点集合Eの境界点はどれも点集合Eに属さず、点集合Eに属す点が全て点集合Eの内点であるとき、 点集合Eは開集合であるという。 (正確な定義)・(X,d)を距離空間、EをXの部分集合とする。Eは距離空間(X,d)の開集合 ⇔∀P∈Eに対してPはEの内点 ⇔ (∀P∈E) (∃Uε(P) ) ( Uε(P)⊂E ) (∵内点の定義) |
[文献]・小平『解析入門I』p.58;・吹田・新保『理工系の微分積分学』p. 155; ・佐久間『集合・位相』3.4開集合と閉集合(p.61) ・松坂『集合・位相入門』第6章B(p.237) ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』第四章§5項目4.5.2(p.125); ※Rにおける開集合/R2における開集合/Rnにおける開集合 ※距離空間上の開集合と位相 |
注意 |
X全体、空集合φも、開集合である。 ※理由→佐久間『集合・位相』3.4開集合と閉集合(p.61) 松坂『集合・位相入門』第4章§1D(pp.145-6); |
・点集合Eの境界点はすべてEに属すとき、Eは閉集合であるという。 ※Rにおける閉集合/R2における閉集合/Rnにおける閉集合 |
[文献]・小平『解析入門I』p.58・吹田・新保『理工系の微分積分学』p.155 |
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定義 |
・距離空間Xの部分集合Eに対して、sup{d(P,Q)|P,Q∈E}をEの直径という。 |
[文献]・『岩波数学辞典(第三版)』項目92距離空間(pp.253-256)※Rにおける区間の長さ/R2における直径/Rnにおける直径 |
・距離空間Xの部分集合Eの直径が上に有界であるとき、部分集合Eは有界であるという。 [『岩波数学辞典(第三版)』項目92距離空間(pp.253-256)] つまり、 ・「距離空間Xの部分集合Eが有界である」とは、 ある実数Mとある点P∈Eが存在して、 任意の点Q∈Eに対して、d(P,Q)<M が成立することをいう。[ルディン『現代解析学』2.20-i (p.33)] あるいは、 ・<点集合Sに属す任意の点>をP 、 原点をOとおく。 <点集合Sに属す任意の点>と<原点>との距離 d(P,O)が上に有界 であるとき、 点集合Sは有界boundedであるという。 点集合Sが有界 ⇔ ∀P∈S に対して、d(P,O)が上に有界 , [小平『解析入門I』p.61.] ところが、実のところは、 「Rmの部分集合Bは、 ある点bを中心とする十分大きなM>0を半径とする開球U(b,M)に 含まれるとき有界であるという。 ここでbを特定の点たとえば原点0としてもよい。[杉浦『解析入門I』p.55.]」 ということで、上のどちらでもよい。 |
※Rにおける有界な集合/R2における有界な集合/Rnにおける有界な集合 |
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定義 |
・有界閉集合とは、 有界集合かつ閉集合である集合のこと。 |
[文献]・・ ・ |
定義 |
[文献]・・ ・ |
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定義 |
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定義 |
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