肝硬変とは

肝硬変とは
 肝硬変は、肝臓の細胞が様々な原因で損傷し、線維化し、その機能が失われた状態を言います。
肝臓は、蛋白質や酵素を作ったりコレステロールを調整したり、エネルギーを蓄え体内の有害物質を解毒したり、人の生存に欠かせない役割を果たしています。

 

 肝硬変により、これらの働きが出来なくなると胆汁が逆流して黄疸が出たり、腹水、腎障害などが現れます。
肝硬変そのものに対する治療薬はなく、西洋医学では、肝硬変に伴う症状の対処療法が中心になります。

肝硬変の原因

肝硬変の原因は

  • B型肝炎
  • C型肝炎
  • アルコール性肝炎
  • 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
  • 薬物または毒物の長期摂取による肝障害
  • 自己免疫性肝炎
  • 総胆管の閉塞
  • 銅又は鉄の異常蓄積

などで、肝硬変の60%がC型肝炎が原因です

肝硬変の経過

肝硬変は、長い時間をかけてゆっくりと発症します。肝臓は再生能力を持っており、一部が損傷しても肝機能を維持できるようになっています。
そのため、肝硬変がゆっくりと進行している段階では、多くの場合、自覚症状がありません。しかし、時間が経過すると、疲れやすくなったり、食欲が低下するなどの症状が現れます。

肝硬変の症状

肝硬変の主な症状は

  • 食欲不振
  • だるさ・だるい(倦怠感)
  • 疲れやすい
  • 息切れ
  • むくみ(足の浮腫)
  • 腹水
  • 手の震え
  • 黄疸
  • 毛細血管が目立つ

などです。

腹水・むくみ

腹水とは
 肝臓は、血管内の血液量の調整を行うアルブミンを生産しますが、肝臓の機能低下で低アルブミン血症となり、腹水や足のむくみが生じます。

 

 肝硬変から肝臓がんの経過で腹水や胸水が溜まりやすくなります。また、その他のがんの転移で腹膜炎となり腹水が溜まる場合もあります。
 西洋医学では、先ず利尿剤を使い、なかなか腹水が排出されないよな場合穿刺が行われます。

 

 漢方では、肝硬変や肝臓がんの場合の腹水の場合は、抗炎症作用のある柴胡剤に利水剤が配合された漢方薬を用います。利尿剤の様に尿の排出だけでなく、体内での水分の偏在を取り除き、結果、尿として排出を促します。

 

 その他の原因による腹水を含め、その多くは、体力の低下、食欲の不振といった状態で漢方で言う「虚」の状態であることが多く、そういった場合は、消化機能を補い元気を付けながら利水と補気ができる漢方薬を用いQOLを高めます。
虚証の場合、補剤としての漢方薬には、甘草、大棗など甘味の生薬が配合されており、かえって浮腫が進む場合があるのでその点を考慮しての漢方薬の選定が必要になります。

黄疸

 肝臓でヘモグロビンを使ってビリルビンが作られ、一旦胆のうに溜められたのち胆汁として胆管を通じて十二指腸に流れ込みます。胆汁は、脂肪分を分解吸収るために必要で、 余った分は再吸収され再利用されます。

 

 肝硬変が進むと胆汁が逆流し、血液中に入り込み皮膚や白目が黄色っぽい胆汁の色になり、尿の色も濃くなります。逆に便は、白っぽくなります。

 

 黄疸自体は、直ちに生命にかかわる病変ではありませんが、皮膚の色、かゆみ、出血、血液中の酸素・栄養素の運搬機能の低下をもたらし、貧血や栄養不良を起こす場合があります。

  • 溶血性黄疸

   赤血球が壊され貧血となりビリルビンが血中にあふれ出す黄疸

  • 肝機能低下による黄疸

   肝炎、肝硬変、肝臓がんなどでみられる黄疸

  • 閉塞性黄疸

   胆管が何らかの原因で詰り胆汁が血液中に流れ出す黄疸。肝臓がん、胆管癌などにみられる。

 

 西洋医学では、利胆薬のウルソデオキシコール酸をよく使います。しかしこれは、和漢薬の応用であって、昔は、熊胆を使っていました。

 

 漢方薬では、よく牛黄を使います。肝機保護作用と利胆作用にすぐれています。
 また、一般用漢方処方では、インチンコウが配合された漢方薬を清熱、利胆目的に用います。

肝硬変の西洋薬の治療

 肝硬変に対しては、肝硬変そのものの治療薬がないため、それぞれの症状に対し対処療法を行います。

 

 たとえば、腹水やむくみに対しては、アルダクトン、ラシックスなどの利尿薬やアルブミン製を使い、高たんぱくをとる必要から、必須アミノ酸BCAA製剤などが使用されます。

肝硬変の漢方薬

 漢方では、慢性肝炎と肝硬変を特に区別することなく、その人の証に従い漢方薬を用います。

 

 肝硬変をはじめ肝障害によく現れる症候として「胸脇苦満」と呼ばれる特徴的な腹証があります。これは半表半裏に病がある時に柴胡剤を使う目標となるもので、季肋部、心窩部の重苦しさは自覚としても感じられます。
つまり、柴胡剤を中心にお血剤や血剤、又は虚証の人には脾胃を補う漢方薬を用います。また柴胡剤を用いる場合は、その人の状態や、証に従って水剤を合わせて用います。

 

 慢性肝炎肝硬変になるとストレスも多く感じ、気のめぐりが悪くなります。気のめぐりが悪くなれば、肝気も滞ります。その際には、柴胡剤と気剤が配合された漢方薬を用います。

 

 腹水やむくみに対しては、西洋薬の利尿薬のような作用ではなく利水作用(体内の水滞の偏在をさばく)のある漢方薬や脾胃(消化機能)を調え体力を補いながら自然に利尿できる漢方薬を用います。

 

 肝機能改善や炎症に対しては、牛黄・人参製剤を用います。
 牛黄は、医学大学の研究結果や製薬会社のマウス実験においても肝細胞の保護、肝血流の増加、異物排泄能亢進、利胆作用などの肝機能改善の効果が実証されています。

 

 漢方の古典である、本草綱目には牛黄について
「肝、胆を益し、精神を定め、熱を除き、驚痢を止め、悪気を辟け百病を除く」と孫思ばくの説を取り上げています。
 人参は、体内の代謝調節作用があり、体を常に正常に保つホメオスタシスに役立っています。人参は、肝細胞が新しく生まれ変わるのに必要な脂肪、タンパク質の代謝を促進し、マクロファジーの活性作用で肝炎予防にも役立ちます。

 

 漢方の古典では牛黄の説明で「人参を使となす」と言い、牛黄と人参の組み合わせが大変効果的だといっています。この牛黄と人参の組み合わせは肝炎や肝硬変改善に是非用いていただきた漢方薬の一つです。

 

牛黄(薬味薬性:苦平 血剤)
人参(薬味薬性:甘微寒 水剤)

肝硬変の養生

肝硬変の食養生としては、高たんぱく、低脂肪が基本で、暴飲暴食は禁物です。お酒は禁止です。
日ごろから魚介類、大豆を中心とした豆類、野菜、海藻を中心とした食事にします。できれば一歩進んで薬膳理論に基づいた食養生が一番。

 

 コレステロールを減少させるため、動物性の食材は避け、食物繊維が豊富な食事に心がけましょう。

 

 食養生は、肝硬変改善には大変重要です。私たちの心身は、食べ物から出来ています。間違った食べ方、食べてはいけないものを改善し、食養生・薬膳の理にかなった正しい食べ方、正しい食材を理解し食養生を実践し肝臓に負担をかけないよう、その働きを助ける養生をしましょう。 

 

 身近な食材を使った薬膳から、漢方食材を使った薬膳まで、漢方理論に基づいた薬膳を漢方の専門家ならではの薬膳をご自宅で実践できる方法でご提案いたします。
 薬膳は、漢方薬同様その人その人に合った薬膳を具体的にご提案いたします。

 

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