Japanese rose
山吹
山吹の出てくる物語や詩をご紹介しています。
バラ科の落葉低木
〔別名〕山振 〔花期〕4月〜6月
〔花言葉〕気品
<古典>
湯浅常山 「常山紀談」より
太田左衛門大夫持資は上杉定正の長臣なり。鷹狩に出でて雨にあひ、ある小屋に入りて蓑を借らんと言ふに、若き女の何とも物をば言はずして、山吹の花一枝折りて出だしければ、花を求むるに非らずとて怒りて帰りしに、これを聞きし人、それは、
七重八重 花は咲けども 山吹の 実の一つだに なきぞ悲しき
といふ古歌の意なるべしといふ。持資驚きて、それより歌に志を寄せりけり。
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太田左衛門大夫持資は、後に太田道灌として知られる人です。
彼が鷹狩に行ったときに雨にあい、ある小屋で蓑を貸してほしいといったところ、若い女性がただ山吹の花を差し出したので、怒って帰ってしまいました。ところが、後に差し出された山吹の意味を知り、歌に心を魅かれるようになった、という話です。
娘は山吹の枝を差し出すことで、我が家には蓑がありませんということを言いたかったのでした。(八重)山吹は実のないように、私の家にも蓑がありませんと詠んだ『後拾遺集』の兼明親王の和歌を踏まえています。
<短歌・俳句>
山振の 立ちよそひたる 山清水
酌めに行かねど 道の知らなく (高市皇子/万葉集)
ほろほろと 山吹ちるか 滝の音 (芭蕉)
<詩>
八木重吉 「こころ 暗き日」
やまぶきの 花
つばきのはな
こころくらきけふ しきりにみたし
やまぶきのはな
つばきのはな