論理記号∃  : トピック一覧

【記号∃の説明】
 ・論理記号∃の呼称
 ・論理記号∃の使用法
  x P(x) / xX P(x)
  x P(x,y) / xX P(x,y) 
  多重量化 
 ・論理記号∃の読み下し方
 ・論理記号∃の推論規則
  論理記号∃の導入則
  論理記号∃の除去則 
【用語別】
 ・存在量化記号
 ・存在記号
 ・特称記号
 ・existential quantifier 
 ・存在量化子 
 ・特称量化子
 ・存在作用素
 ・特称作用素



・対象領域
・議論領域
・変項の定義域

存在量化
存在量化子による量化
・束縛する
・束縛変数(束縛変項)
・自由変数(自由変項)


→ xS P(x,y) 
→ 論理記号∃ 
→ 論理記号一覧/述語・命題関数
→ 古典論理
→ 総目次  

二項述語・2変項命題関数の存在量化:具体例3  




  xS ( x loves y ) 
  yT ( x loves y ) 


【解釈】

  「∃ 変項∈範囲 2項述語」というかたちにおいて、
    変項xおよびy
    範囲をSおよびT
    二項述語を「 x loves y
  としたもの。

【意味】

 ・「xS ( x loves y )」は、
関連項目:"x loves y" /「x ( x loves y )/「y ( x loves y )/x ( x loves y )/y ( x loves y )/「xS ( x loves y )/「yT ( x loves y )      
さらに量化:「xSyT  ( x loves y )」/「xSyT ( x loves y )」/「ySxT ( x loves y )」 




【文献】
 ・岡田光弘『2008年度論理学I講義ノート』第4章述語論理(pp.29-32):
 ●戸田山『論理学をつくる』7.1.5愛の論理学(pp.169-172)
 ・野矢茂樹『論理学』第2章第2節-多重量化(pp.96-98)問題42.


 ・本橋『新しい論理序説』4.1量化の問題(p.64):∃∃,∃∀。


  「"x loves y"というyとの関係を満たす対象が、Sのなかに、少なくとも一つは、存在する」つまり、「Sの誰かがyを愛してる」「ySの誰かに愛されてる」という
  yの中身だけに依存して、様々な命題を表す命題関数1変項yの命題関数)。
 
 ・「yT ( x loves y )」は、
  「"x loves y"というxとの関係を満たす対象が、Tのなかに少なくとも一つは、存在する」つまり、「xTの誰かを愛してる」「Tの誰かがxに愛されてる」という
   xの中身だけに依存して、様々な命題を表す命題関数1変項xの命題関数)。

 ・2項述語(2変数命題関数) x loves y 」は、

     ・m-flo loves  野宮真貴 
     ・m-flo loves  PERFUME 
     ・恩田三姉妹 loves 
     ・鳥居みゆき loves 戸川純 

  といった具合に、
  x,yの中身に依存して、様々な命題を表すが、

  1変項yの命題関数x∈Perfume ( x loves y )」  (Perfumeの誰かが  loves y )は、

     ・x∈Perfume ( x loves the world )    「Perfumeの誰かが、loves the world
     ・x∈Perfume ( x loves )        「Perfumeの誰かはやっぱり猫が好き
     ・x∈Perfume ( loves 戸川純 )     「Perfumeの誰かが戸川純のこと、好き好き大好き
     ・x∈Perfume ( loves 鳥居みゆき )    「Perfumeの誰かが鳥居みゆきファン。」

  といった具合に、
  yの中身(the world, , 戸川純,鳥居みゆき …)だけに依存して、様々な命題を表し、 


  1変項yの命題関数x∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( x loves y )」 は、

     ・x∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( x loves the world )    「アラフォー男性のなかには、loves the worldしてるのもいる。」
     ・x∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( x loves )        「アラフォー男性には、やっぱり猫が好きなやつもいる」
     ・x∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( loves 戸川純 )     「アラフォー男性のなかに、戸川純が好き好き大好きなのっているよね。」
     ・x∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( loves 鳥居みゆき )     「アラフォー男性なのに、鳥居みゆきloveな人っているよね。」

  といった具合に、
  yの中身(the world, , 戸川純,鳥居みゆき,…)だけに依存して、様々な命題を表す。

  同様に、

  1変項xの命題関数y∈Perfume ( x loves y )」 は、

     ・y∈Perfume ( m-flo loves y )              「m-floは、Perfumeの誰もを love
     ・y∈Perfume (  YMO loves y )              「YMOは、Perfumeの誰もを love

  といった具合に、
  xの中身(m-flo, YMO, …)だけに依存して、様々な命題を表し、 

  1変項xの命題関数y∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( x loves y )」 は、

     ・y∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( 野宮真貴 loves y )    
     ・y∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( 戸川純 loves y )    
     ・y∈アラフォー男性を全員あつめた集合 ( loves y )  

  といった具合に、
  xの中身(野宮真貴, 戸川純, , …)だけに依存して、様々な命題を表す。 




【言い換え】

・「xS ( x loves y )
  (Sに属す誰かが、yを愛す)(Sの誰かが、yを愛す) 
 は、
 「 x ( xSかつ x loves y )
   (誰かが、Sに属しかつyを愛している
   (Sに属しかつyを愛している誰かがいる。)
 に言い換えてよい。

 
 対象例: xX "x loves y" の言い換え
 さらに二重量化した例:「xyT  ( x loves y )」/「xSyT ( x loves y )」/「ySxT ( x loves y )」    

 なぜ?→xSの定義  

 具体例:
  ・「x∈Perfume ( x loves y )」(Perfumeに属す誰かが、loves y) は、 
   「 x ( xPerfume かつ x loves y ) 」(Perfumeに属しかつyを愛している誰かがいる。)に言い換えてよい。


・「yT ( x loves y )」(xは「Tに属す誰か」を愛す) (「Tに属す誰か」は、xから愛されている)  
 は、
 「「y ( yTかつ x loves y ) 」(誰かが、Tに属しかつyから愛されている)(Tに属しかつyから愛されている誰かがいる。)
 に言い換えてよい。 

 なぜ?→xTの定義  

 具体例:
  ・「y∈Perfume ( x loves y )」  (xは、Perfumeの誰かを love) は、
   「y ( yPerfumeかつ x loves y ) 」(誰かが、Perfumeに属しかつyから愛されている)(Perfumeに属しかつyから愛されている誰かがいる。)
 に言い換えてよい。 [→さらなる量化]
   




【Sが内包的に定義されているときの言い換え】

・「xS ( x loves y )

  (Sに属す誰かが、yを愛す)(Sの誰かが、yを愛す) 
 は、


 対照例: xX "x loves y" の言い換え
 さらに量化した例:「xyT  ( x loves y )」/「xSyT ( x loves y )」/「ySxT ( x loves y )」   



  S{ x' | S'(x) }  (Sは「議論領域から《条件S'を満たす対象》をすべてあつめた集合」)

 のとき、

 「x ( S'(x)  かつ x loves y )」 (誰かが、条件S'を満たしかつyを愛している)(「条件S'を満たしかつyを愛している」誰かがいる。)

 に言い換えてよい。

 なぜ?→xSの言い換え(Sが内包的に定義されている場合)  

 具体例:

  ・「x∈50代男性を全員あつめた集合 ( loves y )
    (『50代男性を全員あつめた集合』に属す誰かが、yのことが好き。」
   は、
   「x ( xは50代男性である」 かつ x loves y )」 (誰かが、50代男性であり、かつ、yを愛している)(50代男性かつyを愛している誰かがいる。)
   に言い換えてよい。
    

【Tが内包的に定義されているときの言い換え】


・「yT ( x loves y )」(xは「Tに属す誰か」を愛す) (「Tに属す誰か」は、xから愛されている) は、
 
  T{ y' | T'(y) }  (Tは「議論領域から《条件T'を満たす対象》をすべてあつめた集合」)

 のとき、

 「y ( T'(y)かつ x loves y ) 」(誰かが、条件T'を満たしかつyから愛されている)(条件T'を満たしかつyから愛されている誰かがいる。)
 に言い換えてよい。 

 なぜ?→yTの言い換え(Tが内包的に定義されている場合)  

 具体例:

  ・芸能界{ x' | xは芸能人である }  (「芸能界」は《条件『xは芸能人である』を満たす対象》をすべてあつめた集合」)
   との定義のもとで、  
   y∈芸能界 ( x loves y )  「xは、芸能界に籍を置いている誰かを好き」は、
   y ( yは芸能人である かつ x loves y )  (誰かが、「芸能人であり、かつxから愛されている」) (「芸能人であり、かつxから愛されている」誰かがいる。)
   に言い換えてよい。




【Sが『外延的に定義された有限集合』のときの言い換え】

・「xS ( x loves y )
  (Sに属す誰かが、yを愛す)(Sの誰かが、yを愛す) 
 は、
 


 対照例: xX "x loves y" の言い換え
 さらに量化した例:「xyT  ( x loves y )」/「xSyT ( x loves y )」/「ySxT ( x loves y )」     
  

  S { a1 , a2 , … , an }   のとき、
 
  "a1 loves y" または "a2 loves y" またはまたは "an loves y"  
    (a1a2 か …  an が、yを愛す)(yは、a1a2か… an、から愛されている)

 に言い換えてよい。

 なぜ?→xSの言い換え(Sが外延的に定義されている場合)  

 具体例:
  ・Perfumeの定義より、Perfume { 大本, 西脇, 樫野 } だから、 
   「xS ( x loves y )」(Perfumeに属す誰かが、loves y) は、 
   「"大本 loves y " または "西脇 loves y" または "樫野 loves y" 」
    (大本西脇樫野yを好き)(yは、大本西脇樫野から気に入られてる)
   に言い換えてよい。 

【Tが『外延的に定義された有限集合』のときの言い換え】
  
・「yT ( x loves y )」(xは「Tに属す誰か」を愛す) (「Tに属す誰か」は、xから愛されている) は、

 は、

  T { a1 , a2 , … , an }   のとき、

  "x loves a1" または "x loves a2" またはまたは "x loves an"      
    (xは、a1a2か… anを好き)(a1a2 か …  an は、xから愛されている)

 に言い換えてよい。

 なぜ?→yTの言い換え(Tが外延的に定義されている場合)  

 具体例:
  ・Perfumeの定義より、Perfume { 大本, 西脇, 樫野 } だから、 
   yT ( x loves y ) (xは、Perfumeの誰かを love) は、
   「"x loves 大本" または "x loves 西脇" または "x loves 樫野" 」
    (xは、大本西脇樫野を好き)(大本西脇樫野xから気に入られてる)
   に言い換えてよい。 





【読み下し例】

 ・「 xS ( x loves y )

 [直訳]

 「ある『Sに属す対象』xについて、x loves y」[本橋 p.64]
 「x loves yとなる『Sに属す対象』xがある。」[本橋 p.64]

 [意訳]

 「yを愛する『Sに属す対象』がいる」[戸田山p.167]

 「Sのなかにはyを愛するやつもいる」[戸田山p.167]

 「Sのある人は、yが好き。」[岡田光弘p.30] 

 「yを愛する人がSにいる」[野矢問題42(p.97)]

 「Sの誰かがyを愛している」[本橋 p.64]


・「 yT ( x loves y )

 [直訳]

 「ある『Tに属す対象』yについて、x loves y」[本橋 p.64]
 「x loves yとなる『Tに属す対象』yがある。」[本橋 p.64]

 [意訳]

 「xが愛している『Tに属す対象』がいる」[戸田山p.167]」

 「xには愛するひとがTにいる」[野矢問題42(p.97)問題43(p.97)p.98]

 「xTにの誰かを愛している」[本橋 p.64]


一般化: xX P(x,y)の読み / x P(x,y)の読み 
さらに量化:「xyT  ( x loves y )」/「xSyT ( x loves y )」/「ySxT ( x loves y )」     
  




【文献】
 ・戸田山『論理学をつくる』7.1.3練習問題49(2)(3)(5)(p.167)
 ・野矢茂樹『論理学』第2章第2節-多重量化(pp.96-97)二重量化の説明.
 ・本橋『新しい論理序説』4.1量化の問題(p.64):∃∃,∃∀。
 ・岡田光弘『2008年度論理学I講義ノート』第4章述語論理(pp.29-32):










【用語:存在記号・量化子・量化】

  ・「 xS ( x loves y ) 」「 yT ( x loves y ) 」の「∃」は、存在記号とよばれる論理記号

  ・「 xS ( x loves y ) 」「 yT ( x loves y ) 」 の「∃xS」「∃y」は、存在量化子存在作用素とよばれる。
 
  ・存在量化子存在作用素「∃x」「∃y」を「 x loves y 」の前につけて「 xS ( x loves y ) 」「 yT ( x loves y ) 」をつくることは、
   存在量化とよばれる





【用語:スコープ】

  ・「 xS ( x loves y ) 」というかたちのなかで、存在量化子存在作用素によって量化された
    「 x loves y
   は、
   存在量化子存在作用素「∃x」のスコープscope適用範囲,視野,作用域 
   などと呼ばれる。 




【用語:束縛変数・自由変数】

  ・「 xS ( x loves y ) 」において、xSによって量化されたx loves y 」のなかの変数xは、
   束縛変数とよばれる。

  ・「 xS ( x loves y ) 」において、xSによって量化されたx loves y 」のなかで、
   束縛されていない方の変数yは、自由変数とよばれる。

  ・「 yT ( x loves y ) 」において、yTによって量化されたx loves y 」のなかの変数yは、
   束縛変数とよばれる。

  ・「 yT ( x loves y ) 」において、yTによって量化されたx loves y」のなかで、
   束縛されていない方の変数xは、自由変数とよばれる。






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