ソーラー・クッカー その1
番外編: Solar Cooker     太陽光を集めてみれば...

  公開:2014年9月14日
更新:2018年
10月21日 *楓天 Solar Star Partyに出動 を追加しました


2014年9月14日 記

 大口径望遠鏡が欲しい、と購入したのがORION 300mm F4.5。口径30cmは、かつては天文台クラスで、移動して使用なんて考えられなかった。ところが、 ドブソニアンの登場で、世界が一変した。そして何でもそうだけれど、すぐに慣れてしまうのである。結局、Obsession 18" を購入するに至った。口径は、約46cm。私の場合、1人で愛車に載せて移動するには、今の所、このあたりが限界。しかし、この口径もドブでは標準口径になりつつある。双望会でも、これ以上の口径がズラリと並ぶようになった。いずれ60cmクラスも普通で、45cmクラスなら、イスに座って観望、という時代も来るのかもしれない。

 イベント等で火炎がドカンと出る場合があるが、光ると同時にカッと熱く感じる。先日、東京ディズニーランドのプロジェクション・マッピング:ワンス・アポン・ア・タイムに招待されて観て来たが、相当距離が離れた所でも、炎が光ると同時に熱を感じた(ちなみに、抽選の前の席はおすすめしません。映像もぼけるし、全体が見えません。思い切って遠くで見ると、投影される映像も明るく、レーザー光の走り具合もいいです。まあ、両方観るのが一番ですが)。これは、炎の熱が空気を伝わっていたのでは瞬時に熱を感じるはずは無く、赤外線、遠赤外線が光と同じように届いた、という事だろう。


ソーラー・クッカーの例: 工房あまねのかるぴか、おりたたみ式のサニー・クッカー、1.5mの大口径パラボラ(中国製)

 当然、太陽でも同じで、望遠鏡は優秀な集光・発炎機でもある。70cm位の大口径の望遠鏡が欲しいが私の現状では無理。しかし、ソーラー・クッカーなら、私でも大口径パラボラが手に入る。ネットで検索していたら、意外なほど、沢山ヒットした。アフリカや中国奥地では重宝しているようだ。当然、大口径ほどパワーがあるが、毎回組み立てるのは大変だし、重くなる。しかし、せっかくなら、 綺麗にピカピカに反射しているパラボラが欲しい。中国製はおそろしく格安で大口径が得られるが、リスクが高すぎて中国の通販には 手が出せない。以前、一度だけ注文したら、途端にカードを不正使用された。

 いろいろ検討した結果、フランスのIN COOK のもの(€208.29)を購入した。決め手は、口径105cmでパワーがある事、パラボラの光沢がしっかりしている事、デザインが美しい事、価格が高すぎない事 、等々。クリックしたら、1週間で届いた。取り説を見て組み立てるのだが、最初の所はわかりにくく、ちょっとした知恵の輪のようだった。何だか頭脳を試されているような気分になった。で、組みあがったものを見てビックリ! 想像していたより、遥かに巨大なのである。総幅133cm、奥行き71cmで部屋のドアから出すのも一苦労。欲張らずに、工房あまねのかるぴかあたりにしておけば良かったかもしれない。

 組み上げたは良いものの、とにかく晴れない。今年は5月から遠征に行けていない。毎年、晴れない、と言いつづけているが、ここまでひどい年は経験が無い。やっと9月14日、快晴となったので、テストしてみた。 といっても、13時から二期会の「イドメネオ」があるので、朝のテストとなった。ソーラー・クッカー用に準備した鍋は、アルミIH d-pot 24cm AP-0037。アルミ製で熱伝導が良く黒色。蓋が付属していて、お湯を沸かせるだけでなく、鍋料理、煮込み、焼き物までOK・万能。しかもIH対応。

 テストは6:55amスタート。太陽高度は、わずか18°。たまに雲が通過するが、快晴。テスト中の気温は23〜25℃、湿度は57〜64%と、ほぼ一定環境。ソーラー・クッカーを屋上に出したら、カラスが警戒してカアカア鳴いて、いなくなってしまった。カラスが賢いのは有名だが、2年程前には、近所の家の湯沸しソーラー・パネルでソリ滑りをしているカラスを見かけた(カアカア鳴きながらパネルを下まで滑ると、また上まで飛んで、また滑る、を延々と繰り返していた。しかも大絶叫)。

 
30分後                     50分後                      70分後
 

 水1リットルを鍋に入れ、水温の経過をみた。開始時の水温は25.3度だったが、5分後には、もう蓋が暖かくなっていて、15分後には、鍋の外は42℃になっていた。30分後には、湯温は59℃になっていて、鍋には気泡が付着していた。40分後には、湯温は67℃で、鍋の気泡も密になっていた。50分後には、湯温は70℃、鍋の気泡も大きい。60分後には、鍋の温度は87℃、70分後は99℃と完全に沸騰、煮立っていた。 昼なら、水1リットルの完全沸騰には60分はかからないだろう。

  なお、太陽の方向を追っていくファインダーは、取り説ではネジ止めとなっているが、これはベルクロで接着して取り外しを容易にした。これから起こるであろう大震災では、(もし生きていたら)活躍する事だろう。

  

発火装置 2014年9月14日 記

 大口径では1時間もあれば、水1リットルを沸騰させる事ができるようだが、小さい場合はどうだろうか? 調子に乗って、これにも手を出してみた。小さなパラボラなら、懐中電灯のリフレクターでも良いかもしれないが、とりあえず口径115mmのSolar FIRE Starter

 

  朝、7時では、太陽に向けて15秒後には煙が出たが、11時には、太陽に向けると同時に煙が出た。朝と昼近い時刻では、相当パワーに差があるようだ。続いて、さらに小型のもの。Dual Energy Lighter

  何と、スリット状の折りたたみ式。ライター位の大きさだが、広げれば14cm。これでも、11時なら、太陽に向けると同時に煙が出た。ただし、正確に太陽に向けるにはコツが要る。ソーラー・パワー恐るべし!

 可視光を精密に集めれば望遠鏡、アバウトでも良ければソーラー・クッカー。両者は本質的には同じ原理だ。ところで、YouTube で巨大なフルネルレンズで金属も溶かしているものを見つけた。しかも価格が恐ろしく安い。これまた、巨大な屈折望遠鏡の可能性を示唆している。

  

双望会でデモ (2014年10月27日)

  今年も双望会(10月24〜26日)に行ってきた。望遠鏡関係は、こちら。太陽を白色光&ハーシェル・プリズムで見て感動し、口径105cmのパラボラを体感し、安全な核融合炉の恩恵を感 じている私としては、是非同じ思いを味わっていただきたく、頑張って持って行った。今年は、APM/LZOS 130/F6 Bino、家内専用に125SD BinoEMS対空双眼鏡Lunt 10cm ダブル・スタック特製アイピース・トランク3種双眼鏡数台その他もろもろ、と例によって機材満載なのだが、出発前夜に積み込んだら、かみさんの乗る場所が無くなってしまった。ソーラー・クッカーを取るか、かみさんを取るか選択を迫られたが、パラボラの内側と外側にうまく物を入れて、全て丸く収まった。また、昨年は芝生駐車場が当たらなくて大変だったけれど、今年は大丈夫だった。

 25日朝、8時に水1Lを入れてセットしたら、約20分で沸騰。さらに水を500ml追加し、8時半の朝食後にコーヒーを淹れた。お湯が無くなったので、水1Lを追加して再沸騰、計16人分のコーヒーを淹れた。次に、ソーセージ。これは、まんべんなく熱が入り、表面もはじけていい感じ。しかも、これは相当美味しかった。熱の伝わり方がちょうど合っていたのだろう。

 夜間に、アイピースを片手に焦点あたりで覗いてみようか、と思っていたが、曇りも多くて実現できなかった。もし、ぼんやりでも何か見えたら、面白かったのに。

 車にこれを入れるには、足の部分を外さなければならない。当初は凄く苦労したが、最終日に片付ける時には、割をあっさりと収める事ができた。何事も習熟である。ただ、パネルを止めている小さな菱形のピンがいくつか外れる。今回、カメムシが大発生していて部屋でも大変だったけれど、このピンがカメムシに見えて、帰宅して荷物を広げている時に、幾度もぎょっとした。昨年は、車の中で長期に生息したようで、運転中、毎週のように姿を出して、けっこう参った。今年はどうだろう。

 来年の双望会はシンプルに行きたいが、車にスペースがあれが、また入れて持って行きそうな気もする。ただ、メニューがエスカレートすると、何をしに行っているんだかわからなくなるので、ここはほどほどにしないと。
 

楓天 Solar Star Party (2018年10月21日)

 本機・遠赤で調理するソーセージは美味!

 太陽に特化した観望会に出動。詳細はこちら。

  

      続く.....!
 

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