= INDEX =
1 ｱﾘｿﾞﾅの風来坊
2 ｵｶﾊﾞﾝｺﾞのﾌｫｯｸｽ
3 入墨屋のﾙｿｰ
4 ﾙｰﾏﾆｱの自転車乗り
5 ｷﾘﾏﾝｼﾞｬﾛのｾﾗﾌｨﾝとｴﾘ
6 ｱﾗｽｶのｼﾞｬｯｸさん
7 ｱﾏｿﾞﾝのﾅﾎﾟﾚｵﾝ
8 ﾊﾟﾌﾟｱの村人たち
9 ｳｫｰｸﾏﾝ
10 ｴﾙｻﾙﾊﾞﾄﾞﾙのｺﾛｰ
11 ｴｸｱﾄﾞﾙの警官
12 ｲﾗﾝのﾎｾｲﾝ
13 ﾋﾝﾊﾞ族
14 ｻﾞﾝﾋﾞｱの妖術師
15 国境警備隊
16 ﾏｻｲの大男
17 ﾂﾙｶﾅ族
18 ﾒｷｼｺのおじさん
19 巡礼船にて
20 牛をつれたおばさん |
ナミビア北部のヒンバ族の村で裁判にかけられた。理由は村に勝手に入り込んだからのようだ。村の集会所に連れていかれた僕を取り囲むように四人の実力者が座り、最後に正面にボスらしき女性がズシンと座った。小屋の外ではすでに数十人の村人達が凝視している。その表情は怒りあり笑いありで、これから自分が彼らにどう裁かれるのかは想像もできない。
前日、僕は近くの村の白人経営のホテルにいた。そこのオーナーの企画したツアーでヒンバ族に会う事も出来た。しかし僕は対等に話したかったのだ。それで勝手に彼らの村はずれに来てみたが、どう近付いていいか分からない。
木陰で村の様子を見てると、皮のスカートをはいた戦士が部族語で話しかけてきた。僕に言葉が通じないと悟った彼は太陽を指し、次に僕の時計を指し、最後に腹をポンポンと叩き、村を指した。総合すると「昼だから腹が減った。お前はどうだ？腹減ってるなら村に来いよ」といった感じだろうか。かなり不安だったが彼についていってみた。しかし村に入るとすぐ彼は消えてしまい。おろおろしているうちに集会所に連れていかれたというわけだ。
幸い村には英語が出来る人がいてボスの質問を通訳してくれた。彼らも初めて見る日本人にとまどっているようだ。ボスがポリバケツに入った緑の液体を飲めというと全員の注目が集まった。
もう逃げられない。恐る恐る飲むとビールみたいだ。ボスが笑った。どうやら許されたらしい。もしかしたら裁判じゃなくて歓迎だったのかもしれない。 |
13 ﾋﾝﾊﾞ族
