実ベクトル空間における次元 : トピック一覧

・定義:次元零ベクトルのみからなるベクトル空間の次元
・定理:有限次元ベクトル空間における一次独立なベクトルの個数/拡大して得られる基底/基底に属すベクトルの個数有限次元ベクトル空間の次元 
※実ベクトル空間関連ページ:実ベクトル空間の定義/部分ベクトル空間/線形従属・線形独立/基底
※一次写像関連ページ:一次写像−定義/一次写像と演算/一次写像の代数系/一次写像と線形独立/
           同型写像/同型写像と線形独立  
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定義:次元 dimension 

 [ホフマン『線形代数学I』2.3基底と次元:系1(p.45);永田『理系のための線形代数の基礎』系1.3.8(p.23);
  『岩波数学辞典』210線形空間:C線形結合(p.571);志賀『線形代数30講』15講(p.97);
  神谷浦井『経済学のための数学入門』§3.1.3(p.110);藤原『線形代数』4.2(p.95);]
(舞台設定)
R実数体(実数をすべて集めた集合)  
V実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)  
(定義)
V基底のとり方にかかわらず、V基底に属すベクトルの個数が一定である場合に、
V基底に属すベクトルの個数のことを、
実ベクトル空間V次元と呼び、記号「dim V」で表す。
有限次元ベクトル空間の次元n次元数ベクトル空間の次元 

定義:ゼロベクトルのみからなるベクトル空間の次元
 
[斎藤『線形代数入門』4章§21(p.97)§3(p.104);永田『理系のための線形代数の基礎1.5(p.32);] 
ゼロベクトルのみからなる実ベクトル空間Vには基底は存在しないが、
このような
実ベクトル空間Vにたいしては、dimV=0と定義する。

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定理:m個のベクトルから生成されたベクトル空間の線形独立系に属すベクトルは最大m個。  
[ホフマン『線形代数学I2.3基底と次元:定理4(p.44);]
(舞台設定)
R実数体(実数をすべて集めた集合)  
W実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)  
v1, v2, , vmW上のベクトル。つまり、v1, v2, , vm W   
a1, a2, , am スカラーa1, a2, , am R 
V:{ v1, v2, , vm }から生成された「Wの部分ベクトル空間」 
  これは、{
v1, v2, , vm }を含む最小の「Wの部分ベクトル空間」であり、
      {
v1, v2, , vm }が張る「Wの部分ベクトル空間」でもある。 
(本題)
{
v1, v2, , vm }から生成された「Wの部分ベクトル空間」V部分集合S線形独立系であるならば
S有限集合であって、   
Sには、m個よりも多くのベクトル属さない。   
(証明)
   
   

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定理:基底に属すベクトルの数と、線形独立になるベクトルの数。   
[永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.7(p.22);]
(舞台設定)
R実数体(実数をすべて集めた集合)  
V実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)  
UV部分集合で、有限集合。つまり「V属すベクトル」を有限個だけあつめた集合。
  
u1, u2, , ulV属すベクトルとすれば、 U{ u1, u2, , ul } 
(本題)
実ベクトル空間V属すベクトル有限集合{ u1, u2, , ul }が、実ベクトル空間V基底であり、
かつ、
実ベクトル空間V属すベクトル v1, v2, , vm 線形独立である
ならば
ml   
   
(証明)永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.7(p.22);
数ベクトルの性質を、同型写像でうつす。   
   
    


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定理:  
[永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.7(p.22);]
(舞台設定)
R実数体(実数をすべて集めた集合)  
V実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)  
UV部分集合で、有限集合。つまり「V属すベクトル」を有限個だけあつめた集合。
  
u1, u2, , ulV属すベクトルとすれば、 U{ u1, u2, , ul } 
(本題)
実ベクトル空間V属すベクトル有限集合{ u1, u2, , ul }が、実ベクトル空間V基底であり、
かつ
実ベクトル空間V属すベクトル v1, v2, , vl 線形独立である
ならば
{ v1, v2, , vl }も、実ベクトル空間V基底である。   
(証明)永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.7(p.22);
数ベクトルの性質を、同型写像でうつす。   

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定理:拡大して得られる基底   
[永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.7(p.22);砂田『行列と行列式』§5.3-b定理5.47(p.175):証明付.]
(舞台設定)
R実数体(実数をすべて集めた集合)  
V実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)  
UV部分集合で、有限集合。つまり「V属すベクトル」を有限個だけあつめた集合。
  
u1, u2, , ulV属すベクトルとすれば、 U{ u1, u2, , ul } 
(本題)
実ベクトル空間V属すベクトル有限集合{ u1, u2, , ul }が、実ベクトル空間V基底であり、
かつ
実ベクトル空間V属すベクトル v1, v2, , vm 線形独立であり、
かつ
m< l 
ならば
{ u1, u2, , ul }から選んだ、ある(lm)個のベクトルを{ v1, v2, , vm}に加えて、V基底とすることができる。
これを、
{ v1, v2, , vm}を拡大して得られる基底と呼ぶ。    
(証明)
永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.7(p.22);→数ベクトルの性質を、同型写像でうつす。   
砂田『行列と行列式』§5.3-b定理5.47(p.175)→数ベクトルの同型写像を持ち出さない証明   
    

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定理:有限次元ベクトル空間の基底に属すベクトルの個数。  
 
[ホフマン『線形代数学I2.3基底と次元:1(p.45);永田『理系のための線形代数の基礎』系1.3.8(p.23);
  神谷浦井『経済学のための数学入門』定理3.1.5(p.113);]
(舞台設定)
R実数体(実数をすべて集めた集合)  
VR上の有限次元ベクトル空間
(本題)
R上の有限次元ベクトル空間V基底に属すベクトルの個数は、V基底のとり方にかかわらず、一定。 
すなわち、
任意の二つの「V属すベクトル有限集合{ u1, u2, , ul }{ v1, v2, , vm }について、
 
{ u1, u2, , ul }{ v1, v2, , vm }V基底であるならば、
 
l=m。 
(証明)

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定理:有限次元ベクトル空間の次元 dimension 
 
[ホフマン『線形代数学I2.3基底と次元:1(p.45);永田『理系のための線形代数の基礎』系1.3.8(p.23);
  岩波数学辞典210線形空間:C線形結合(p.571);志賀『線形代数30講』15(p.97);
  神谷浦井『経済学のための数学入門』§3.1.3(p.110);藤原『線形代数4.2(p.95);]
(舞台設定)
R実数体(実数をすべて集めた集合)  
VR上の有限次元ベクトル空間
(定義)
R上の有限次元ベクトル空間V基底に属すベクトルの個数は、
V基底のとり方にかかわらず、一定。(→詳細
したがって、
R上の有限次元ベクトル空間V次元dim Vは、V基底に属すベクトルの個数のこと。

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(reference)
日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目210線形空間(pp.570-576)
線形代数のテキスト

志賀浩二『数学
30講シリーズ:線形代数30』朝倉書店、1988年、15講基底と次元(pp.94-99):有限次元ベクトル空間のみ扱っている。
ホフマン・クンツェ『
線形代数学I』培風館、1976年、2.3基底と次元(pp.41-50)
永田雅宜『
理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、1.3ベクトル空間(pp.14-6)
砂田利一『現代数学への入門:
行列と行列式2003年、§5.3-b(p.173).
佐武一郎『線形代数学(44)』裳華房、1987年、Vベクトル空間§6ベクトル空間の公理化(p.115)。線形従属・独立については、数ベクトルに限定?
藤原毅夫『理工系の基礎数学
2線形代数』岩波書店、1996年、4.1線形空間と写像(p.91) 線形従属・独立については、数ベクトルに限定?
斎藤正彦『
線形代数入門』東京大学出版会、1966年、第4章§3基底および次元(pp.99-107)

数理経済学のテキスト
神谷和也・浦井憲『
経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、§3.1ベクトル空間とは何か(p.105)

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