11 エクアドルの警官
旅する冒険ライダー 坪井伸吾のページです

 

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1 アリゾナの風来坊
2 オカバンゴのフォックス
3 入墨屋のルソー
4 ルーマニアの自転車乗り
5 キリマンジャロのセラフィンとエリ
6 アラスカのジャックさん
7 アマゾンのナポレオン
8 パプアの村人たち
9 ウォークマン
10 エルサルバドルのコロー
11 エクアドルの警官
12 イランのホセイン
13 ヒンバ族
14 ザンビアの妖術師
15 国境警備隊
16 マサイの大男
17 ツルカナ族
18 メキシコのおじさん
19 巡礼船にて
20 牛をつれたおばさん


パナマから南米エクアドルのキトにバイクを空輸した。ところが明日着くと言ったバイクが三日たっても来ない。おかしいなと思って大使館で調べてもらうと、嘘八百の書類を作られていた。同じ問題に困っていたスペイン人ライダー、ミゲルと航空会社に抗議に行くと、解決したいならミゲルは二十ドル、僕には二千ドル払えという。「なぜ僕だけ百倍の料金なんだ?」と怒ると「日本人は金持ちでしょ」とすごいセリフを吐く。キトの税関はすべてこの調子だった。

弁護士を雇って腹立たしい交渉を一ヶ月半続けやっとバイクを受け取ったら、今度は警察の護送付きでの七二時間以内の国外退去命令だ。しかも護送付きというのは警官と二人乗りで国境までの六百キロを走れという意味らしい。出発の日は雨降りだった。カッパを探すと税関で盗まれている。ぶつくさ言いながらハタチの警官ガロを乗せて走り出す。

バイクは後に乗る方が疲れる。マシンガンを持って威張っていたガロも、一日で山道を六百キロ走ってやると文句を言う元気も無くした。ところがペルー国境の町まで来ると、彼はこんなに遠くへ来たのは初めてだと急にはしゃぎだし、ホテルに入るなり私服に着替え「私は今から警官ではない」と宣言した。

どういうことだと思っていると、ハイになった彼は二階の窓から女の子を大声でナンパしはじめた。その時点でガロは警官から友達になった。 翌日、ペルー国境まで来た彼は「キトまで帰るバス代をくれ」と言った。警官もたいへんだ。

 

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