4 ルーマニアの自転車乗り
旅する冒険ライダー 坪井伸吾のページです

 

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1 アリゾナの風来坊
2 オカバンゴのフォックス
3 入墨屋のルソー
4 ルーマニアの自転車乗り
5 キリマンジャロのセラフィンとエリ
6 アラスカのジャックさん
7 アマゾンのナポレオン
8 パプアの村人たち
9 ウォークマン
10 エルサルバドルのコロー
11 エクアドルの警官
12 イランのホセイン
13 ヒンバ族
14 ザンビアの妖術師
15 国境警備隊
16 マサイの大男
17 ツルカナ族
18 メキシコのおじさん
19 巡礼船にて
20 牛をつれたおばさん


ある日ルーマニア人がスーパーで売ってるようなマウンテンバイクで京都の僕の下宿にやってきた。宅配便でさえ見つけられずに電話を掛けてくる“迷宮”の我家を、日本語も話せず良く見つけられたものだ。

彼が来たのは、二週間前に埼玉の友達から『ルーマニアの自転車乗りが今うちにいる。これから南下するので、現れたら面倒みてやってくれ』と頼まれたからだった。しかし、長い間海外をぶらついた僕もルーマニアには縁がなく、コマネチとドラキュラぐらいの知識しかない。

だが、余計な心配はいらなかった。彼ぐらいのベテラン旅行者になると、どこでも寝られるし、何でも食べられる。あんまり何でも食べるので、試しにイカの塩辛を出したら、それも食べていた。国でマスコミ関係の仕事をしていた彼には、日本のすべてに興味があるようで新幹線や王将のギョーザまで写真をとる。

最初から僕は彼を客ではなく友達として扱った。どこかに行きたいと言えば、バイクの後に乗せてやった。喜んで派手な雄たけびを上げる彼を乗せるのはかなり恥ずかしいのだが、叫ぶ外人を見て車が道を譲る様子はなかなか面白かった。あちこちで外人として丁寧な扱いを受けてきた彼には、僕のいい加減な態度は逆に新鮮だったようだ。

その彼から先日、自転車世界一周して三年ぶりに帰国したという手紙が届いた。何でもルーマニア人としては初めての快挙で、国では英雄になったらしい。

 

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