□■□ そ の 他 の 論 文 集 □■□



 このページは、自選枠からはずれて回ってくる論文と、あらかじめ自選枠からはずした論文で構成します。 (1990年代以降)


○ 「 「貧困」と「学力」をめぐって
    (『東洋通信 5月号』Vol.48 no2、東洋大学、2011)

 貧困と学力は各々どのように考察でき、どのような関連があるだろうか?
 私は、2007年、『貧困と学力』(明石書店)の刊行に「貧困と学力の再検討」を書いて参加した。このテーマは、4年後の今日、ますます重要な課題を提起しているように思う。
 当時、私は東北タイの教育NGOと連携した「途上国の教育の質的向上の可能性」に関する調査研究事業に加わっていた。
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○ 「図書紹介 『地域から描く これからの開発教育』
    (『開発教育No55』、開発教育協会、2008)

 本書は日本における開発教育のひとつの到達点を示すものと思う。内容は、2003年から開発教育協会内に発足した<「地域・文化・学び」研究会>の足かけ5年の成果をまとめたものである。
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 本書の構成は序論1で地域論(これからの開発教育と地域)、序論2でESD論(これからの開発教育と「持続可能な開発のための教育」)を展開したのちに、次の7つのテーマで章立てされている。
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○ 「タイ出張記 〜東北タイ(イサーン)で考えたこと」
   (『海外開発現場研修報告書2007』、拓大国際開発教育センター、2007)
原稿構成
1 文科省「国際協力イニシアティブ」について
2 タイの教育事情と農村事情
3 タイを見る私の視点
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 この夏(注:2007年8月20〜29日)、センター事業の一環でタイに出張しました。
 文部科学省の「国際協力イニシアティブ」の拠点活動としての調査です。
 教育省で担当者と面談し、資料を収集することが主な目的でしたが、幾つかの小学校を訪れ、
 授業を参観し、インタビューする時間も持てました。
 また、学校と連携するNGOを訪問し、その教育実践の実態を知ることも調査範囲でした。
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○ 「持続可能な開発のための教育(ESD)の実践 」 
    (『社会科研究集録 No.42』、埼玉高社研、2006)
原稿構成:
1 ESDとは
2 開発教育とESD
3 ESDの実践
4 ふりかえり
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1 ESDとは?
 ESDとは "Education for Sustainable Development" (持続可能な開発のための教育)の略語である。「持続可能な開発」という用語自体は、すでに、1992年のリオの「地球サミット」(国連・環境開発会議)で一般化している。
 「持続可能」という言葉には、環境保護・保全に限られないさまざまな課題が含まれている。特に、そこには 「環境問題と同時に、貧困問題も解決しなければならない」という含意がある。貧困と環境破壊は悪循環を起こしているからである。
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○ 「何を学ぶの?〜「開発」「貧困」「協力」が中心テーマ
    (『開発教育ってなあに? 開発教育Q&A集』、開発教育協会、2004)
原稿構成:
 開発教育の内容と留意点
 カリキュラムとテーマの構造
 開発教育で得る知識・態度・技能(評価の観点)
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 「Q1」で挙げられた5つの学習目標は、文化領域から課題領域までの幅広い学習領域に対応しています。そして、それらの学習領域には開発教育の具体的な内容が存在しています。初等教育段階で取り組みやすい「文化の多様性」や「世界とのつながり(相互依存)」は感覚的に理解しやすいはずです。中等教育段階では「貧困・南北格差」の原因分析など発展的な学習ができるでしょう。
 以下、各内容の学習上の留意点について触れていきます。
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 こだわりの地域通貨
原稿構成:
1 地域通貨って何だ?
2 エコマネーの「哲学」
3 通貨の本質及び地域通貨の経済的本質は?
4 地域通貨と地域コミュニティの未来論
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1 地域通貨って何だ?
 「地域通貨」 は文字通り 「限定された地域での生産物やサービスの交換手段」 である。お金ではないが、お金と同じように使用できる。ただし、特定の地域でのみ通用する。
 日本の地域通貨では、千葉の 「ピーナッツ」 や滋賀の 「おうみ」 が比較的よく知られている。「ピーナッツ」 は、通帳を使った 「交換リング」 方式で、円と共に使われながら、人と人の輪を広げている。「おうみ」 は1おうみ100円の 「紙幣」 方式で、ボランティアに支払う感謝の印が 「善意本位制」 のつながりを創り出している。
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1) 「開発教育って何
    (「すぐに役立つ国際理解教育Q&A」、さいたまNGOネット、2001)
原稿構成:
Q1 国際理解教育って何?
Q2 開発教育って何?
  1 国際理解教育を補完し、深化させる教育としての開発教育
  2 開発教育とはT(誕生と展開)
  3 開発教育とはU(ねらいと特徴)
  4 地域と共に学ぶ開発教育の展開
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1 国際理解教育を補完し、深化させる教育としての開発教育
 学校で行われてる地球的視野に立つ教育は”国際理解教育”である。その充実には、今日的な課題(地球的諸課題)への対応が必要である。そのためには、遠い世界のできごとを単に知識として得るのでなく、参加型の学習で、身の回りと世界のつながりを理解する学びが求められる。このような学びが開発教育である。”開発教育”という名称は「ほんとうの開発のあり方」を考えようとするところから来ている。
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○ 「書評 『子どもの参画』
   (『立教大学教育学科研究年報 第44号』、立教大学文学部教育学科研究室、2001)

 本書は、環境教育での持続可能なコミュニティづくりに 「子どもの参画」を提唱しているロジャー・ハート(ニューヨーク市立大学) がユニセフの二つの部(環境部と国際子ども発達センター) の依頼を受けて執筆したものである。1997年の原書発刊以来、その 「参画のはしご」 は既に広く紹介されている。環境教育のみならず、開発教育、子どもの参加論などにおける画期的な文献としていち早く評価されてきた。
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○ 「 同僚への長期研修報告メール
   (『Forum2000』、立教大学大学院文学研究科教育学専攻活動報告書、2001)

 以下は、この1年間、職場の同僚に送ってきた 「近況報告」 の最も最近のメールです。
 田中ゼミ をはじめとして、立教大学の皆さまへの感謝の気持ちを込めて、長期研修の総括に代えさせていただきます。
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○ 「開発教育の方向性
   (開発教育ニュースレター No.84 」、開発教育協議会、2000) より

 開発教育って何だろう? 最近、今更のようですが考える機会が多くなりました。開発概念が拡散するなかで、開発教育をどのように捉えるのか?
 また、「新しい現実に対応しなければ」ということも言われています。では、その「新しい現実」をどう捉えるの?
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○ 「一杯のコーヒーから  〜開発教育のシミュレーション教材の紹介〜」
   (『社会科研究集録 第36号』、埼玉県高等学校社会科教育研究会、2000)
原稿構成
1 はじめに
2 なぜ、コーヒーを通して貿易を考えようとしたか
3 コーヒー取引の実態
4 いい貿易って何だろう
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1 はじめに
 今回の研究発表は、開発教育制作の教材 『いい貿易って何だろう〜一杯のコーヒーから考える世界の貿易〜』に、私が編集委員として関わった関係で、制作過程での教材研究結果を発表すると共に、この教材の一部である 「アロマ村のコーヒー農園」(シミュレーション)を参加者全員で共有した。
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○ 「事例1 学校教育での実践事例
  (『わくわく開発教育 参加型学習へのヒント』、開発教育協議会、1999)

学校における開発教育実践上の視点
@国際理解教育として
 学校での国際分野の学習は 「国際理解教育」 として位置づけられます。開発教育の考える 「国際理解」 とは、異文化理解を基礎として、世界の諸問題の理解に取り組む総合的な教育分野と言えるでしょう。
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○ 「開発教育の担い手と期待される役割」 (高等学校)
   (『「開発教育支援のあり方」調査研究 報告書』、JICA、1999)

1 開発教育の担い手
(1)高校時代と開発教育
 今回の学校教育アンケートの無作為調査の結果によれば、学校教育において、開発途上国をめぐる問題を取り上げる必要性についての認識度は全体の9割と非常に高い。このことに関して、高校段階の必要性の理由には、次のような開発教育の教育的意義が考えられる。
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○ 「様々な工夫で地球市民意識を育てる
  (「OECF ニューズレターNo.65」、海外経済協力基金、1998)
原稿構成:
 授業での工夫
 国際協力を学ぶ究極の目的
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授業での工夫
 「開発援助」の学習は国際経済分野の中の南北問題学習の一環として不可欠であり、日本のODAの単元はその中での大きなヤマ場でもある。
 日本のODAを学ぶには、南北問題に対する十分な理解が前提となる。つまり、世界の現実をどうとらえ、その現実とどう関わるかが問われている。
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○ 「Q13 高校ではどのように行われているの? 高校教育の後は?
  (『「開発教育」ってなあに? 開発教育Q&A集』、開発教育協議会、1998)
原稿構成:
 世界を引き受ける自己の確立が課題
 問題を自分のものとする学び
 不可欠な参加型の学習形態
 各教科での取り組み事例
 高校教育以降の取り組みも多彩
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世界を引き受ける自己の確立が課題
 高等学校の開発教育では、具体的な学習の重要性は小学校・中学校と変わりませんが、より抽象的な考察に踏み込むことが可能です。したがって、開発をめぐるさまざまな問題をより構造的に理解し、開発のあり方について考察を深めるとともに、環境問題など地球的諸課題との関連についても総合的に理解できることを重視します。
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○ 「教科の中での開発教育の考え方」
  (『講座 開発教育』 原稿、開発教育協議会内部資料、1998)

1.学校での取り組み事例
 まず始めに、学校での積極的な取り組み事例を紹介したい。宮城県の私立高校の例である。この学校では、1996年度から、3年次に 「地球市民学習」 という名称の選択科目が配置されている。授業内容は、校内の 「開発教育委員会」 によって学校独自のカリキュラムフレームが確立されている。
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○ 「アルミ缶からアジアが見える」
  (実践記録、開発教育協議会内部資料、1997)

1 今、授業に求められるもの
授業で学ぶということ
 比較的最近のことなのですが、「ボクにとって歴史書は聖書でした」 と言ったS君の言葉が忘れられません。彼は小学校時代から虐げられいじめられてきたそうです。自殺未遂まで経験したことを打ち明ける彼です。その彼には、歴史は権力者の支配の歴史ではなく、弱い者が創意工夫次第で強い者を打ち負かす可能性を示す下克上の記録に読めるのでした。「教師に教わったのではない。いじめられ続けたからこそ、歴史に救いを求めたのです」 と彼は言います。私の驚きは、彼が自分の体験を通して独自に歴史を解釈できていることでした。歴史は単なる史実の羅列ではなく、見事なまでの意味を持ち、何よりも彼自身の言葉で裏読みされています。そして 言うのです。「学校の授業は つまらない」 と。「教科書に書かれている内容は 役に立たない」 と。
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○ 「日常の授業に開発教育を
  (『開発教育・関東担い手セミナー報告書』、開発教育協議会、1996)

 これからお話することは、まず第一に、学校の現場はどうなっているか、第二に、それを発展させて、実際にどのようなことをめざして、どのようなことを実践していくのか、第三に、今後の展望として、学校だけにとどまらず、ここにいらっしゃるような皆さんとの関係、より開かれた関係づくり、あるいはネットワークという言葉をキーワードにしてお互いに助け合って、具体的に活動を進めていくにはどうしたらいいか、ということを考えていきたいと思います。
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○ 「高校 政治・経済 での実践事例
  (『援助と開発』、開発教育協議会、1995)
原稿構成:
<編者コメント>
1 使用教材
2 単元と構成
3 内容と方法
4 反応と結果
5 事後アンケート例
6 考察
7 まとめ
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<編者コメント>
 この実践事例は、高校3年生対象の「政治・経済」におけるものである。標準単位を上回る3単位の授業時数ゆえに、考査を含めて 10 時間を配当できた。標準の年間指導計画のなかでは現実的とは言えないが、教材を最も数多く実践できた事例として参考になるであろう。
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○ 「『ダッカからダンディへ』とその修正版について
   (『援助と開発〜開発教育教材とその実践事例』、開発教育協議会、1995)

(1) 『ダッカからダンディへ』とその方法形態
 この教材は、イギリスのNGOである War on Want によって 1988年に出版されたものである。制作はリーズ開発教育センターにて行われた。
 全体はバングラデシュを題材として7つのユニット(小冊子)で構成されている。
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 各ユニットには、参加型学習教材が豊富に含まれている。講義一辺倒でない授業を志す教師にとっては「ノウハウの宝庫」として魅力を感じるはずである。ユニット6「援助と開発」における学習教材7つを含め、各ユニット全体の学習教材は総計30を数える。
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○ 「 イギリス教材の模擬授業
  (『社会科研究集録 第31号』、埼玉県高校社会科教育研究会、1995)

1 はじめに
 "DHAKA TO DUNDEE"(1988) はイギリスのリーズ開発教育センターの制作による開発教育教材です。今回扱った 『援助と開発』 はその第6ユニットであり、私たち 「地理教育と国際化班」が翻訳し、日本で使用できるように修正を施して授業実践したものです。(開発教育協議会より近刊)
 この活動内容については、前年度末の3学期研究会で報告しました (前号No.30参照)。しかし、このときは時間不足で、教材の具体例について十分に紹介することができませんでした。そこで、「もっと詳しく知りたい」という声があり、では模擬授業形式で実際にやってみようというのが今回の企画でした。したがって、模擬授業といっても生徒対象ではなく、教員のための体験セミナー的なものとして実施されました。
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○ 「開発教育における環境問題学習の課題
   (『開発教育 第24号』、開発教育協議会、1993)
原稿構成:
1 はじめに
2 世界の環境問題をどのように分類・整理して扱うか
3 「開発」概念をどのように混乱なく扱うか
4 おわりに
備考 参考文献
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1.はじめに
 今世紀も残り十年足らずに押し詰まった現在もなお、南の国々の多くの人びとは、依然として貧困と飢餓に苦しんでいます。こうしたなかで、貧困ゆえにこそ砂漠化などが急速に進み、「貧困と環境破壊の悪循環」とも言うべき現象が現れています。
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○ 「消費者の眼で学ぶ経済学習〜ディベートを班別発表の方法として
   (『南高紀要 第3号』、埼玉県立川越南高校、1992)
原稿構成:
1 はじめに
2 授業実践について
3 ディベートについて
4 製造物責任に至るまでの経済学習
5 消費者教育フォーラムでの発表をめぐって
6 おわりに
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1.はじめに
 私が社会科で消費者教育に取り組むようになったのは、経済学習に非常に有効だと考えたからである。私の専門は経済であるが、経済学習のおもしろさを何とか生徒に伝えたい。ところが、往々にして、生徒は経済学習を金儲けの手段ぐらいにしか考えていない。また、政治と経済では、どちらかと言えば政治の方が取りつきやすいようである。社会認識の基礎としての、あるいは 「経国済民」 としての経済の本当のおもしろさから疎外されている面がある。大人になっても 「私は経済が苦手だ」 では非常にまずいのであるが、そういう傾向があると思う。
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