= INDEX =
1 アリゾナの風来坊 2 オカバンゴのフォックス 3 入墨屋のルソー 4 ルーマニアの自転車乗り 5 キリマンジャロのセラフィンとエリ 6 アラスカのジャックさん 7 アマゾンのナポレオン 8 パプアの村人たち 9 ウォークマン 10 エルサルバドルのコロー 11 エクアドルの警官 12 イランのホセイン 13 ヒンバ族 14 ザンビアの妖術師 15 国境警備隊 16 マサイの大男 17 ツルカナ族 18 メキシコのおじさん 19 巡礼船にて 20 牛をつれたおばさん |
マサイステップと呼ばれるタンザニアの荒れ地をバイクで走ってると道に迷った。というより途中から道がなくなった。仕方ないのではだしの足跡を追ってゆっくり進むと、やがて灌木のない場所に出た。かなり砂は深いけど取り敢えずこれは道だろう。
しばらく進むと後輪の様子がおかしい。日陰すらない嫌な所でパンクしてしまったようだ。容赦ない暑さのなか、赤い砂にまみれてタイヤをはずそうと引っ張ってると、横から大きな手が出てきてタイヤを掴んだ。驚いて振り向くと真っ赤なマントの、背の高いマサイが隣にいる。音どころか気配すらも感じなかったので一瞬心臓が止まるぐらい驚いた。
マサイは怖い顔のまま『俺は何をすればいい?』というような事を言うのでタイヤを外すのを手伝ってもらう。残りの作業を進める間、彼は黙って横に座って見ていたが終わるとまた話しかけてきた。僕がマサイ語が分からないと気付くと、なんとスワヒリ語、さらに英語で質問してくる。
『お前はどこの部族だ?』うーん、僕って日本部族なんだろうか・・。『これからどこへ行く』『ダルエスサラームだ』『それは無理だ』えっ!なぜだ?この先で道がなくなってるのか?。しかし引き返すにはガソリンがない。まいったなぁと思いながら『なぜ無理なんだ』と聞いてみると、彼は『遠いから』とあっさり答えた。何か強烈な脱力感に襲われグッタリした。なるほど歩くと遠いだろうな。 |