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Cercis chinensis

ハナズオウ

ハナズオウの出てくる物語をご紹介しています。

ハナズオウ

マメ科の落葉大中高木

〔別名〕スオウ 〔花期〕4月〜5月

〔花言葉〕不信・裏切り

中国原産。日本へは江戸時代に渡来。4月ごろ、葉より先に紅紫色の花が枝に群れて咲く。ハナズオウの名は、花の色が蘇枋染めの紅紫色に似ていることからついた。

 

<古典>


「御伽草子」より

田眞、田廣、田慶、この三人は兄弟なり。親に後れて後、親の財宝を三つに分けて取れるが、庭前に紫荊樹とて、枝葉栄へ、花も咲き乱れたる木一本あり。この木をも三つに分けて取るべしとて、夜もすがら三人詮議しけるが、夜のすでに明けければ、木を切らんとて、木のもとへ至りければ、昨日まで栄へたる木が、にはかに枯れたり。田眞これを見て、「草木心ありて、切りわかたんといへるを聞ひて、枯れたり。まことに人として、これをわきまへざるべしや」とて、わかたずして置きたれば、また再びもとの如く栄へたるとなり。

+ + +

同じようなお話が「注好選」にもありました。あちらは、薔薇のお話で、三人兄弟に三本の薔薇だったのですが、こちらは三人兄弟に一本のハナズオウとなっています。
基本のお話は一緒で、兄弟三人で分けるために切ってしまおうと相談していた木が急に枯れてしまい、反省して切るのを止めると、木が元のように戻ったというパターンです。