P.S.T.双眼 その1
太陽を見ないなんて、もったいない!

  公開:2010年2月4日〜
更新:2018年12月23日 *本機を手放しました


太陽を見ないのは損

   天文ファンは、日が沈んでからが活動の場。暗い空を求め、星星を探す。何十億光年もの彼方の光を嬉々として見ているが、ちょっと待ってくれ。最も近い恒星が、すぐそこにあるではないか! これを見ないなんて損だ。という訳で、太陽望遠鏡の登場と相成った。

 大変高価なものが多い太陽望遠鏡の世界だが、写真を撮らない眼視派の私にはP.S.T.で十分である。なまじ0.5Åまで絞るより、ある程度ブロード・バンドの方が、プロミネンスから黒点、ダーク・フィラメントまで、バランス良く見える(と思う)。それに、P.S.T.だと、手の届く範囲で双眼が組める。

 当初は双眼は考えていなかったが、既にP.S.T.双眼をやっている2人から、「もう、 断然いいですね〜」 と言われ、双眼望遠鏡を愛用している私は、あっさりグラッと倒れてしまった。いろいろとアドヴァイスを受け、GLATTER PLATFORM を採用する事にした。

 幸い、まだアメリカに GLATTER PLATFORM があるのを見つけた。板にスリットを設け、ここをネジで締め上げる事で光軸の調整ができる、秀逸なアイディアと見事なデザイン。目幅も楽々合わせられる。これに、使用していたヴィデオ雲台、GITZO G2380TeleVue テレポッド三脚を組み合わせた。アイピースは、CORONADO CEMAX 12mm となった。このアイピースより解像度の良いアイピースはいくらでもあるが、プロミネンスやダーク・フィラメントが見え易く、専用なだけある。

使い勝手

   当初、きちんとペアが組めるか心配したが、全く問題無かった。光軸をきちんと合わせたが、アイピースを回転したら、像が見事にぐるぐると一緒にずれて回った。つまり、ここで光軸の調整もできる。

 GITZO のヴィデオ雲台は秀逸だ。小型の望遠鏡なら、下手な経緯台の出番は無い。7〜8年前に、プロ機材を扱う中古屋で1万数千円で購入したが、今は2万円少々で購入できるようだ。同じ価格帯でManfrotto の格好良いヴィデオ雲台もあるが、こちらは、剛性の点で負けている感じだ。

 導入は、おそろしく簡単で、数秒とかからない。夜の天体も、こんなに簡単だったら良いのになあ。ちなみに、P.S.T.は、鏡像ではなく、倒立像である。北半球にいて、南半球の太陽を見ているようなものである。

 毎朝、太陽を見るのが日課となった。見る、といっても忙しい朝なので、せいぜい12分。同じ姿は一つとして無い。双眼だと、吹き上げるプロミネンスや球体が立体的に見え、ダーク・フィラメントが見えると、感動に打ち震えてしまう。これが、核融合反応の姿だ(といっても、ごく一部の像であるが)。という訳で、悪乗りして、カナダで、大安売りしていたCaK も加え、3連も試した。

 しかし、やはりCaK は撮影用。肉眼では、青紫色の球体が見えるだけだったので、1ヶ月程して、2連に戻した。家内は呆れていた。それにしても、大活躍 。太陽を見ないなんて、もったいない!
 

P.S.T.にはアイピースは何が良いか? (2011年2月4日)

 超多忙と劣悪なシーイング続きで、このところdeep skyから遠ざかっている。似たような状況の方々も太陽を覗いているようだが、問い合わせもあった倍率とアイピースについて、コメントしたい。まず、P.S.T.には、どのアイピースがベストか、であるが、手持ちのアイピース各種で再度確認したが、やはりCORONADO CEMAX 12mm がベストであった。これ以上、倍率を上げても、像は大きくなるがシャープネスは落ち、かえって情報は減ってしまう。また、同焦点のアイピースの比較でも、やはりCEMAX 12mm が最もプロミネンスがシャープで良く見える。夜の地上風景でも、CEMAX 12mm は、赤色灯が最も鮮やかで抜けている。あとは、バーローを試したいところだ。いろいろなバーローがあるが、一応同社のバーローを試す予定。

 この望遠鏡は、最初覗いた時すぐには見えてこないが、しばらくすると、プロミネンスや黒点がしっかり見えてくる。さらに拡大して見たい時は、もっと口径の大きいものが必要だが、双眼となると、10cm以上+双眼装置、と なり、なかなか大変だ。拡大して単眼で見るか、双眼で立体的に気軽に楽しむかは、個人の嗜好次第、いろいろあって当然だ。

 
CORONADO 2×バーロー (2011年4月14日)

 CORONADO CEMAX 2× バーローをアメリカにて$76で購入。さっそくCEMAX 12mm で使ってみたが、拡大はするものの像はボケる。同社25mm、18mmのアイピースなら効果を発揮するのかもしれない。という訳で、アイピースは、やっぱりCEMAX 12mm に落ち着いた。そもそも口径が40mmなので、12mm位までのアイピースが無難なのだろう。
 その後、Takahashi LE 10mm でも見てみたが、CEMAX 12mm の方がプロミネンスが良く見え、また太陽が視野に留まっている時間も長く、覗きやすい。結局、このバーローは手放してしまった。

 結論。「P.S.T.には、CORONADO CEMAX 12mm がベスト。」

 
ダブル・スタック (2012年4月16日)

 P.S.T.は、 しっかり調整して眼の位置、ピントを合わせてしばらく見ていると、太陽表面の様子もいろいろ見えてくる。とはいうものの、やはりダブル・スタックには適わない。しかし、ダブル・スタックにすると、プロミネンスが見えにくくなってしまう。両方のいいとこ取りをする事は可能だろうか?

 P.S.T.だと連結するだけで双眼にできるが、これ以上鏡筒が大きくなると(ダブル・スタックも同様)、双眼装置を使う事になる。プリズム+双眼装置だと、ピントを出すのに、ちょっと工夫が必要だ。また、片手で出し入れができる今のシステムの軽快さは失いたくないし、大型太陽望遠鏡は高価で、すぐには手が出ない。では、P.S.T.双眼の片方の鏡筒だけをダブル・スタックにしてみたらどうだろうか? 左右の像の明るさは異なるが、うまく脳が合成すれば、プロミネンスもダーク・フィラメントもしっかり見えてくるのではないだろうか?

 ダブル・スタックには鏡筒とのマッチングが必要、との事だが、3本試したら、どれでも大丈夫だった。流石にダブル・スタックではダーク・フィラメントの描出が一段と向上するが、像 は暗くなる。で、片方ダブルで片方シングルで双眼視してみたが、問題なく頭で合成でき、プロミネンスと太陽表面の迫力ある像が楽しめた。ただし、立体赤青眼鏡で見た時のような左右の像の違いのチラチラ感はある。ダブル・スタックは最初は付けずに観望し、さらにコントラストを上げたい時にダブル・スタックを装着するのが良さそうだ。
 なお、左右の鏡筒に取り付けて見比べてみたが、右側に取り付けた方が、プロミネンスと太陽表面のバランスが良かった。

 天体を観望する時、光学系をチェックする時、どんな微細な事もわかるような鋭敏さと、良い意味でのいいかげんさ(脳の柔軟さ・適応能力)と双方持ち合わせるのが大切だと思う。

  

 ダブル・スタックにすると、正面から見て左下にある鏡筒ファインダー窓から太陽の光が入らなくなり、ファインダーが失神する。新しいP.S.T.では窓が下に移動していて、ダブル・スタックにしても大丈夫になっていた。それと、新しいP.S.T.を覗いて、これはダブル・スタックか?と思う位、格段に太陽表面のコントラストが良いので驚いた。もともとバラツキの大きい機種なので、新しいのが皆こうなのか、たまたまこれが見える鏡筒なのかはわからない。でも、これで双眼にしたら凄いだろうなあ。

 1年前にアイピースをいろいろテストしたが、その後Docter UWA 12.5mm を入手したので、これもチェックしてみた。流石、解像度は1ランク上になるが、アイピースが重いので、重量バランスが崩れてしまう。また、CEMAX は専用なので、いきなり出して観望できる利便性のメリットは大きい。という訳で、アイピースは、今もCEMAX 12mm を愛用している。ただし、もう少し太陽を拡大して見たい時は、Takahashi LE 10mm を使っている。


NEAF (Northeast Astronomy Forum & Telescope Show) のSolar Star Party (2012年5月6日)


  

会場の入り口には EXPLORE SCIENTIFIC/BRESSER の大きなトレーラーがあり、 中がショールームになっていた。

 GWに所要でNYに行っている時、ちょうどNY郊外で、NEAFが行われる、という情報が入った。本場のイベント、天文メーカーが集結、と聞けば心中穏やかではない。何とか都合をつけて、4月29日(2日目)に3時間半だけだったけれ ど、行ってきた。YouTubeや他の紹介siteでは、会場の雰囲気や肝心の情報が 今一よくわからないので、本当は全コーナーを紹介したいところだが、あまりにも大変なので、結局私も、Solar Star Partyを中心に、ほんの少しだけ紹介。

  
撮影用望遠鏡は、大きなものから、200mm f3なんてものもあった。右は、巨大なMeade。
ミラー会社も36”から、というものもあって、「私は18”を使っている」、と言ったら、「半分じゃないか。今、40”〜60”とを磨いているぞ。」と返された。

 
talonsbirdsofprey.comのデモ。5羽いて、釘付けとなった。
双望会でも同じようなアイディアの物があったが、双眼鏡用の椅子。他にも工夫した双眼鏡用アームがたくさん展示されていた。

 

  
Hubble Opticsの16”サンドイッチ・ミラー・ドブ。18”は昨日、売れてしまった、との事。大型ドブの出展は、意外と少なかった。トラベル・ドブは、割愛。
TEC APO 110FL f5.6(やっと実物が見れた。会場には18cmFLもあった)。
アンティーク・コーナーでは、1878年製、4” f15の屈折望遠鏡を覗かせてもらった。レンズもきれいで、予想より遥かに良く見えた。

 アメリカなので、広く、大きく、それこそ大望遠鏡やドームから、SFグッズや小物まで、何でも売っているし、フクロウまでいる。Astro-Physics の人は、頭にプロペラを付けて、蝶ネクタイ、半ズボンで、130mm f6.3 Starfire EDF175mm f/8 Star Fire EDF をデモしていたし、QUESTAR 社は6台、Lunt 社は全機種ズラリと展示となると、やっぱり違うな〜、と 興奮してしまう。

 会場の外では、Solar Star Partyが行われていた。写真の右側に、もう一群あり、Lunt CORONADODAYSTAR の他、屈折やQUESTAR を太陽望遠鏡にしたもが30数台並んだ。

 

   

 9〜10cmのダブル・スタックもズラリと並び、中には、9cm CaKや、スペクトルを観察するものもあった。覗く時は、頭にしっかり布を被せてくれる所も多く、コントラストに気を配っていたのは流石であった。また、金星を見せている望遠鏡もあった。圧巻だったのは、Lunt 23cm

 

 写真ではなかなか伝わらないのが残念だが、とにかく大きい! だいたい23cmの屈折だって大きいのに、それが太陽望遠鏡なのだから、もう大興奮だ。当然、行列が... 
 プロミネンスの拡大像をデモしていたが、ちょうど、巨大なプロミネンスが飛び散ったところで、地球10個分は優にあろうか、という雄大な炎のアーチと、その中にちぎれた綿のような炎のかけらがいくつか黒い空間に浮いて見えていた。これを観れただけでも、ここに来た価値は十二分にあった。 面白くて、全望遠鏡を2順。

 ネットでよく登場するこの方も、大活躍。で、何か買ったのか?という声が聞こえてきそうだが、一つはTeleVue の2”キャップ。日本では、確か\700だか\750したと思うが、こちらでは$2。これを少々と1.25”のキャップ $1も少々。それから、 昨年の双望会でutoさんが紹介していた、観望ベスト

  

 アイピースや小物が入るポケットが大小11個、裏面はメッシュ。これに大きなフードが付いていて、遮光できる、という優れもの。$70で購入。

 また、会場では、気前良く、いろいろな物が無料で配布されていたので、Sky & Telescope 誌(最新号とバックナンバー、計2冊)、NATIONAL GEOGRAPHIC 誌(Sun Burst 特集)、SCIENTIFIC EXPLORE 社の名刺サイズのフルネル・レンズ、太陽望遠鏡関係のCD-ROM 2枚、3D太陽ポスター(赤青眼鏡付き)、coronal mass injection STEREOカード(カードを傾けると、実際に太陽から大量のコロナが放射さてたように画像が変化して相当きれい)、ステッカー等々をゲットした。


サン・シェルター (2012年5月30日)

  物品を整理していたら、(株)アストンのサン・シェルター(大)が出てきた。カメラのレンズ・フードに取り付け、よりフード効果を高めるものだ。随分前に購入していたが、結局使われずにしまったままになっていた。現在は、Lとして販売されているようだ。これをP.S.T.使わない手は無い。

 

 という訳で、手軽にコントラストを向上する事ができた。


雲台を変更 (2012年6月4日)

 Manfrotto の雲台がモデルチェンジ中で、501HDV が廃番になった。モデルチェンジしたMHV502AH はさらにカッコ良くなったが、さらに大きくなり、何故かカウンター・バランスは弱くなった感じがした。501HDV は安売りされているが、遂に定価の半額近くなっていて、これは、どう考えても“買い”だ! だって、対荷重6sのカウンター・バランス付きのヴィデオ・雲台が1万5千円ちょっとなんて、ありえないではないか。

 ちょうど、このP.S.T.のフロントが重くなってきた事もあり、また、さらに重くなる可能性もあるので、ピッタリであった。デザインの収まりも実に良い。で、GITZO G2380 はどうなったかというと、EMS対空双眼鏡の雲台となった。この双眼鏡は、アイピースの重心が雲台から離れているので、Manfrotto 701HDV で天頂付近を見る時には、しっかりネジを締めないと勝手に上を向いてしまう。これがGITZO G2380改善された。さあ、はたして6月6日はこれが活躍できるであろうか.... 


P.S.T.
にはアイピースは何が良いか?-続編 (2012年8月2日)

 以前は、CEMAX 12mm が最もプロミネンスがシャープで良く見え、ベスト、と報告した。プロミネンスを見る場合、やはり光量が必要で、アイピースの選択を誤ると (倍率を上げすぎると)、せっかく大きく外側にも飛び出しているプロミネンスが見えなくなってしまう事もある。


LE 10mm と LE 7.5mm

 現在所有のP.S.T.の解像度が以前のものより上がり、Takahashi LE 10mm を常用するようになった。さらに拡大しても像が崩れないので、LE 7.5mm も使うようになった。双方ともピント位置が同じなので、アイピースを換えれば、即、倍率を変えてしっかり見れるので、極めて高率が良い。P.S.T.の場合、ちょっとしたピントの位置や眼の位置で、随分見え方が変わってくるので、この利便性は絶大だ。 繰り返しになるが、チョイ見は損で、きちんとピントを合わせてじっと見ていると、いろいろなものが見えてくる。

  

P.S.T.双眼 その2
ダブル・スタック双眼!

ダブル・スタックの双眼化 (2012年9月28日)

 いろいろな太陽を見たい。同じHαでも、また別な表情が見れるなら見ようではないか、という訳で、今年(2012年)の3月に、P.S.T.のダブル・スタックを注文した。友人は何ヶ月も経っているのに届かない、というのに、あっという間に(10日程で!)届いた。たまたまショップに在庫があった、という事なのだろうか。このダブル・スタック・ユニットを利用して片方だけダブル・スタックにしたのは報告したが、実は、このダブル・スタック鏡筒、驚異的に見えるのである。ダブル・スタックにしなくても、ダーク・フィラメントも恐ろしく良いコントラストで見え、しかもプロミネンスもしっかり見える。今まで見た 、どの8cmクラスより、はるかに優秀なのである。

 
我が家の望遠鏡には、全てOAカヴァーがしてある。サッと取って、すぐに見れる。

 これが寝室の出窓に置いてあり、朝、起きたら、余程の曇天で無い限り、薄雲を通してでも、必ず太陽を見るのが日課となっている。我が家での驚異的稼働率の望遠鏡は、このP.S.T.なのだ。ご存知無い方のために申し上げるが、薄雲を通しても、けっこう いろいろ見えるのだ。見なきゃ損!


LE 10mm と LE 7.5mm

 以前は、CEMAX 12mm が最もプロミネンスがシャープで良く見え、ベスト、と報告したが、鏡筒の解像度が上がり、Takahashi LE 10mm を常用するようになった。さらに拡大しても像が崩れないので、LE 7.5mm も使うようになった。双方ともピント位置が同じなので、アイピースを換えれば、即、倍率を変えてしっかり見れるので、極めて高率が良い。P.S.T.の場合、ちょっとしたピントの位置や眼の位置で、随分見え方が変わってくるので、この利便性は絶大だ。 繰り返しになるが、チョイ見は損で、きちんとピントを合わせてじっと見ていると、いろいろなものが見えてくる。

 それにしても、シングル・スタックなのに、こんなに見えるのは、たまたま大当たりだからなのか、P.S.T.が進化したせいなのか、それとも、ダブル・スタックの鏡筒本体が、シングル・スタック鏡筒とは若干違うのか? いずれにしても、ダブル・スタック鏡筒を注文して双眼化し、チャレンジする価値は十二分にある。という訳で、P.S.T.双眼の鏡筒入れ替えを計画した。4月に注文し、実はGWにNYでpick upする事になっていたのだが、今度は、私のが来ない。 納期約1週間、という事だったのに、来ない。問い合わせる度に、答えは納期約1ヶ月。結局来たのは9月半ば過ぎだった。「このショップ、本当に大丈夫?」と途中、キャンセルしようか、との思う位イライラしたが、注文後、P.S.T.がけっこう値上がりしたので、じっと我慢した。

  やっと届いた鏡筒を見比べた。やはり進化したのか、新しい方が良く見える。ただ、最初に届いた寝室の出窓のP.S.T.が抜きん出ている。この鏡筒、たまたま大当たりだったようだ。結局、一番使用頻度の高い寝室の出窓にこれを置き、新しく来た2台で双眼の鏡筒入れ替え行った。

 ダブル・スタック・ユニットの直径は73mmなので、このままでは双眼にはならない。これを双眼にするには?
松本さんとは、いつもいろいろなアイディアを出し合っているが、以前、この段違いダブル・スタックのアイディアを教えていただいていた。では、将来、ダブル・スタックを入手したら、という事で延び延びになっていた。その内、先客に先を越され(2012年7月12日)、今となってしまった。

 

 原理は、ここも参照(2012年9月26日)していただくとして、段違いでダブル・スタック・ユニットを装着する、というもの。松本さんの凄いところは、こういったアイディアがポン、と出るだけでなく、左側の鏡筒に短いアタッチメントを装着して、きちんとクリアランスを取り、眼幅60mmですら双眼対応になっている事、そして、ネジ込みの回転位置まで考慮して干渉を避けている事、内径はきちんと42mm確保されている事、鏡筒へのねじ込み、ダブル・スタック・アタッチメントのねじ込みの工作制度のすばらしさ(本来のオリジナルは、もっと粗雑)だ。つまり、これ以外に無い、という正解が、そのまま製品になっている点が彼の真骨頂なのである。普段は、このアタッチメントを装着してレンズ・フードとして使用し、さあ、という時はダブル・スタック双眼となる。どうです、見事でしょう?

 ダブル・スタック・ユニットは、オリジナル・ケース(1個用)を加工して、2個入るようにした。さあ、届いた翌日の朝、ファースト・ライト、と思いきや、台風の影響で、おそろしく曇天。明日へ持ち越しだ。

 

ダブル・スタック双眼、ファースト・ライト (2012年9月29日)

  今朝は、朝から快晴。さっそく見てみた。まずは、シングル・スタック鏡筒単体、次にシングル・スタック鏡筒単体+アダプター装着、次にダブル・スタック鏡筒単体、次に鏡筒+アダプター+ダブル・スタック、そしてそれぞれの双眼、という具合にチェックした。

 シングル・スタック鏡筒単体のチェック。この鏡筒は優秀だ。ダーク・フィラメントのコントラストを上げると、プロミネンスが見えにくくなってくる場合が多いが、この鏡筒では高レヴェルで両立している。ただし、鏡筒付け根のリングの調整はシヴィア。本当に良くみえるポイントは1点しかない。まあ、外れてもけっこう見えるのだけれど...

 次に、シングル・スタック鏡筒単体にアダプター装着して、その影響をチェック。アダプター内径も42mm確保できているし、きちんとアルマイト加工がされているので、当然だが影響無し。

 次に、ダブル・スタック鏡筒単体をチェック。太陽表面のコントラストが1段upする。太陽表面から少し奥に入ったところを見ているような感じだ。ただし、プロミネンスは少し消える。

 次に、鏡筒+アダプター+ダブル・スタックをチェック。アダプターを介さないのと像は同等。アダプターでダブル・スタック・ユニットが離れる影響は無いようだ。

 最後に、ダブル・スタックの双眼。やはり双眼は良い! ダーク・フィラメントが浮き出て見えるような感じだけでなく、太陽表面のウズの表情が豊かで、活動の活発さがわかる。でも、シングルだとプロミネンスが派手に飛び散っているのがわかるので、まずはシングルで見て、次にダブルで見るのが良さそうだ。

 この約半年間、アイピースはTakahashi LE 10mm を常用していた。光球が大きくなり迫力は増すのだが、今回、改めてCEMAX 12mm の良さを再認識した。コントラストとプロミネンスの見え方が実にクリアで良いのだ。Takahashi LE 12.5mm もあるけれど、背景・黒のしまり具合はCEMAX の方が良い。で、出窓の驚異のP.S.T.のデフォルト・アイピースはTakahashi LE 10mm のまま、双眼の方は、CEMAX 12mm に戻した。

 

眼のこと (2012年9月29日)

  春頃から、P.S.T.双眼・左側の鏡筒の赤が濃く、やや暗めだなあ、と思っていたが、先週、左側の鏡筒を右眼で見て仰天! 鏡筒のせいではなく、眼のせいだった。左眼の方が、若干、赤が濃く、暗く見えるのだ。周囲に黄斑変性症の人が2人いるし、また、眼圧のチェックも長年していなかったので、あわてて眼科に行ってみた。 緑内障の疑いがある、との事で、2週に渡り精査したが、異常無し だった。瞳孔の開きが左右異なる病気があるが、それでもない。その後、双眼望遠鏡でもいろいろ左右の眼の比較を行ってみたが、月や恒星では左右差は無い。つまり、波長の長いところでは、左右で眼の感受性が若干異なる、という事なのだろう。耳だって、モスキート音が聞こえる人と聞こえない人がいるように、眼だって差があるのだろう。という事は、Hαは、人によって見えている像が、実は違っているのかもしれない。

 

Takahashi Abbe 9mm (2013年8月30日)

  ここに来て、各社からAbbe が出た。古くからZeiss 社製が有名だが、太陽望遠鏡には、今回出たシリーズが価格の点でも使いやすい。今、使っているのは、標準でTakahashi LE 10mm、さらに倍率を上げる時は、LE 7.5mm だが、このあたりに“よく見える曲線のピーク”があり、山は比較的急峻かもしれず、焦点距離9mmというのは、ちょっと試しておきたいところだ。アイカップがきちんと装着されているのでTakahashi Abbe 9mm を調達し、寝室のP.S.T.で見てみた。

 基本的には良く見えるし、P.S.T.用としても最適なアイピースの1つだと思う。ただ、2日間使ってみた印象では、LE の方が、若干表面のコントラストが良いかも、という印象もあった。ただ、薄雲がかかっていた時もあり、シーイングも刻一刻と変わっている時もあったので、まだ結論には至っていない。
 なお、このアイピースの見掛け視界は44°とLE の52°に比べ狭くなっているが、P.S.T.での使用には特に気にならなかった。また、惑星やDeep Sky等に、このアイピースを使う予定は無い。

 

P.S.T.双眼を手放した (2012年10月28日)

 ファンタスティックなP.S.T.眼だったけれど、Lunt LS100THa Double Stack を入手するに至り、なくなく手放す事となった。最も傑出したP.S.T.による双眼で、しかも、ダブル・スタックにもなり、デザインも最高だったのに... ただ、このsiteの読者に使っていただく事になり、喜ばしい結果となった。P.S.T.双眼、今までありがとう!
 寝室の
P.S.T.はそのままで、これは晴れれば毎日見ている。相変わらずの稼働率No.1の望遠鏡だ。
 

本機のスペック (2018年10月20日)

  口径 f 焦点距離 倍率 実視界 見掛視界 アイ・レリーフ 射出瞳径 備考
CORONADO P.S.T. 40mm 10 400mm           倒立像(鏡像ではない)
Takahashi LE     10mm 40 1.3° 52° 6.2mm 1mm 標準アイピース

    〃  

    7.5mm 53 52° 10mm 0.8mm 拡大用
 

  寝室の本機(双眼では無く単眼1台)は、相変わらず活躍している。太陽望遠鏡の集いがあり、本機も出動することになって機材説明用紙を作成していていたら、スペックを掲載していないのに気づいた。という訳で掲載。基本はシングルスタックで見ている。ダブルスタック仕様は、シングルでも良く見える印象がある。本機の半値幅が、シングルとダブルの中間あたりなのか、良いとこ取りの感じ。
 

本機を手放しました (2018年12月23日)

  DaySrtarが物凄くて、そしてこれの小口径版がどうしてもやりたくなって、本機を手放す事になった。嫁入り先は、あっという間に決まった。手放したのは12月初旬。前日の朝、素晴らしいプロミネンスを見せてくれた。車がいよいよ寿命だなあ、と感じつつも頑張って乗り続け、でもやっぱりもうだめだ、売ろう、となった途端、急に元気になって、「ご主人様〜、私こんなに元気よ。まだ捨てないで〜」と声が聞こえてきそうな時は毎度。それだけ愛情を注いでいるからかなあ? 望遠鏡も同じ。切ない別れだった。

 我が家で一番の稼働率、大活躍のP.S.T.! 本当にありがとう!!
 

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