距離空間(R,d) : トピック一覧

 A.距離・距離空間/1次元ユークリッド空間 
 B. Rにおけるε近傍/除外ε近傍/左からのε近傍/左からの除外ε近傍/右からのε近傍/右からの除外ε近傍 
 C. 実数−《実数の集合》間の位置関係内点/外点/境界点/触点・接触点/集積点/孤立点  
 D. 《実数の集合》−《実数の集合》間の位置関係内部/外部/境界/閉包/導集合   
 E. Rにおける《実数の集合》の分類:
  ・稠密/離散集合 
  ・開集合/閉集合 /完全集合  
   区間/開区間/閉区間/左半開区間/右半開区間/有限区間・無限区間/全区間/区間の幅・長さ
   上に有界な集合/下に有界な集合/有界な集合  
 
関連ページ:R上の位相概念間の関係/ 
       距離空間(R,d)における開集合の性質/距離空間(R,d)と位相空間 
       (R,d)上のコンパクト集合/ハイネ・ボレル・ルベーグの被覆定理 
関連ページ:距離空間(R2,d)/距離空間(Rn,d)/距離空間一般/位相空間 
参考文献総目次

距離・距離空間

・集合Rx,yにたいして、d(x,y)=|x-y|をとると、d距離の公準を満たし、(R,d)は距離空間となる。 

   なぜなら、 
    距離の公準(i) 正値性
          任意のx,yRに対して、d(x,y) =|x-y|≧0 , d(x,y) =|x-y|=0 x=y  
              ∵絶対値の性質 |x|≧0|x|=0x=0   
    距離の公準(ii) 対称性
          任意のx,yRに対して、 d(x,y) =|x-y| =|-(x-y) |=|y-x| = d(y,x) 
    距離の公準(iii) 三角不等式 triangle inequality
          任意のx,y,zRに対して、
              d(x,y)=|x-y||x-z+z-y|=|(x-z)+(z-y)||x-z|+|z-y|=d(x,z)+d(z,y) 
              ∵絶対値の性質 |xy|≦|x|+|y|
    を満たすから。

興味深いのは、d=|x-y|は、一次元のユークリッド距離でもあり変分ノルムでもある点。


 一次元のユークリッド距離:

 d(x, y)=


(xy)2

 =|x−y|  ∵絶対値の性質 

     だから、d(x, y)=|x-y|と決めた距離空間(R,d)は、1次元ユークリッド空間とよんでもよい。







【関連項目】 距離空間のイントロダクション/距離空間一般/距離空間(R2,d)/距離空間(Rn,d)/位相空間

【文献】
 ・小平『解析入門I』§1.3(p.21):Rにおいて。;§1.6-a(p.54):R2において。
 ・松坂『解析入門2』10.1-C(p.149):Rn上のユークリッド距離、その性質としての、距離の公準。
 ・松坂『解析入門3』12.1-A(pp.49-50):距離空間一般、Rn,
 ・神谷・浦井『経済学のための数学入門p.67;
 ・志賀『位相への30講』1講(pp.4-6);
 ・彌永『集合と位相II』§1.2(p.136):Rのケースにも触れている。






定義:1次元ユークリッド空間

  1次元ユークリッド空間とは、距離を1次元のユークリッド距離d=|x-y|で定義した距離空間(R,d)のこと。[松坂『集合・位相入門』第4章§1-A(p.138);]

定義:Rにおける点・点集合

Rにおける点集合とは、の集合、つまり、数直線R部分集合(点集合SR) 
      幾何学的表現においては、普遍集合Ω空間spaceと呼び、 Ωのを点(point)、Ωの部分集合点集合point setと呼ぶ。
              [岩波数学辞典(第三版)』項目162B(p.429)]

      Rを数直線と呼ぶとき、実数をR上の点…ということがある。[小平『解析入門Ip.13]
    Cf. 平面R2における点集合についての諸概念Rnにおける点集合についての諸概念距離空間一般における点集合についての諸概念   

  

→[ト ピック一覧:距離空間(R,d)]  
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R上の近傍概念と、そのバリエーション





1次元ユークリッド空間上の「点aε近傍ε-neighborhood of a Uε(a)の定義】

・「R上のaのε近傍」とは、
  《点aからの距離がε以内の点》をすべてあつめた《実数の集合》のこと。
・つまり、
  Uε(a)(a−ε,a+ε){xR| a−ε<xa+ε}{xR ||x-a|<ε}
         *εは正ならばどんなに小さくてもよい。
・「点aε近傍Uε(a) の半径」とは、εのこと。
どういうこと? → 詳細  
[利用例] 数列の収束の定義








1次元ユークリッド空間上の「点a除外ε近傍 deleted ε-neighborhoodU*ε(a)の 定義】

・「点a除外ε近傍a deleted ε-neighborhood of a U*ε(a)とは、「aε近傍」から点aを取り去った残り。
・すなわち、U*ε(a) = (a−ε,a )(a,a+ε){ xR |0<|x-a|<ε}Uε(a){a}
                          *εは正なら ばどんなに小さくてもよい。
  【文献】  Fischer Intermediate Real Analysis,ef.3.1(3.4)(3.5) (p.207);杉浦『解析入門I』p.113;永倉・宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』2.3.29(p.60)
  【利用例】 1変数関数の収束・極限の定義   
  【類概念】  R2における除外ε近傍/Rnにおける除外ε近傍/距離空間一般における除外ε近傍定義 









1次元ユークリッド空間上の

 「点a左からのε近傍ε-neighborhood of a from the leftU(a)の定義】

        U(a)(a−ε,a ]{xR| a−ε< xa } 
             *εは正ならばどんなに小さくてもよい。
  【文献】 Fischer Intermediate Real Analysis,207.








1次元ユークリッド空間上の「点a左からの除外ε近傍 deleted ε-neighborhood of a from the leftU*(a)の 定義】

  U*(a) =(a−ε,a)={xR| a−ε< x < a } *εは正なら ばどんなに小さくてもよい。
  【文献】  Fischer Intermediate Real Analysis,208.
  【利用例】 1変数 関数の左極限の定義   









1次元ユークリッド空間上の

   「点a右からのε近傍ε-neighborhood of a from the rightU(a)の定義】

        U(a)[ a , a+ε){xR| ax < a+ε} 
             *εは正ならばどんなに小さくてもよい。
  【文献】 Fischer Intermediate Real Analysis,207.








1次元ユークリッド空間上の「点a右 からの除外ε近傍deleted ε-neighborhood of a from the right U*(a)  の定義】

  U*(a) =(a,a+ε)={xR| a< x < a+ε}  *εは正ならば どんなに小さくてもよい。
  【文献】  Fischer Intermediate Real Analysis,208.
  【利用例】 1変 数関数の右極限の定義   









1次元ユークリッド空間上の「点a《実数の集合S》におけるε近傍の定義】

       S∩Uε(a){xR ||x-a|<εかつxS} 
             *εは正ならばどんなに小さくてもよい。
  【文献】 加藤十吉『微分積分学原論』定義5.2(p.43)R1 において。








1次元ユークリッド空間上の「点a《実数の集合S》における除外ε近傍の定義】

  
  







→[トピック一覧:距離空間(R,d)]  
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《実数》−《実数の集合》間の位置関係を表す概念一覧 : 内点・外点・境界点・触点・集積点・孤立点

・「与えられた実数が、与えられた《実数の集合》にたいして、どのような位置 関係にあるか」を表す概念として、

 下記6概念が用意されている。

・下記6概念は、

  (1) 与えられた実数そのもの が、与えられた《実数の集合》に属しているか、属してないか?  
  (2) 与えられた実数の《隣の 実数》が、与えられた《実数の集合》に属しているか、属してないか?

 の二点に着目して定義された《実数》 −《実数の集合》間の位置関係。





【文献】
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数 学p.5。
 ・小平『解析入門Ip.73.
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学p.16、


 ・神谷・浦井『経済学のための数学入門pp.67-76.






実数aは 『《実数の集合E》の内 点』」
とは、 

 (1)《実数aその もの》が
   《集合Eに属しており

 (2)《aの隣の実数》 も両隣同時に
   《集合Eに属している

ということ。













* 感覚的には分かりやすいが、
  上記定義は厳密にはインチキ。
   → 感覚的定義の曖昧さ
* 正確な定義は?
   →厳密な「内点」定義   











実数aは 『《実数の集合E》の外 点』」
とは、
 
 (1)《実数aその もの》は
     《集合Eに属し ておらず

 (2)《aの隣の実数》 も両隣同時に
     《集合Eに属し てない  

ということ。 










* 感覚的には分かりやすいが、
  上記定義は厳密にはインチキ。
   → 感覚的定義の曖昧さ
* では厳密には?
   → 厳密な「外点」定義  










実数aは『《実数の集合E》の境 界 点』」とは、
 (1)《実数aその もの》が、
      《集合Eに属しているケー スもあれば、
      《集合Eに属 してないケースもあるが、
 (2)《実数aその もの》が《集合Eに属しているな らば、
      《aの隣の実数》 の少なくとも一方が
            《集合Eに 属しておらず
   《実数aそのも の》が《集合Eに属してな いならば、
      《aの隣の実数》 の少なくとも一方が
            《集合Eに属 している 
ということ。        









* 上記定義は感覚的には分かりやすいが、厳密にはインチキ。
    → 感覚的定義の曖昧さ
* では厳密には? →  厳密な「境界点」定義     










実数aは『《実数の集合E》の触 点』」とは、
 (1)《実数aその もの》が、
     《集合Eに属しているケー スもあれば、
     《集合Eに属 してないケースもあるが、
 (2)《実数aその もの》が《集合Eに属しているな らば、
     《aの隣の実数》 は、
      《集合Eに属してい ても、属してなくても、構わない、
   《実数aそのも の》が《集合Eに属してな いならば、
     《aの隣の実数》 の少なくとも一方は《集合Eに属 している 
 ということ。        









* 上記定義は感覚的には分かりやすいが、厳密にはインチキ。
    → 感覚的定義の曖昧さ
* では厳密には?
    → 厳密な「触点」定義     










実数aは『《実数の集合E》の集 積点』」とは、

 (1)《実数aその もの》が、
    《集合Eに属しているケー スもあれば、
    《集合Eに属 してないケースもあるが、

 (2)《aの隣の実数》 の少なくとも一方は
     《集合Eに属 している  

 ということ。        









* 上記定義は感覚的には分かりやすいが、
  厳密にはインチキ。
    → 感覚的定義の曖昧さ
* では厳密には?
    → 厳密な「集積点」定義     










実数aは『《実数の集合E》の孤 立点』」とは、

 (1)《実数aその もの》は
    《集合Eに属しているが、
 (2)《aの隣の実数》 は
     両隣同時に《集合Eに属してない  

 ということ。        









 * 上記定義は感覚的には分かりやすいが、
  厳密にはインチキ。
   → 感覚的定義の曖昧さ
 * では厳密には?
   → 厳密な「孤立点」定義     






 * 上記の概念比較で用いた《aの隣の実数》という表現は、直感的な分かりやす さを狙った「大胆な超訳」。厳密さに欠ける。
  正式な定義では、《aの隣の実 数》は、距離近傍概念を用いて、厳密に表現され る。
  正式な定義の確認推奨。各概念の厳密な定義をクリックして、確認されることを推奨。

《実数の集合》−《実数の集合》間の位置関係を表す概念一覧 : 内部・外部・境界・閉包・導集合   







・《実数の集合E》 の内部開核 
 とは、 
 《実数の集合E》の内点を全部集 めた集合
 のこと。
・記号「IntE」「E」「Eiな どで表す。













* 詳細
 → 定義:《実数の集合》の内部
 → 性質:《実数の集合》の内部 
 → 関連概念
 → リファレンス   











・《実数の集合E》 の外部exterior
 とは、 
 《実数の集合E》の外点を全部集めた集合
 のこと。
・記号「ExtEなどで表す。










 * 詳細
 → 定義:《実数の集合》の外部
 → 性質:《実数の集合》の外部 
 → 関連概念
 → リファレンス  










実数の集合E》の 境界 boundary
 とは、
 《実数の集合E》の境界点をす べてあつめた集合
 のこと。
・記号「∂Eなどで表す。  









 * 詳細
 → 定義:《実数の集合》の境界
 → 性質:《実数の集合》の境界 
 → 関連概念
 → リファレンス  










・《実数の集合E》の 閉包closure触集合
 とは、
実数の集合E》の触点」を全部 あつめた集合
 のこと。     
・記号  E
cl E 、 [E]  などで表す。









* 詳細
 → 定義:《実数の集合》の閉包 
 → 性質:《実数の集合》の閉包 
 → 関連概念
 → リファレンス  











・《実数の集合E》 の導集合derived set
 とは、
 《実数の集合E》の集積点を すべて集めた集合
 のこと。       









* 詳細
  → 定義:《実数の集合》の導集合
  → 性質:《実数の集合》の導集合 
  → 関連概念
  → リファレンス  







 


→[トピック一覧:距離空間(R,d)]  
総目次 


定義:離散集合 discrete set 

 Sが離散集合であるとは、Sのすべての点がSの孤立点であるということ。
   [小平『解析入門I』§1.6-b(p.58)R2] 



→[トピック一覧:距離空間(R,d)]  
総目次 

定義:Rにおける開集合 open set   

【はじめに読むべきルーズな定義】
・「《実数の集合E》は開集合である」とは、
  どの《E属す実数》をとってみても、
       その両隣は《E属す実数》になっている
 ということ。  

【厳密な定義】

(内点・境界点を用いた定義)

点集合E境界点のどれも点集合Eに属さず、
点集合属す全ての点が点集合Eの内点であるとき、 
点集合Eは開集合であるという。  

「内点ばかりからなる集合を開集合という」[能代『極限論と集合論7章2集積点(p.128)]

(近傍概念を用いた定義)

 (R,d)を距離空間、E をR部分集合とする。    
 Eは距離空間 (R,d)の開集合
  任意のaEについて、aはEの内点である 
  任意のaEに対し、集合Eに含まれるε近傍Uε(a)が少なくとも一つは作れる。(∵内点の定義) 
    論理記号で書くと、   (aE) (Uε(a) ) ( Uε(a)E )   
         ないし、(a ) ( aE(Uε(a) ) (Uε(a)E ))   

(例)

開集合の例:
開区間(a,b)、(a,+∞)、(−∞,b)、 (−∞, +∞)、 
空集合φ ※なぜ?→理由 
R全体  ※なぜ?→理由 
  ※空集合φ、R全体は、開集合閉集合の両方に該当。
開集合ではない例:
閉区間[a,b]、左半開区間 (a,b], 右半開区間 [a,b)、離散点集合
距離空間(R,d)における開集合の性質  
距離空間(R,d)における開集合と位相空間 
※開集合の活用例:開被覆の定義コンパクト集合の定義 
Cf.距離空間一般における開集合R2における開集合Rnにおける開集合   
 位相空間一般における開集合   

【文献】

 ・高木『解析概論』第1章12(p.29):特にRの例をあげず、一般的に。
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学』1.1集合U開集合と閉集合-本文(p.5)「集合の境界を含まないものを開集合、境界を含むものを閉集合と呼ぶ」;注1(p.5):R1において。「Aが開集合であるときは、A=Aのとき。」
 ・小平『解析入門I』p.73.
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』p.16; 155;
 ・松坂『集合・位相入門』第4章§1D(pp.144-5);
 ・松坂『解析入門3』12.1-D(p.53)
 ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』第3章§4項目3.4.8(p.87);第4章§5項目4.5.2(p.125);
 ・佐久間『集合・位相』3.4開集合と閉集合(p.61)
 ・志賀『位相への30講』第3講(pp.17-25) 
 ・Lang, Undergraduate Analysis,Chapter2§2(p.39):近傍概念不使用;Chapter6§5Open and Closed Sets(p.125) :Rのみならず、ノルムベクトル空間全般。
 ・一楽『集合と位相―そのまま使える答えの書き方』定義3.3.1開集合(p.94) :Rnにおいて。
 ・de la Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,2.4Definition4.1(p.58):距離空間一般において。Theorem4.2(p.58):開集合の性質とその証明。

 ・ルディン『現代解析学2.20定義f(p.33):「Eが開集合とは、Eの点がすべてEの内点となること」

 ・彌永『集合と位相II』§2.2(p.179):R上での具体例。
 ・能代『極限論と集合論7章2集積点(p.128):Rn上。
 ・杉浦『解析入門I』p.66:Rn



 →[トピック一覧:距離空間(R,d)]  
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定義:Rにおける閉集合 closed set


【境界点を用いた定義】

 ・点集合Eの「すべて」の境界点がEに属すとき、Eは閉集合であるという。  [高橋;吹田・新保『理工系の微分積分学p.155;松坂『解析入門3』12.1-D:定義(p.54)]
 * Eに境界点がない場合(空集合φ、R全体)は?→   

【開集合を用いた定義】

 ・任意の開集合補集合を閉集合という。  [高橋;松坂『解析入門3』12.1-D-定理1:定義の同値条件(p.54)]
【閉包を用いた定義】
 [黒田;松坂『解析入門3』12.1-D:定義(p.54)]
【集積点を用いた定義】

 ・「点集合Eが閉集合」であるとは、
   ・Eが、すべての「Eの集積点」 を含む[吹田・新保『理工系の微分積分学p.16;ルディン]
   ・すべての「Eの集積点」がEに属す[高木『解析概論』第1章7.集積点(p.16)]
   ・Eの集積点が存在しない、または、Eの集積点が存在するときこれを必ず含むということ。 [・能代『極限論と集合論7章3(pp.130-131):Rn上。]
  ということ。

【導集合を用いた定義】
 ・Eが閉集合であるとは、E「Eの導集合」ということ。 
 [・能代『極限論と集合論7章3(pp.130-131):Rn上。]
【数列を用いた定義】
 佐久間p.64

【例】

閉集合の例:
閉区間 [a,b]
閉区間の有限和(とびとびの閉区間からなる集合)
   [矢野『距離空間と位相構造』例1.5.1カントール集合(p.48);例1.5.1カントール集合(p.129);] 
閉区間ではないが閉集合である例として[a,+∞) 、(−∞,b]
・離散点集合   
空集合φ、R全体  ※空集合φ、R全体は、開集合閉集合の両方に該当。
閉集合ではない例:
開区間 (a,b)
左半開区間 (a,b]
右半開区間 [a,b)   
【一般化】距離空間一般における閉集合/R2における閉集合/Rnにおける閉集合/位相空間一般における閉集合  
【文献】

・高橋『経済学とファイナンスのための数学』1.1集合U開集合と閉集合-本文(p.5)「集合の境界を含まないものを開集合、境界を含むものを閉集合と呼ぶ」;注1(p.5):R1において。「集合Cの補集合が開集合であるとき、Cは閉集合である。」
・小平『解析入門I』p.73.
・吹田・新保『理工系の微分積分学』p.16;155;
・松坂『集合・位相入門』第4章§1D(p.144);
 ・松坂『解析入門3』12.1-D(p.54)
・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』第3章§4項目3.4.11(p.88);第4章§5項目4.5.2(p.125)
・黒田『微分積分』定義8.5(p.273):閉包から定義。命題8.3(p.273):同値な命題。境界をふくむ。補集合が開集合。点列の極限。
Lang, Undergraduate Analysis,Chapter2§2(p.39):近傍概念不使用;Chapter6§5Open and Closed Sets(p.127) :Rのみならず、ノルムベクトル空間全般。
 ・一楽『集合と位相―そのまま使える答えの書き方』定義3.3.2閉集合(p.100) :Rnにおいて。補集合が開集合となる集合として定義。
 ・de la Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,2.4Definition4.1(p.58):距離空間一般において。補集合が開集合となる集合として定義。Theorem4.3(p.59)
 ・ルディン『現代解析学』2.20定義d(p.33):距離空間一般において。「集合E閉集合とは、Eの集積点が全部Eに含まれること。」
 ・彌永『集合と位相II』§2.2(p.179):R上での具体例。
 ・高木『解析概論』第1章7.集積点(p.16);


定義:完全集合 perfect set

・Eが完全集合とは、Eが閉集合で、かつ、Eの点がすべてEの集積点となること。 [ルディン]
・Eが完全集合とは、Eが孤立点を含まない閉集合であること。 [能代]
・Eが完全集合とは、Eと「Eの導集合」が一致するということ。 [能代]
    
【文献】
・能代『極限論と集合論7章3(p.131):Rn上。   
・ルディン『現代解析学』2.20定義h(p.33):距離空間一般において。
・Walter Rudin,Principles of Mathematical Analysis,2.18Definition(h)"perfect":距離空間一般において。


 

定義:稠密dense

 :  [小平『解析入門Ip.58.] 
 ・ルディン『現代解析学』2.20定義(p.33):距離空間一般Xにおいて。「EがXで稠密とは、Xの任意の点が、Eの集積点あるいはEに属する点(またはその両方)であること」

 ・彌永『集合と位相II』§1.8(p.160)
・「Eが自己稠密集合である」とは、
      Eの各々の点が、Eの集積点であるということ、
  すなわち、Eが孤立点を含まないということ、
  すなわち、E⊂「Eの導集合」ということ。[・能代『極限論と集合論7章3(pp.130-131):Rn上。]

→[トピック一覧:距離空間(R,d)]  
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定義:区間 interval

 [高橋『経済学とファイナンスのための数学』p.5、小平『解析入門I』§1.5e区間(p.46);73;175; 矢野田代『社会科学者のための基礎数学』§9(p.66)] 
 ※R2における区間Rnにおける区間 
   [開区間、閉区間、…] 
    ・開区間open interval  
     実数a<bに対し ( a,b ) ={xR| a < x < b }
                ( a,+∞) ={xR| a < x }
                (−∞, b )={xR| x < b }
                (−∞, +∞)=R
      を開区間と呼ぶ。開区間は境界点を一切含まないから開集合。 
      ※神谷浦井『経済学のための数学入門p.75は、
         ( a,b )を有界開区間、( a,+∞), (−∞,b )を無限開区間とよんでいる。  
      ※R2における開区間Rnにおける開区間 
    ・閉区間closed interval  
     実数a<bに対し [a,b]={xR| axb } を閉区間と呼ぶ。
        ※神谷浦井『経済学のための数学入門』p.75は、有界閉区間とよんでいる。
     閉区間は(境界点をすべて含むから)閉集合。ゆえに有界閉集合でありコンパクト集合である。 
      ※R2上の閉区間Rn上の閉区間  
    ・左半開区間left half open interval  
     実数a<bに対し (a,b]={xR| axb } を左半開区間と呼ぶ。
     左半開区間は開集合でも閉集合でもない(境界点の一方のみを含むから)。
    ・右半開区間right half open interval  
     実数a<bに対し [a,b)={xR| axb } を右半開区間と呼ぶ。
     右半開区間は開集合でも閉集合でもない(境界点の一方のみを含むから)。
      ※この区間は開区間?閉区間?  [小平『解析入門Ip. 73] 
         [a,+∞)={xR| ax }、(−∞,b] ={xR| xb }  
       この種の区間は閉区間とは言わないが、(境界点をすべて含むから)閉集合
      ※神谷浦井『経済学のための数学入門』p.75は、これを、無限閉区間とよんでいる。   
   有限区間・無限区間      [小平『解析入門Ip.175]
     有界な区間を有限区間という。有界でない区間を無限区間という。
     無限区間の例:[a,+∞)={xR| ax }、(−∞,b]={xR| xb } 
            (a,+∞)={xR| a<x }、(−∞,b)={xR| x<b } 
   全区間 [矢野田代『社会科学者のための基礎数学』§9(p.66)]]
     全区間とは、実数全体を指す。R、または、(−∞, +∞)と表す。    
→[トピック一覧:距離空間(R,d)]  
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定義:幅・長さ

 [小平『解析入門Ip.46] 
     ( a,b ) [a,b] (a,b] [a,b)において、baを、区間の幅または長さという。 
      ※距離空間一般における直径R2における直径Rnにおける直径  

→[トピック一覧:距離空間(R,d)]  
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定義:Rにおける上に有界な(bounded to the above)集合 

     [吹田・新保『理工系の微分積分学』p.3、杉浦『解析入門I』pp.5-6;小平『解析入門I』p.36] 
    集合ER部分集合とする。(ER )
    実数K (すなわちKR) があって、
     任意のxEにたいして、 xK
    を満たすとき、
   「集合E上に有界である」といい、Kを集合Eの1つの「上界」とよぶ。
  →詳細  
→[トピック一覧:距離空間(R,d)]  
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定義:Rにおける下に有界 bounded to the above な集合 

     [吹田・新保『理工系の微分積分学p.3、杉浦『解析入門I』pp.5-6;小平『解析入門I』p.36.]
    集合ER部分集合とする。(ER )
    実数K (すなわちKR) があって、
     任意のxEにたいして、 Kx
    を満たすとき、
   「集合E下に有界である」といい、K集合Eの1つの「下界」とよぶ。
  →詳細  
→[トピック一覧:距離空間(R,d)]  
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定義:Rにおける有界boundedな集合 

     [吹田・新保『理工系の微分積分学』p.3、杉浦『解析入門I』pp.5-6;小平『解析入門I』p.36.]
   集合ERが、上に有界かつ下に有界であるとき、
   「集合Eは有界である」という。
  →詳細  
   ※距離空間一般における有界な集合R2における有界な集合Rnにおける有界な集合 
→[トピック一覧:距離空間(R,d)]  
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reference

[解析学の文献]

高木貞二『解析概論改訂第三版』岩波書店、1983年、p.14-17.
小平邦彦『解析入門I』 (軽装版)岩波書店、2003年、pp. 13; 21;36; 46;53-65; 73.
杉浦光夫『解析入門I』岩波書店、1980年、pp.37-48;55; 70;75-79;
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。pp.154-157.
和達三樹『理工系の数学入門コース1:微分積分』岩波書店、1988年、pp.112-113.
Fischer,Emanuel.Intermediate Real Analysis(Undergraduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Heidelberg Berlin,1983,p.207.
Lang,Serge.Undergraduate Analysis(Undergraduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Berlin Heidelberg Tokyo,1983,Chapter 19. Multiple Integrals. (p.468)。

[位相の文献]

彌永昌吉・彌永健一『岩波講座基礎数学: 集合と位相 I・II』 岩波書店、1977年, pp.135-171。
矢野公一『距離空間と位相構造』共立出版、1997年、第1章距離空間1.1節距離(pp.2-25)、1.3節位相(pp.37-52)。
松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年、第4章§1Rnの距離と位相(pp.137-151);第6章距離空間§1距離空間とその位相.A距離関数と距離空間(pp.234-6);B距離空間における位相の導入(pp.236-8);F部分距離空間と直積距離空間(pp.243-4)。
斉藤正彦『数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年、第3章§4数空間Rn(pp.84-90);第4章§5距離空間(その1)4.5.1-4.5.10(pp.125-130)。
志賀浩二『位相への30講』朝倉書店、1988年、第1講(pp.1-7)距離; 第2講(pp.12-73)閉区間・開区間・近傍; 第3講(pp.17-25)開集合・閉集合; 第4講(pp.26-34);
佐久間一浩『集合・位相―基礎から応用まで―』共立出版、2004年、第3章集合から位相空間へ3.3距離空間と完備性(pp.56-61)、3.4開集合と閉集合(pp.61-66) 。

[数理経済学の文献]

二階堂副包(ふくかね) 『現代経済学の数学的方法―位相数学による分析入門』岩波書店、1960年、§11Rnにおける収束(p.79)、§12二三の位相的概念(pp.79-89)。
西村和雄『経済数学早わかり』日本評論社、1982年、第6章位相数学§1位相空間とは1.3近さ・遠さ1.4距離空間。(pp.278-280)。§2ユークリッド空間(pp.281-95)卑近な例もまじえつつ、具体的に説明。
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.67-76;120-123; 131-148.
奥野正寛、鈴村興太郎『ミクロ経済学I』岩波書店、1985年、pp.261-265.
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、p.5。

[そのほかの文献]

日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』項目92距離空間(pp.253-256)、項目409ユークリッド幾何学(pp.1225-1229)、項目410ユークリッド空間 (pp.1229-1230).
佐藤坦『はじめての確率論 測度から確率へ』共立出版、1994、pp172-186.

→[トピック一覧:距離空間(R,d)]  
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