双眼望遠鏡 APM/LZOS 130/f6 BINO その5
望遠鏡も双眼が基本です!

  公開:2015年11月17日
更新:2023年
10月27日 EMSスリーヴのチェック を追加

太郎坊に遠征 (2015年11月17日 記)

 今年の双望会では、「マウナケアで星を見たら、日本なんかでは見れないでしょう。」と言われた。しかし、あれは、あれ。ここは、ここ、と普通に割り切れる。11月15日(日)昼、Astro GPV を見たら、富士山が快晴。あれ、行けるかも? ただ、今は猛烈に忙しいのである。星を見に行っている場合では無いのだが、こう忙しい時こそ、かえって趣味も猛烈に燃えるし、いつもより、いろいろな事がてきてしまう。テンションが高いのだろうか。

 Obsession 18"UC がドック入りなのと、NAV-HW 12.5mm + 本機でdeep skyを楽しみたかったので、行くぞ!と用意を始めた。しかし、富士山は、何日か前に冬期閉鎖になってしまっていた。また、ダウン・ジャケットは、何とクリーニングに出したままだった。どうせ3-4時間しか見れないし、まあいいか、と適当に用意して太郎坊へ向かった。

  遠征の記録を全てsiteに報告している訳では無いのだが、今回掲載した理由は一つ。月齢3.4の地球照が見事で、その周囲に星々が沢山! 月のバックが、いて座の天の川だったのだ。 写真が無いのが残念なのだが、時々、これに薄雲がかかると、おお〜っ!と声が出そうな位絶景。双眼望遠鏡の真骨頂だ。いて座に三日月が位置する時は、また遠征しなくては。

 相変わらず、太郎坊は明るい。が、明るい惑星状星雲はど〜ん、と見える。NAV-HW 12.5mm、さらにEiC を装着して10mm にすると、ぐんぐん迫力を増していく。M27 のもこもこ感、濃淡の描写にほれぼれ。このアイピースで空を流すのもいい。ただ、有名な二重星となると、やはりNAV-HW 17mm がいい。アルビレオやアルマク、いるか座のγ (さらに、その隣のOR Del も二重星)、おひつじ座のγ などなど、ものすごく接近して分離した二重星は、本当に美しい。46倍、実視界2.2°、射出瞳径2.8mmの世界。

 現在(2015年11月)使用しているアイピースと実視界、倍率、等 は、

  焦点距離 倍率 実視界 見掛視界 アイ・レリーフ 射出瞳径 備考
APM 130mm f6 780mm            
EWO 40mm 20 3.54° 69° 20mm 6.7mm  
Hyperion 36mm 22 3.32° 7 20mm 6mm  
EWV 32mm 24 3.49° 85° 20mm 5.3mm  
Brandon 24mm 33 1.63° 53°   4mm  
NAV-HW 17mm 46 2.22° 102° 16mm 2.8mm  
NAV-HW with EiC 14mm 56 1.83° 102° 16mm 2.3mm  
NAV-HW 12.5mm 62 1.63° 102° 16mm 2.1mm  
NAV-HW with EiC 10mm 78 1.31° 102° 16mm 1.7mm  
XW 10mm 78 0.92° 70° 20mm 1.7mm 馬頭用
Ethos 8mm 98 1.0° 100° 15mm 1.3mm  
XW 7mm 111 0.63° 70° 20mm 1.2mm  
Nagler Type 6 5mm 156 0.51° 82° 12mm 0.8mm  
XW 5mm 156 0.45° 70° 20mm 0.8mm  
Pentax XO 5mm 156 0.28° 44° 3.6mm 0.8mm  
Zeiss ABBE II 4mm 195 0.22° 43°   0.7mm  
Ethos SX 3.7mm 211 0.52° 110° 15mm 0.6mm  
XW 3.5mm 223 0.31° 70° 20mm 0.6mm  
               

 空は明るくても、けっこう楽しめた。ちなみに、コンデジでのタイムラプスは、これ


  

楓林舎で忘年会 (2015年12月12日)

 12日は、オーナー1&2が集まり忘年会をするという。普通なら雪だし、週頭の天気予報では、曇りか雨。オマケに超多忙なので諦めていたが、前日、これを見たら、血が騒いだ。しかも、道路には雪が無い、という。はい、迷わず向かいました。ふたご座流星群のピーク直前なのと、Obsession銀ミラーを失ってしまったので(近日報告)、本機で参戦。

 もともと晴れない事を前提に宴会、という事だったのだが、ばっちり快晴。と言っても、食事が美味しいので、なかなか外には出れない。程なくして外へ。-6〜7℃なんて、余程いいエサが無ければ、ずっと外にいる気温ではない。鼻息でアイピースは曇り、見ている時間とドライヤーの音が交互する。3人で、あれこれ導入して見比べ 楽しんだ。23時頃だったろうか、ちょっと休憩。猛烈な眠気に襲われ、30〜40分位寝てしまった。


左:iPhone6で撮影  右:まさに冷凍庫

 その後、オーナー1の天文台に皆で出かけた。メインの35cmリッチー・クレチアンの横にAPM 175mmの屈折。そのカウンター・ウエイトとして(何と贅沢な錘だろう)、Vixenのつちのこ、APM 105mm、ε、などなど。みんなでぐるぐるとローテーションして見比べた。APM 175mmは、存在感も(35cmリッチー・クレチアンが黒いので、望遠鏡では無く支柱みたい - APM175mmがメインの鏡筒に見えた)見え方も圧巻! M42なんて、星か本当に綺麗な点で、ガスの広がり具合がガスガスで、いいんだなあ、これが。APM 105mmも、口径以上の見え方で迫る。

 1時を回って、オーナー1&2は就寝。私は、仮眠のお陰で復活。再び観望を続けた。というのも、夜露が降りきったせいであろうか。いままでの12月、冬の中では最高の空なのだ。22時頃は、快晴とはいえ、典型的な冬の、ぐずぐずした空だったが、今は、まるで夏の空みたいに星が揺れない。春の銀河を一巡してから床に入った。

 翌朝、氷付けだった機材は、雨に打たれた様にびしょびしょだった。楓林舎を後にするのは名残惜しいのだが、いろいろやる事も山積しているので、昼に離れた。今年1年思い返してみると、主だったものだけでも、1月にEMS対空双眼鏡のリニューアル7月に第1回双眼狂祭8月にH-IIBの打ち上げ、9月に青ヶ島遠征、10月にマウナケア遠征11月に双望会などなど、充実した年だった。来年も攻め続ける予定。もう2つ 予定が入っている。元気な内にやっておかないと。
 

皆既月食 2018年1月31日 (2月2日 記)

 今回の皆既月食。巷では、スーパー・ブルー・ブラッド・ムーンと言われている。月が地球に接近して大きく見える「スーパー・ムーン」、1ヶ月に2度満月になる「ブルー・ムーン」、そして皆既月食で赤い月になるので「ブラッド・ムーン」、以上で、スーパー・ブルー・ブラッド・ムーンだそうな。つい最近まで、スーパームーン、ブルー・ムーンなんて微塵も言われたことが無かったし、ネットの情報拡散により、今回は、天文に対して興味の無い人でも、ブルー・ベルトは?等と言っている。

 皆既月食は都会でも赤い月が見えるけれど、暗い本当に良い空で見ると、満天の星空に赤銅色の月が輝き、それはそれは幻想的で美しい世界なのだ。2000年7月16日は、富士山・新五合目で体験し、感動した。今回は天候が思わしくなく、また暗い空に行くためのスタッドレス・タイヤも無いので、自宅での観望となった。それに、最近、凄く寒いし...

 屋上に並んだのは、写真左側から順に撮影用カメラ、本機APM-Bino (Masuyama 32mm、24×、実視野3.5°)、EMS対空双眼鏡(Hyperion 36mm、7×、実視野10.4°)、Nikon WX 10×。様々な天気予報では、18時から曇り。しかしながら、唯一、AccuWeatherだけが皆既月食の時間帯だけ晴れ、23時から曇りと予報。結果的に、これがドンピシャだった。これを書いている本日の雨、雪のタイミングも1時間ごとにピッタリ合っている。最近では、これがずっと当たっているので、実は今回の皆既月食は大丈夫かな 、と思っていた。

 部分食の開始は20時48分。実は19時49分から反影食が起きているけれど、少しわかりづらい。徐々に欠けている様は、不思議でなかなか良いものだ。写真は、300mm望遠+1.4×コンバーターで撮ったもの。左から3枚は、肉眼で見たイメージ。右側のは、双眼望遠鏡、双眼鏡で見たイメージ。

 皆既月食は、双眼望遠鏡で見ると真骨頂。立体的な球体が影で覆われていき、その影は1/3程度でも、既に赤い。また、徐々に星が見えてくると、これが実に美しい。以前、いて座に月がかかったのを本機で見た時は絶句。散開星団が月に覆われて、無数の星々が見え隠れしていく美しさは、ちょっと格別だ。影のエッジ(球体側)が、若干青く見える。これが、ターコイズ・フリンジ現象(ブルー・ベルト)かな? ネットで見ると、影に覆われていない明るい部分が真っ青の写真が多数ヒットして、こりゃあ、無理矢理色温度を変えて青くした写真だわなあ。

 双眼望遠鏡に手持ちのiPhoneだってご覧の通り。拡大しなきゃ、これでも十分。

 21時51分、皆既。EMS対空双眼鏡、WXでは、月、かに座のAsellus Australis、プレセベ M44 が同一視野で、なかなか。いろいろ露出を変えて撮影したが、HDRソフトでの合成が面倒くさくて、周囲の星と月との合体写真がまだ手つかず。都会でも明るい星座が見えて、美しい。食の最大は22時29分で、23時8分まで皆既が続く。こんなに長いのは、なかなか無い。今回の観望機材3台は、本当に素晴らしい。WXは本領発揮。

 

 皆既の終わり頃から雲が出始め、おぼろ月夜となり、そして雲に隠れていった。たまに雲の隙間から顔を出していたが、機材、カメラ・レンズなどが散乱していたので、撤収と相成った。で、右上の写真。家内がSONY RX-10 III で撮影したもの。このカメラのレンズは、24-600mm!なのだ。写真は、撮ったまま、トリミング無し、無修正のjpeg画像。1型センサーだけど、文句あるの? と言うほど良く撮れるカメラだ。SONYは、一時、製品の方向性を誤り、見事なまでに転落したが、近年、しっかり復活をしてきている。残念なのは、αシリーズ。シャッター・レスポンスが遅すぎて、写真が撮れない。

 次は、本年7月28日未明。土曜の夏で遠征はできそうだが、皆既のまま沈み、その意味では条件は良くない。次に条件の良いのは、2022年11月8日で、天王星食まで起こる。この時は、良い空で見たいなあ。条件の良い皆既月食は、意外と少ないのである。
 

 月の大きさ(2018年2月25日追加)

  ちなみに月の大きさ。これで一発で把握できる。小さい。また、冥王星は、これの約2/3の大きさ。小さい!

 

梅雨明け (2019年7月24日)

 今年は梅雨開けが遅れていたが、ようやく24日、明けた模様。模様、というのは、今一すっきり快晴、という訳では無く、時々、梅雨の空に戻るから。まるで、まだら梅雨明け・まだら戻り梅雨とでも言おうか。しかし、ちょっとだけ時間が取れたので、片倉ダムへ行って来た。このところ投稿がご無沙汰だった本機。依然、活躍中。

 片倉ダムは、雲一つ無い快晴だった。昨年出したDSO観望ガイドブック、今月出したDSO観望ガイドブック「南天編」に引き続き、「都会で星を楽しもう」の出版に向けての原稿見直しの為の遠征でもある。梅雨明けでして空が良いせいか、Ethos SX 3.7mm で見る211倍の木星がもの凄かった。下手なドブソニアンなど蹴散らす位の解像度とコントラストに釘付け。高性能の屈折を見ると、口径って何?といつも考えさせられる。そこから、うしかい座、おとめ座、かみのけ座、さそり座などのガイドブック用の天体をセレクト、見直し作業。「都会で星を楽しもう」は、都会でも楽しめるDSOのみならず、満月でも楽しめる美しい二重星、アステリズムを網羅している。そして、郊外で小口径でも楽しめるDSOガイドブックも兼ねている。

 見直してみると新たに気付くことも多く、見ながらうなることしきり。奥が深いなあ。そうこうしている内、21時過ぎに夜露が襲撃。ダムなので、湿気は多いのは残念なところ。そして23時には雲に覆われてしまって撤収。
 それにしても、大口径ドブをものともしない木星のもの凄い像、アンタレスの伴星を綺麗に分離して見せてくれる本機は、やっぱり宝物、特別な1台だ。現在(2019年7月)使用しているアイピースと実視界、倍率、等 は、下記の通り。

  口径 焦点距離 倍率 実視界 見掛視界 アイ・レリーフ 射出瞳径 備考
APM APO 130/780 f6 130mm 780mm            
EWO   40mm 20 3.54° 69° 20mm 6.7mm  
Masuyama   32mm 24 3.49° 85° 20mm 5.3mm  
NAV-HW   17mm 46 2.22° 102° 16mm 2.8mm  
NAV-HW   12.5mm 62 1.63° 102° 16mm 2.1mm  
NAV-HW with EiC   10mm 78 1.31° 102° 16mm 1.7mm  
Ethos   8mm 98 1.0° 100° 15mm 1.3mm  
XW   5mm 156 0.45° 70° 20mm 0.8mm  
Pentax XO   5mm 156 0.28° 44° 3.6mm 0.8mm  
Zeiss ABBE II   4mm 195 0.22° 43°   0.7mm  
Ethos SX   3.7mm 211 0.52° 110° 15mm 0.6mm  
XW   3.5mm 223 0.31° 70° 20mm 0.6mm  


月面x (2020年2月1日)

  最近認知度が高くなった月面X。ところが、月面Vが追加登場し、おまけに月面Lがあるよ、と家内。それでは、ということで、今晩は月面Lまで見ることになった。快晴。

 

 こういう時は、やはり双眼望遠鏡だ。20:35pm、愛用のコンデジで手持ちコリメート撮影。アイピースは、Ethos 8mm。iPhoneは11Proになってカメラ・レンズが3つになり、拡大するとレンズが切り替わるので、コリメート撮影は難しくなってしまった。肉眼では、Lはもう少し明瞭。でも、少しVにも近い。そのうち、月面アルファベットでも揃うのかな?
 

散開星団祭り@片倉ダム (2020年11月14日)

 大口径ばかりが能では無い。今日は双眼望遠鏡で散開星団ばかりを片っ端から観望だ。メジャーなものが見事なのは当然として、マイナーなものも捨てがたい。例えば、カシオペア座のTrumpler 3 や、ケフェウス座のPismis-Moreno 1 などは、一見明るくない恒星がチラチラ見えるだけで地味なのだが、じっと見続けていると、バックに砂粒のような微光星が見えてきて、これがなかなか良いのだ(NAV 12.5mm、62×、実視界1.6°)。じっと見続ける大切さを再認識した次第。


しし座η星の食 (2020年12月7日)


 しし座のη 星の食/入:12月6日23時35分、出:7日0時30分(横浜時間)があった。ただ恒星が月に隠れて出てくるだけだけど、双眼望遠鏡で見ると天体が動いている実感があって、これがなかなか良いのだ。写真はコンデジでの記念撮影。
 

梅雨明けは月面観察 (2021年7月17日)

  今年は、首都圏では5月下旬にスイッチが入ったように曇天となり、入梅したと思われた。しかし、気象庁の梅雨入り宣言はまだ。降雨は今一でたまに晴れるからだろうか。しかし、明らかに空は梅雨の様相だ。不思議なのは、TVに出ている気象予報士は完全に気象庁に追従していて、誰一人として梅雨入りしたかも、とは言わない。何だこれ? 完全なるヒエラルキーか? 結局梅雨入り宣言は6月14日で平年より7日遅いとか。いつだったか、梅雨入り宣言をした後、晴れが続いて気象庁にクレームが殺到し、「もう、これから梅雨入り宣言はしない」とした時があった。これでは子供の駄々こねと同じではないか。

 梅雨明けは7月16日。2日程前から気配はあったが、16日からすかっと快晴となり、猛暑が襲ってきた。さあ週末。月齢は7だけれど遠征したいところだ。しかし、土曜 は18時まで、日曜午後に音楽関係の予定が入っているので、今年は自宅で月面観察となった。19時はまだ薄明中だけれど、本機を出して低倍から見出したけれど、まあ月の美しいこと。

 Ethos SX 3.7mm、211×で観望。際立ったアルプスの谷から始まり、北側のWボンドのクレーター壁の影に見とれ、カッシーニ・クレーターの中のカッシーニAとBクレーターの浮き上がり方、そしてアリストテレス、いいじゃないの! エウドクソスなんて、今衝突して出来たみたい。その北西のエウドクソスAは鋭く見えている。再びカッシーニに見とれ、アリスティルスは壁の皺が実にいい感じで、クレーターのでき方標本のよう。オートリクスは、月齢8だと、もう平らに見えてくるけれど、月齢7と1違うだけで、深々と見える。アペニン山脈も影が長く濃く、ハドレー谷近くのコノン・クレーターは彫りが深く、くっきりと主張している。マニリウスは、中央丘が見本、お手本のように美しい。横のメネラウス、その北のヘッセルもシャープでくっきり。シーイングがいいねえ。


撮影:本機+NAV-HW 12.5mm + Leica Q手持ちコリメート撮影

 さて、名前が分からない場合には、昨年掲載した「月を見ないなんてもったいない」ここを参照。私だって、これを見ないと名前なんて全部覚えていない。続いて写真右上のアグリッパとコディン。これまた大きさこそ小さめだけれど、ザ・クレーターのような美形兄弟。兄弟と言えば、欠け際三兄弟、プトレメウス、アルフォンスス、アルザッケル。これは月齢8の方が綺麗かな。でも、プトレメウスの中のアモニウス・クレーターはいい感じ。すぐ東側のアルバテグニウスと中のクライン・クレーター、そのすぐ横の丘、いいんだなあ〜、これが。当たり前だけれど、正面ではなく、斜め上からの光は表情を際立たせる。

 で、ご覧の通り、プルバッハ、ウェルナー、アリアセンシスの彫りの深さを見よ! ワルターだって、立体的。この辺りの集中砲火的クレーター群はシーイングが良いと釘付けだ。といった具合に観察というより鑑賞。今晩は後五藤かザンブト鏡で見ようかな。
 

梅雨明け(?)、亀山湖へ (2022年6月25日)

  まだ6月だというのに、気温は30℃後半で快晴。梅雨明けと思われるような天気だが、梅雨明け宣言はされていない。その後の天候が読めないのでクレームを避けている為だろうか。以前、梅雨明け宣言をしたらまた雨ばかりとなって、「これは戻り梅雨だ」と言った挙げ句、もう気象庁は梅雨明け宣言はしない、とか言って、まるで子供がダダをこねているような対応に笑ってしまった。

 さて新月期の快晴となれば遠征だが、風が強いのでドブは無理だし双眼望遠鏡で星空散歩をしたかったので、本機で亀山湖に遠征。壊れていた街灯は残念ながら直っていて、また21時の消灯は本日は21時47分。それまでは街灯がけっこう観望の障害となった。それでも東京近郊でこれだけ見えれば御の字。大口径ドブで見慣れていると銀河はそれなりだけど、しかし、2009年のGWに天城でおとめ座銀河団見た時はかなり見えていたし、西オーストラリアでは薄明中でもソンブレロがはっきり見えていたから、本機の性能からすると、やはり空なり、といったところか。

 しかしながら、NAV-HW 12.5mm(62×、実視野1.6°)、同17mm(46×、実視野2.2°)での星空散歩はやはり絶品だ。優秀な屈折で見る二重星は、本当に美しい。不思議なのは、おとめ座のγ Porrima(離角3.2”)は62×では分離はわからなかったけれど211×ではきれいに分離、しかしながら、からす座のHR4578(離角2.2”)は以前は240×でも分離が難しかったのに、Apollo 11(71×)で上下に分離しているのがわかったこと。もちろん空の状態に大きく左右されるけれど、位置関係や二重星同士の光度差等が関係しての結果なのかな、と思った。

 今回は、石石石さんが合流して2本Apollo 11を貸して下さった。このアイピースは現代最高のもので、今はドブソニアンの必須アイピースだけれど、私の所有は1本。購入当初、NAV-HW 12.5mmを2本処分してApolloにしようかとも思ったが、NAV-HWの広い視界での快適さを取った。今回、じっくり比較したが、例えばM5の全景・広がり具合や球状星団内の恒星の光度差はApollo 11が見事だった。しかし星空を流して行くと、やはりNAV-HW 12.5mmの圧倒的なストレスの無い広い視界がいい。双眼望遠鏡の真骨頂だ。という訳で、本機を導入して13年。見る度に愛着は増すばかりだ。
 

皆既月食+天王星食 (2022年11月9日記)

 11月8日(火)は、皆既月食。今回は、皆既が19時16分〜20時42分なので、18時に仕事が終わって、少し暗い所へ行ける。皆既月食は都会でも楽しめます、なんて言っているが、空が暗いと満天の星空に赤銅色の月が見て、とても幻想的なのだ。そう、満天の星空と満月が同時に見れるのは皆既月食の時しかない。

 マスコミは、すぐに何十年ぶり、何百年ぶり、と、あまり価値のないものと組み合わせて無理矢理話題を作るが、今回の皆既月食中の惑星食は本当に珍しい現象なので、これは見ておきたい。ずっと快晴予報だったが、当日には少し雲が出る、という予報も出た。が、結果的に雲一つない快晴。目的地は、片倉ダム。朝、本機と双眼鏡を何台か積んで出勤した。

 18時に仕事が終わって、さあ、と首都高に乗ったが、大渋滞。そうだった。この時間に首都高に乗ることはないので、すっかり忘れていた。動かないので、カーナビには20時20分着予定、などと表示が出ている。車の中から部分食の進行を見ていた。アクアラインからはかなり空いていたので、結果的に19時20分過ぎに到着した。すでに皆既中。上の写真は、到着してすぐに撮った1枚目のもの。

 本機 + NAV HW17mm で見る皆既月食は極上だ。赤い球体が眼前に浮いて見え、周囲には天王星、恒星が沢山見える。思わず、「おお〜っ」と声が出た。天王星食の時はEthos 8mm(98×)に。天王星は面積を持った青い円盤として見え、食は、本当に美しい。出も、ひょこっと顔を出すので、これがまたいいのだ。私は、さんざん書いているように、見るのが主体で撮影はおまけ。今回は、iPhone手持ちコリメートで撮った。それが、これ。当然、食の瞬間の写真は無い。この瞬間を見ずして撮っているだけ、なんてありえない。


皆既の終わりと、天王星の出(21時22分)

 今まで沢山皆既月食を見たけれど、今回のものが最も赤くなかった、と感じた。その通りなのか、自分の加齢による眼の劣化なのかは、いまのところ不明。

 双眼鏡は、Nikon WX (10×、7×)、Swarovski NL Pure 10×42、Leica Noctivid 8×42 を持参。この中で、最も美しかったのは、Noctivid 8×だった。月が一段と明るく赤く、実に見栄えが良いのである。で、予想では本命のNikon WX 10×はどうだったのか?

 じつは、到着して雲台に装着した時、カチャッを音と感触があったのでてっきり嵌ったと思っていたら、どうやら入っていたのは溝の片方だけで、手を離した瞬間、落下させてしまったのである。「ガシャーン」と響き渡る音、そして「あああ〜っ!!の声。派手な音は、レンズが割れた音ではなく、先端に装着していたフィルター・ボックスからフィルター・リングが外れた音だった。三脚に装着するにもアダプターが緩んでいるし、光軸も狂っている。帰宅してチェックしたら、連結部が折れていた。

 1.7mの高さからアスファルトの地面への落下。それが、これ。落ち方にもよるだろうけれど、先日、やはり友人がWXを落下させたが、光学系は無事で「流石、丈夫だ」と言っていた。はたして修理代は??
焦りは禁物だ。皆既日食ではないので、そこまで焦る必要はなかった、と反省。
 

自宅で観望 (2023年7月23日)


写真・右:行きの便の機内から撮影

 7月の海の日の連休は、トラベル・ドブで宮古島遠征(そのページには掲載なし)。今まで確認できなかった85天体が見れ、1行観望記録を記載したガイドブックのメモを全て改訂版ガイドブックに転記し、さらにグルメ三昧と大満足の遠征だった。そして今週末も快晴だけれど、さすがにまた遠征に行くエネルギーは無く、自宅で本機で観望した。都会編のガイドブックには、さらに☆印の天体リストがあり、1時間で42天体(二重星主体)を制覇した。こんな良いもの(双眼望遠鏡+ガイドブック)があるのに普及しないなんて、皆、なんともったいないアプローチをしていることか。

EMSスリーヴのチェック (2023年10月27日)

 DayStarでは 、本体のバレルの溝とEMSのスリーヴのバンド・クランプの位置が微妙に合わずに干渉し、安定して固定できなかった。結局、EMSのスリーヴを交換したが、念のため、本機で全てのアイピースをチェックしてみた。全部確実に固定できていて、安心。月齢11.4だけれど今日(10月26日)はシーイングが抜群で、欠け際をEthos SX 3.7mm、211×で見て、実に楽しい。また、傑作アイピース Pentax XO 5mmは圧巻! 木星も抜群に見える。さっすが〜!


 
   続く.....!

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