Obsession 18" f4.2 UC  その5
CATSEYE collimation system を導入

  公開:2012年6月28日〜
更新:2014年9月23日 *な〜んと再び!
を追加しました。

CATSEYE  INFINITY XLK

  utoさんの掲示板CATSEYE の光軸調整システムを知った。相当良さそうなのはわかるのだが、今一原理がわからず、そのままとなっていた。しばらくして、じ〜さんが、ブログで紹介していたので、これをきっかけに注文した。

 慣れている方には、わかりやすく使い易いのかもしれないが、私の場合、まず、CDP、PAE、FAE、G4等、略語が多すぎて、当初、内容が理解できなかったし、何よりも、2.5往復した像が"inverted"になり、3.5往復した像も 、なぜ"inverted"なのか、その原理がわからず、また、1.5往復(5回反射)した像よりも、2.5往復(9回反射)した像の方が鮮明なのかも理解できなかった。 また、この会社のsite内のリンクが雑然と山ほど貼られていて、コンテンツが把握できない。世の中には、私のようにわからない人もいると思うので、ここでCATSEYE collimation system を取り上げる事にした。

 

  原理(はじめに)

    

 センター・マークは、三角形のものと、放射線マークのようなHotSpot形の2種類あるが、わかりやすい新型のHotSpot形を採用。CHESIRE(チェシャ)型の光軸調整アイピースで、センター・マークが中心にくるように光軸調整をするのは従来通りだが、冒頭写真のINFINITY XLK という光軸調整アイピースは、内面が鏡面仕上げになっていて、ここで反射された像が再び主鏡に戻り、このアイピースの穴から見ると、4つの像が見える。この像が重ね合わせるように光軸を調整する。 手技等、詳細は後述。

 P:主鏡の中央に貼ったセンター・マークが、直接見えている。実際には、斜鏡に一度反射しているので、鏡像。
    最も明るく、鮮明。

 1:センター・マーク → 斜鏡 → アイピース内面(本家のsiteの説明ではA/C mirrorと略される。A/Cは、auto-collimatorの略)
     → 斜鏡 → 主鏡 → 斜鏡 → 眼。  5回反射した鏡像。Pより淡く、像は若干大きくなっている。
   像は、焦点距離(本家のsiteの説明ではFLと略される)×3の距離を経由していて、PAE(後述)の感度は焦点距離×1の4倍、FAE(後述)の感度は2倍。

 2:センター・マーク → 斜鏡 → アイピース内面 → 斜鏡 → 主鏡 → 斜鏡 → アイピース内面 → 斜鏡 → 主鏡 → 斜鏡 → 眼。
     9回反射した倒立鏡像。倒立像の中では一番鮮明で、しかも1より鮮明。
   像は、焦点距離×5の距離を経由していて、PAEの感度は焦点距離×1の8倍、FAEの感度は6倍。

 3:センター・マーク → 斜鏡 → アイピース内面 → 斜鏡 → 主鏡 → 斜鏡 → アイピース内面 → 斜鏡 → 主鏡 → 斜鏡 →
     アイピース内面 → 斜鏡 → 主鏡 → 斜鏡 → 眼。
     13回反射した倒立鏡像。最も淡い像で、像は2より若干大きくなっている。
   像は、焦点距離×7の距離を経由している。

 

疑問

 1. 2と3の像は、P、1に対する鏡像なのか、倒立像なのか?

 最初、上の像と説明を見た時、これが2と3の像が、P、1に対する鏡像なのか倒立像なのか、今一把握できなかった。というのも、説明には"inverted"とあるが、invertedには、左右逆(鏡像)という意味と上下逆(倒立像)の意味があり、また日本語では逆像、等と 使われたりするので、いったいどれを意味しているのか、一発で把握できない。また、センターマークが三角形のものでは、鏡像でも倒立像でもありうる図があったりして、よけいに混乱してしまうが、上述の通り、P及び1〜3の像は 全て奇数回の反射なので、全てが鏡像でならなければならない。つまり、アイピースから見る限り、実像は存在せず(見えず)、2、3は、P、1の倒立像である事がわかる。

 始めからつまずいてしまったが、確認のため、センターマークの位置に「じ」と書いた丸い小さい紙を置いて、実際に見てみた。何で「じ」か? このCATSEYE をいち早く導入した“じ〜”さんに敬意を表したのと、鏡像か倒立像か、わかりやすいためです。
 結果は、上記の通り、P:鏡像、1:鏡像、2:倒立鏡像、3:倒立鏡像 であった。

 2. 2と3の像は、何で倒立像になるのか?
 3. 2の像(9回反射)は、何で5回反射の1の像より鮮明なのか?

  取り説には、主鏡が凹面なので、ここにトリックがある、と書かれている。私のような素人の場合、どうしても平面鏡が向かい合った状態で考えてしまうのだが、光学系の専門家、もしくは慣れている方には、 私のような疑問は生ぜず、当然の事らしい。私は考えてもわからなかったので、この会社の代表:Jim Fly さんに聞いてみたところ、Cloudy Nights のforumを紹介し、メカニズムを教えてくれた。このforumは検索すると、いつもヒットするのだが、今回、きちんと登録してみたら、閲覧できる画像が格段に増えて驚いた。今まで、随分情報をロスしていたようだ。登録の反映には半日以上かかった。

 彼が紹介したのは
   
The collimation curse of the ROC
   New idea to improve the autocollimator (AC) tool
   Concise thread about autocollimators+improvements

 Pの像の形成のメカニズムは、ここを参照。
 1の像の形成のメカニズムは、ここを参照。
 2の像の形成のメカニズムは、ここを参照。
 3の像の形成のメカニズムは、ここここを参照。
 totalの図は、ここを参照。
   理解しやすいように、斜鏡は除いて作図されている。平面鏡の場合は、センター・マークの光錐は全て同じ形になるが、
     主鏡は凹面鏡なので、角度によって、P、2のように円錐形になったり、1、3のように扇型になったりする、との事。
   また、この図の通り、1と3では、AC mirrorで主鏡に反射された像が若干肥大し、焦点が前方に移動しているのがわかる。
     これが、1、3の像が淡く見える理由で、9回反射の2の像は、5回反射の1の像より鮮明に見える。ここも参照。
     なお、G4は、
INFINITY XLK (AC mirror)の中央瞳の反射。

 

手技

  YouTubeに説明・手技が掲載されている。また、センター・マークの取り付け方の説明のYouTubeもあったのだが、最近、削除されてしまった。また、じ〜さんがブログで紹介していて私が紹介するまでもないのだが、一応まとめてみた。

 既存のセンター・マークを剥がし、交換する場合には、ここを参照。Hofheim-Instruents RD-300DX のセンター・マークはしっかり付着していたので無理に剥がさず、その上に貼り付けた。洗浄した時に剥がれるようなら、その時に貼り直すかもしれない。

 
センター・マーク取り付け用テンプレート。センター出しが簡単に行え、軸の方向も決めやすい優れ物。

 
真ん中には3つの丸穴が開いていて、表側にテープを貼り、裏面のセンター・マークを固定。
センター・マークの紙を剥がし主鏡に貼り付けるが、紙は剥がしにくい。一旦剥がしてから楊枝を使って正確な位置にテープで固定し、主鏡に貼った。

 Hot Spot型のセンター・マークは、貼った後、3つの翼が、それぞれ光軸調整ノブの方向・位置を示すようにミラーを回転させて位置を合わせるのだが、Obsession の場合は、主鏡を支えるワイヤーをヴェルクロで固定するようになっているため、ミラーを回転できない。従って、マークを貼る時には、位置・方向に注意。

 
FARPOINT  FP210 & FP261

 INFINITY XLK は極めて鋭敏で、全くの最初からこれで光軸調整は無理。フォーカサーや鏡筒は、しっかり軸が出ていて、なおかつ光軸があらかた合っている状態での出番となる。私の場合、FARPOINT  FP210 & FP261 があるので、まずこれで従来通り、光軸調整をしている。トラス式のドブソニアンの場合、レーザー・コリメーターのレーザー光が一往復して元に戻ってきた光が主鏡側から見え、これを見ながら主鏡の光軸調整ができるので、極めて短時間に効率良く光軸が合わせられる。なお、フォーカサーの繰り出しの位置は普段、最も出番の多いアイピースの焦点位置で行っていたが、INFINITY XLK の場合は、真ん中位の位置で行うよう指示されている。CHESIRE型の光軸調整アイピースとINFINITY XLK とを交互に差し替えて光軸を詰めていくのだが、INFINITY XLK は全く同一条件で挿入する必要があるため、2つある瞳孔の位置・角度を参考に挿入する。また、フォーカサーのネジは固定しないか、毎回同じネジを1箇所だけ締めるようにして、条件を同一にする。

      
            FAEとPAE。  レーザー・コリメーターで光軸調整後、INFINITY XLK 中央瞳孔から見た像と、オフセット瞳孔からみた像(例)

 レーザー・コリメーターとCHESIRE型の光軸調整アイピースで光軸を合わせた後、NFINITY XLK を挿入して見ると、像P〜3が完全に重なっておらず、分離して見える。まだ、光軸調整が甘いようだ。光軸調整は、FAE: Focuser Axial Error と、PAE: Primary Axial Error の2つの調整が必要で、FAEは斜鏡の調整、PAEは主鏡の調整で追い込む。

           

  始めに、FAEの調整/斜鏡の調整を行う 。NFINITY XLK の中央瞳孔から覗き、斜鏡の光軸を調整してPと3を重ね合わせる。レーザー・コリメーター等であらかた光軸が合っている場合、一つ上の左側の写真のように、P、1、2、3の像が近接していて、このままではPと3の重ね合わせは難しい。そこで、まず、Pと3が把握しやすいように(見えやすいように)、主鏡の光軸ノブにて一旦Pを端の方へ移動し、それから斜鏡の光軸調整でPと3を重ね合わせるようにする。写真左は、Pを端の方へ移動したところで、写真右は調整後。Pと3が重なって、円になっている。Pと3は、主鏡の光軸を動かしても相対位置は変わらず。斜鏡の光軸調整によ ってのみ合わせられる。
 以上が、CDP: Carefully Decollimated Primaryと呼ばれる操作/手技。

            

 次は、PAEの調整。中央瞳孔 から見て、すべての像が重なるように主鏡の光軸を調整する。完全に重なった場合、Pの周囲が暗くなり、Pのみがはっきり見える(写真左)。オフセット瞳孔から見ると、Pと2が重なって円形に見える(写真中央)。CHESIRE型の光軸調整アイピースに差し替え、確認(写真右)。これにて完了!

          

 NFINITY XLK の中央瞳孔 から見て2の影が淡く見え(写真左)、オフセット瞳孔から見て像の重なりにズレがある場合(写真右)、調整を繰り返し行い、一つ上の写真のようになるよう追い込む。

 

使ってみた実感

 Obsession の場合、鏡筒の角度によって若干光軸がずれるので、一番使用する頻度が高い角度で光軸の調整をする必要がある。斜鏡/FAEの調整は鋭敏だが、まあ合っているかな、程度で主鏡/PAEの調整に移行しても、絶対に成功しない。何となく合わせた状態でレーザー・コリメーターを挿して見ると、笑ってしまう位、光軸がずれている時もあった。また、RD-300DX の場合は、トップ・リングに腕を置くだけで、大きく光軸がずれる。調整は、腕を浮かせて、直接指で光軸調整ネジを回す必要がある。まず、正確に斜鏡/FAEの調整を行うのだが、中央瞳孔だけでなく、オフセット瞳孔も交互に見ると、調整がしやすいようだ。

 その後、主鏡/PAEの調整をするが、Pの周囲が暗くなり、Pのみがはっきり見える瞬間は、感動的だ。CHESIRE型の光軸調整アイピースでも真ん中、レーザー・コリメーターでもど真ん中を刺していると、達成感に包まれる。途端に解像度が増し、惑星の細部まで見えそうな感じがしてしまうが、そこは冷静にならなければならない。ただ、とあるイベントで、雑誌社が会場にあった望遠鏡の光軸をチェックしたら、大半がずれていた、という報告もあり、鏡筒やアイピースの性能を疑う前に、まずは光軸をチェックしよう。

  

ミラーの洗浄と今後について (2012年10月14日)

  先日、南会津(フィールドイン楓林舎)へ遠征したが、あそこは湿気が凄い。双望会が催されるスターフォーレスト御園もそうで、ミラーは洗浄した時と同じように濡れ、そのまま乾燥すると紋ができてしまう。その後、遠からず再度洗浄しなければならず、ミラーへの負担が大きい。

 今日、洗浄したが、今後は観望の時は滅菌精製水を2本(1000ml)程度+エアーダスターを同梱し、ミラーがビショビショになったら、 乾く前にその場で滅菌精製水で洗い流し、エアー・ダスターで吹き飛ばした後にミラーをカヴァーしてみようと思う。結局結露して無駄かもしれないが、双望会で試してみようと思う。

  

双望会 (2012年10月23日)

 今年も双望会に参加した。私は第1回目はハイランダーで参加だったが、あれから5年。随分と“増殖・発展”してしまった。今年は、このObsession 18” の他、APM-BinoEMS対空双眼鏡に加え、太陽望遠鏡として、P.S.T.ダブル・スタック双眼ハーシェル・プリズムを持参した。車載は超立体パズル、積み込むのには技術を要した。


手前はAPM-Bino(ハーシェル・プリズム装着)、奥にObsession、その隣がPSTダブルスタック双眼(コントラスト向上のため、暗幕が被せられている)、右側がEMS対空双眼鏡。

 今回は特に機材が多くてセッティングに時間を要し、大森さんがブログで詳細に紹介する事もあり、油断して写真をあまり撮らなかった。帰ってから、 必要な写真が無いのに気づいてしまった。 う〜ん。詳細は、大森さんのブログにお任せするとして、気づいた事をいくつか。

 今回、一番感じた事

  双望会には達人から初心者まで参加するが、達人達の望遠鏡を覗いて感嘆するのが、そのクオリティの高さだ。高倍率でも周辺の星はシャープで、あっと言う間に導入された天体は、クッキリと視野に浮かんでいる。一番の違いは、光軸がビシッと完璧に合っていて、導入された天体に最適な倍率・アイピース、フィルターが選択されていて、これ以上望めない「正解」が出ている点だ。勿論、機材も良いのだけれど、機材を熟知していて、その性能を100%フルに引き出している点が “違う” のである。だから「見え方」が、全然 “違う” 。
  双望会には様々な機材が並び、それを見るのも楽しいのだが、その使いこなしがとても勉強になる。だから、達人達の望遠鏡は、できるだけ覗かせてもらう。学ぶことは多い (でも、今回は見ていない鏡筒が多すぎた! 今になって大いに後悔)。

 それと、毎年おなじみの顔を見ると嬉しくなってしまう。多くの方々とは1年ぶりで、ほとんど会話もできない場合も多いのだけれど、それでも、元気な姿を見ると、何て素敵な催しなのだろう、とじ〜ん、ときてしまう。スタッフの方々、そして皆さんに感謝、感謝!

 太陽望遠鏡

  昨年、じろーさんのダブル・スタックで打ちのめされた人達が、皆、今回、ダブル・スタックで臨んだ。私自身も一昨年から太陽に嵌り、P.S.T.は、ダブル・スタック双眼となり、ハーシェル・プリズムもデモした。今年のNEAFのソーラー・スター・パーティーに大いに触発されたので、今回の充実ぶりは嬉しい限りだった。私と同じシステムのものもいくつかあって、「参考にしています。」、「読んでいます。」と言われて嬉しかった。 反響があると、励みになる。
  今回、うなった太陽望遠鏡は、ツァイス望遠鏡の展示室で御馴染みの鈴木さんの
APQ 100/640 +金属フィルター。アイピースはAbbe で接眼部にNDフィルターが装着。今まで見た金属フィルターの太陽の中ではダントツだった。モザイク建築の超ミニチュアを見ているようなシャープで微細な模様が描出されていて、Zeiss の底力を見せ付けられた思いがした。

 SkySafari + NEXUS

  観望先で、SkySafari + NEXUS のデモをすると、一様に驚かれる。双望会の会場では、既に同システムを導入された方も多く、iPhone/iPad に接続しようとすると、ズラリとNEXUS のWiFi電波のリストが並ぶ。うっかり他の望遠鏡のNEXUS に接続してしまうと、勝手にターゲット・サークルが動き回る、という事になってしまう。そういえば、1970年代の初頭だったか、電波式のテレビのリモコンがあった。大変便利だったが、団地で勝手にチャンネルが変わってしまう、というトラブルが多発し、姿を消してしまった。その後、随分経ってから赤外線式リモコンが登場し、再びテレビにリモコンが付くようになったのを思い出した。

  表示された星図の中から淡い銀河を選び出し、たちどころに導入できる便利なシステムで、おとめ座の銀河団だって一つ一つ同定できる優れものだが、初日にiPadNEXUS がフリーズし、iPad の電源を入り切りしても画面は真っ暗のまま、プログラムは立ち上がらなかった。帰宅してから一旦プログラムを削除し、PCから再インストールして復活したが、初めての経験だった。また、一晩に接続が2〜3回切れる事もしばしば (しかも再接続しても繋がらない時もある)。まだ完璧とはいえない点が残念だ。

 達人の椅子


写真・手前が観望椅子。座面の高さに注目!

  達人utoさんは、美しい望遠鏡の木目に合わせたアイピース・ケースと椅子持参で登場。CatsEye のsiteで見て知っていたが、重そうで敬遠していた。ところが実物を見てビックリ! 全然重く無いし、安定度も抜群。18”のドブの天頂付近の観望でも座ってじっくり見る事ができる。脚立の場合、段と段の間の位置だと足腰に負担がかかり、なかなかつらいのだが、防振双眼鏡が威力を発揮するのと同様、安定した状態の観望は、威力を発揮するに違いない。
  ただ、Obsessionのミラー・ボックスを最初に持ち上げた時は、「これは重くてヤバイ。」と思ったが、今は割と平気に(?)持ち上げられるまでに筋力がアップしたので、今まで通り脚立で観望して足腰を鍛える、という手もある。

 シリウスB

  今回も見れなかった。これだけ望遠鏡があるから、「見えたら大声で宣言して!」と皆さんにお願いしたが、結局声は聞こえなかった。Ninoさんが紹介してくれた小惑星 Io の星食(20日 2:34am)も、SkySafari + NEXUS で導入して待ち構えていたが、結局直前に曇ってアウト、これまた残念だった。

 双望会でのミラー

  上記:ミラーの洗浄と今後について (2012年10月14日) では、主鏡が夜露に濡れたら、乾く前に滅菌精製水で洗浄してブロワーで吹き飛ばす、と書いたが、初日は過去5年間で最も乾燥していて結露無し! 2日目はけっこう夜露に襲われたが、幸い主鏡は無事だった。という訳で、この試みは次回に持ち越し。

 今後の予定

  20年位前に、自分用の観望ガイドブック(初心者用)を作成した。色々な本から良いところをコピー・ペーストして作成したもので、最初はこれで良かった。その後、もう少し詳しい物 を作成し、これに書き加えていったが、これも限界が来てしまった。そこで、18”対応版の詳細なものを作成する決意を固めた。ここに高らかに宣言する事で自分を追い込み、完成しようと思う。

  

エンコーダー・ケーブルの固定 (2012年11月1日)

  今年の3月に、エンコーダー・ソケットを交換したが、どうも水平軸のケーブルは引っ張られる運命にあり、再び固定ピンが効かなくなってしまった。いつの間にか外れてしまう事もあったので、ケーブルを固定する対策を講じた。
 いろいろ考えたが、一番手軽で確実でスマートだと思ったのは、ヴェルクロ。幅広で固定すると(点でなく、面で固定)、引っ張っても大丈夫だし、ケーブル本体の負担 も軽い。

 ポイントは、ヴェルクロの硬い方を底板に固定し、柔らかい方をケーブル側にした事(硬い方は柔らかい素材にくっつくので、ケーブル側に付けると始末が悪い。また柔らかい方をケーブルに付けた方が扱いやすい)、ケーブルとヴェルクロの接着は、ヴェルクロ両面ではさんで固定した事。
 いや〜、達成感がありますね。

  

南会津に遠征 (2013年8月9〜10日)

 今年の梅雨明けは最高のスタートだったが、その直後から戻り梅雨で、ひどい曇天続き。やっと晴れ、新月期で休みも取れたので、楓林舎に行ってきた。前回は屈折双眼だったので、今度は大口径だ。帰省ラッシュ間近、Astro GPVでは、更新の度に「晴れ」、「曇り」、「雨」とめまぐるしく変り、いったいどこへ行けばいいやら? 初ORP参上も考えたが、前日の予報等から、南会津となった。居心地はいいし、雲っても楽しい一時が過ごせる貴重な所だ。

 渋滞情報を見たら、今まで見たことが無い程、真っ赤になっている。まだ帰省ラッシュは始まっていないはずだが...? 横浜を出たら、ずっと渋滞。各ジャンクションごとに事故だ。結局、東京を抜けるだけで3時間半、走行距離わずか50km。都内の渋滞に嵌った車だけで、いったいどれだけのガソリンが消えたのであろうか。到着まで6時間もかかった。

 渋滞は、走行する車の数が増えたために起こるのではない。渋滞を引き起こす運転者が繰り出すからだ。

 ななつがたけ北天文台のオーナー1さんの、ウワサのAPM 175mm屈折の見事なM13を皮切りに、観望開始。シーイングは悪くないが、雲も少なからずあり、透明度はかなり悪い。観望が始まる前から、もう機材は夜露でビショビショだ。お陰で散光星雲の見えは悪く、二重星や土星状星雲や青い雪だるま、まばたき星雲等の青色は、相当弱い。となれば、球状星団めぐりた。18”の口径で見る球状星団は、実に良い。この日の締めは、オーナー2の、スワロEMS双眼。気軽に空を流して見るのに最適。メシエ天体のコントラストも良く、アンドロメダは実に美しい。

 2日目の空は、さらに厳しいものとなった。星はお団子で、霧も少々出て、透明度は悪い。自作のガイドブックで、deep skyを一網打尽に網羅しようと思っていたが、こういった時は、やはり気軽にメジャーどこを訪れて楽しむのがいい。雲も多かったが、時折天の川が空をきれいにニ分するのが見えた。1時過ぎには雲に覆われ、健康的に就寝。また来なくては。

 

恐らくは、今年最後の遠征(2013年12月1日)

 新月期の週末、快晴、とあれば、行くしかない。で、天城へ行って来た。
昼過ぎまで仕事なので、それから天城に行くとなると、到着は16時半。17時過ぎには暗くなるので、着いたらあわたたしく準備。セッティングが終わったた頃には、もう夏の星座が見えていた。

 南側にあるトイレの電灯が煌々と点いていたので、夏に見れなかったはくちょう座の散光星雲、暗黒星雲や惑星状星雲など、トイレに背を向けて観望をスタート。といっても、何故かファインダーのLEDのスイッチが入りっぱなしになっていたので電池切れだったり、EMS対空双眼鏡の最高に快調だった新雲台が急に三脚から外れ、今度はなかなか入らない。やっと入れたら、今度は水平方向の動きが硬くなって、どうにも直らない。その他、いろいろなトラブルが生じ、観望のスタートは遅れてしまった。何で、こういった時に限っていろいろ起きてくれるんだろうか(まあ、いつもの通り、と思い込み、そのまま積載するのが悪いのだろうけど)...

 17時半に、望遠鏡を覗いて驚いた。屈折望遠鏡で見たように、針をさすような鋭い光で、しかも全く瞬かない。そして、雲一つ無い快晴! 一気に本気モードのスイッチが入った。周囲は大学のサークルも到着し大撮影大会となり、相当騒がしかった。ほとんどが撮影の人達なので、「ちょっと見せて下さい。」と、来客は絶えなかったが、富士山で知り合ったikさんと偶然に合流。観望派は、この2人だけかな?


遂にソフト・フィルターを使って記念写真
*PC画面で、実際に見た感じに仕上げ、これを縮小してsiteに掲載すると、相当しょぼい写真になる。site用には、恐ろしく派手に撮って丁度良い位か(2013年12月8日追記)

 以前、どこかで触れたと思うが、自作のガイドブックが完成した。藤井旭/星座ガイドブック (春夏編、秋冬編、誠文堂新光社)、浅田英夫/星雲星団ウォッチィング (地人書館)、Michael E. Bakich/1001 Celestial Wonders to see Before You Die (Springer)、Sue French/DEEP-SKY WONDERS (Sky & Telescope)、Stephen James O'Meara/The Secret Deep (Cambridge University Press)、Asterisms EN Ver. 4.2 (pdf)、その他を全て網羅し、その天体を一筆書をするように順番に辿って行くようになっている。鏡筒を動かす幅が最小で済み、しかも、こまめにキャリブレーションできるので、おそろしく効率が良い。いつも、「あっ、あそこの隣のDSOを見忘れた!」などとやっていたが、これも防げるかもしれない。しかも、全てのデータをSkySafariにイン・プットしたので、一晩に従来では考えられなかった程の天体が観望できるようにになった。しかも、自動導入の望遠鏡で見た後の空しさが無い、と良い事ずくめ(と、自画自賛。一生かかっても、全部は見れないだろうなあ)。

 今宵は、シーイングも最高で、散光星雲が、ノー・フィルターでバンバン見える。だから、暗黒星雲も実に良く見える。感動! 惑星状星雲も高倍率を掛けて楽しめる。で、片っ端から見ていたら、20時半過ぎには、冬らしい空になって、星はお団子気味になった。二重星の分離は、今一。それでも、 久しぶりの本機での遠征だったので、今まで見たことが無い天体を中心にチェック。気温は、-2〜-5℃位で、無風。手袋は、左手はモンベルのクリマバリア ・フィッシング・グローブで、右手はElecom P-GV20シリーズ。Elecom P-GV20は、iPadが操作できるので良いが、保温性は高くは無く、両手で冷えた機材に触れるには厳しい。


最後に見たISON彗星。2013年11月23日、横浜の自宅にてAPM-Bino+Docter 12.5mm+コンデジで手持ちコリメート撮影(一発撮り、トリミングのみ)。
翌24日には、全く見えなくなった。26日の水星と土星との“肉眼二重星”は面白かったが、ISON彗星とのランデブーは叶わなかった。

 途中、休憩したりしながら、4時過ぎにラブジョイ彗星(C/2013 R1)と周囲の銀河を見ていたら睡魔に襲われ終了。ISON彗星(C/2012 S1)は残念だが、ラブジョイ彗星は、どんどん良くなっている! 明日も撮ってみようかな? ヘール・ボップ彗星は、本当に美しかった。イオン・テイルとダスト・テイルが綺麗に分離し、望遠鏡で見ていると、「クオーッ」と音が聞こえてきそうな感じがしたし、富士山をバックに見た実際の風景は、どんな写真より魅力的だった。再び、あのような美女に会えるだろうか。

 観望メモをみると、200程の天体を見ていた。印象に残ったものも数多くあり、これから自作ガイドブックに登録して(SkySafariのリストにはチェックを入れる項目がある)、そのうちお薦め天体リスト等も公開するかもしれない。30分程仮眠し、暗い内から帰路に向かった。徐々に明けてきたら、朝陽に映える富士山が美しい! 眠気など吹っ飛び、要所要所で見ながら、ゆっくり帰宅した。路面は凍結していて、事故車も2台(自爆)。ターン・パイクで元気良く登ってくるスポーツ・カーに何台も遭遇したが、あれではコーナーに刺さってしまうだろうなあ。今日の警察とJAFの方々は、さぞ忙しいだろうと思う。

 これだけ充実感があると、機材の乾燥、後片付けも鼻歌混じりだ。これからミラーも洗浄しよう。


も一つおまけ。本年9月28日、新五号目遠征の時の写真。

   

天城に遠征 (2014年5月31日)

 今年は年明けから超多忙で、まだ本機での遠征が実現していなかった。うかうかすると、春の銀河も見ないで入梅してしまう。幸い、新月期の今週末は晴れなので、遠征する事にした。ところが、朝も昼も黄砂と薄雲(+もや)で、相当空がよろしくない。13時まで仕事で、それから帰宅しての準備だけれど、どうにも気が重い。こういった時は友人に電話して、「行く?」、「じゃあ、行こう。」ときっかけ作り。

 おのずと富士山・新五合目か天城高原になるのだけれど、こういった空の時は、やはり高い所に登るに限る。しかし、できるだけ関東平野から離れた方がいいかな、と思い、天城に行く事にした。渋滞が無ければ10〜15分程度で行ける所が1時間以上もかかる。週末の東名はげんなり。


左:薄明で、多くの人達が撤収した後  右:夏の大三角と天の川(空が明るいなあ)

 行ってみれば、予想通り空は相当明るいものの、春の銀河から秋のdeep skyまで、かなり楽しめた。約半年ぶりの本機の登場だったが、あらためて、その見え味に感嘆した。とにかく本当に良く見える! これで南天にも行けたらなあ...


稜線も美しい

 早朝の帰路は、いつも美しい風景に感動する。これも楽しみ。雲海が広がる中、富士山の頂上が微かに見えた。富士山に遠征に行った人達は、無事見えたのだろうか。

 

フィルターBOX (2014年7月16日)

 125SD-Bino では、フィルターBOXがうまくいった。これを効率良く活用する為には、全ての所有望遠鏡にこれを組み込まなければならない。そのObsession 版。フォーカサーをチェックしたら、鏡筒側に52mmネジが切られているのに気が付いた。フィルターBOXは57mmネジなので、52→57mmとステップアップ・リングが必要だ。そんなものは存在しないが、52→58mmとステップアップ・リングは、マルミから\430(ヨドバシ)で売られているので、これを接着して使う事にした。というのも、これならフィルター交換の位置を容易に上側に持ってくる事ができる。

 それが、これ。ただし、双眼装置は、GPCが長く、フォーカスがでるかどうか、わからない。梅雨明けはもうすぐだと思うので、明けたらチェック予定。また、NDフィルターは、Kenko のZeta シリーズを採用。52mmがあるので、直にフィルター・リングに装着できる。

   

この時を待っていた! 南会津遠征 (2014年9月21日)

 こんなに晴れない年も珍しい。中国の大気汚染物質が核となり、雲を形成している、という説もあり、そうなると、日本の農産業も、ますます大変だ。中国では、これから原発を50基以上計画している、という話もあり、日本海に面して作られた原発が事故を起こせば、日本には住めなくなる(皮肉な事に、中国内陸は安全)。世界の歴史の不幸は愚かな政治家主導によるものが大半で、世界中の独裁政治、ならびに立候補→政治家=名誉欲となる選挙制度を変えないと、名誉欲に目の眩んだばか者が地球をダメにする。

 さて、今年の国内の遠征は、たった2回。そして星が拝めたのは、5月31日の天城の1回のみ。新月付近には、いつも天気予報、GPV気象予報、Astro GPVとにらめっこだが、いつも決まって灰色〜青。こうなったら、月が出ていても遠征に行こうか、等と思ったが、それすら晴れなかった。そして9月20日(土)、Astro GPVでまっ黒! やっとこの時が来た。13時まで仕事をし、南会津へ向かった。


写真左:19時半頃(ソフト・フィルター無し。夏の大三角中心)、写真右:夜露に襲われた薄明頃(天然のソフト・フィルター付き。右の灯りはiPad)。

 Astro GPV通り、快晴。濃い天の川が直角にそそり立つ。で、どうしたかというと、しばらくぼーっと星座を見ていた。というのも、これは、大好物の食べ物が、半年ぶりにテーブルの上に30〜40品目一気に並べられた感じ。しかも、時間が経つと、右側のテーブルから、次々と姿を消して行く。ああ、どこから手を付けたら良いのだろうか、としばし立ちすくんでしまった。結局、やっぱりメジャー天体巡り。今まで何度見ていても、一番良かった時の映像が脳裏に焼きついていても、やっぱり見ないと収まりが付かないのだ。

 以前、おおくま座の銀河団、NGCのマイナー天体巡りをテーマに遠征した時があったが、光のシミの確認ばかりに追われ、ちょっと空しかった。疲労もピークに達した時、望遠鏡を適当に流していたら、突然、見事な銀河が目に飛び込んできた。何だろう、と思ったら、M82だった。やっぱりメジャーはいいなあ、と痛感した。

 メジャー天体を一巡した後、上記フィルター・ワーク祭り。GPC付きの双眼装置もピントが出た。片っ端からフィルターを交換して楽しんだ後、マイナー天体巡り。で、薄明まで見続けたか、というと、けっこうボーッとしている時も多かった。久々のチャンスなのに、星空を肉眼で見ているだけで至福の時が流れて行く。何だかあくせく細かい所を突っ込む気が失せてしまった。結局空は7〜8/10で始まり、薄明前は、理想的な暗さになった。ただ、夜露が物凄くて、機材が片肺状態。フィルターは、外に出した途端曇り、手で持つだけで、また曇る。右上の写真は、まるで湯気が立ち込める風呂場で撮ったような状態。

 これだけ夜露が物凄いのに、湿度計を見たら、最大でも66%止まりだった。てっきり80%以上あるのか、と思っていたが、結局は温度差か。ちなみに気温は6〜3℃。南会津の夜は、もう冬だ。ここは食事も最高だし、ミシュランの選定基準で言うならば、紛れもなく☆☆☆だ。

  

 な〜んと、再び!(2014.9.23追記)

 これから新月期。再び遠征に行くかも、と本機を車に積んだままにしていたが、な〜んと、9月22日(月)の空は、真っ黒! こんなの久しく見ていない。翌日は祝日。こんなチャンスは滅多に無いので、仕事を終えてから、再び南会津へ向かった。到着は21時半。快晴。天文ファンも押しかけていたので、時々メジャー天体を中心に観望会。特に、M2、M15などの球状星団、双眼装置で見るM33の見事な腕やNGC7331+ステファンのクインテットが受けた。結局、20日(土)と22日(月)と2回も遠征してしまった次第。

  

  続く...

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