双眼鏡
 なぜか嵌る双眼鏡の世界

 公開:2010年2月5日〜
更新:2017年6月13日 *
Leica ウルトラビット 8×20BR を追加しました

双眼鏡の世界

 かの東郷平八郎が日本海海戦の時愛用し、的確に戦況を把握できた双眼鏡は、倍率切替式のZeiss 製だった。唯一、Zeiss の双眼鏡を使用していた彼だけには遠くの敵艦が見え、他の双眼鏡を使用していた人達は、いくら目を凝らしても見えなかったとか。第二次世界大戦で撃沈されたUボートが何十年も経って引き上げられた時、中からZeiss 製の双眼鏡が出てきたが、内部には水が1滴も浸入しておらず、そのまま引き上げて使うことができたとか。いろいろな伝説を何かで読んだ記憶がある。これは、単なる過去の伝説なのであろうか?

 ところが、現代にも驚愕する双眼鏡がいくつか存在する。これで覗くと、見慣れている風景が一変し、目から離せなくなる程だ。双眼鏡に嵌ってしまったマニアは多く、凄い人になると、毎年、二桁台の台数の双眼鏡を購入しているとか。私はコレクターではないが、用途別に購入していたら、いつの間にか10台を超えてしまった。

 Zeiss やLeica の双眼鏡は30年保証だ。孫の代まで使えるから決して贅沢品ではない、 等と言い訳をして購入するが、だいたいこんなものを買うオヤジは自分だけで愛用するし、また、こんな趣味は子孫に継承されないのが世の常なので、難しいところだ.....

 

実視界と見掛け視界と倍率

 双眼鏡は、対物レンズの大きさと倍率で大まかに分類されている。対物レンズの大きさは、明るさに直結するので大切な情報だが、倍率は見え方に直結しない。例えば、Leica 8×20BC Trinovid は、8倍で実視界は6.5°、見掛け視界は52°であるのに対し、Canon 10×42 L IS WP は、実視界は同じ6.5°だが、倍率は10倍、見掛け視界は65°である。つまり、両者は同じ視界のものをとらえているのに、Canon の方は、10倍という、より大きな倍率で、しかも65°という広い視野で見えている事になる。だから、倍率だけでなく、実視界、見掛け視界は、とても大切な情報なのだ。見掛け視界は、実視界×倍率 で求められる。

 


TeleVue (USA) website より引用。望遠鏡も双眼鏡も同じ。一目瞭然。

 

口径と明るさ

  対物レンズが大きい程明るくなるが、大きく、重くなってしまう。大きな荷物を運ぶ時は大型トラックが必用だが、コンビニに買い物に行くには、不便この上ない。だから、何台も必要になってしまう(という言い訳で、購入)。口径と明るさ (集光力)の概算値をまとめてみた。集光力は、(口径)2÷72 で求められる。

双眼鏡・望遠鏡 口径(mm) 集光力(倍)
  10 2
TC-E2 BINO 12 3
TC-E2 BINO 14 4
Leica/Zeiss 20 8
CL Pocket 25 13
  30 18
Kowa 33 22
Canon/Nikon EDG 42 36
Nikon/miniBORG50 50 51
High Lander 82 137
Kowa TSN-883 88 158
  92 173
  98 196
  125 319
APM/LZOS 130 345
  140 400
  150 459
  160 522
  180 661
  200 816
  250 1296
ORION 300 1817
  320 2090
  350 2500
  400 3265
Obsession 18" 454 4206
  500 5102
  900 16531

 これで見ると、小型双眼鏡などに使われている口径20mmの明るさは8倍、やや大きめの33mmでは22倍、天体用によく使われる42mmでは36倍、さらに50mmでは51倍だ。双眼鏡ではこの差は大きく、特に、暗所では歴然と違いが出る。しかし、コンサート等で大きな双眼鏡を使うと、他の観客の視界を遮る場合もあり、やはり小型の双眼鏡も必要だ。

   

 

口径20mm未満の双眼鏡

Nikon TC-E2 テレコン・ビノ (2010年1月記)

口径:14mm 倍率:2× 実視界:約30° 見掛け視界:約60° アイ・レリーフ:-(ガリレオ式) 射出瞳径:20mm*

 Nikon 製のテレ・コンバーター・レンズ TC-E2 利用した、いわゆるテレコン・ビノ。以前は、笠井のWide Bino 28 を使っていたが、これに替わった。解像度、シャープネスともに優れているが、ピント調整ができないため、眼鏡着用の上、使用しなければならない。

 これだと、オリオン座などでもすっぽり全景が入り、しかも集光力3〜4倍なので、肉眼より星の数が増える。“あたかも目がドーピングしたような双眼鏡” といわれる所以である。都会では、ろくに星座も追えないので、便利だ。 また、望遠鏡で等倍ドット・ファインダーで導入する場合も星座がきちんと見え、レンズで犠牲になった暗い星を復活してくれるので、無くてはならない双眼鏡だ。

 双望会のメンバーは、ちょんまげを付けたり、鼻眼鏡にしたりと流石であるが、私は、単純に金属パテで連結して塗装。接眼部は、Oリングをはめたが、肉眼の時はVリング (写真右・手前側)の方が良い。

 レンズの口径は54mmあるが、最低有効倍率(口径÷7は7.7倍。この双眼鏡の倍率は2倍なので、口径は、接眼部のレンズ径で決まってしまう。このBINOの接眼部のレンズ径は20mmだが、射出瞳径は瞳径となり、結局、口径は、実質、瞳径×倍率 となる。最大瞳径は7mmとされているが、個人差が大きく、また、年齢と共に開かなくなってくる。私の場合、50を過ぎて瞳径は6mm程度なので、口径は12mm。もし、私の瞳が8mm開いたら、口径は16mmとなり、集光力も4倍にアップする。子供の時から暗い空を見ていると、大人になってからも広い瞳が維持できる、という話もあるが、残念ながら、もう遅い。

 * 射出瞳径は、対物レンズ有効径÷倍率 で求められる。最大瞳径(6〜7mm)以上あっても、結局、瞳で絞られる(しかし、これが無意味かどうかは別問題)。
   

GOTO GTL-M 518 (2016年11月記)

口径:18mm 倍率:5× 実視界:10° 見掛け視界:50° アイ・レリーフ:18mm 射出瞳径:3.6mm

 単眼鏡というと、おもちゃのようなものから、高級(高価格)品まで沢山出回っている。単眼鏡のメリットは、小型・軽量、手軽。軽量なので、双眼鏡のように8×もあると像がぶれて大変なので、6×以下が実用範囲だろう。逆に言うと、8倍なら単眼鏡ではなく、双眼鏡の出番だ。また、実視界は9°は欲しい。という訳で、ツァイス、ライカは却下。

 6倍以下で、ハイレヴェルなのは、Vixen HR 6×21と五藤光学研究所のGTL-M 518 の2つしか無い。Vixen のは光学系は素晴らしいが、ピントのヘリコイドが無限遠から最短まで3回転半も要し、ピント合わせが大変だ。ピントの山も掴み難い。それに反し、五藤は1回転なので、実際に使ってみると、結局五藤光学の本品しか無い。

 そもそも、五藤光学/五藤テレスコープは、GTL125/1200など、屈折望遠鏡では世界に誇れる最高のものを製作しているので、単眼鏡だって悪い筈もない。このメーカーの素晴らしいのは、とにかくまじめに丁寧に製作していている事。5倍という倍率、シャープでコントラストの良い像、本体が四角くて、その辺に置いても転がらない等々、熟知した設計となっていて、廉価版単眼鏡とは別次元に仕上がっている。

 私の場合、机の片隅に置いていて、距離があって見えない(読めない)各種オーディオ機器のディスプレイの確認や、50cmまで寄れるので、下記Papilioのように、マクロの世界で気張らしで遊べる。また、鞄に忍ばせても、重さも大きさも全く気にならない。

 残念なのは、極めて薄い布製のケースで、本体の保護にもならないし、取り出し・収納も大変だ(ケースは、現在適当なものを探索中)。
   

 

口径20〜29mmの双眼鏡

ZEISS  6×20B (2010年1月記)

口径:20mm 倍率:6× 実視界:6.9° 見掛け視界:41° アイ・レリーフ:15mm以上 射出瞳径:3.3mm

 我が家で最も小型・軽量の双眼鏡。重さが130gしかない。コンサート・オペラ用に20年程前に購入。当初、光軸がずれていて、何度も調整に出した。 舞台を観る時は、倍率が大きく実視界が狭いと、1人だけのアップになってしまい、全体の動きが掴めないので、できるだけ実視界の広い、低倍率のものが良い。かといって、オソマツなオペラグラスでは、使い物にならない。この双眼鏡は、私の場合は軽すぎて、かえってプルプルと像がぶれてしまうが、家内は良い、といって愛用している。
 CDプレーヤーのインジケーターが着座位置から見えにくいので、普段は、これを見るために使用している。フォーカスはIF方式。

 *身辺整理のため、2013年11月、手放しました。

  

LEICA  8×20BC TRINOVID (2010年1月記)

口径:20mm 倍率:8× 実視界:6.5° 見掛け視界:52° アイ・レリーフ:15mm 射出瞳径:2.5mm

 小型双眼鏡の名作。20年以上、コンサート、オペラ等で愛用 、大活躍。旅にもお供する。今は、同じような タイプが各社から出ているが、小口径ではダントツの性能を誇る。くっきりしたな視野環に、シャープでコントラストの良い像が展開する。普及品とは像の次元が異なり、ライセンス生産の国産なんちゃってライカではなく、Leica の名に恥じない逸品。小さいが、ケース込みで274gあり、鞄に入れると、少し重さを感じる。しかし、持った時の重さは軽すぎず、像がぶれない。フォーカスはCF方式。

 *2016年の年末、右側のヒンジが緩み、締め上げるのにも専用の工具が必要なため、修理に出した。修理代は\21816 もしたが、具合の良かった左側も広げるのにかなりきつくなって戻ってきた。あんなにきつい双眼鏡など、世の中に存在しない。丁度良い加減、というものがあるのに、まるで近所の器用なオヤジが「緩まないように、きつく締め上げておきました」的な素人丸出しのような修理であの金額なので、絶句してしまった。当然、再修理に出したが、今度はフォーカサーが壊れて帰ってきた。天下のライカのアフターがこんなお粗末では本当に情けない。結局、ドイツ本国送りとなり、再々修理。やっとまともになって帰ってきた。頃同じくして、大変頭にくる事が連発し、「もうウルトラビット、買ってやる!」とヤケ買いし、本機を手放した。長い間、本当に大活躍で、感謝! 感謝!!

   

LEICA  ULTRAVID 8×20BR (2017年6月記)

口径:20mm 倍率:8× 実視界:6.5° 見掛け視界:52° アイ・レリーフ:16mm 射出瞳径:2.5mm

 上記、トリノビットを長らく使用してきたが、現在、小型・軽量でダントツの双眼鏡がこれ。シャープネス、コントラスト、見やすさ、持った時のバランス、どれをとっても文句なし。トリノビットは、本体をするりと囲む革製のケースが付属していて良かったが、ウルトラビットではケースが大きくなってしまって鞄に入れるのにかさばる。そこで、たまたまあった布ポーチに入れて使用。

 購入して半年近くなるけれど、もう大活躍。今の所、一番稼働率が高いかな? 明るさでは、SWAROVSKI CL Pocket が上だが、この少しの小型・軽量の差が大きいのだ。夫婦でコンサートの時は、本機と CL Pocket を持って行き、時々交換。

  

Pentax  Papilio 6.5×21 (2013年6月記)

口径:21mm 倍率:6.5× 実視界:7.5° 見掛け視界:49° アイ・レリーフ:15mm 射出瞳径:3.2mm

 ピント合わせリングに連動する輻輳補正機構が働き、50cmからピントが合う唯一無比の双眼鏡。ワンタッチで取り外しができるストラップにケースまで付いて、ペンタックス・アウトレットで送料込みで、何と\8800だった。発売は2004年で、博物館、美術館での使用、自然観察等で絶賛され続けている双眼鏡だが、今(2013年6月)までノー・マークだった。じ〜さんのブログで知り、迷う事無くクリックした。重さは290gしかなく、届いた箱も、今時のアイピースより小さく軽い。視度補正や回転式の段階的アイカップ、三脚穴等、必要な機能は、しっかり揃っている。

 他の双眼鏡では味わえないマクロの世界は凄い。机の上を見れば、巨大なキーボードのボタン、USBメモリー、ボールペン、名刺等々が立体的に展開する。映画で時々見る小人の世界の映像だ。唯一違うのは、ホコリにまみれている点だ。肉眼では大して気付かないのに、この双眼鏡で見ると、げんなりする位、どれもこれもホコリが被っている。外に持ち出せは、植物や昆虫など、これまた片っ端から覗いて飽きることが無い。絵を見れば、筆のタッチはわかるし、絵と距離が取れない時でも威力を発揮する。美術館、展覧会でも必需品となった。

 では、遠くの風景はどうか、というと、ちゃんと双眼鏡として働く。しかも、値段が信じられない位、色収差等も抑えられている。低価格の双眼鏡では舞台鑑賞に耐えられないものも多いが、これはちゃんと見える。低倍なので、その点でも有用。ただし、流石に星は周辺が流れる。この双眼鏡は、入門者用としてもお奨めできるし、しかも高級双眼鏡を買い足したとしても、追いやられる事も無い。一家に1台!

  *Papilio II が発売になり、相当明るくなった。旧型を譲る事になり、本機は、II型となった(2015年8月)。

   

Nikon レーザー1200S (2014年7月末 記)

口径:25mm 倍率:7× 実視界:5.0° アイ・レリーフ:19mm 射出瞳径:3.6mm

 7×25の単眼鏡。それだけでは別に何という事は無いが、何と10mから1100mまで、正確に距離が測れる。しかも1000mまでは0.5mステップ表示。この手のものはいろいろあるが、これが最強。いつも望遠鏡で光学チェックをしている鉄塔やマンションの壁、ガスメーター、看板の距離が把握できて、大満足! 700mたらずの風景が霞む事も珍しくないが、そんな時は、当然、星は絶望的。我々は、大気の底で生きている。

 元来はゴルフ用だが、私には無縁。当然ヤードではなく、m表示にした。以前から興味はあったが、価格が半額以下になっているのに気づき、購入。ちなみに数十m以下の場合にはレーザー計測計があって、今は 角度センター付きで三角法で遠方の対象物の高さが求められたり、図面にデータが飛ばせたりと、これも魅力的だ。

 ふだん見慣れている風景。いったい何m? どうです? 欲しくなったでしょ〜。

   

SWAROVSKI  CL Pocket 8×25 (2013年12月記)

口径:25mm 倍率:8× 実視界:6.8° 見掛け視界:52° アイ・レリーフ:17mm 射出瞳径:3.1mm

 SWAROVISION で、一気に双眼鏡の頂点に上りつめたSWAROVSKI の小型双眼鏡。8倍の小型双眼鏡、といえば口径は20mmが定番だが、これを25mmにして明るさを求めた。その代わり、少し大きく、重くなっている。KOWA Genesis 33 Zeiss 6×20B を手放し、これに代わった。
 オペラ等には、
SWAROVISION EL 8×32、近い座席の場合はCL Pocket、オーケストラ等の場合はCL Pocket、夫婦で行く場合には、この2つ。海外での公演では、CL PocketTrinovid、といった感じで使い分けている。

 Leica Trinovid は224gだが、これは340g。写真の通り、一回り大きい。ただし、Trinovid をケースに入れると大きさは同じ位になり、CL Pocket をソフト・ケースに入れると、大きさも大差無くなってくる。純正ケースはしっかり作られている分だけ大きい。ただし、鞄に普通に収納はできる。

 口径が5mm大きくなって明るくなり、さらにSWAROVISION の技術が投入されているので、一般普及品の32mmクラスの明るさがあり、しかもコンパクト。オペラ公演等で数回チェックしたが、像に関しても文句無し。ただし、SWAROVISION と同様、シャープネスが傑出しているので、ピントが少しでも合わないと、どうしても気になってしまう。その点、EDG は大らかで神経質で無いところが良い。今は、Ultravid Trinovid を超え、小型双眼鏡ではNo.1だったが、またまたSWAROVSKI が追い越した。SWAROVISION のPocket版は出るのだろうか?
 小型・軽量の双眼鏡の方がブレ易い。この大きさのまま、ボタン電池で常時ブレ防止、なんてものが出たら、いいのに。


Trinovid と CL Pocket と EL 8×32

   

口径30〜39mmの双眼鏡

KOWA  GENESIS 33 PROMONAR (2010年2月記)

口径:33mm 倍率:8× 実視界:8° 見掛け視界:64° アイ・レリーフ:15mm 射出瞳径:4.1mm

 コンサート、オペラ等では、口径20mmと42mmでは比較にならない程歴然と差が出るが、42mmだと ちょっと大きいかな、と感じる場合があるし、鞄に入れて持ち運べない。愛用しているLeica  8×20BC Trinovid は、実視界が6.5°で、もう少し広さが欲しい、と常々感じていた。2009年、日本が世界に誇るKowa から、Genesis 33 Prominar が出た。同じ8倍だが、口径は33mm、実視界は8°もある。Zeiss Swarovski から同スペックの双眼鏡が出ていて双方ともに極めて明るいのだが、Swarovski は色収差が目立つ。Zeiss は流石に素晴らしいが、Victory 7×42 T*FL があるので、Genesis 33 Prominar を購入した。Zeiss LeicaSwarovski といった世界の頂点を極める双眼鏡と互角に渡り合え、しかも、価格は半額程である。結局、この双眼鏡は家内専用となり、オペラ、歌舞伎等で活躍している。

 *身辺整理のため、2013年11月、手放しました。

   

SWAROVSKI  SWAROVISION EL 8×32 (2013年3月記)

口径:32mm 倍率:8× 実視界:8° 見掛け視界:61° アイ・レリーフ:20mm 射出瞳径:4.0mm

 2012年、Swarovski からSWAROVISION シリーズが出た。巷で高評価だったので私もさっそく覗いて見たが、これが噂に違わず物凄い。従来のシリーズは色収差が目立っていて、私の中では評価は高くなかったのだが、ここに来て、一気に頂点に登りつめた。シャープレス、コントラスト、明るさ、像の歪、ホールド性、どれもが超一級品。ただし、ラインナップが口径42mmが8.5倍と10倍、口径32mmが8倍と10倍で、私の用途からすると何とも微妙だ。10倍ならCANON 10×42 L IS WP があり、天体用としては、これがベスト。8.5倍は、私の用途には必要無く、オペラ/舞台用には、口径42mmのNikon EDG 7×42 がある。という訳で、購入には至らなかった。

 年が明け、今度はZeiss からSCHOTT HT ガラスを使ったVictory HT が出た。SWAROVISION と比較する機会があり、改めてSWAROVISION にすっかり魅了されてしまった。EL 8.5×42 は、いわゆる双眼鏡としては総合的にはNo.1、“The 双眼鏡” といっても良いのではないか。EL 8×32 なら、実視界8°なので、オペラ/舞台用に活躍できる。これを使わずして死ぬわけにはいかない。という訳で、結局、購入してしまった。程なくして、円安のための値上げのニュースが入り、購入の言い訳も立った(?)。

 購入して今日(2013年3月11日)まで、さっそくオペラ/コンサート/ミュージカル5公演でKowa Genesis 33 ProminarNikon EDG 7×42 と比較した。一見して、まず明るさが同口径とは思えない程明るく、先に書いた通り、シャープレス、コントラスト、明るさ、像の歪、ホールド性、どれもが文句無し。ただし、フォーカシングの操作性の感触は今一で、回した時の滑らかさと粘りの感触は、Genesis 33 Prominar の方が優秀。EL 8×32 のフォーカシング・ノブは軽いのだが、ピントの山が掴み難い。また、とにかくシャープネスが傑出しているので、ピントが少しでも合わないと、どうしても気になってしまう。ちょうど、明るいf 値の中望遠レンズ(85mm f1.2等)を使っているような感じだ。また、顔に吹き出た汗やメイクのムラも全てキチッと描出してしまうので、3Fとか、後方の座席等、ある程度距離がある場合には良いのだが、 通常の席でのオペラ/舞台用としては、皮肉な事に優秀すぎる。 やはり、7倍以下だとありがたい。ただし、ライトが当たった舞台の備品や衣装の美しさは絶品で、美しさに眼が釘付けとなる。バード・ウォッティングでも最強なのではないか。

 備品には、デジカメを接続して撮影ができるアタッチメントまで付属している。対物のアイカップはカブセ式ではなく中に入れるタイプだが、EDG のように硬くなく柔らかいので、何ら苦にならない。また、EDG のように着脱で「カチッ」と音も出ないので(繰り返すが、EDG の対物キャップは劣悪)、オペラ/舞台用としてもOK。ただし、このキャップを固定する ベルトも柔らかいので、固定ベルトもろとも外れやすい。無くさないように、注意が必要だ。
 ケースは双眼鏡に比べ巨大なのだが、しっかりとショック対策がなされているので、安心して肩にかけて持ち運びができる。
EDG のバカなケースとは段違い。ただし、いつもはETSUMI ミクロディア・クロス(L)で包んで鞄に入れて持ち歩いている。ストラップは、長さの伸縮がワンタッチでできるものだが、余剰ストラップの固定リング (といっても角型)が大きくユルユルなので、すぐに写真右上のように、だらしなく弛んでしまう。仕方ないので、今は先端の所に厚めの両面テープを挟んで固定して使っている。

 星も見てみた。口径32mmだと天体用として口径が小さいのだが、この 双眼鏡は明るいので、十分実用になる。星は恐ろしくシャープな点状で、見た瞬間「はあ〜」と声が出た。改めて他の双眼鏡と見比べたが、やはり天体用としては、CANON 10×42 L IS WP が傑出。防振をonにすると、見える星の数がNikon EDG 7×50SP と比べても俄然多い。口径が一ランク上の見え方だ。また、EMS対空双眼鏡は、射出瞳径が7.2mmもあるのに、横浜の空でも、実に良く見える。いかに固定が大切か、星の数、見え方で歴然としている。

  

口径40〜50mmの双眼鏡

Nikon  EDG 7×42 (2011年2月記)

口径:42mm 倍率:7× 実視界:8° 見掛け視界:56° アイ・レリーフ:22mm 射出瞳径:6mm

 Nikon が王座奪回をめざして、EDG というシリーズを出してきた。像のクオリティの高さは超一級品で、特に、8×32は、この口径ではNo.1の光学性能だ(2011年現在)。ただし、他の機種と比べ、一回り大きく 、50〜100g 重い。この大きさなら一つ上の口径42mmのものと大差無く、何のための8×32なのか、存在価値が問われる。その点、Zeiss Victory 8×32 T*FL は、他社と比べ一段と小型・軽量で、実視界も8°もあり、流石だ。 また、8×32は、フォーカス・リングの精度が悪くアソビが出たり、ケースが42シリーズと共用でバカでかかったり、他にも下に書いたように欠点も多い。アイピースフィールド・スコープもそうだけど、何で詰めが甘いのだろう。

 しかし7×42は 、口径42mmの中では小型で、オペラ用として無類の性能を発揮する。オペラのような舞台は、双眼鏡にとって、最もごまかしがきかない、シヴィアな環境かもしれない。光のコントラストが強く色が豊富で、また、全体が暗い場合も少なくないので、色収差、コントラスト、シャープネス、周辺像の歪、等々の性能が恐ろしくあからさまに露呈する。地上風景で普通に見えていても、舞台では全く話にならない、という双眼鏡も沢山遭遇した。また、頻繁に焦点を前後に合わなければならない場合もあり、フォーカス・リングのフィーリングや双眼鏡のホールド性も厳しく差が出る。

 いろいろな機種をテストしたが、 結局舞台用としてはこれがベストだった。という訳で、キャッシュバック・キャンペーンを利用し、購入。心配したフォーカス・リングはOKだった。手軽な時、前に座る時は、Leica  8×20BC Trinovid 、それ以外はこれを使っている。 この双眼鏡は、限りなく歪の無い像を目指したせいか、無理に実視野、見掛け視界を広くしていない。最初、「見掛け視界が狭いな。」と感じたが、覗いているとすぐに慣れてくる。実視野、見掛け視界がもっと広い双眼鏡もあるが、この双眼鏡は、そこから良像だけを切り取った世界だ。この双眼鏡で舞台を見ていると、これも双眼鏡の頂点の一角であるのが実感できる。しかし、EDG 双眼鏡の共通の欠点として、

 1. 視度補正がやりにくく、使い回しには不向き(1人個人用)。
 2. 対物レンズ・キャップは中に押し込むタイプで、入れにくく、そして外れやすく、最悪。
 3. ケースの止め具に金属、ケース本体にも金属プレート(金色)があり、傷の基になる。
   (こんなもので高級感を出そうという感覚は営業サイドの感覚で、光学メーカーのセンスとしては失格。ケースは、至急作り直すべき。)

 等々。光学性能は御三家を追い抜き実に素晴らしいのだが、それだけでは、 世界の頂点には君臨できない。

    レンズキャップを交換(2011年7月14日)

 劣悪な対物レンズ・キャップは何とかしないと、と思いながら半年が経過。ヨドバシカメラ西口本店で相談したら、素晴らしい店員が、見事にピッタリの対物レンズ・キャップとケースを探してくれた。対物レンズ・キャップは、Vixen の双眼鏡:ニューフォレスタHR 8×42WP のもの(2個で\1050)、ケースは、Nikon モナークX 用のもの。ケースは、まだ届いていない。

 対物レンズ・キャップは、カブセ式となった。舞台専用なので、レンズ・キャップは完全に外すようにした方が(キャップが下でブラブラせず)他の方の視界の邪魔にならないが、装着してみたら、意外と大丈夫だったので、写真のように 素直に装着した。ヨドバシカメラの店員によると、純正対物レンズ・キャップは 、割れてしまったのもあるらしい。

    ケースが届 いた(2011年7月20日)

 

 左側は標準のケース。大き過ぎで、金属のプレート、止め具がよろしくない。右側は、Nikon モナークX 用のもの (\2016)。ちょうどピッタリ。普段は標準のケースに入れておき(風通しが良い)、持ち歩く時はモナークX のものにすると良いかもしれない。

 *唯一の7×42で、しかも大変優秀な双眼鏡だったが、SWAROVISION EL 8×32が口径32mmなのに、この双眼鏡を凌駕してしまった。出番が無くなってしまい、2013年10月末、手放した。

   

ZEISS  VICTORY 7×42 T*FL (2010年1月記)

口径:42mm 倍率:7× 実視界:8.6° 見掛け視界:60° アイ・レリーフ:16mm 射出瞳径:6mm

 20年程前、この双眼鏡の前身、7×42 B/GA T *P *ClassiC を初めて覗いた時、腰が抜ける位驚いた。とにかく明るくシャープで、世の中に、こんな物があるとは..... 「何が違うの? 何で?」。 価格の点でも、まさにカルチャー・ショックであった。その時は全く手が出ず、しばらくお店で立ち尽くしていたのを鮮烈に覚えている。結局、その後Nikon 7×50 SP を購入したのだが、いつかは手にしたい、と思っていた。

 あれから10数年、このクラスの双眼鏡を比較する機会があった。あこがれの機種はもう発売されておらず、Victory 7×42 T*FL に姿を変えていた。比較したのは同クラスの7〜10倍のZeissLeicaSwarovskiKowa の全機種。それぞれに個性があって、実に楽しいひと時であった。Kowa 等の日本製は、端正で像の歪みも無く、色収差も優秀に抑えられている。反面、Zeiss は、中心像は、スカ〜ッと抜けて明るいが、周辺の像の各収差は、それなりに出ている。このあたりは、天体用のアイピースにも共通する所があり、Pentax では、マンションの壁のタイルが碁盤の目のように水平・垂直が保たれるが、TeleVue では周辺が歪む。
 さんざん見比べたが、結局
Zeiss Victory 7×42 T*FL を購入した。このクラスは皆優秀で、結局好みなのだけれど、実視界が8.6°もあり、スカ〜ッと晴れ渡った青空のような、この双眼鏡が好きだ。暗くなってきた夕闇の風景など、感動的ですらある。星も、ピン・ポイントで針を刺すように目に入ってくる。

 *他の双眼鏡が用途別に活躍するようになって、この双眼鏡の出番が激減してしまった。大変好きな双眼鏡だったが、2013年4月、手放した。

   

SWAROVSKI  EL 8.5×42 SV WB (2015年9月17日)

口径:42mm 倍率:8.5× 実視界:7.6° 見掛け視界:65° アイ・レリーフ:20mm 射出瞳径:4.9mm

 最強の双眼鏡として君臨しているSWAROVISION EL 8.5×42 がリニューアルされた。従来のストラップは、EL 8×32 の所で述べた通り、だぶついて使いにくかったが、ここは一新。一気に良くなった。また、やたらと大きかったケースはダイエットされた。ただし、デザインは、従来機の方が上。対物レンズキャップは、本体直付けとなった。しかし、最も気になったのは、コーティングが新しくなった、というところ。あれ以上の世界があるのだろうか?

 さっそく比較してみた。確かに、さらにクリアに、コントラストも上がっている! ただただ感嘆。ただし、従来機が劣るか、というと僅差なので、No.1が、EL 8.5×42 EL WB、No.2は従来のEL 8.5×42、それから離れてNo.3が来る感じ。ライヴァルのZeiss からフラットナー付きのVictory SF が出ているが像の歪みは取りきれず、街中で見ると、ビルの壁や電柱はタル状に歪む。しかし、自然の中で木々を見ると、こってりとした色合いは魅力的で、そこは人それぞれ好みや評価は分かれるところ。

 実視野は8°欲しかったし、EL 8×32 があまりに優秀だったのでEL 8.5×42 を購入する事はなかったけれど、口径42mmのVictory 7×42 T*FL Nikon EDG 7×42 も処分してしまって、7〜8倍の機種はEL 8×32 だけになっていた事、他にもいろいろ身辺整理をしていた最中の発売だったので、ついに手にする事となった。実際に使って覗いて見て、やはり “The 双眼鏡” というべき1台だと実感。

 ついでに、EL 8×32 SV WBEL 10×42 SV WBEL 10×50 SV WB もチェックしてみた。EL 8×32 SV WB は、全く同様に、さらにクリアに、そしてコントラストも向上している。ただし、これも僅差で、というより、従来機が、元々優秀過ぎる、というべきか。EL 10×42 SV WB は手振れが気になるが、EL 10×50 SV WB は、重さが私には丁度良いのか、手振れがぐん、と減り、実に惚れ惚れする世界が展開する。天体用として愛用しているCANON 10×42 L IS WP と比較しても、光学系は、SWAROVISION があっさりと凌駕している。ただし、防振をonにすると、細かい所はCANON の方が見える場合もあり、実際に星空で比較してみたいところだ。

 近年のCANON EF レンズは、とてつもなく優秀な設計者がいるのか、何か奥義を掴んだのか、新製品が出る度に物凄い事になっている。その技術を投入すれば、とんでもない双眼鏡が誕生する筈だ。10×42 L IS WP も10年経つので、そろそろリニューアルされても良い頃だし。ただ、超駄作のEOS M シリーズや、コンパクト・デジタル・カメラのG1 X Mark II は、5D III 開発陣と交流が全く無いのか、素晴らしい技術がフィードバックされていなくて、その感じだと、あの、とてつもないEF レンズの技術が双眼鏡に投入される可能性は、絶望的だ。縦割りが続くと、シグマが物凄い双眼鏡を出して、負けてしまうかもしれないそ。

 SWAROVSKI に望むのは、ずっと言い続けているいるけれど、6〜7倍、実視界8°(以上)の双眼鏡。EL 7×32 SV WBEL 6×32 SV WBEL 7×25 SV WBEL 6×25 SV WB なんか、出してくれないかなあ。

    追記 (2015年10月6日)

  その後、オペラでチェック。倍率は8.5倍と8倍以上だし、実視野も7.6°と8°以下なので、この手にはちょっと向かないのではないか、と思いきや、どうしてどうして。実視野0.5°狭くなってもその実感は軽度で、真ん中より少し後方の席なら、8.5倍でも全くOKだった。それと、私には重さが丁度良く、像がぶれない。そして何より、圧倒的に見やすく疲れない。という訳で、オペラでも大活躍中となった。

   

CANON  10×42 L IS WP (2010年1月記)

口径:42mm 倍率:10× 実視界:6.5° 見掛け視界:65° アイ・レリーフ:16mm 射出瞳径:4.2mm

 今や天体双眼鏡の標準原器。天文ファンの多くの人達が使用、リポートしている通り、優秀な光学性能、防振性能の圧倒的な効果等々、どれを取っても非の打ち所が無い。このタイプは他のメーカーも全く太刀打ちできず、実質CANON の独壇場。10倍の双眼鏡では、これ以外には考えられない。双望会でいろいろな双眼鏡と比較したが、M45 の青さが最もきれいに見えたのは、この双眼鏡だった。天体用だけでなく、大きな会場でのコンサート・イベントやサッカー観戦等でも大活躍。

 対物レンズの所にフィルター・ネジ(52mm)が切ってあるので、マルミのステップ・ダウンリング(52→48mm)をはめて、2インチの天体用フィルターが着用できる。写真左は、笠井のSuper Nebula Filter HT をはめたところ。写真右は、HOYA マルチレンズフードを着用したところ(これは 、蒼い星さんのsite - この双眼鏡のリポートだけでなく、双眼望遠鏡についての記載も素晴らしい!- を参考にした)。バッテリーは、継ぎ足し充電ができる、エネループとEVOLTA のニッケル水素充電池を使用

 

Nikon  7×50 SP (2010年1月記)

口径:50mm 倍率:7× 実視界:7.3° 見掛け視界:51.1° アイ・レリーフ:16.2mm 射出瞳径:7.1mm

 以前は、天体双眼鏡の最高機種の代名詞のように君臨していた。現代の双眼鏡に見慣れていると、覗いた時、見掛け視界の狭さに驚く。まるで小さな穴から覗いているみたいだ。また、射出瞳径:7.1mmが生かせる空なぞ日本に無い、等と評価は散々であるが、歪曲の無いシャープな像は流石である。20年程使っている内にケースはボロボロになり、新しいものに交換した。 フォーカスはIF方式。写真右は、ソーラー・フィルターを装着したところ。

 天体用として使用する事は激減したが、3度の皆既日食では大活躍。美しい彩層、プロミネンスを見せてくれた。天体用としては他の双眼鏡に負けてしまうが、オペラやイベントでこの双眼鏡を使うと、驚愕すべき世界が展開する。口径:50mm、7倍、実視界:7.3°、射出瞳径:7.1mmの性能を存分に発揮し、優秀な光学系と相まって、恐ろしくシャープでコントラストが良い、 明るく美しい映像に、しばし呆然となる。しばらく音楽が吹き飛んでしまう程だ。特に暗い舞台では、どの双眼鏡でも太刀打ちできない。オペラでは、傑出した演出に遭遇するのは稀なばかりか、怒りが込み上げてくるものも多いので、こういった時は、この手の双眼鏡で気を紛らわすのも良いのだが、邪魔にならない注意が必要だ。言うまでも無いが、近距離で高倍率の双眼鏡でオペラ歌手や役者を見ても、オバケのようなメイクがアップで迫ってきて、とても見れたものではない 。

Nikon 7×50 SP Zeiss  6×20B

   

mini BORG 50 BINO (2010年2月記)

口径:50mm 倍率:7.8× 実視界:10.9° 見掛け視界:85° アイ・レリーフ:20mm 射出瞳径:6.4mm

 双望会で、池田さんの超広角双眼鏡を見て、驚いてしまった。まず、おそろしく像のヌケが良い。そして倒立像で、遠近が逆転して見える。何か特別な高級レンズを使っているのかと思いきや、何とKenko のクローズアップ・レンズであった。結局、いくら優秀なプリズムであっても、無ければこれだけ像がクリアになる、という事を思い知らされた。2009年の年末、池田さんから、この双眼鏡をお借りした。とにかくクリアで広大な像、そして遠近感の逆転した倒立像に、改めて釘付けとなった。2009年の年末 〜年始に製作しようと思ったが、自分なりに別の方法を考えた。

 天文ファンにはmini BORG 45ED が人気だが、mini BORG 50 の焦点距離が250mmであるのに気づいた。これなら、笠井 EWV 32mm倍率:7.8×、実視界:10.9°、見掛け視界:85°という物凄い双眼鏡になる。アイ・レリーフも20mmあり、申し分ない。Ethos 17mm だと、14.7倍、実視界:6.8°、見掛け視界:100°の双眼鏡となる。さらに笠井の2インチ・アイピース・レデューサーを付けると焦点距離は150mmになり、EWV 32mm で4.7倍、実視界:18°という、超ウルトラ広角双眼鏡だ。さらにさらに、2インチ&T2直視プリズムを加えれば、正立像になる(写真右参照)。BORG と笠井から、様々なパーツが出ているので、本当にありがたい。

 あれこれ実験したが、結局mini BORG 50 本体に、M57/60 延長筒L(7604) を接続し、アイピースはEWV 32mm、倒立像で使用する事になった。2インチ・アイピース・レデューサーや直視プリズムを加える事での像の劣化が無視できないし、何よりも、遠近逆転の不思議な像を楽しみたかった。鏡筒の連結は、所有していたGitzo GS5370LB クイックリリース・プレートを使った。アイピースの固定ネジは1本とし、片方はM6 キャップネジ(7500) で埋めた。フォーカスは、本体レンズ部の摺動で行う。

 周辺像は、ベッツバール式の池田さんの双眼鏡に軍配が上がる。私の方式は、組み立て時間数分で、三脚も使用できる。それにしてもクリアな像だ。アイ・レリーフ20mmも貢献し、とても見やすい。片目で見ると普通の倒立像なのに、双眼にした途端、遠近感が逆転、建物の輪郭で像を切り取って、モザイクのようにちりばめた不思議な像になる。アンテナなどは、他の風景とアンテナの映像が重なったように見える。横にして見ても逆転像は同じで、普通の双眼鏡では横にして見てもそうはならない。人間の脳がGを検知し、立体像を作り上げるためなのだろうか、とにかく不思議だ。オリオン座は、三ツ星から下半分 が同一視野に入る。

 星空を逆転像で見る、という事は、北半球にいて、南半球の星空を体験できる、ということでもある。昔、地球が平らだ、と信じられていたのはヨーロッパが北にあったからで、もし赤道付近にあって、地球の1/4も航海していれば、球体である事がわかったのではないだろうか。

 手持ちだとピントがずれ、重いので、使い勝手は今一。周辺像は星が流れる。では、天体用に特化すると....?

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mini BORG 50 Bino v.2 (2015年1月25日記)


口径:50mm 倍率:6.9× 実視界:10.4° 見掛け視界:72° アイ・レリーフ:20mm 射出瞳径:7.2mm

 EMS対空双眼鏡のアイピースがBaader Planetarium Hyperion 36mm となり(Part. 3)、さらに、対物レンズがBORG 55FL の対空双眼鏡が成功し(Part. 4)、その流れで久々にこの双眼鏡を取り出して、アイピースHyperion 36mm を試した。雲台は、下記Zitzo G2180 でもいいが、汎用ボールヘッドが、以前愛用していたLinhof ユニバーサル・ボールヘッド1から、梅本製作所のSL-40ZSC に替わったので、これを使用。なお、鏡筒を連結しているGitzo GS5370LB クイックリリース・プレートは、三脚ネジ穴が奥まっていて、そのままでは雲台のネジに届かないので、三脚大ネジを小ネジに変換するアダプター・ネジを三脚側にはみ出るように装着すると、雲台のネジに届く。

 久々に覗いて、釘付け。像のヌケはいいし、遠近感が逆転した像は、本当に不思議だ。近所の家の複雑な壁を見ると、電線も絡んで、いったい何を見ているかわからなくなくなる位、不思議な映像が展開する。片目で見れば普通なのに、本当に不思議だ。

  

双眼鏡用三脚 (2013年6月記)

 双眼鏡に三脚をあてがうとしたら、何が良いのであろうか? 問題になるのは、上向き、天頂付近の観望である。天体関係だと、大きなやじろべえのようなアームや、錘を付けたパンタグラフのようなものを良くみかけるが、家で見るならともかく、遠征には持って行きたくは無い。身の回りには、フリー・アームを利用して、自由に空間に固定できるものがけっこうあるが、重さのバランスが取れている必要があり、またアームをきちんと固定しておく必要がある。


サンワ・サプライ/モニター・アーム YT-LA018 と GW デスクアーム式 卓上マイクスタンド ブラックMS-001

 ガス・シリンダー内蔵のモニター用アームもあるが、普通の双眼鏡では軽すぎるし、根本をしっかり固定するのは難しい。また、古典的電気スタンドのような卓上マイクスタンドがあり、これだと軽い双眼鏡にはOK。ただし、三脚に固定するには、工作が必要。天頂付近を見るには、超軽望遠鏡のところで紹介したGitzo のエクスプローラ・カーボン三脚GT 2541EX が良さそうだが、わざわざ購入するにはちょっと高価過ぎる。あれこれ検索していたら、Velbon V4 unit フリー・アングル・エレベーター・システムを見つけた。これを既存の三脚に取り付ければ、Gitzo のエクスプローラ・カーボン三脚のような形になる。


Gitzo エクスプローラ・カーボン三脚 GT 2541EX と ベルボンV4 unitフリーアングルEVシステム

 しかも、クッと捻ればフリー・固定が一瞬ででき、エレベーター機能も付いているので、便利。これにフィールド・スコープ用のZitzo G2180 を取り付けてみた。三脚は、Gitzo のトラベラー GT1542T

 

 とりあえず、一番重いNikon 7×50 SP を取り付けてみたが、上方向もOK。このアームはいろいろ使えるので、あって困る事は無い。

 

大型双眼鏡

KOWA HIGH LANDER PROMINAR

 口径70〜150mmの大型双眼鏡が存在する。多くは天文用で、かつては宮内が頑張っていたが、大変残念な事に生産中止となってしまった。フローライト仕様などは、憧れの機種だった。星雲・星団を見るのには、大型双眼鏡がとても便利だ。双眼のメリットは絶大で、何といっても、出してすぐ見れる。眼視派には赤道儀なんて重くて面倒なだけで、何もメリットが無い。

 大型双眼鏡を代表するKowa High Lander Prominar 。圧倒的な光学性能で、見る者を魅了する。口径82mm(焦点距離450mm f5.47)で防水。双眼の威力も相まって、とても有名な同価格の10cmアポクロマート屈折を超えてしまう。純正アイピースは3種あり、アメリカン・サイズなので、他社の天体用アイピースが使える場合もある。

    * ハイランダーは、このページから独立させました。 → 続きは、ハイランダー・プロミナーのページへ。

  

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