距離空間のあいだの連続写像:トピック一覧 |
・ 連続性の定義:点での連続性/点集合上連続/リプシッツ連続/一様連続性・連続性の性質:点列の収束との関係/開集合の逆像との関連 ・連続写像一般の性質:合成写像の連続性 ・コンパクト空間上の性質:連続写像のコンパクト不変性/コンパクト空間上の連続写像の一様連続性 ・連結な空間上の性質:連続写像の連結不変性 |
※ 距離空間の間の写像の諸概念:写像の定義/極限の定義/連続写像の性質※距離空間の間の連続写像の具体例:1変数関数の連続性/2変数関数の連続性/ n変数関数の連続性/ 実数値関数の連続性/ベクトル値関数の連続性 ※距離空間の間の連続写像の一般化:位相空間のあいだの連続写像 →参考文献/総目次 |
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定義: 距離空間のあいだの写像が点Aで連続 |
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はじめに |
「 写像『f:E→Y』は、点Aで連続であるcontinuous」とは、次の3条件がすべて満たされることを言う。 (1) f (A)が定義されていること (2) ![]() が存在すること。 つまり、P→Aで、f (P)が収束すること。 (3) ![]() が成立すること。 つまり、f (P) → f (A)(P→A) ※上記条件の一つでも満たされていないとき、 「f:E→Y」は点Aで不連続であるdiscontinuousという。 |
cf .集合上で連続/一様連続性具体例: 1変数関数/2変数関数/ n変数関数/実数値関数/ベクトル値関数一般化: 位相空間上の写像[ 文献]矢野『距離空間と位相構造』1.1.3(p.14) |
舞台設定 |
厳密には、 Step1:2つの集合を用意する(集合ならなんでもよい)。 ・集合X ・集合Y Step2:集合Xの部分集合のひとつ(Xの部分集合ならなんでもよい)を選んで、集合E と名づける。 つまり、「E⊂X」 Step3:「集合Xの部分集合E」から「集合Y」への写像 f を用意。 つまり、「 f:E→Y 」 Step4:集合Xに距離dX を定めて、集合X上に、距離空間( X , dX )を設定。 Step5:集合Yに距離dY を定めて、集合Y上に、距離空間( Y , dY )を設定。 Step6:「集合Xの部分集合E」上の動点を、Pと名づける。 「集合Xの部分集合E」上の定点を、Aと名づける。 つまり、「P, A∈E⊂X」 |
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厳密な |
「 写像『f:E→Y』は、点Aで連続であるcontinuous」とは、任意の正数εに対して、ある正の実数δが存在して、 「 dX( P, A )<δ ⇒ dY ( f (P), f (A) )<ε 」 を成り立たせる、ということ。 この定義を、論理記号で表せば、 (∀ε>0)(∃δ>0)(∀P∈E )( dX( P, A )<δ ⇒ dY ( f (P), f (A) )<ε ) * dX( P, A )は、距離空間( X , dX )でのPとAとの距離を、 dY ( f (P), f (A) )は、距離空間( Y , dY )上の f (P)とf (A)との距離を表す。 * 「P→Aのときfが収束する」の定義では、 0<dX( P, A )<δ であった。つまり、「極限」では、P=Aを除外して考えたが、 「連続」ではP=Aを除外しないことになる。 |
[ 文献]ルディン『現代解析学』4.5(p.83)。 松坂『集合・位相入門』6章§1D定理3(pp.240-2)。 |
厳密な |
「 写像『f:X→Y』は、点Aで連続であるcontinuous」とは、距離空間( Y , dY )上の点f (A)の任意の「ε近傍 Uε( f (A) )」に対して、 ある「Xにおける点Aのδ近傍Uδ(A)」が存在して、 f ( Uδ(A)) ⊂ Uε( f (A) ) を満たす ということ。 この定義を別の表現でいうと、 任意の(どんな)正の実数εに対して(でも)、ある正の実数δが存在して、 「 f ( Uδ(A) ) ⊂ Uε( f (A) ) 」 すなわち「 P∈Uδ(A) ならば、f (P) ∈Uε( f (A) )」 を成り立たせる、 ということ。 この定義を、論理記号で表せば、 ( ∀ Uε( f (A) ) )(∃Uδ(A))( f ( Uδ(A) ) ⊂ Uε( f (A) ) ) (∀ε>0)(∃δ>0)( f ( Uδ(A) ) ⊂ Uε( f (A) ) ) (∀ε>0)(∃δ>0)(∀P∈E)( P∈Uδ(A) ⇒ f (P) ∈Uε( f (A) )) となる。 |
[ 文献]松坂『集合・位相入門』6章§1D定理3(pp.240-2)。 二階堂『現代経済学の数学的方法』2章§13定理1(p.91) |
活用例 |
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[トピック一覧:距離空間のあいだの連続写像] →総目次 |
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定義:距離空間のあいだの写像が集合 E上で連続 |
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はじめに |
「 写像『f:E→Y』が、集合Eで連続であるcontinuous」とは集合Eに属す各点でfが連続である ことをいう。 |
具体例:1変数関数/2変数関数/ n変数関数/実数値関数/ベクトル値関数/ 一般化: 位相空間上の写像[ 文献]ルディン『現代解析学』4.5(p.83); 矢野『距離空間と位相構造』1.1.3(p.14) 『岩波数学辞典』項目92距離空間I.一様連続 (pp.255). |
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舞台設定 |
厳密には、 以下の手順で設定された舞台の上でなされる。 Step1:2つの集合を用意する(集合ならなんでもよい)。 ・集合X ・集合Y Step2:集合Xの部分集合のひとつ(Xの部分集合ならなんでもよい)を、選んで、 集合E と名づける。 つまり、「E⊂X」 Step3:「集合Xの部分集合E」から「集合Y」への写像 f を用意。 つまり、「 f:E→Y 」 Step4:集合Xに距離dX を定めて、集合X上に、距離空間( X , dX )を設定。 Step5:集合Yに距離dY を定めて、集合Y上に、距離空間( Y , dY )を設定。 Step6:「集合Xの部分集合E」上の動点を、Pと名づける。 「集合Xの部分集合E」上の定点を、Aと名づける。 つまり、「P, A∈E⊂X」 |
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厳密な |
「 写像『f:E→Y』が、集合Eで連続であるcontinuous」とは「集合Eに属す点Aをひとつ選んで固定した上で、 任意の正数εに対して、ある正数δをとると、 dX( P, A )<δ ⇒ dY ( f (P), f (A) )<ε …(1) が成り立つ」 ということが、すべての点A∈Eについてもいえるということ。 論理記号で表せば、すなわち ( ∀ A∈E ) ( ∀ε>0 ) ( ∃δ>0 ) ( ∀ P∈E ) ( dX( P, A )<δ ⇒ dY ( f (P), f (A) )<ε ) ※ここで、(1)を満たすδを全てのA∈Eに対して共通に選ぶ必要はないことに注意。 「fがE上で連続」と言った場合、A∈Eの選び方で(1)を満たすδが変わってもよい。 これに対して、 (1)を満たすδを全てのA∈Eに対して共通に選べる、 A∈Eの選び方によらず、εだけに対応して (1)を満たすδを一様に選べることを意味する概念は、 一様連続性。 |
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厳密な |
「 写像『f:X→Y』は連続であるcontinuous」とは、集合Xに属す限りで任意の点Aと、 距離空間( Y , dY )上の点f (A)の任意の「ε近傍 Uε( f (A) )」に対して、 ある「Xにおける点Aのδ近傍Uδ(A)」が存在して、 f ( Uδ(A)) ⊂ Uε( f (A) ) を満たす ということ。 この定義を別の表現でいうと、 集合Xに属す限りで任意の点Aと、任意の(どんな)正の実数εに対して、 ある正の実数δが存在して、 「 f ( Uδ(A) ) ⊂ Uε( f (A) ) 」 すなわち「 P∈Uδ(A) ならば、f (P) ∈Uε( f (A) )」 を成り立たせる、 ということ。 この定義を、論理記号で表せば、 (∀A∈X ) (∀ Uε( f (A) ) )(∃Uδ(A))( f ( Uδ(A) ) ⊂ Uε( f (A) ) ) (∀A∈X )(∀ε>0)(∃δ>0)( f ( Uδ(A) ) ⊂ Uε( f (A) ) ) (∀A∈X )(∀ε>0)(∃δ>0)(∀P∈E)( P∈Uδ(A) ⇒ f (P) ∈Uε( f (A) )) となる。 |
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→ [トピック一覧:距離空間のあいだの連続写像]→総目次 |
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→ 1変数関数の連続の、数列の収束への言い換え→ 2変数関数の連続の、点列・数列の収束への言い換え → n変数関数の連続の、点列・数列の収束への言い換え → ベクトル値関数の連続の、点列の収束への言い換え |
[ 文献]矢野『距離空間と位相構造』定理1.5(p.14):証明付 松坂『集合・位相入門』6章§1D定理3(pp.240-2):証明付。 神谷浦井『経済学のための数学入門』定義4.3.3(p.139) 二階堂『現代経済学の数学的方法』2章§13(p.90) |
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要旨 |
距離空間から距離空間への写像の連続性は、 収束点列の像の点列の収束に、 言いかえられる。 |
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舞台設定 |
この定理は、以下の手順で設定された舞台の上で成り立つ。 ・集合X ・集合Y Step2:「集合X」から「集合Y」への写像 f を用意。 つまり、「 f:X→Y 」 Step4:集合Xに距離dX を定めて、集合X上に、距離空間( X , dX )を設定。 Step5:集合Yに距離dY を定めて、集合Y上に、距離空間( Y , dY )を設定。 Step6:「集合X」上の動点を、Pと名づける。 「集合X」上の定点を、Aと名づける。 つまり、「P, A∈X」 |
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定理 |
次の命題 P,Qは互いに言い換え可能である。つまり、命題P⇔命題Q。 命題 P:写像「 f:X→Y 」は、点Aで連続 |
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命題 Q:距離空間( X , dX )上のどんな点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,…}についてであれ、 点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,…}が点Aに収束する限り、 その点列の各項 P1 , P2 , P3,…を写像fによりY上に写した像の点列 { f ( Pi ) }={ f ( P1 ), f ( P2 ) , f ( P3 ) ,… } は 点Aを写像fによりY上に写した像 f ( A ) に収束する。 つまり、 距離空間( X , dX )上の任意の点列{ Pi }={ P1 , P2 , P3,…}について、 Pi→A (i→∞) ならば、f ( Pi)→ f ( A ) (i→∞) 論理記号で表すと、 (∀{ Pi })( Pi→A (i→∞) ⇒ f ( Pi)→ f ( A ) (i→∞) ) ※ なぜ?関数の収束の定義と、関数の連続性の定義を見比べたうえで、 関数の収束と点列の収束の関連性についての定理を、関数の連続性向けに修正。 |
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活用例 |
→ [トピック一覧:距離空間のあいだの連続写像]→総目次 |
![]() |
Cf .位相空間における連続写像定義/ベクトル値関数のケース[ 文献]ルディン『現代解析学』4.8(p.83):証明付。 神谷浦井『経済学のための数学入門』定義4.5.3(p.150) 二階堂『現代経済学の数学的方法』2章§13定理3(p.93):証明付 |
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舞台設定 |
この定理は、以下の手順で設定された舞台の上で成り立つ。 ・集合X ・集合Y Step2:「集合X」から「集合Y」への写像 f を用意。 つまり、「 f:X→Y 」 Step4:集合Xに距離dX を定めて、集合X上に、距離空間( X , dX )を設定。 Step5:集合Yに距離dY を定めて、集合Y上に、距離空間( Y , dY )を設定。 |
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定理 |
次の命題 P,Qは互いに言い換え可能である。つまり、命題P⇔命題Q。 命題 P:写像「 f:X→Y 」は、X上連続。 |
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命題 Q:距離空間( Y , dY )上の任意の開集合OYに対して、 OYの fによるX上の逆像 f-1( OY )は、距離空間( X , dX )上の開集合となる。 ※ なぜ?→ルディン『現代解析学』4.8(p.83) |
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→ [トピック一覧:距離空間のあいだの連続写像]→総目次 |
要旨 |
二つの 連続写像の合成写像は連続。 |
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設定 |
この定理は、以下の手順で設定された舞台の上で成立する。 ・集合X ・集合Y ・集合Z Step2:集合Xの部分集合のひとつ(Xの部分集合ならなんでもよい)を、選んで、 集合E と名づける。 つまり、「E⊂X」 Step3:「集合Xの部分集合E」から「集合Y」への写像 f を用意。 つまり、「 f:E→Y 」 Step4:「集合Yの部分集合 f (E)」から「集合Z」への写像 g を用意。 つまり、「 g:f (E)→Z 」 Step5:集合Xに距離dX を定めて、集合X上に、距離空間( X , dX )を設定。 Step6:集合Yに距離dY を定めて、集合Y上に、距離空間( Y , dY )を設定。 Step7:集合Zに距離dZ を定めて、集合Z上に、距離空間( Z , dZ )を設定。 Step8:「集合Xの部分集合E」上の動点を、Pと名づける。 「集合Xの部分集合E」上の定点を、Aと名づける。 つまり、「P, A∈E⊂X」 |
1変数関数の合成関数の連続性/ベクトル値関数のケース [一般化] 位相空間のあいだの写像の合成写像の連続性 [文献] ルディン『現代解析学』4.7(p.84):証明付; 矢野『距離空間と位相構造』定理4.1(p.14):証明付; |
定理 |
写像『f:E→Y』が点A∈E⊂Xで連続、 かつ 写像『g:f (E)→Z』が点f (A)∈f (E)⊂Yで連続 ならば、 合成写像 g〇f (P)= g ( f (P)))は、点A∈E⊂Xで連続。 |
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※ |
具体例: 1変数関数の合成関数の連続性、2変数関数の合成関数の連続性、 |
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→ [トピック一覧:距離空間のあいだの連続写像]→総目次 |
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Cf .位相空間における連続写像定義[ 文献]矢野『距離空間と位相構造』例1.12(p.15)例4.7(p.130) |
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舞台設定 |
この定義は、以下の手順で設定された舞台の上でなされる。 ・集合X ・集合Y Step2:「集合X」から「集合Y」への写像 f を用意。 つまり、「 f:X→Y 」 Step4:集合Xに距離dX を定めて、集合X上に、距離空間( X , dX )を設定。 Step5:集合Yに距離dY を定めて、集合Y上に、距離空間( Y , dY )を設定。 |
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定義 |
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→ [トピック一覧:距離空間のあいだの連続写像]→総目次 |
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uniformly continuous | |||
舞台設定 |
「距離空間から距離空間への写像の一様連続性」の定義は、 ・集合X ・集合Y Step2:「集合X」から「集合Y」への写像 f を用意。 つまり、「 f:X→Y 」 Step3:集合Xに距離dX を定めて、 集合X上に距離空間( X , dX )を設定。 Step4:集合Yに距離dY を定めて、 集合Y上に距離空間( Y , dY )を設定。 Step5:「集合Xの部分集合E」上の動点を、Pと名づける。 「集合Xの部分集合E」上の定点を、Aと名づける。 つまり、「P, A∈X」 |
[具体例]1変数関数の一様連続性/2変数関数の一様連続性/ n変数関数の一様連続性/ベクトル値関数の一様連続性 [一般化]実数値関数の一様連続性 [文献] 『岩波数学辞典』項目92-I一様連続 (pp.255). 松坂『集合・位相入門』6章§3A(p.253)。 ルディン『現代解析学』4.18(p.88)。 斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』5.4.1 (p.167); 神谷浦井『経済学のための数学入門』4.6(p.159):近傍で表現。 矢野『距離空間と位相構造』4.1(p.130) |
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定義 |
「 写像『f:X→Y』はX上で一様連続uniformly continuousである」とは、任意の正数εに対して、ある正数δをとると、 「dX (P, A)<δを満たす限りで任意の『Xの元』」P,Aについて、dY ( f (P), f (A) )<εが成り立つ ということ。 論理記号で表せば、すなわち、 ( ∀ε>0 ) ( ∃δ>0 ) ( ∀A∈X ) ( ∀P∈X ) ( dX( P, A )<δ ⇒ dY ( f (P), f (A) )<ε) ※δが、各A∈Dに対して一様にとれることを意味している点が、重要。 |
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近傍を |
「 写像『f:X→Y』はX上で一様連続uniformly continuousである」とは、任意の正数εに対して、ある正数δをとると、 「すべての『Xの元』Aについて、 f ( Uδ(A) ) ⊂ Uε( f (A) ) 」 を成り立たせる、 (∀ε>0)(∃δ>0)(∀A∈X )( f ( Uδ(A) ) ⊂ Uε( f (A) ) ) となる。[神谷浦井『経済学のための数学入門』4.6(p.159)] |
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性質 |
・ 写像『f:X→Y』 がX上で一様連続ならば、f はX上で連続。・一般には、写像『f:X→Y』がX上で連続だからといって、X上で一様連続だとは限らない。 ・Xがコンパクトならば、写像『f:X→Y』がXで一様連続であることと連続であることは同値 →詳細 |
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否定命題 |
「 写像『f:X→Y』はX上で一様連続でない」とは、( ∃ε>0 ) ( ∀δ>0 ) ( ∃A∈D ) ( ∃P∈D ) ( dX( P, A )<δ かつ dY ( f (P), f (A) )≧ε ) [杉浦『解析入門I』W章積分§4連続関数の可積分性-定理4.1証明(4.4)(p. 226)] |
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※ |
関連事項: 点での連続性/X上で連続(δが各A∈X毎にちがってもよい)具体例 :1変数関数の一様連続性/2変数関数の一様連続性/ n変数関数の一様連続性/ |
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→ [トピック一覧:距離空間のあいだの連続写像]→総目次 |
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