双眼望遠鏡 APM/LZOS 130/f6 BINO その4
望遠鏡も双眼が基本です!

  公開:2012年9月17日
更新:2015年
7月28日 *第1回双眼狂祭 を追加 しました。

Starbeamファンダーの取り付け (2012年4月8日)

 運搬の時、Starbeam ファインダー脚を破損してしまった。やはり横着しないで、きちんと外して運搬すべきであった。この脚は昔のSky Surfer III に付属していたものを応用したものだったが、もう手持ちは無い。あれこれ手持ちのパーツをあてがってみたが、ケンコー/クイックカメラアングルシステム QS-50 以前使っていたObsession 特製ファインダー固定アングルを利用して鏡筒バンドに両面テープで固定する事にした。有効利用! 鏡筒を鏡筒バンドから外す時は、このファインダー脚も外さないといけないが、その機会はほとんど無いのでOKだ。

  

 等倍ドット・ファインダーは、真上に位置した方が使いやすいので、結果オーライ。

 という訳で、以下のような姿になった。

 

Starbeamファンダーの取り付け-改 (2012年9月17日)

 しばらく使っていたが、Starbeam とアイピースが縦に1直線に並ぶので、やはりこの位置は見にくい。そこで、笠井のファインダー脚を利用して右側に取り付けた。クイックカメラアングルシステム QS-50 には、ホルダーにタップを立てて、レーザー・ポインターを取り付けた。前回の方法だと、特に天頂付近は大変だったが、今度は難なくOKとなった。

 

目幅調整用クレイフォードのメンテナンス (2012年9月17日)

 昨夜、Starbeam の取り付け具合を見ようと星を見たら、光軸が上下方向に大きくずれていた。??? 鏡筒は、特に目立ってずれも緩みも無いし、打撲を与えた記憶も無い。ノブで光軸を合わせたら、矢印が向うを向いてしまった。いつの間にか矢印が完全に反対側を向いてしまうと、元に戻す時に1/2の確立で1回転してしまうので、危険だ。しかも、像の倒れ込みも生じていて、中心視野の星は点でも、左右に振って行くと、見事に2つに分離して行く。あれ〜っ...? 一つずつチェックしていったら、目幅調整のクレイフォードの動きがおかしい。どこかで引っかかって、ガタも生じている。どこかのネジが緩んだか? そういえば、3年前にもネジの緩みで危うかったのを経験している。

 

 慎重にEMSユニットを外し、チェックしてみたら、写真の赤矢印4箇所の内、3本が緩んでいて、1本は、相当緩んでいる状態だった。ネジを締めてみたが、動きが良くないし、どこかで引っかかっていて、ガタまで生じている。松本さんに電話でアドヴァイスを受けながら、クレイフォードを分解・点検してみた。写真の赤矢印4箇所を外せば、あっさり分解でき、青の矢印2箇所は、ノブの軸の当たり具合の圧力調整ネジ。ある角度では引っ掛かりが生じ、動きもそこで止まってしまうが、幾度も分解・組み立てを繰り返していたら、ガタツキも無くなり、動きも良くなった。しかし、覗いてみたら、光軸も像の倒れも直っていない。そこで、像の倒れ込み調整を行った。最近ちょっと怪しい兆候もあったので、良い機会だった。

 倒れ込み調整は久しぶりだ。EMSの倒れ込み調整をする前に、2”特製アダプターを利用してアイピースを直焦点で取り付け、鏡筒の平行を出した。次にEMSの倒れ込み調整。方法は、ここここ(2012年7月16日 像倒れの調整例)とここを参照。直角は、家の床と硬い壁面を利用したが、iPhone のソフト:Cliometer があるので、水平・垂直の確認は万全だ。1度やって見てみたが、今一。再度慎重に行い、今度はOK。すっかり良くなったようだ。大活躍、頼りになったのは、Bino Checker。これがあるから原点復帰でき、安心していろいろ実験、冒険もできる。なお、鏡筒単体でチェックする場合には、常に同じ眼で行う。

 夜になって、星像でチェック 。中央も周辺も星は点で、鏡筒を動かしても、視野の中を動く星は、ずっと点だ。光軸調整の矢印も、両方ともしっかり手前を向いている。光軸がピタリと合っていると、見ていて本当にストレスが無い。スッと星空に吸い込まれて行く。

 松本さんから、メール。大切な情報だったので、ご本人の許可を得て、転載します。

1. 像の倒れ調整のターゲットとして、当初は垂直線(アンテナ等)を推奨していたのですが、その後の研究で、水平線(電線や建物の水平線)の方が有利だと分かりました。

2. 光軸のずれは、倍率によって増幅しますが、像の倒れは、倍率には無関係です。従いまして、像の倒れのチェックは、アイピースで拡大する必要がありません。

3. IPDクレイフォードはあの4本のボルトは外す必要はなく、フリクション調整ネジを緩めてシャフトを抜き取れば分解できます。また、あの赤のネジは決して強く締めないようにお願いします。相手がアルミであるためと、円筒面のためにネジの有効長が十分に確保できていませんので、少し強く締めるだけで、ネジがバカになってしまいます。 どうしても頻繁に緩んで困る場合は、ネジロック等の接着剤を塗布してください。他も含めて、アルミに施工したネジを必要以上に強く締めるのは禁物です

 最後の下線赤字。どうしても、ユーザーとしては、また緩まないように、きつく締め上げてしまうが、製作者側からすると、ギョッとする程の強さが多いようで、このあたりは注意が必要だ。

   

これ、何だかわかりますか? - Bino Checker 2 (2012年10月2日)

 またまた、松本さんが面白いものを創った。1 1/4サイズの筒なのだが、間にストッパーがあるだけ。これをどうやって使うかというと、一端を双眼装置に入れ、もう一端を双眼望遠鏡に入れる。光軸が合っているかどうか、一発で判明する、というもの。コロンブスの卵だ!

 で、実際に覗いてチェックしてみた。そのまま覗くよりは、ルーペで拡大した方が見え易い。いろいろなルーぺがあるが、NEAFでゲットした景品のルーペ (フルネル型・写真右)がピッタリだった。 光軸調整ノブをいじると像がダブって見え、光軸が合うと、像はピタリと一致し、スカッと見える。先日、倒れ込み調整をやったので、ちょうどその確認ができた。像がピッタリ一致する瞬間は、北島選手ではないが、「超、気持ちイイ〜!」 。
 名付けてBino Checker 2。あって困る事はありません。

  

今年最後の遠征 (2012年12月14日)

  この1週間、日本海側では大雪だが、お陰で関東地方は乾いた風が吹きぬけ、連日、見事な透明度の快晴が続いている。幸い12日の午後はフリーとなったので、強風の影響の無い西臼塚に行って来た。年末まで予定がビッチリなので、今年最後の遠征である。西臼塚の空は、天城や新五合目に比べると空は明るいが、この季節でも訪問できる貴重な場所だ。iPad mini で装備したSkySafari + NEXUS + 高率良く順番に一気に見れる自作Deep Skyガイドブックのお陰で、わずか4時間半の間に100以上の対象を見る事ができた。二重星の同定には、SkySafari + NEXUS は絶大な威力を発揮する。これがなかったら、短時間にこれだけの量を見るのは不可能だ。夕方は2℃で、引き上げた23時半には-6.5℃という寒さだったが、防寒対策をしっかり行ったので、大丈夫だった。

 困ったのは、ギャラリー。丁度ふたご座流星群の時だったので、やたらと車が来る。夏の富士山お決まりの、カーステレオの「ズン、ズン」という音に始まり、「きゃ〜、やば〜い。」、「さむーい」などの全く知性が感じられない大声が、まさかのこの時期にひっきりなしに来襲。写真を撮る人(今回は風景写真の人達ばかり)もお決まりのアイドリング停車。富士山は本当に美しい山だが、これでは世界遺産にはなれない(なって欲しくない)。

 連日、大変寒いのだが、太陽の活動も低下していて、先月からプロミネンスがほとんど見えない日も多く、マウンダー極小期の再来を心配してしまう。年末のオーロラ・ツアーが大人気、との事だが、全く見れない人達も出るのでは?

 

今年の梅雨明けは、天城で最高のスタート (2013年7月7日)

 

 7月6日、早くも関東甲信越地方に梅雨明け宣言が出た。ちょうど新月期の週末、絶好のチャンスだ。しかし6日(土)は気温は高いものの雲が多く、本当に梅雨明けなの?と思ってしまった。しかし、翌7日(日)は、朝からこれぞ梅雨明け、という快晴。GPV 気象予報とAstro GPV を幾度も見て、快晴の所を探す。天城が快晴の模様。新五合目も快晴のようだが、世界遺産登録のお陰で車を駐車できるとは頭底思えず(望遠鏡も広げられない)、天城に決定。

 七夕に天の川、となれば、APM-Binoしかないでしょう! という訳で上の写真のような装備となった。途中、箱根からはものすごい濃霧(というか、雲の中?)。視界は10〜15m位で、時に数mの時もあって、幾度か徐行を余儀なくされた。途中、カーナビが左折、と指示を出しているが、道路が見えないので、左折できなくて通り過ぎた位だった(崖に向かってハンドルを切るような感じ)。長らく格闘したが、天城高原付近で、スカッと晴れた。


西の雲。この後、雷が光っていた。雷雨だったのかな?

 日曜とはいえ混み混みかと思いきや、誰もいない。後で1人がやってきて、暗くなってしばらくして2人到着。結局4人だけだった。夕方、西に少し雲が出たが(GPV 気象予報通り)、暗くなってからは快晴。ただし風は強め。常時風速3〜6m位で、時に8m。ドブソニアンなら無理だったかもしれない。APM-Bino だと、この位の風では、ほとんど影響なし。空の状態も良く、うしかい座のπ、ξ などの二重星がNAV-HW 17mm(46倍、実視野2.2°)で、きれいに分離する。もの凄く接近した二重星はきれいだ。κやι もきれい。たった3時間半少々の観望だったけれど、夏の天城としては、最高の空を堪能した。4人だけなんて、もったいない!

 

 で、何といっても今日は七夕。この日にこんなきれいな天の川をみたのは初めてだった。織姫と彦星も、記念に写真に撮った(相変わらずの手抜き写真。固定撮影で、コンポジットも何もやってません)。

 ちなみに帰路、またもや濃霧。しかも暗闇と霧で何にも見えない! 70年代前半だったら、「霧が晴れたら2500km離れた所を走っていて、しかも時間が10数時間過ぎていて記憶が無い」、などと言う事になっていたかもしれない。今では考えられないが、この時代にはゴールデンでUFO関連の番組が定期的にあったのを思い出した(たまにテレビ朝日がやっていた、支離滅裂な人を呼んできて、あたりまえの発言をふっかける、というのはお笑い・バラエティであって、UFO関連の番組ではありません)。高校の頃、UFOと宇宙、という雑誌が出て、創刊号は破格の値段で取引されていたり、清家さんの逆重力機関の本を読んで、友人と作ってみようか、等と話をした事等々も思い出した。ある意味、夢があったなあ。

 フロント・ガラスに額を付けるように1時間以上運転し、UFOにも連れ去られる事も無く、無事家に着いた。という訳で、今年(2013年)の梅雨明けは、最高のスタートとなった!

   

望遠鏡オフ会に参加 (2014年5月24〜25日)

 

 Zeiss 望遠鏡といえば この2人、AさんとSさん主催のTelementor Treffen 2014 が今年の2月9日に開催された。記録的な大雪に見舞われた週末だったが、全国からコアなファンが集まった。Zeiss の望遠鏡をはじめ、めったにお目にかかれない歴史的かつ珍品のアイピースや双眼鏡、冊子等がズラリと並び、パワー・ポイントを使ったプレゼンは「Meniscas180 の分解による内部構造」、「Zeiss/Baader V 型双眼装置のカスタマイズ」、「アメリカにおけるツァイスAPQ の話題」、「Telementor の系譜」。質疑応答も、ネジの位置や構造の細かい所にまで及び、さながら学術講演会のようであった。

 その方々が集まるオフ会に行ってきた。場所は、小淵沢の尋常高等小学荘。私は初参加だったが、毎年曇るらしい。13時まで仕事で、そこから現地に向かった。途中、談合坂SAでベンチに座ってソフトクリームを食べていたら、目の前を国立天文台副台長の渡部潤一先生が通り過ぎていった。偶然とはいえ、これまた天文的。

 

 持参した機材は、このAPM 双眼望遠鏡の他、EMS 対空双眼鏡Lunt 10cm ダブルスタック双眼鏡多数アイピース多数。今年はObsession で春の銀河を見ていないので、こちらを持って行きたいところだったが、屈折同士での比較が楽しみだったのと、GPV 気象予報では曇りのようで、ドブでは曇ったらどうしようもないけれど、屈折なら地上風景や点光源でも楽しめるので、やはりこちらを選択。

 Zeiss の望遠鏡が並ぶのは当然だけれど、五藤テレスコープの方がいらしていて、10cm f10、2枚玉EDアポをデモしていたのが興味深かった。

 端正な像は流石で、フードを外せばレンズの研磨工の名前が刻印されている。台数がごく少量なので、争奪戦になること間違い無し。残念ながら、今年も曇ってしまい、天体は見れなかったけれど、見事なガイシの像を拝見したり、お借りした巨大なExplore Scientific 9mm 120゚ EMS 対空双眼鏡に刺して見てみたり、けっこう楽しめた。翌朝、太陽望遠鏡をデモできるか、と楽しみにしていたが、雲が厚くてこれまた残念!

 部屋には、歴史的な双眼鏡や冊子等がズラリと並び、熱い視線を集めていた。夜中には、例によって鏡筒鑑定団のSさんによる鏡筒のテスト。これはこれで、大変興味深く、また、面白い。来年こそ、晴れるかな?

   

エンコーダーを交換 (2014年5月29日)

 海外遠征で活躍している125SD-Bino だが、水平回転軸の補修の際、私の不手際でエンコーダーを傷めてしまった。エンコーダーをUS Digital に注文するついでに、本機のエンコーダーも交換する事にした。というのも、このエンコーダー・システムは、元来、国際光器のスーパー・ナビゲーター用で、エンコーダー・ステップ数は、方位軸、高度軸ともに4096であり、専用のNEXUS が必要だった(NEXUS のエンコーダー設定は、トラブル多発)エンコーダー・ステップ数を10000とする事で導入精度が向上し、125SD-Bino Obsession NEXUS がそのまま共有できるようになるので、良い事ずくめだ。

 
 

 垂直回転軸、水平回転軸ともにS1が使われている。エンコーダーの出力端子は5ピンあり、1: Ground、2: Index、3: A Channel、4: +5V DC、5:B Channel 。ピンの端子の順番は、昔のものと同じだったので、素直にハンダ付けして交換。ちなみに、A Channel、B Channel と出力が2つあるのは、ABAB の順に出力されるか、BABAの順に出力されるかで、エンコーダーの回転方向が判別でき、また、それぞれ立ち上がり、立下りで2パルス出力されるので、エンコーダー・ステップを10000にするためには、CPRをその1/4の数:2500で注文する。なお、Index 端子からは1回転ごとに1パルス出力され、何回転したかが判別できる、との事(以上の事は、友人のエンコーダー専門家に聞いて、初めて知った)。

 

 シャフトは6mmで、$5.8追加でベアリング付も選択できる。ベアリングは、高速回転、低トルク用だが、軸の耐久性が上がるようなので、こちらを選択。エンコーダーはけっこう値が張るが、送料や今後の利便性を考えたら、Orion も含め、一気に交換して正解。

  

架台考 (2014年6月28日)

 失神してしまって閲覧できなくなってしまった双眼掲示板(今は、Part.2を立ち上げた。これは無くなる心配の無いプロバイダーのもの)で紹介した、大変魅力的な架台がある。たまたまAPM のsiteを閲覧していて見つけたもので、Polar Precision 社のLander Series(同社の架台のsiteは、もう一つある)。写真中央のものは電動で高さが変えられ、耐荷重150kgのものあである(写真右)。

 現物は見ていないが、何と魅力的なデザインだろう。足は、キャスターにも換えられる。こういうアルミニウムのブロックを見ると萌えてしまうのは、私だけではあるまい。アルミニウムの工芸品といえば、StuderA80 にはじまる業務用オープンリール・レコーダーのシリーズが有名だが、この手のものには大いに物欲を刺激される。


Studer A-820

 しかし、写真左上のLander は、高さが724mmとの事で、180mm程足りない。Vixen の延長筒を接続すればOKだが、架台の上下で全くデザインが解離してしまい、今の私の双眼望遠鏡には合わない。また、価格も相当高く、結局出番が無いようだ。では、電動架台はどうか? 高さが変えられるのであれば、これは双眼望遠鏡にはうってつけだ。ところが、この架台、どうも見覚えがあるのだ。

 このAPM-Bino の架台を検討していた2008年に、電動で高さを変えれるユニットを検索していて、候補に上がったものがあった。スガツネ工業が扱っていものだ。特に、アルファコローネ AC-M1(写真左下)のものは、12cm角柱で自重12.5kg、ストローク600mm、耐荷重100kgというスペックで、シリンダーにガタツキもなく、架台の上に私が座っても、ぐいぐいと上がっていく。また油圧式ではないので、経年劣化の心配も無い。で、このユニット、実は輸入品なのである。調べたら、どうやらPhoenix Mecano 社の製品のようだ。Polar Precision 社と同じイギリスの会社なので、なるほど、と納得。

 このアルファコローネは、APM のsiteでも見かけた。しかし、日本の価格の2倍以上! 望遠鏡や各種輸入品とは裏腹に、日本では格安という逆転現象。これはありがたい。もし、天文台等があるなら、床に直付けで、けっこういけるのではないか。

 ただし、冷静に考えると、この電動架台にはトランスが必要なので、セッティングが面倒だ。あれこれやっているなら、観望イスの座面を変えれば一瞬で対応できるし、水平方向の観望なら、脚立を使えばすぐに見れる。観望会で、多くの人達に見てもらう場合には、このシステムは有用だと思うが、自分用では、いらないか? という事で今回は見送りと相成った。


Lazzarotti Optics

 しかしながら、このような架台をずっと望んでいたのに、国内では出てこなかったのが、かえずがえすも残念だ。そして、このデザイン! トラベル望遠鏡でも紹介したLazzarotti Optics もそうだけれど、こういったぶっ飛んだ感覚で商品化してくる会社、いいなあ〜。

  

フィルターBOXの組み込み (2014年9月4日)

 BORG 125SD-Bino で、フィルターBOX内蔵2”延長筒の習作が成功を収めた。 ところが、本機の場合はそのままではNAV-HW 17mm で焦点が出ない。EMS 接続アダプターをカットし、EMS 延長筒(アイピース・ホルダー)も必要最小限の長さにしなければならない。という訳で松本さんに製作・加工を依頼していたが、この度、ヘリカル・フォーカサーの製作の流れで完成した。

 EMS 接続アダプターは、15mmカットしてもらった。これが短縮の限界。この大きさのアルミ円筒をきれいにカットするには、容易くはないとの事。習作では、EMS ユニットとの接続には、2インチホルダーSSII 7501 を使用したが、松本さん特性の接続アダプターでは1mm短く、光路長は10mm。ここは、1mmでも短くなったら、大いにありがたいところ。また、アイピース・ホルダーの長さはNAV-HW 17mm必要最小限の45mmとし、バンド・クランプにしてもらった。以上は、ネジの切り方も考えられているので、アイピース固定ネジは6時方向、フィルター交換ノブは、左は10時、右は2時方向で、逆ハの時形、また、このフィルターBOX内蔵延長筒本体の固定は、左は9時と6時、右は3時と6時方向にネジが出ていて、フォーカス操作で干渉する事は無い。ちなみに全長は68mmとなった。


フィルターBOX内蔵アイピース・ホルダー(左側)、従来の耳軸の位置

 とまあ、いつもながら鉄壁の完成度で流石! EMS 接続アダプターをカットして、アイピース・ホルダーが長くなった分、重心が対物側に寄ってしまった。そこで、鏡筒バンドを繋いでいる側面の板を前後逆に装着し(真鍮性の耳軸が、対物寄りになっていたもの:写真上 を接眼寄りに装着)、ついでに久しぶりにフレームによる光軸調整も行った。


フィルターのケースは、友人が所有していたものを譲ってもらって、めでたく全て収納。


フィルターは、特性2”アイピース・トランクに全て収納できる(乾燥剤、防カビ剤、クロスは取って撮影)。

 フィルター・ケース7518 は、Astronomic の場合は、そのままフィルター・ケースに収められる。今は、CLS、UHC、OIII、笠井Hβ、NDフィルター:(Kenko のZeta シリーズ、52mmがあるので、直にフィルター・リングに装着)4×、8×のラインアップ。今まで、フィルターを付けたらどうなるかな?と思いつつ、面倒でそのまま通過してしまう事も多々あったが、これからはフィルター・ワークがバンバン楽しめそうだ。

 また、今後の希望的展開としては、最初からアイピース・ホルダーにフィルター・ケース7518 を挿入できるスリットを設けていただけたらありがたい。そうすれば、BORG フィルターBOXn 7519 を購入する必要が無いから。

  

アポダイジング・マスク (2014年9月15日)

  いろいろチャレンジしているが、まだやっていない事がある。一つは、アポダイジング・マスク。私は未だシリウスBを見ていないが、これで見えたら嬉しい。以前から作ろうと思っていたが、延び延びになっていた。今回、製作で参考にしたのは、法政天文研究会のページ。 最初、ネットで検索する時、「阿呆大臣ぐ」と変換されて爆笑したが、検索していたら、同じような事が書かれていた。

 この前、内閣改造とやらが行われたが、そもそも大臣などというポストは政治家のためのもので、ど素人のポストは税金の無駄。だいたい日本に政治家は100人で十分。政党はいらない。良識あるまともな人間が100人でいい。各地方の要望は、知事がやればいい。不要な国会議員を600人カットすれば、毎年800億は無駄使いしなくて済む。10年で約1兆円は節約できるだろう。8人に1人が75歳以上の国家だ、というのに、政治家が阿呆だと、国が滅びる。

 屈折は、本機とBORG 125SD-Bino があるが、口径は、それぞれ130mmと125mm。スクリーン開口は、88%、76%、52%とすると、本機では 114.4mm、98.8mm、67.6mm、125SD-Bino なら 110mm、95mm、65mmとなる。両方で使いたいので、ここはメインの本機に合わせて端数切捨てとし、114mm、98mm、67mmで製作してみる事にした。網戸は東急ハンズにて購入。

 

 図面は、Win 7付属のプログラム:ペイントにて作成。今は仕方なしにWin 7を使っているが、本当に出来の悪いOSで、こんなものとはさっさと縁を切りたいところだ。最近のOSやiTunesに関わっている人達の頭の構造は、随分違うようだ。siteでは、穴を開ける度に印刷した紙を消費しているが、毎回両面テープで固定して挟んで小さい穴の順に切って行けば、1枚の印刷で済む。切った網は30°ずつずらして固定するが、ここは印刷した紙と一緒にホッチキス(色付き)で固定して、外周を切りそろえた。また、作成したマスクは、簡単に着脱ができるように、テープで固定する事にした。という方法で製作してみたら、あっという間にでき上がった。

 とりあえず、地上風景で見てみたが、まさに網戸越しに見る感じで、いきなりシャープな像にはならない。やはり夜、点光原で見ないとダメだ。晴れないので、下手したら双望会までお預けかもしれない。せめて木星あたりを見てチェックしたいところだが...

  

運搬用の「棚」 (2014年9月25日)

 日曜工作第2段。本機を車で運ぶ時、上には、せいぜいダウン・ジャケット位しか被せられなかったが、これでは車の空間がフルに活用できない。双望会へは、今年も機材満載で行くので、何とかしなければならない。かといって、専用ケースを作ったら、今度は持ち運びに難儀する。という訳で、単純に本機に被せる棚を作った。

 東急ハンズで手にとってみて選んだのは、杉集合材。厚みは14mm。比較的軽量で、安価。これ以上厚みがあると、相当重くなる。これを85(L)×52(W)×30(H)cmにカットしてL字アングルで固定しただけの単純なもの。L字アングルは、実際に指でつまんで頑丈、軽量、安価なものを選んだ。また、下の接触面には10×10cmの滑り止めを短冊状にカットして付けた。 杉の香りも漂い、なかなかいい感じだ。これで双望会対策も万全?

  

双望会 (2014年10月27日)

  今年も双望会(10月24〜26日)に行ってきた。本機の他、家内専用に125SD BinoEMS対空双眼鏡Lunt 10cm ダブル・スタック特製アイピース・トランク3種双眼鏡数台その他もろもろ、と例によって機材満載 。出発前夜にソーラー・クッカーまで積み込んだら、かみさんの乗る場所が無くなってしまった。ソーラー・クッカーを取るか、かみさんを取るか選択を迫られたが、パラボラの内側と外側にうまく物を入れて、全て丸く収まった。また、昨年は芝生駐車場が当たらなくて大変だったけれど、今年は大丈夫だった。

 本機は、理想の1台。温度順応は迅速で出してすぐに最高の性能を発揮し、低倍から惑星までこなす。空が今一でも、大口径のように悲惨な像にならず、それなりに楽しめる 。事前の天気予報では2晩とも快晴でやる気満々だったが、けっこう雲って、結果的に、いろいろな望遠鏡を渡り歩いている時も多かった。

 詳細は、例によって大森さんのブログを見ていただくとして、いくつか紹介。

 

 まず、一度実物を拝みたかった、わたなべさん製作のカセグレン。ミラーの研磨やフレームの製作のみならず、アルマイト加工からミラーの蒸着まで、 何から何まで全て “完全” 自作。
YouTube も必見!

 世の中には、凄い人がいるものである。

 

 今回は、アポダイジング・マスクで、シリウスBに挑戦もテーマの一つ。岡本さんは、電動式で、リモコンでパカパカ開閉できるようにしていた(動きは、まるで裸踊りのお盆のよう)。それにしても、これ、怪しい兵器みたいで、望遠鏡には見えません。

 これで初めてシリウスBを見た。リゲルの伴星もきれいに見えるので、私も上記・自作のお手軽アポダイジング・スクリーンでチャレンジしてみたが、シリウスBは見えなかった。空が凄く良ければ見えるだろうか。

 

 今年もお世話になった、やおきさんの66cm。本当にどくろに見えたNGC246や、まるで骨だった網状星雲などなど、口径の威力は圧倒的。しかも星像も点できれい。今回は、組み立ても見せてもらったが、とにかく良くできていて、トラス〜トップリングの構造はObsessionも敵わない。

 やおきさん以外にも、いろいろな所でNGC天体を沢山見せてもらった。utoさんを筆頭に、とにかく皆さん、良くご存知で...

 

 

 

 

 双望会のアイコン、Big Bino。今回は、フォーク部分を作り変えた、との事。触ってみて、その滑らかな動きにすっかり感動してしまった。聞けば、パーツ全ての重量を計測し、重心を割り出し、耳軸と受けのテフロンの摩擦計数を考え、一発で正解を出した、との事。

 アルミ製の耳軸は、ドブソニアンと同じでテフロンで受けているだけ。重さが功を奏している要因もあるのだろうけれど、水平方向でも天頂方向でも、指1本でスッと動き、ピタッと止まる。

 Big Binoといえば、アンドロメダ。EWV 32mmを持参して見せてもらったが、やっぱりいい。暗黒帯の見え方が別格。

  妻のひらめは、125SD Bino で格闘。大変苦労して作った私のガイドブックには目もくれず、鳥羽山さん製作のガイドブックを愛用。昼間は、Lunt 10cm ダブル・スタックの他、肉眼黒点をソーラー・フィルターハーシェル・プリズムで楽しんだ。さらに、ソーラー・クッカーも活躍。

 24日には、みんなでISSの通過を望遠鏡で追いかけた。本機では、左右に分かれた太陽電池パネルが見えた。あの猛烈に速く移動する物体に人間が乗って地球を回っているなんて、本当に凄いことだ。 最終日の夜、1号バンガローでは、今年もご馳走になった。 そうこうしていたら、明け方5時に雨の予報が。今回の機材を全て車に収納するには、最低1時間はかかる。ここの夜露は雨に降られたのと同じだから、その点では問題無いのだが、雨の中、この大量の機材を片付けるのは厳しい。という訳で、撤収。その後は、いろいろな望遠鏡を探訪し、覗かせていただいた。

 今年も収穫山盛り。それにしても、今年も本当に皆様にお世話になりました。どうもありがとうございました!

  

第1回双眼狂祭 (2015年7月24〜26日)

 ななつがたけ北天文台では、APM製175mmアポによる屈折双眼が完成した、という。こうなったら、東日本の双眼望遠鏡を集結してお祭りをやらねばなるまい。楓林舎常連客+口コミで参加者が13名集まった。西日本(というより、日本列島の真ん中)なら双望会があり80名ほど集まるが、楓林舎は13名でmax。 今回は第1回目、という事もあって、一般には告知しなかった。

 南会津もちょうど梅雨明けしている頃、という事で、期日は7月24(金)〜26日(日)に決定。ただし、土曜に仕事を抱えている人もいるので、24日の参加は6名。25日はフルで13名で、26日は6名だった。私は25日の昼過ぎまで仕事だったので、終わってから駆けつけた。 持参した機材は、本機とBORG 125SD-BinoEMS対空双眼鏡Lunt 10cm ダブル・スタック双眼鏡・全部、等々。さすがにソーラー・クッカーは、載らなかった。

 16時半に到着したら、太陽望遠鏡が何台か出ていた。さっそく私もLunt 10cm ダブル・スタックで参戦。程なくして、観望広場で望遠鏡の設置開始。APM 175mm双眼を筆頭に、右奥から口径順に並べた。 写真左が、175mm双眼、右が130mm双眼(本機)。APMの屈折双眼といっても、実際の大きさはまるで違っていて、兄弟というよりは、親子。

 7名の望遠鏡の一部を下に紹介。撮影が途中で中断した関係上、掲載できなかったものも何台かあり。この後、夜に2名到着。残りの参加者は天文次世代を担う若者達で、これはオーナー1さんによる発案。



 美味しくて話の尽きない楽しい夕食の後、月、土星を観望。本機での土星にほれぼれ。表面の帯状の模様も確認できた。さあ、と175双眼に向かったら薄雲がかかり、その内に樹の陰に隠れてしまってタイム・アウト。 では、と月齢9.1の月面へ。夕食前のグラビウスも良かったけれど、晴れの海の南東側の崖のレリーフの描写は、流石の口径・分解能だった。

  月も姿を消すと、今度は皆で同じ天体を導入し見比べた。こういった時は、やっぱり超メジャー天体巡りが楽しい。この季節の超メジャー天体なので、どれで見たって楽しいし、まあ水蒸気が、とかいろいろあるけれど、それでもやっぱりここの空は最高だ。いろいろ見比べてみたけれど、小口径が劣るか、というとそうでもなくて、適切な対象に対し至適なアイピースであれば、それはそれでやっぱりいいのである。要するに、使いこなしだなあ。とはいうものの、175双眼のM13は流石に美しい。

 175双眼は、アイピースはいろいろ換えて見てみたけれど、Ethos 8mmとの相性が良かった。実視野0.57°175倍なので、結局、いつもObsession + Docter 12.5mm or 双眼装置で見ているのと同じで、これは私自身の好みなのか? 星像は、どこまでもシャープ。

 夜半、雲が出てきたので、ワインで小休止。一段落してから、もうひと頑張り。途中、ここからは離れているけれど、ななつがたけ北天文台見学ツアーも組まれた。観望広場は朝からイベントがある、との事で、薄明とともに一斉に撤収した。では、 即就寝か、というと、今度は食堂でカメラの話やら車の話やら、話題は尽きない。気が付けば、太陽も高くなってきたので、ここでようやくベッドへ。

 起きたら、さっそくSolar Star Partyだ。これ以外に、PSTが1台と、じろーさんの名機が1台が別の所に鎮座。で、双眼狂祭だから、双眼鏡も揃った。見ての通り、ガラクタではなくて、どれも有名な機種がズラリ(これ以外にも、まだあり)。これを一気に比較できる機会はそうそう無い。私が一番印象に残ったのは、Zeiss Victory SF 8×42。今年のCP+で見たけれど、フォーカサーはガタガタだったし(ちなみにSFは、皮肉なことにsmart focusの略)、左右の像にバラツキがあるし、よくぞ、こんなものを展示したものだと呆れた。しかし、ここにあるものはコントラストが別格。木の中にある巣箱にピントを合わせた時の、手前の揺れ動く枝と葉が立体的にくっきりと浮き上がる描写に、毎度釘付けとなった。HTでさらに後退し、スワロにやられっぱなしのZeissだったけれど、これで再び頂点の一角に返り咲いた感じだ。

 そうこうしている内に夕方になってしまった。本当に残念だけれど、後ろ髪を引かれる思いで楓林舎を後にした。帰路、何とLF-Aに遭遇。しかも2台! 猛暑だというのに窓を開けて、あのV10のエンジン・排気音を聞き続けた。追いかけていきたかったけれど、荷物満載で、しかも重過ぎてタイヤの空気圧センサーが警告を発している車で付いていける訳が無い。

 それにしても、楽しかったなあ〜。でも考えてみれば、ここに集まれば毎回望遠狂祭だ。ご参加のみなさん、そして楓林舎のMさん、どうもありがとうございました!

          

    続く.....!

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