論理記号∀  : トピック一覧

【記号∀の説明】
 ・論理記号∀の呼称
 ・論理記号∀の使用法
  x P(x) / xX P(x)
  x P(x,y) / xX P(x,y)
 ・論理記号∀の読み下し方
 ・論理記号∀の推論規則
  −論理記号∀の導入則
  −論理記号∀の除去則
【用語別】
 ・全称量化記号
 ・全称記号
 ・universal quantifier 
 ・全称量化子
 ・全称作用素

・対象領域
・議論領域
・変項の定義域

全称量化
全称量化子による量化
普遍量化
・束縛する
・束縛変数(束縛変項)
・自由変数(自由変項)


∀変項∈範囲 二項述語 
論理記号∀ 
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述語・命題関数
古典論理
総目次  


「∀ 変項∈範囲  二項述語」の具体例3  




  xS ( x loves y ) 
  yT ( x loves y ) 


【解釈】

  「∀ 変項∈範囲 2項述語」というかたちにおいて、
   変項xおよびy範囲xおよびy二項述語を「 x loves y 」としたもの。

【意味】

 ・「xS ( x loves y )」は、
関連:"x loves y" /「x ( x loves y )/「y ( x loves y )/「x ( x loves y )/「y ( x loves y )/「xS ( x loves y )/「yT ( x loves y ) 
さらに量化:「∀xS yT ( x loves y )」/「∃xSyT ( x loves y )」 / 「∃ySxT ( x loves y )」  




【文献】
 ・戸田山『論理学をつくる』7.1.4多重量化(p.167)
 ・野矢茂樹『論理学』第2章第2節-多重量化(pp.96-97)二重量化の説明.
 ・本橋『新しい論理序説』4.1量化の問題(p.64):∃∃,∃∀。
 ・岡田光弘『2008年度論理学I講義ノート』第4章述語論理(pp.29-32):






  「xが、Sの誰であっても、xyを愛すという性質・条件を満たす」つまり、「Sの誰もが、yを愛す」「Sの誰からもyは愛される」という
   yの中身だけに依存して、様々な命題を表す命題関数1変項yの命題関数)。
 
 ・「yT ( x loves y )」は、
    「yが、Tの誰であっても、xyを愛すという性質・条件を満たす」つまり、「xTの誰もを愛する」という
   xの中身だけに依存して、様々な命題を表す命題関数1変項xの命題関数)。

 ・2項述語(2変数命題関数) x loves y 」は、

     ・m-flo loves  野宮真貴 
     ・m-flo loves  melody.  
     ・m-flo loves  BOA  
     ・m-flo loves  PERFUME 
     ・m-flo loves  吉幾三 
     ・SHE loves  YOU 
     ・I love YOU   
     ・小林聡美 loves 
     ・鳥居みゆき loves 戸川純 
     ・x loves Japan
     ・x loves TOKYO
     ・x loves the world

  といった具合に、
  x,yの中身に依存して、様々な命題を表すが、

  1変項yの命題関数x∈Perfume ( x loves y )」 (Perfumeの誰もが  loves y )は、

     ・xPerfume ( x loves the world )    「Perfumeの誰もが、loves the world
     ・xPerfume ( x loves )        「Perfumeの誰もがやっぱり猫が好き
     ・xPerfume ( x loves 野宮真貴 )    「Perfumeの誰もが野宮真貴のこと、好きなんだよね。」
     ・xPerfume ( loves 戸川純 )     「Perfumeの誰もが戸川純のこと、好き好き大好き

  といった具合に、
  yの中身(the world, , 野宮真貴, 戸川純,…)だけに依存して、様々な命題を表し、 


  1変項yの命題関数x∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( x loves y )」 は、

     ・x∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( x loves the world )    「アラフォー男性って、みんなloves the world
     ・x∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( x loves )        「アラフォー男性って、みんな、やっぱり猫が好きなんだよね」
     ・x∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( x loves 野宮真貴 )    「アラフォー男性って、みんな野宮真貴のこと、好きなんだよね。」
     ・x∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( loves 戸川純 )     「アラフォー男性は誰でも、戸川純のこと、好き好き大好き

  といった具合に、
  yの中身(the world, , 野宮真貴, 戸川純,…)だけに依存して、様々な命題を表す。

  同様に、


  1変項xの命題関数yPerfume ( x loves y )」 は、

     ・y∈Perfume ( m-flo loves y )              「m-floは、Perfumeの誰もを love
     ・y∈Perfume (  YMO loves y )              「YMOは、Perfumeの誰もを love

  といった具合に、
  xの中身(m-flo, YMO, …)だけに依存して、様々な命題を表し、 

  1変項xの命題関数yT ( x loves y )」 は、

     ・y∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( 野宮真貴 loves y )    
     ・y∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( 戸川純 loves y )    
     ・x∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( loves y )        

  といった具合に、
  xの中身(野宮真貴, 戸川純, , …)だけに依存して、様々な命題を表す。 





【言い換え】

・「xS ( x loves y )
  (xSに属す誰であれ、yを愛す)(Sの誰もが、yを愛す) 
 は、
 「x ( xS x loves y )
  (xが誰であれ、xSに属すならば、yを愛す)(誰もがSに属すならばyを愛す)
 に言い換えてよい。


   xX "x loves y" の言い換え
  「∀xSyT P(x,y)の言い換え/「∃xSyT P(x,y)の言い換え 


 




 なぜ?→xSの定義  

 具体例:
  ・「xPerfume ( x loves y )」(xPerfumeに属す誰であれ、loves y) は、 
   「x ( xPerfume x loves y )」(xが誰であれ、xPerfumeに属すならばloves y)に言い換えてよい。
  

・「yT ( x loves y )」(yTに属す誰であれ、xyを愛す) (xは、Tの誰もを愛す)  
 は、
 「 y ( yT x loves y ) 」(yが誰であれ、yTに属すならば、xyを愛す)(Tに属すならば誰をも、xは愛す)
              (yが誰であれ、yTに属すならば、yxから愛される)(Tに属すならば誰もが、xから愛される)
 に言い換えてよい。 

 なぜ?→yTの定義  

 具体例:
  ・y∈Perfume ( x loves y )  (xは、Perfumeの誰もを love) は、
   「 y ( yPerfume x loves y ) 」(yが誰であれ、yPerfumeに属すならばxyを愛す)
 に言い換えてよい。 [→さらなる量化]
   






【Sが内包的に定義されているときの言い換え】

・「xS ( x loves y )

  (xSに属す誰であれ、xyを愛す)
  (Sの誰もが、yを愛す) 
 は、




   xX "x loves y" の言い換え
  「∀xSyT P(x,y)の言い換え/「∃xSyT P(x,y)の言い換え 


  S{ x' | S'(x) }  (Sは「議論領域から《条件S'を満たす対象》をすべてあつめた集合」)

 のとき、

 「x ( S'(x) x loves y )」 (xが誰であれ、x条件S'を満たすならば、yを愛す)(誰もがS'ならばyを愛す)

 に言い換えてよい。

 なぜ?→xSの言い換え(Sが内包的に定義されている場合)  

 具体例:

  ・「x∈50代男性を全員あつめた集合 ( loves y )
    (xが『50代男性を全員あつめた集合』に属す誰であれ、xは、yのこと、好き好き大好き
   は、
   「x ( xは50代男性である」  x loves y )」 (xが誰であれ、xが50代男性であるならば、yのこと、好き好き大好き
   に言い換えてよい。
    

【Tが内包的に定義されているときの言い換え】

・「yT ( x loves y )」(yTに属す誰であれ、xyを愛す) (xは、Tの誰もを愛す)  

 は、
 
  T{ y' | T'(y) }  (Tは「議論領域から《条件T'を満たす対象》をすべてあつめた集合」)

 のとき、

 「y ( T'(y) x loves y )」 (yが誰であれ、y条件T'を満たすならば、xyを愛す

 に言い換えてよい。

 なぜ?→yTの言い換え(Tが内包的に定義されている場合)  

 具体例:

  ・芸能界{ x' | xは芸能人である }  (「芸能界」は《条件『xは芸能人である』を満たす対象》をすべてあつめた集合」)
   との定義のもとで、  
   y∈芸能界 ( x loves y ) 「xは、芸能界に籍を置いている誰をも好き」は、
   「y ( yは芸能人である x loves y )」 (xは、誰でも芸能人なら、好き。)
   に言い換えてよい。





【Sが『外延的に定義された有限集合』のときの言い換え】

・「xS ( x loves y )」 (xSに属す誰であれ、yを愛す)(Sの誰もが、yを愛す) (yは、Sの誰からも愛されている)

 は、

  S { a1 , a2 , … , an }   のとき、
 
  "a1 loves y" かつ "a2 loves yかつかつ "an loves y"  
    (a1a2 も …  anyを愛す)(yは、a1 からも a2からも… anからも愛されている)

 に言い換えてよい。

 なぜ?→xSの言い換え(Sが外延的に定義されている場合)  

 具体例:
  ・Perfumeの定義より、Perfume { 大本, 西脇, 樫野 } だから、 
   「xPerfume ( x loves y )」(xPerfumeに属す誰であれ、loves y) は、 
   「"大本 loves y " かつ "西脇 loves y" かつ "樫野 loves y" 」
    (大本西脇樫野yが好き)(yは、大本からも西脇からも樫野からも気に入られてる)
   に言い換えてよい。 

【Tが『外延的に定義された有限集合』のときの言い換え】
  
・「yT ( x loves y )」(yTに属す誰であれ、xyを愛す) (xは、Tの誰もを愛す)  

 は、

  T { a1 , a2 , … , an }   のとき、

  "x loves a1" かつ "x loves a2かつかつ "x loves an"      
    (xは、a1a2も… anも好き)(a1a2 も …  anxから愛されている)

 に言い換えてよい。


 なぜ?→yTの言い換え(Sが外延的に定義されている場合)  

 具体例:
  ・Perfumeの定義より、Perfume { 大本, 西脇, 樫野 } だから、 
   y∈Perfume ( x loves y )  (xは、Perfumeの誰もを love) は、
   「"x loves 大本" かつ "x loves 西脇" かつ "x loves 樫野" 」
    (xは、大本西脇樫野も好き)(大本西脇樫野xから気に入られてる)
   に言い換えてよい。 
 



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【読み下し例】

・「xS ( x loves y )

 「Sならだれでもyを愛しているぜ」[戸田山p.167]

 「Sのすべての人は、yが好き。」[岡田p.30] 

 「Sのすべての人はyを愛する」[野矢問題42(p.97)]

 「ySのすべての人から愛される」[野矢問題433(p.97)

 「Sの誰もが yを愛する」[野矢p.98]


・「yT ( x loves y )  」

 「xTなら誰でも好きになっちまうのさ」[戸田山p.167]

 「xTのすべての人を愛する」[野矢問題42(p.97)


一般化:xS P(x,y)の読み /x P(x,y)の読み
さらに量化:「∀xS yT ( x loves y )」/「∃xSyT ( x loves y )」 / 「∃ySxT ( x loves y )」  




【文献】
 ・戸田山『論理学をつくる』7.1.3練習問題49(4)(8)(p.167)
 ・野矢茂樹『論理学』第2章第2節-多重量化(pp.96-97)二重量化の説明.
 ・本橋『新しい論理序説』4.1量化の問題(p.64):∃∃,∃∀。
 ・岡田光弘『2008年度論理学I講義ノート』第4章述語論理(pp.29-32):







【用語:全称記号・量化子・量化】

  ・「xS ( x loves y )」「yT ( x loves y )」の「∀」は、全称記号とよばれる論理記号

  ・「xS ( x loves y )」「yT ( x loves y )」 の「∀x」「∀y」は、全称量化子全称作用素とよばれる。
 
  ・全称量化子・作用素「∀xS」「∀yT」を「 x loves y 」の前につけてxS ( x loves y )」「yT ( x loves y )」をつくることは、
   全称量化・普遍量化とよばれる





【用語:スコープ】

  ・「xS ( x loves y )」というかたちのなかで、全称量化子・作用素「∀xS」によって量化された
    「 x loves y
   は、
   全称量化子・作用素「∀xS」のスコープscope適用範囲,視野,作用域 
   などと呼ばれる。 




【用語:束縛変数・自由変数】

  ・「xS ( x loves y )」において、xSによって量化されたx loves y 」のなかの変数xは、
   束縛変数とよばれる。

  ・「xS ( x loves y )」において、xSによって量化されたx loves y 」のなかで、
   束縛されていない方の変数yは、自由変数とよばれる。

  ・「yT ( x loves y )」において、yTによって量化されたx loves y 」のなかの変数yは、
   束縛変数とよばれる。

  ・「yT ( x loves y )」において、yTによって量化されたx loves y」のなかで、
   束縛されていない方の変数xは、自由変数とよばれる。






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