= INDEX =
1 アリゾナの風来坊 2 オカバンゴのフォックス 3 入墨屋のルソー 4 ルーマニアの自転車乗り 5 キリマンジャロのセラフィンとエリ 6 アラスカのジャックさん 7 アマゾンのナポレオン 8 パプアの村人たち 9 ウォークマン 10 エルサルバドルのコロー 11 エクアドルの警官 12 イランのホセイン 13 ヒンバ族 14 ザンビアの妖術師 15 国境警備隊 16 マサイの大男 17 ツルカナ族 18 メキシコのおじさん 19 巡礼船にて 20 牛をつれたおばさん |
ケニヤ北東部の明りもない村で、ヒマなので星を見てると二枚目の青年が『これから結婚式があるから来い』と話しかけてきた。『よそ者が行ってもいいのか』と聞くと『父さんが酋長だから大丈夫だ』という。この辺はツルカナ族の土地だ。昼間も鮮やかなビーズ飾りの彼等をみかけた。でも伝統色の強そうな彼等がなぜ僕を誘うんだろう?
彼の村は満月に照らされた荒野を一時間ほど歩いた所にあった。酋長に御土産の紙タバコを渡すと、彼は僕のために素早く牛皮を敷き、お茶を出してくれた。僕は認められたらしい。すぐに子供達がうれしそうに集まってきた。
青年の通訳で酋長と話してると『アナタは独身か、ならこの中からどれでも連れていけ』とどこかで聞いたような事を言う。丁寧に辞退すると『そうか嫁は何人いても、いいものなのに』と彼は寂しそうに言った。
その時、子供達の踊りが始まった。様子を見に行くと喜んだ彼等は、僕を踊りの輪に加えてくれた。まず青年が見本を示し子供達と僕がマネする。こんな風に自然に彼等の文化は継承されているんだ。僕の番が来て手拍子に合わせてジャンプすると大爆笑がおこった。
しばらく楽しく遊んでいたら、気が付けば銃や槍を持った男達に囲まれていた。ヤバイ!全身に寒気が走った。しかし彼等は隣村から遊びにきただけの戦士だった。『これからツルカナ湖まで結婚を祝って歩くからお前も来い』と彼等は言った。しかしここからツルカナ湖はどう考えても100キロはあるはずだった。
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