・絶対値の定義/絶対値の性質 |
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はじめに読むべき定義・任意の実数xの絶対値 |x| は、 (i) x≧0 のとき、|x| = x (ii) x≦0 のとき、|x| = −x と、定義される。 順序概念を前提とした定義・任意の実数xの絶対値 |x| とは、 集合{ x, −x }の最大元 max { x, −x } のこと。 [杉浦『解析入門I』§1(p.4). 吹田新保『理工系の微分積分学』1章§1問1(p.3)] |
※複素数の絶対値については、次を参照。 ・小平『解析入門I』§1.6(p.66) ・吹田・新保『理工系の微分積分学』3章§5I(p.90). ・永田『理系のための線型代数の基礎』1.1複素数(p.6) |
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【絶対値の性質1】 非負性・どのような実数xであれ、以下を満たす。 ・ |x|≧0 ・ |x|=0 ⇔ |x|=0 ・論理記号で書くと、 (∀x∈R)(|x| ≧ 0) (∀x∈R)(|x|=0⇔|x|=0) ※なぜ?→絶対値の定義からただちに。 |
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【絶対値の性質2】 もとの実数との比較・どのような実数xであれ、 |x| ≧ x を満たす。 ・論理記号で書くと、 (∀x∈R)(|x| ≧ x) ※なぜ?→証明 |
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【絶対値の性質3】 もとの実数の反数と比較・どのような実数xであれ、 |x| ≧ −x を満たす。 ・論理記号で書くと、 (∀x∈R)(|x| ≧ −x) |
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【絶対値の性質4】・どのような実数xであれ、 |x| = |−x| を満たす。 ・論理記号で書くと、 (∀x∈R)(|x| = |−x|) ※活用例: ・「an→α (n→∞) ⇒−an→−α (n→∞) 」の証明 |
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【絶対値の性質5】 積と絶対値の順序交換 |
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※活用例:「an→α (n→∞) ⇒『∀c∈Rにたいして、can→cα (n→∞)』」の証明 |
【絶対値の性質6】 商と絶対値の順序交換 |
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【絶対値の性質7】 累乗と絶対値の順序交換・どのような実数xであれ、 |
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【絶対値の性質8-1】 三角不等式 |
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【絶対値の性質8-2】・どんな実数x,yでも、 |
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【絶対値の性質8-3】・どんな実数x,yでも、 |
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【絶対値の性質9】 |
|x| = | ![]() |
x2 |
(∀x∈R)(|x| = | ![]() |
x2 | ) |
[文献]
・吉田-栗田-戸田『昭和62年文部省検定済:高等学校数学I』啓林館, 2章2実数(p.54):証明無. |
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【絶対値の性質10-1】 |
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【絶対値の性質10-2】 |
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・論理記号で書くと、 (∀x,a∈R)(a≧0⇒(|x|≧a⇔「x≧ aまたはx≦−a」)) |
【絶対値の性質10-3】 |
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・論理記号で書くと、 (∀x,a,ε∈R)(ε≧0⇒(|x−a| ≦ ε⇔「a−ε≦x≦ a+ε」)) |
【絶対値の性質11】 |
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【絶対値関数の性質1】 連続性 |
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【絶対値関数の性質2】 微分可能性
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右微分係数 |
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f (x0+h)−f (x0) | をみると。 | |||
h |
|
f (0+h)−f (0) | |
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h |
= |
|
|0+h|−|0| | |
|||
h |
[文献]
・吹田・新保『理工系の微分積分学』2章§1例1(p.37). |
||
=1
これが、x0=0で、
=−1
x0=0における有限極限値が存在しないので、 絶対値関数y= f (x)=|x| は、x0=0で微分可能ではない。 |
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