イタリア周遊
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■ フィレンツェからミラノへ
3/8(木)
■ ミラノへ出発
 一週間滞在したフィレンツェを去る日。5時過ぎに起きて準備を始める。町も宿も本当にいいところだったから、名残惜しい。最後に部屋の撮影をし、ホスト宛のメッセージと、お礼の10ユーロを置いていく。
 何度も確認をし、どきどきしながら部屋を出る。最後に鍵を中に置いていくため、忘れ物があっても取りに戻れないのだ。


 外はまだ暗い。歩いてバス停へと向かう。すぐにバスが来て乗り込んだものの、これで本当に合っているのか自信がない。そばにいた人に、「ノヴェッラ・ステイション?(ノヴェッラ駅まで行きますか?)」と聞くと、うなずいてくれた。これでひとまず安心。
 チケット確認のスタッフが回ってきた。こんなに朝早くから来るんだ、と思いつつ、チケットを見せる。乗る時に打刻は済ませてある。

 そろそろかなという場所でバスが停まり、人々が降りていく。ピサへ行く時に停まった場所とは違っているから、降りるかどうか迷う。一人の男性が「ステイション?」と聞いてくれたので、「イエス!」と答える。その人が、「ついてきて」というジェスチャーをするので一緒に降りる。自分達だけでは判断がつかない時はままあるが、こうしていろんな人に助けてもらいながら旅は進むのだ。

 無事に駅にたどりつく。かなり早めについたので、いったんベンチに座り、僕から先に交代で構内を見に行く。そばのカフェはまだ開いておらず、すこし離れた場所にあるカフェが開いていることを確認する。そこでは3種類のテイクアウトコーヒーが売られていた。駅から出て外観を撮影し、ベンチに戻る。
 つづいてあでりーが席を立つ。しばらくして、カプチーノの大サイズを買って戻ってきた。

 構内に入り、掲示を見上げるが、発車10分前になってもホーム番号が出てこない。ピサ行きで経験したとおり、もしホーム番号が1〜4番なら、また離れたホームまで移動しないといけなくなる。今日はスーツケースもあるから、もしそうなら早めに知りたい。
 駅のスタッフに確認したところ、どうやら出発が遅れている様子。ホームはおそらく8番か9番だろう、とのことなので、その近くで待つ。
 ようやくホーム番号が出た。10番だった。その後、列車が到着したので乗り込む。スーツケース置き場が小さくて苦労していたら、車内スタッフが来て、座席の後部スペースに押し込んでくれた。これでミラノまで安心だ。

 列車は10分遅れで発車した。一週間を過ごしたフィレンツェに別れを告げる。
 車内でビデオの撮影をこころみるが、防音壁が続いていて、なかなかうまく撮れない。ミラノに近づくにつれ、遠くに雪山が見えてきた。北へと向かっているのだ。気分が高まってくる。途中、霧であたりが真っ白になってしまったが、その後、徐々に晴れていった。
■ ミラノ到着
 10分ほどの遅れで、無事にミラノ到着。構内はなかなかに洗練されており、さすがファッションの街という雰囲気バリバリだ。まずはスーツケースを預けるため、調べてきた「Kipoint」を探す。到着フロアから2階分降りると地上階に出るが、その果てにあった。ここはコインロッカーではなく、スタッフが受け付けて荷物を預かってくれるのだ。大荷物を預け、身軽になる。
 僕は、持って来ていながらずっと使えずにいた、汎用キャリーを取り出す。荷台とタイヤがついており、この上にバッグやリュックなどを固定すればキャリーバッグになるというもの。旅行中の町歩きのために新たに買って持ってきたのだが、フィレンツェではずっと雨なので使えずにいた。ミラノは今日明日と晴れるらしいので、ようやく日の目を見ることができる。

 インフォメーションがあったので入る。ミラノカードを購入するのだ。ミラノカード(72時間用)は、72時間の交通機関が乗り放題になるうえ、美術館等の入場料が割引になるカード。これも事前に調べて、購入しようと決めていた。
 順番が来たので窓口に行き、ミラノカードを下さい、と告げると、スタッフは顔をしかめて何か言ってきた。英語が聞き取りづらくてよくわからなかったが、どうやら今日はストライキがあって地下鉄が動かないらしい。こちらからいくつか質問をしてみたが、今現在は動いているのか、時間制限のあるストライキなのかなど、詳しいところがわからない。あでりーと相談したすえ、とりあえず購入することに決める。

 地下鉄の乗り場におそるおそる移動してみる。なんとか動いているようだ。まずは有名な大聖堂(ドゥオーモ)に向かう。
 地上に出る。ドゥオーモが、どどーん、と出てきた。さすがに迫力がある。目の前が広場になっているから、遠くからでもその威容を眺められる。フィレンツェの大聖堂も素晴らしかったが、近くに寄らないと全貌が見えないため、その大きさを体感しづらかった。
 ゴシック様式特有の天を突き刺すように何本も伸びた尖塔も、迫力と華を演出している。広場の端から眺めると、上部が霞んで見えるほどに大きい。しばらく眺めたあと、すぐそばにあるショッピングアーケード「ガッレリア」に向かう。見事な装飾とガラス天井を見上げながら進む。それほど広くはないアーケードだが、中央あたりの床面に、有名な牛のレリーフがある。ここに足を置いて3周回ると、幸せになる、もう一度ミラノに戻って来られる、などの言い伝えがある。今日は人が集まっているので、試すのはまた次の機会にする。

ミラノの象徴、大聖堂(ドゥオーモ)

〜 ガッレリアの門の前 〜

〜 ガッレリアの中 〜
 先に早めの昼食をと思い、近くにある「LUINI」へ。ここは、パンツェロットという包み揚げのビザが低価格で味わえる店として、ミラノでは大人気だそうだ。着いてみると、確かにすごい人だかり。たくさん種類があって悩んだすえ、包み揚げではなく包み焼きを1個、それからポテトのフォカッチャ、ライスコロッケ風の六角形の揚げ物を買う。
 大聖堂が見える場所に移動し、座って食べる。たしかにどれも美味しい。意外に量があって、おなかいっぱいになる。

パンツェロット(ピザの包み焼き)

ポテトのフォカッチャ

ライスコロッケ風
 食後、あらためて大聖堂のチケットを買いに行く。広いスペースのチケット売り場は人でごった返していた。銀行などでよくあるように、番号札をもらって待つ。表示される番号と自分の番号を比べると、まだ70〜80人ほど待たなければいけないようだ。これはたまらん、と、明日の朝もう一度来ることにする。
 すこし歩いて、隣にあった1900年代美術館に入る。ここでまず、ミュージアムカードを購入する。ミラノカードを持っていれば割安の10ユーロで購入できるのだ。このミュージアムカード(正式名称は「ミラノツーリストミュージアムカード」)は、決められた8カ所の美術館・博物館が無料になる。僕たちは、この1900年代美術館の他、スフォルツァ城博物館、GAM近代美術館に行く予定だったので、このカードを購入したほうが得なのだ。こうしたカードは、自分にとって本当に得になる場合とそうでない場合とがあり、僕らは渡航前から入念に検討してきていた。

 撮影OKなのを確認し、中に入る。ところがビデオを撮っていると係員に注意されてしまった。聞くと、カメラはOKだがビデオは駄目、とのこと。初めてそんな注意を受けたが、その後も同じ条件のところはいくつかあった。以後、撮影について確認する時には、カメラとビデオはOKですか、と聞くようにした。
 あらためて鑑賞を始める。入ってすぐに、ガイドブックにも載っている有名な民衆の絵『第四階級/ペッリッツァ』が出てきた。思ったより大きな絵で迫力がある。その後は現代アート的な絵画がつづき、飛ばしながら見ることに。ピカソ、モランディ、モディリアーニ、キリコなどが並んでいた。

『第四階級/ペッリッツァ』

モランディの絵

あでりーの気に入った『マダム・ヴァージニア/ボッチォーニ』
 美術館を出てから、地下鉄で移動するため乗り場に向かうと、入口が閉鎖されていた。どうやら何かのデモ集会のため、入れないらしい。確かに大聖堂前では大きな音で音楽を鳴らしたり何かをしゃべったりしており、知らない間に警官もたくさん出ていた。それなら、とトラムの駅を探す。スフォルツァ城方面に行きたいのだが、大聖堂そばにある停留所からはその方面へのトラムはない。近くに別の停留所があるはずなので、警官に聞いてみる。いろいろと説明を受け、よくわからないながら言われたほうに歩き出すと、ほどなくトラムの停留所が見つかった。LANZAという駅で降りる。

〜 トラムから見たミラノ市街 〜

〜 トラムの駅前 〜
■ 今後の対策を練る
 調べてきたカフェ「Botega Caffe Cacao」に行ってみるが、定休日ではないはずなのになぜか閉まっていた。ここのカスタニーノ(栗クリーム入りコーヒー)を飲んでみたかったのに〜。仕方なく、向かいにあった別の店「Pourquoi Pas」に入る。
 店内のWifiをつなぎ、スマホとタブレットを使って調べ物をする。まずは今日の地下鉄の状況を確認するが、よくわからない。ミラノカードはタクシーのUBERも使えるから、UBERの登録をおこなおうとするが、これもうまくできない。列車の時刻表を見たいのだが、これも出てこない。何をやってもうまくいかず、イライラが募ってしまった。
 いつまでも調べてばかりいてもしょうがないので、とりあえず動くことにする。それにしても、ここで飲んだアメリカーノは美味しかった。

カフェ「Pourquoi Pas」
 13時30分頃に店を出て、スフォルツァ城まで歩く。敷地内に入ると、庭園がとても美しい。ここは、さきほど買ったミュージアムカードで入れる。博物館に入り、有名な「板張りの間」へ向かう。この部屋はダ・ヴィンチにより設計され、天井と壁面に彼の絵が描かれているのだ。ところが到着してみると今は修復中らしく、柵があって入れない。なんとか柵の隙間から天井の絵のはじっこを見る。

 博物館の中は、上に行ったり下に降りたりと迷路のように入り組んでいた。絵画館でティントレットやカナレットの絵を鑑賞し、いったん外に出て、次に目指すは、ミケランジェロ。『ロンダニーニのピエタ』という、ミケランジェロ晩年の作品があるのだ。
 途中、水道の蛇口で遊ぶ。蛇口の先端上部に穴があいており、蛇口を指でふさぐとその穴から水が上にぴゅーっ、と飛び出すのだ。イタリアの人はこうやって出てきた水を飲む、という光景をテレビでやっていて、現地に行ったらやってみたいと思っていた。
 『ロンダニーニのピエタ』は、やはり晩年の作だけあって、ミケランジェロ特有の筋肉ムキムキでもなく、全体的に迫力も乏しい作品だった。さっと見て、外に出る。

スフォルツァ城

入口あたり

〜 ダ・ヴィンチ作の天井画 〜

カナレットの絵

『ロンダニーニのピエタ/ミケランジェロ』
 すぐ近くに水族館があり、これもミュージアムカードで入れるので、行ってみることに。特に珍しい魚や海洋生物がいるわけではなく、家族連れの方がゆっくり遊びに来るような場所だった。ただ、僕はかなり疲れていたので、さっくりと流して見た。汎用キャリーを使っているから、リュックを背負っているよりもかなり楽ではあるが、それでも今日はかなり歩き回り、精神的にも疲弊することが多かった。

〜 水族館の門扉 〜

〜 水族館入口 〜
■ 宿までの騒動記
 これで今日の予定は終わりにし、宿へ向かうことにする。中央駅に戻り、スーパーで水や野菜を買う。時間が迫ってきたので、僕は預けた荷物を取りに行き、あでりーに会計をお願いする。あでりーにはその後、スーパーに来る途中で見つけたシチリア料理店「Antica Fabbrica dell’Arancina」で揚げ物をいくつか買ってきてもらった。荷物預かりのKipointの前で待っていると、あでりーが戻ってきた。

 宿はミラノから北へ向かった郊外にある。まずは地下鉄でガリバルディ駅に向かい、そこからローカル列車に乗り換える。中央駅の地下鉄乗り場に行くと、ちょうど電車が来ていたので、スーツケースを引きながら急いで乗り込む。乗っていた女性3人組があでりーのスーツケースを引き上げてくれたので、お礼を言う。
 ところが、電車が走り始めると、あでりーが青い顔をしている。どうやらスリに遭ったらしい。さっきの女性3人組だ。スーツケースを引き上げながら妙に振り回したりして、怪しいと思ったらしい。そうやって引き回している隙に、3人のうち一人が、あでりーが肩から下げていたカバンを開けて中身を抜き去ったようだ。お気に入りのペンギン柄ポーチを取られてしまったが、そこには貴重品はなく、財布等は無事だった。あでりーはその後しばらく落ち込んでいたけれど、被害が少なかったのは本当に幸いだった。

 ガリバルディ駅で地下鉄を降り、近郊鉄道の駅へ進む。そこで列車を待っていたが、待っても待ってもやってこない。やはりストライキの影響があるのだろうか。
 待っているあいだ、あでりーとスリについて、今後の対策を話し合う。カバンの持ち方を変え、列車にぎりぎりに乗り込むのはやめることなどを確認し合った。あでりーはやはり気持ちが沈んでいるようだったが、徐々に回復し、カバンをしっかり持ち直した。
 それでもまだ列車が来ないため、別の駅まで地下鉄で行き、タクシーに乗ろうか、などと相談する。宿の待ち合わせ時刻を過ぎてしまうのは確実だし、何より疲れがピークに来ているので、なんとか早く着きたい。

 ようやく待っていた列車が来た。ここでもかなり混んでいるため、乗り込む時は細心の注意を払う。乗ってもなかなか発車せず、ようやく出たと思ったら、その後も駅に着くたび、かなりの長時間停まるから、時間がどんどん過ぎていく。ずっと満席のままだから座ることもできず、混んでいるのもあって、疲労はどんどん溜まっていく。
 目指す駅は、終点の一つ前だ。あと5駅、あと3駅、とカウントダウンをし、遂に到着。ミラノカードで移動できる範囲を超えていたため、この駅で差額を支払う必要があると思っていたら、いつの間にか駅の外に出ていたので、まあいいか、とそのまま宿に向かうことに。
 事前に地図で調べてきた通り、駅から高架下をくぐって反対側に出る。すぐにロータリーがあり、そこを左に折れる。並木道が延々とつづく、ミラノ市内とはまったく異なる景色だ。鳥のさえずりも聞こえる。
 迷うことなく宿が見つかった。一時間遅れの到着だから、ホストは怒っているかも、と身構えていたが、出てきたアリスさんは若くてきれいな女性で、とても優しく迎えてくれた。これで本当に一安心だ。
■ ようやく宿で一息
 部屋は二階のワンルームで、隣にバスタブもあった。アリスさんとお母さんは下の階で暮らしている。一通り説明を聞き、部屋に上がって休む。下のダイニングを使うこともできたが、気兼ねをするのもしんどいので、自分たちの部屋で食事をとることにする。ニンジンとトマト、そして、あでりーがミラノ中央駅で買ってくれたコロッケ3種(アーティチョーク、シャケ、ボロネーゼ)。どれもおいしかったが、とくにボロネーゼが絶品だった。あでりーは、フィレンツェから水筒に入れてきたワインをやけ酒のように飲んでいた。

 食後のコーヒーが飲みたくなり、階下に降りる。インスタントでもよかったのだが、家庭用の火にかけるエスプレッソメーカーがあり、アリスさんが淹れてくれた。これを持って部屋に戻り、フィレンツェ最終日に買ったチョコと一緒にいただく。このチョコが素晴らしくおいしかった。さらに、パンの残りもたいらげた。

 食べながら、スリのことについて話す。こんな素晴らしい芸術の街に住んでいながらこういう犯罪を犯す人がいるのが不思議、とあでりーは言った。そして、他人事だった貧困がこんなに近くにあるのか、とも思ったようだ。ともあれ、元気を取り戻したようで安心した。
 その後、交代で風呂に入る。久しぶりのバスタブにゆっくりと浸かった。ただ、湯があまり熱くならないのがやや不満だった。
 風呂から上がると、あでりーは既に寝ていた。明日はまた早いので、僕もすぐに眠る。



〜 本日の夕食 〜
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