= INDEX =
1 アリゾナの風来坊 2 オカバンゴのフォックス 3 入墨屋のルソー 4 ルーマニアの自転車乗り 5 キリマンジャロのセラフィンとエリ 6 アラスカのジャックさん 7 アマゾンのナポレオン 8 パプアの村人たち 9 ウォークマン 10 エルサルバドルのコロー 11 エクアドルの警官 12 イランのホセイン 13 ヒンバ族 14 ザンビアの妖術師 15 国境警備隊 16 マサイの大男 17 ツルカナ族 18 メキシコのおじさん 19 巡礼船にて 20 牛をつれたおばさん |
アフリカ大陸の最高峰キリマンジャロは条件が良ければ、素人でも登れる山だ。登頂した旅行者達が口々にそう言うので僕もナイロビで仲間を見つけ登ってみる事にした。
僕らのようなただの旅行者が登山する最も簡単な方法は地元のツアーに参加する事だ。ツアーにはルールとしてガイドとポーターがつく。しかしどんなガイドが付くかは運みたいなもんで僕らのガイド、セラフィンは居もしないポーターをでっちあげ金をたかろうとしたりする、かなり困ったヤツだった。
それどころか彼は深夜の5000メートル付近の斜面で高山病でダウンしてしまったのだ。どうしようかと思っているとそこに先行していた白人グループが高山病でフラフラ降りてきた。それで彼等のガイドと交替でセラフィンにはキボの山小屋まで降りてもらう事にした。
新しいガイド、エリは余計な事は言わないで完璧に僕らをリードしてくれる洗練されたプロのガイドだった。山頂付近で雪が緑やピンクに見えるフラフラの状態の時もエリがいつも側に居てくれるおかげて僕らは安心して歩けた。
登頂後、キボで彼と別れた僕らはまたセラフィンと下山を始めたのだが、その下の山小屋で雪盲に襲われた僕はサングラスなしでは目が開けられなくなった。その時オモチャのサングラスを高額で売りつけようとしてセラフィンが言った『あなたは目とお金どっちが大事なの?』というセリフはなかなか素晴らしかった。どんなガイドが付くかで登山は変わる。 |