125SD Binoで、西オーストラリア遠征  2014年GW
トラベル望遠鏡 その5

  公開:2014年5月9日〜
更新:
2015年7月28日 *第1回双眼狂祭 を追加 しました。

「燃える木」

Springhills Farmで、皆が撮る有名なポイント。星景写真家:武井伸吾氏が、「星のなる木」として発表して以来、人気の撮影ポイントとなった。
いろいろな所で撮ってみたが、やはりこの樹が画になる。 撮影の時、たまたま野焼きの赤い火が写り、いい感じになった。
友人に自慢したら、彼らも同じ構図で樹が違うだけの写真を撮っていて、爆笑となった。
写真左には、そそり立つ さそり座、樹の右上にはコールサックと南じゅうじ座、右下には大小マゼラン雲。
撮影:2014年5月1日21時39分。EOS 5D Mark III + EF14mm F2.8LII USM。f2.8/25sec. ISO:5000。Lee No.3ソフト・フィルター使用。

  

 再び西オーストラリアへ

 2011年GW、初めて南半球:西オーストラリアに遠征し、あまりの空の凄さに衝撃を受けた。 次のGW+新月は3年後だよ、という事であったが、それは、あっという間にやってきた。ただし、その間の私の環境の進歩は、相当なものがある。何といっても、SkySafari の存在が大きい。3年前は、どこに何があるのか あまりわからず、観望が停滞する時も多かったが、今はSkySafari と自作のガイドブック(観望リストの天体は、効率良く一筆書きのように辿れるようにデータがSkySafari にinputされている)のお陰で、以前では 全く考えられない数の天体が導入できるようになった。SkySafari は導入を指導してくれるだけでなく、導入した天体が何であるかたちどころに判り、最強のコーチでもある。また、クーナ遠征テカポ遠征を経て 、南天にも慣れてきたのであった。

 三基光学館と古庄さんから案内をいただき、早々に同社の企画したツアーに申し込んだ。前回、ただ1人の眼視派だったのに、再びお声をかけていただき、とても嬉しかった。ただ、5月3日の午後から予定がびっちり入ってしまい、結局2日早く現地入りし、2日早く帰国する日程となった。Springhills Farm は、ロッジの目の前が観望場所で、南側には大都市も無く、約240km先は海が広がっているだけなので空が暗く、理想的な環境だ。パース直行便が無くなってしまったのが残念! シドニー経由だと、+4〜5時間(乗り換えの時間を加えると、さらに+3時間)は、もかかってしまう。

   

 機材

 当然ながら、125SD Bino一式。アイピースは、Nikon NAV-HW 17mm Nagler Type 6 5mm の2系統4本のみで、テカポ遠征の時と同じ。南天は、ほとんどNAV-HW 17mm 、44倍、実視界2.3°で堪能できる。フィルターは、AstronomikCLSUHCOIII とHβ ( これだけ1.25")。4種類8枚。双眼鏡は、自作テレコン・ビノCANONの防振で、これにNEXUS 2台(1台は予備) とバッテリー2個、iPadiPad mini も加わり、これもいつもと同じセット。アイピースや双眼鏡はトート・バッグで手荷物で運んだが、どのセキュリティーでも引っかからなかった。 また、現地Springhills Farm は夜露が物凄いので、自作フードファインダー曇り止めセット、さらに 、現地で捨てても良いタオルも何枚か持参した。 アイピースは鼻息ですぐに曇ってしまうので、覗く時以外は、タオルを被せておくと良いのと、三脚の脚は土で汚れるので、最後はこれできれいに拭き上げてしまう。

   

 ファームへ


ジルコス・ロードとFarmの入り口の目印

 ファームの住所はGoogle Mapsでは出てこない。携帯も繋がらないど田舎なので、しっかり現地までのルートをプリントアウトして用意した。パースから、4号線→30号線(高速道路)で南下し、ウイリアムズで右折し、ビンジャラ・ウイリアムズ・ロードへ。ウインダニングで右折し、川を渡ったら、右側のジルコス・ロード(ここから舗装無し)、ほどなくして左折し、カワナズ・ロードへ。すぐにFarm の入り口に辿り着く。-33.0214、116.5877、標高265m。

 日本は夜発ち、朝シドニー着。それからパースへ向かい、パース着は13時半。そこからレンタカーだが、2時間半位で着いた。見渡せば懐かしい光景が広がる。ロビンさんが、あたたかく迎えてくれた。現地到着は夕方5時。早々に夕飯をすませ、外に出るが、完全な曇り。 気温13℃。23時半に、雲の隙間から、明るい天の川と南じゅうじ座、コールサック、エータ・カリーナなどが顔を出した。すぐに双眼鏡で観望。双眼望遠鏡も出してみたが、望遠鏡を向けると、そこが曇ってみえなくなる、を繰り返し、1時に 撤収。正月から日本を出る4月26日まで激烈な忙しさで(4月26日も13時まで仕事で、その後成田へ向かった)、けっこう疲れていたので、ちょうど良かったのかもしれない。

 それにしても、コールサックの黒さに、改めてビックリ。ここは高度が265mと低いのだが空が本当に暗く、明日からの観望に大いに期待が持てる。

  

 現地2日目(4月28日)

 朝、6時に目が覚めた。快晴だった。金星がきれい。いつから晴れていたのだろう。ちょっともったいない気もした。午前は、動物達と戯れる。カンガルーが寄ってきたのでビックリしたが、お腹が空くとやってくるらしい。とてもおとなしく、カンガルー・パンチは大丈夫、との事。名前はピーチズ。腕は細いが、体重をかけてくると、ズシリと重い。腰周りの筋肉がものすごく発達している。前回、完全な日本語の「めー」となく羊がいて大いに笑ったが、ここ には「もー」ではなく「めー」とないている牛がいた。沢山いる羊に慣らされてしまったか? 同じ「ま行」でも、やっぱりちょっとねえ。


カルネは、この他に大きなものがもう一つ。

 午後は、ワインの買出しにウイリアムズへ。車で30分少々。行ってみたら、本当に何も無い街だった。ただ、小さなショッピング・センターで、巨大なブーツを見つけた。ワインは、ファームへ行くビンジャラ・ウイリアムズ・ロードの分岐の所で売っていたが、入り口に鍵がかかっていて、呼び鈴を押すとロックが解除され、中に入る。タトゥーだらけの太った女の人が店員で、何か怪しいブツを買いにいったような気分になった。

 ファームに戻ったら、カルネが届いていた。前回は、開封された箱は中身がむき出しになっていて仰天したが、今回のは開封の形跡が無く、しっかりビニールでカヴァーされていた。業者を換えた、との事。これなら安心して機材が送れる。夕方からセッティング開始。ゆっくりやっても10〜15分もあれば、完了。


3年前に購入して置いていったテーブルが残っていたので、再び使用。

 iPad mini は、赤色透明の塩ビ板(厚さ0.4mm)でカヴァーした。これは、普通の使用だと画面が明るすぎるし、暗くすると、今度はコントラストが淡くなって文字が見えなくなる。また、SkySafari で画面を赤く表示させる事もできるが、この操作で、今まで復帰不能のフリーズを2度経験している(PCからの再インストールで、やっと復帰)ため。ただし、フリーズはSkySafari 3での事で、今回は全てSkySafari 4で観望予定。

 18時半から観望開始。13℃。少しだけ風があるが、程なくして収まる。3年前も今回も、観望の時に風で悩まされる事が無い。αケンタウリで校正し、二重星を確認してから沈み行くオリオン座へ。まだこの時間は暗さが足りなく、馬頭は諦め。Astronomik フィルターのテストは持ち越し。それから木星、火星を経てωケンタウルスAJewel BoxGacruxLambda Centauri Cluster + Running Chicken Nebulapearl clusterBlue Planetary NebulaNGC3532ηカリーナGem Cluster南のプレアデス、大小マゼラン雲 等の南天オールスターズを一覧。うみへび座、コンパス座のdeep skyを訪れてから、写真撮影。

 20時45分、観望再開。7℃、寒い。おおかみ座(二重星の宝庫)、くじゃく座、みずへび座、かじき座、テーブルさん座、レチクル座、はちぶんぎ座、ふうちょう座のdeep skyを観望。再び写真撮影の後、23時半に観望再開、4℃。インディアン座、がか座、さそり座のdeep skyを探訪。2時には1.6℃まで下がって、ますます寒い。いて座から北天のdeep skyを一巡。3時半には0.6℃まで下がった。結局この日は、18時50分から30分位曇っただけで、快晴。空は明るめだった。

     

 現地3日目(4月29日)

 午前は、農場内を散歩。タイヤが人よりも高い巨大なトラクターや絵になるオブジェが多数散在。飽きる事がない。18時、やっとみんなが到着した。 今回は、友人の眼視派2名も加わり眼視派は計3名となった。すぐに夕飯。 「友人から、日食どうでしたか?」と聞かれ、絶句。彼らは、パース到着後、ホームセンターで見たらしい。そういえば、昼過ぎ、携帯がポーンと鳴って、eclipse の表示が出たのを思い出した。「そりゃあ、世界のどこかでおきるでしょう。」とノーマークだったが、関係ないものを知らせる訳がない。 部分日食だってすごく楽しめるのに。ああ、現地でeclipse mints など買っているのに、情けな〜い!

 程なくして皆が荷物を開けてセッティングをしている中、私は観望開始。19時10分、9℃。快晴で、空も昨日よりずっと暗い。南天オールスターズを一巡している時、ロビンさん達がいらして、いくつか見てもらった。「おお!美しい」と驚いていたが、年中この空の下にいるのに、もったいないなあ。

はと座は、星座の確認、HR2316(三重星)、NGC2188、太陽背点(γ星北5°あたり。太陽はヘルクレス座ο星に向かって19.4Km/秒で進んでいる、その対側)、NGC2090μ Columbae(おひつじ座53番星やぎょしゃ座AE星と共に、オリオン大星雲から250万年前に飛び出した。128Km/秒で移動中)、NGC185118081792 を訪問。

らしんばん座は、星座の確認、NGC281826272613を訪問。

じょうぎ座は、星座の確認、NGC61696134616761526067608759255946を訪問。

さいだん座は、星座の確認、NGC6352IC4651NGC63976208618861936250622163006392を訪問。

ぼうえんきょう座は、星座の確認、NGC6584NGC48896868を訪問。他にも多数観望したが、メモが追いつかず。0時35分、4℃。今日も寒い。

インディアン座は、星座の確認、Abell 3716NGC704170497090IC5152を訪問。 ただし、この星座の10〜11等級の銀河は、この口径では苦しいようで、確認が難しい。1時15分曇ったところで撤収。この日は朝まで曇っていたらしい。

   

 現地4日目(4月30日)


 今日も農場を散歩。近隣を運転していると良く見かけるのは、緑が鮮やかなリングネック。他にもいろいろな鳥に出会った。ファームに置いてあったパンフレットを見ると、写真左下はCrested Pigeon。割と珍しい鳥のようだ。写真右下はSprendid Fairy-wren

 午後は、バディントンへ出かけた。ウイリアムズと同じ位の距離。パースへはウイリアムズではなく、ここを経由すると、30分早いらしい。メイン・ストリートはフリーWi-fi だったので、ここに車を停めてメールをチェックした。天気予報では、私が帰る5月2日が快晴のようだ。残念! 前回、買出しにつれてきてもらったのは、この街だった。

 今夜は19時10分から観望開始、12℃。今日は自作のガイドブックから離れ、気の向くままに訪れた。0時40分には7℃、3時半には4℃まで下がった。このあたりで引き上げて就寝。

  

 現地5日目(5月1日)


 星景写真もいろいろ撮ってみたが、どれも今一だったので、再度農場を散歩して使えそうな背景をチェックした。実は、これらで撮影してみたのだが、シルエットとなると今一だった。オブジェに白色LEDを短時間照らせば、また良い写真になるかもしれないが、そこまで時間は取れなかった。結局、冒頭の写真、星のなる木での写真が一番良かった次第。


卵は自家製。子犬はいたずらばかりして、よくロビンさんに怒られていた。
鶏を追い掛け回し、沢山の鶏、雛が鶏小屋の周りを「クワッ、クワッ」と大絶叫して何周も必死に走り回り、爆笑してしまった。
その後、ロビンさんにみつかり、また怒られていた。ガキは、人間も犬も同じか?

 ロビンさんは、朝から家畜の世話やら食事やら、とにかく良く働く。我々の動向にも常に気を配っていて、夕方雲が少ないと、夕飯をちょっとだけ早めたりしてくれる。本当に感謝。長生きしてね。

 最終日なので、一通り見直してみた。観望は18時45分から、11℃。 以下は、3日半(初日×、2日目○、3日目△、4〜5日目○)の観望のまとめ(+今までの観望の情報)を兼ねたリストである。自作のdeep sky ガイドブック・南天編に沿って掲載しているので、お役に立てれば幸いである。表記は、SkySafari でのもの。天体が何であるのか(渦巻銀河、散光星雲等)と絶対等級の記載は省略した。観望は、ほとんどNAV-HW 17mmで、44倍、実視界2.3°、射出瞳径は28mm。たまにNagler Type 6 5mm

 

焦点距離

 倍率

実視界 

見掛視界

アイ・レリーフ

射出瞳径

BORG 125SD

750mm

 

 

 

 

 

NAV-HW

17mm

44

2.3°

102°

16mm

2.8mm

Nagler Type 6

5mm

150

0.55°

82°

12mm

0.8mm

 

 

 

 

 

 

 

 まずは観望を開始した19時頃の空、東の地平線あたりから

     

おおかみ座 Lupus (Lup)  二重星の宝庫

 星座全景の末端までの完全な把握、η Lupi (二重星、きれい)、NGC5986NGC5882 150倍でも倍率不足)、μ Lupi (二重星、きれい)、κ Lupi (二重星、きれい)、ζ Lupi (二重星、もっと低倍の方がきれい)、NGC5822NGC5749NGC5643淡い)、IC4406確認できず)、NGC5824 150倍でも倍率不足)ψ Lupi (二重星 、もっと低倍の方がきれい)

じょうぎ座 Norma (Nor)

 星座全景の末端までの完全な把握、NGC6169NGC6134NGC6167NGC6152NGC6067NGC6087NGC5925NGC5946(淡い)

さいだん座 Ara (Ara)

 星座全景の末端までの完全な把握、NGC6352IC4651NGC6397 見栄えがする)、NGC6208NGC6188 UHC filter 使用)、NGC6193NGC6250淡い)、NGC6221淡い)、NGC6300NGC6392
 *NGC6221
は、最初は見えなかったが、最終日に確認できた。

みなみのさんかく座 Triangulum Australe (TrA)

 星座全景の末端までの完全な把握、NGC5938確認できず)、NGC6025

ケンタウルス座 Centaurus (Cen)

 星座全景の末端までの完全な把握、Rigil Kentaurus/α Centauri (二重星)、NGC5316NGC5281NGC5286NGC5460ω NGC5139 (大迫力!)、Centaurus A NGC5128 (フィルター不要)、NGC4945NGC4976 (痕跡程度)、Abell 3526 NGC4696 等の銀河群、淡い)、NGC5102 (淡い)、NGC5253 (淡い)、NGC5367 (淡い)、Lambda Centauri Cluster/Running Chicken Nebula IC2944 IC2944 Collinder 349 (美しい。フィルター 不要)、Pearl Cluster NGC3766 (美しい)、NGC3699 (確認できず)、Blue Planetary Nebula NGC3918 (150倍より、もっと高倍が良い)、NGC3680NGC5286NGC5460
 *NGC5102
NGC4946NGC5253NGC5367 は、いままで見えなかったが、最終日に確認できた。

コンパス座 Circinus (Cir)

 星座全景の末端までの完全な把握 (確認し忘れた)、NGC5823Circinuc Dwarf Galaxy PCG50779 (確認できず)、NGC5315 (確認できず)

みなみじゅうじ座 Crux/Southern Cross (Cru)

 星座全景の末端までの完全な把握、Acuruxもっと低倍の方がきれい)、CoalsackNGC4349NGC4052NGC4103NGC4609Jewel Box Cluster NGC4755 (美しい)、Ruby Crucis TYC 8659-1394-1 美しい)、Gacrux (美しい)、Becruxもっと低倍の方がきれい)、μ Crusis

はえ座 Musca (Mus)

 星座全景の末端までの完全な把握、β Muscae ( 二重星、確認できず)、NGC4815 (淡い)、IC1491 (淡い)、NGC5189UHC filterでコントラスト↑)、Wray 16-132 (確認できず)、NGC4833 (淡い)、NGC4372
 *IC1491 は、最初は見えなかったが、最終日に確認できた。

りゅうこつ座 Carina (Car)

 星座全景の末端までの完全な把握Eta Carinae Nebula NGC3372 (美しいCLSUHC filter でコントラスト↑)、μ Car (二重星、きれい)、Southern Pleiades IC2602 (もっと、低倍が良い。プレアデスの兄弟だ)、NGC3532(このあたりは、どこを見ても絶景)、NGC3572Gem Cluster NGC3293 (美しい)、NGC3199CLSUHC filter でコントラスト↑)、NGC3114Vathorz Prior υNGC2808NGC2867 ( 南のまばたき星雲だ!)、NGC2516Canopus 。その他、NGC3590NGC3519NGC3602 等。
 *
以前、Vathorz Prior υNGC2867 は確認できなかったが、最終日に確認できた。NGC2867は、そらし目でぽっと見えてきて、まるで南のまばたき星雲だった。

ほ座 Vela (Vel)

 星座全景の末端までの完全な把握、Omicron Velorum Cluster IC2391γ Velocum (変光二重星)、NGC2547、Gem Nebula (淡い)、NGC2659、Pencil Nebula NGC2736 (確認できず)、NGC2899 (確認できず)、x Velorum (美しい。南のアルビレオ)、NGC3201Eight- Burst Nebula NGC3132(確認できず)。

ポンプ座 Antila (Ant)

 星座全景の末端までの完全な把握、δ AntilaeNGC3175 (確認できず)、NGC2997 (淡い)、ζ Antilae(ζ1ζ2のところの星の並びが “λ” に見える。Asterism: Antila λ と名づけた)。

らしんばんPyxis (Pyx)

 星座全景の末端までの完全な把握、NGC2818 (確認できず)、26272613 (確認できず)

くじゃく Pavo (Pav)

 星座全景の末端までの完全な把握、IC4662 (淡い)、NGC6684 Skysafari ではSpiral Galaxy となっているが、これは球状星団の誤り。淡い)、NGC6744 (淡い)、NGC6752 (良く見える)、NGC6810 (淡い)、NGC7020 (淡い)、NGC6876 (淡い)
 *以前、IC4662NGC6684NGC6810NGC7020NGC6876 は確認できなかったが、最終日に確認できた。

ふうちょう座 Apus (Aps)

 星座全景の末端までの完全な把握、NGC6101 (淡い)IC4633 (13等級なので、この双眼望遠鏡では無理)、IC4499 (確認できず)、δ Apodis (二重星。もっと低倍が良い)
 *以前、NGC6101 は確認できなかったが、今回確認できた。

はちぶんぎ座 Octans (Oct)

 星座全景の末端までの完全な把握、Melotte 227NGC6920 (見えたかどうか、怪しい)、NGC7095 (確認できず)、NGC9098 (確認できず)

きょしちょう座 Tucana (Tuc)

 星座全景の末端までの完全な把握、Small Magellanic Cloud  NGC292NGC104 (美しい。双眼鏡でもOK)、NGC362κ Tucanae (もっと低倍の方が良い)、NGC7329 (確認できず)。

みずへび座 Hydus (Hyi)

 星座全景の末端までの完全な把握、NGC602UHC filter 使用で見えた)、NGC1511 (淡い)
 *NGC602
NGC1511 は、最初は見えなかったが、最終日に確認できた。

カメレオン座 Chamaeleon (Cha)

 星座全景の末端までの完全な把握ε Chamaeleontis(もっと低倍の方がきれい)、IC2631CLS filter 使用)、NGC3195η Chamaeleontis Clusterδ Chamaeleontis (もっと低倍の方がきれい)。
 *
IC2631NGC3195は、最初は見えなかったが、最終日に確認できた。

とびうお座 Volans (Vol)

 星座全景の末端までの完全な把握γ Volantis (きれい)、NGC2442&2443 淡い)、NGC2348 (淡い)
 *以前、NGC2442&2443は 確認できなかったが、最終日に確認できた。

がか座 Pictor (Pic)

 星座全景の末端までの完全な把握

テーブルさん座 Mensa (Men)

 星座全景の末端までの完全な把握、NGC2019 (淡い)
 *NGC2019
は、最初は見えなかったが、最終日に確認できた(ただし要再確認)。

かじき座 Dorado (Dor)

 星座全景の末端までの完全な把握、Large Magellanic Cloud  PGC17223-LMC、(NGC 天体が数え切れない位あり。代表はTarantula Nebula NGC2070, 30CLSUHC filter でコントラスト↑)、ε Ret γ Dor のちょうど中間にある銀河団:NGC1549、NGC1553NGC1556NGC1533NGC1566

レチクル座 Reticulum (Ret)

 星座全景の末端までの完全な把握NGC1559θ Reticuli (もっと低倍が良い)、NGC1313 (淡い)NGC1543 (淡い)
 *以前、NGC1559NGC1313NGC1543 は確認できなかったが、最終日に確認できた。

とけい座 Horologium (Hor)

 星座全景の末端までの完全な把握NGC1261NGC1252 淡い)、NGC1433 淡い)、NGC1457(確認できず)、NGC1448 (確認できず)、NGC1493 (確認できず)、NGC1512 (確認できず)、NGC1527 (確認できず)

ちょうこくぐ座 Caelum (Cae) 自作ガイドブックに、掲載もれだった!

 星座全景の末端までの完全な把握(見ていない。次回へ持ち越し)

はと座 Columba (Col)

 星座全景の末端までの完全な把握、HR2316(三重星)、NGC2188 (確認できず)、太陽背点(γ星北5°あたり。太陽はヘルクレス座ο星に向かって19.4Km/秒で進んでいる、その対側)、NGC2090 (確認できず)、μ Columbae(おひつじ座53番星やぎょしゃ座AE星と共に、オリオン大星雲から250万年前に飛び出した。128Km/秒で移動中)、NGC185118081792

みなみのかんむり座 Corona Australis (CrA)

 星座全景の末端までの完全な把握、NGC6727NGC6726NGC6729 淡い)、Fest 1-446/7 暗黒星雲)、IC4812 (確認し忘れ)、IC4808NGC6541 Good

ぼうえんきょう座 Telescopium (Tel)

 星座全景の末端までの完全な把握、NGC6584NGC4889 (確認できず)、NGC6868 (確認できず)

けんびきょう座 Microscopium (Mic)

 星座全景の末端までの完全な把握、NGC6925 淡いIC5013 (確認し忘れ)NGC6958 (確認できず)

インディアン座 Indus (Ind)

 星座全景の末端までの完全な把握、Abell 3716 (確認できず)、NGC7041 (確認できず)、NGC7049 (確認できず)、NGC7090 (確認できず)、IC5152 (確認できず)

つる座 Grus (Gru)

 星座全景の末端までの完全な把握、NGC7213IC5201 (確認できず)、π GruisNGC5148 淡いNGC7418 見えたかどうか怪しいIC5265, 1459 淡いNGC7462 (確認し忘れ)Grus Quartet (NGC7552, 7582, 7590, 7599) 確認し忘れ

ほうおう座 Phenix (Phe)

 星座全景の末端までの完全な把握(見たと記憶しているが、メモが見当たらない。再度確認要)

      *当然、天頂を通過する、さそり座、いて座、てんびん座をはじめ、北天の星座も見たが、ここでは省略。
     

 今回の遠征で、南天の星座は一通り訪れた、と喜んでいたが、改めて観望メモを整理してみたら、まだヌケがあった。なかなか難しいものである。 しかし、最終日に、今まで確認できなかった10〜11等級の銀河や散光星雲を沢山確認できたのは大きな収穫だった。現地入りして最初のうちは、やはり見栄えがする天体を楽しみたくて、やっと見えるような天体に時間を取られてしまっていては、せっかくの夜がもったいない。今回のように時間があり、しっかりと腰を落ち着かせて観望できる環境だと、今までちょい見で諦めていた淡い天体が、SkySafari の表示する位置と、さらに細かいスター・ポッピングで、意外と見えてくるのがわかった。

 なお、今回の観望は、全てSkySafari 4 で観望したが、SkySafari 3 で経験したおかしな動作や復帰不能のフリーズは無かった。今度は、SkySafari で画面を赤く表示させてテストしてみたい。

 また、今回Astronomik の フィルターを持参したが、狙い通りCLS フィルターが活躍した。これは、UHC よりバンド・パス幅が広く、フィルター無しとUHC フィルターの中間位を狙ったもの。このあたりが自然にコントラストが上がり、いい感じだった。カタログ上は、他社のフィルターより透過率が良いので、大切に使っていきたい。

 夜露対策の長いレンズ・フードは功を奏してOK。やはり、電源や熱源を使わないで、自力で予防できるのが理想だ。また、夜露は凄くても昼間の湿度は低い。陰干しでも、あっという間に乾いてしまうのは、ありがたい。

 トラブルは、それなりにあり。まず、初日に横着して双眼望遠鏡をフィールド(ここの観望場所は軽い斜面なのだ)から三脚架台ごと部屋の前まで運び、そのまま三脚の脚の高さを揃えようとしら、右人指し指を三脚に挟んでしまい、大きな血豆を作ってしまった。その後、何をするにも不自由だった。また、観望テーブルにコーヒーカップを置いて観望していた時、「ちょっと危険だな〜、まあ気をつけてやるから大丈夫。」と思っていたが、やっぱり夜半にカップをひっくり返し、コーヒーをぶちまけてしまった。双眼望遠鏡は、普段はファインダーは外して持ち運びするのだが、薄明の片付けの時、横着して一体で運んでいたら、階段の所でファインダーを太腿で飛ばしてしまった。取り付け部分が二つに割れてしまったが、日本に戻ってから銅板+エポキシで補強して修理した。

  教訓: 危ないなあ、と思ったら、回避するのが賢明。やはりそれは必ずやってくる。また、横着すると、報いあり。

 機材そのものについては、現地到着の時点で、EMS ユニットの右側の目幅調整ヘリコイドのガタに気づいた。ガタは小さいのだが、アイピースが長いので、目幅を変えると光軸がそこそこずれる。ガタが大きくなっては観望に支障を来たすので、目幅は私のもので固定とし、目幅が合わない方には、単眼で見ていただいた。南天こそ双眼なのだが、そこは残念だった(見に来て下さった方々、どうもすみません)。これは、松本さんの所に修理に出し、ヘリコイド内部のネジの緩みと判明した。今の大型のヘリコイドでは、このトラブルは無いらしい。

 また、室温では水平回転軸の動きは良いのだが、10℃以下になると、動きが硬くなる。以前、水平回転軸の接触面積を減らすよう、一度修正してもらっていたのだが、今回、さらに回転軸の接触面積を減らしてもらい、グリースではなくオイル・スプレーの採用となった。

  何かと大活躍の三脚:Gitzo のトラベラー GT1542T には、いつもリンホフのボールヘッド(ユニバーサル・ボールヘッドI・旧型)が載っている。これは、随分昔に1万円少々で購入した、と記憶しているが、280gと軽量なのに大変優秀で、小型ボールヘッドの中では決定版の一つ、と思っている。ところが長年の使用で滑りが悪くなっていた。これは、梅本製作所のグリースで復活した。

    

 帰路

 思う事はいつもと同じ。終わってみれば、あっという間。しかし、18時半から11時間も観望できる環境は凄い。物凄い数の天体と仲良くなれた。初日は曇ってダメだったけれど、2日目は快晴、3日目は1時半まで6時間半観望、4〜5日目は快晴という事で、3勝1敗1分け。ただし、3日目も6時間半見れたので(夏場 なら、こんなもんだ)、実質4勝1敗としても良いかもしれない。

 皆が寝ている中、7時半にファームを後にした。発つ時、ロビンさんご夫婦とスタッフ一同が見送ってくれた。 今度は、ウイリアムズ経由ではなく、バディントン経由でパースに向かった。

 あれ、これって野焼きの煙? 昨日の写真(冒頭の「燃える木」)の続き? 徐々に走って見れば、それは霧だった。

 光のカーテンに包まれながら、幸せいっぱいの、帰路。
ここは、天文ファンにとっての理想郷。気温がこのままで、あと1000m、できれば2000m高かったらなあ... パース直行便が復活したら、プライヴェート天文台も考えてしまうかもしれない。でも、やっぱりロビンさんや動物達に 会わないと、つまらないか。

 Thank you very much Springhills Farm again ! 

   

 追記 (2014年5月21日)

 シドニーからパースは、東の端から西の端へ、まさにオーストラリア横断。行くのに5時間、帰るのに4時間もかかります。飛行機では映画が見れますが、日本語字幕対応のものは、まずありません。そこでおすすめの映画があります。ロバート・レッドフォードの “All is Lost” です。ヨット1人旅。インド洋でトラブルに見舞われ遭難します。出演は彼1人で、会話というものがありません。せりふは3つ位あったでしょうか。それも、“Sit !” “Oh, God !” “Help !” だったかな。ですから、英語が苦手な方でも十分楽しめます。内容も裏切らないと思います。

 サバイバル系では、昨年、やはり飛行機の中で “Life of Pi” という映画に出会い、大好きな映画の一つとなりました。大海で遭難し、貴方ならどうする、という設定の映画は古くから沢山ありますが、この映画の設定は、トラと227日漂流する物語です。設定自体をばかばかしい、と感じる人もいるかもしれませんが、これは現実と虚構・比喩を巧に織り交ぜて創られています。ですから、海なのに波一つ無い美しい鏡面像が出てきたり、 食虫(人)植物の島がでてきたりします。美しい映像表現を見ていると、人間の創造力は無限だと感嘆してしまいます。冒頭のセンスあふれるタイトルからして、 製作者の非凡さが表れています。

  

 水平回転軸の補修 (2014年5月29日)

 室温では水平回転軸の動きは良いのだが、10℃以下になると、動きが硬くなる。今回、松本さんの所でさらに回転軸の接触面積を減らしてもらい、グリース からWako’s メンテループに置換した。このテフロン配合のオイルは、我が家では何かと活躍! また、双眼望遠鏡の重みが水平回転軸にかかると、やや動きが硬くなるようなので、プラスチック・ワッシャーをテフロン製に換えた。テフロンは、Kincsem 1×100×100mm をAMAZON の東急ハンズ店から購入し、円カッターでカットして製作。これで、極めてスムーズに動くようになった(ただし、低温下での使用検証は、秋に持ち越し)。

   

 エンコーダーを交換 (2014年5月29日)

 上記の水平回転軸の補修の際、私の不手際でエンコーダー軸に負担をかけ、エンコーダーを傷めてしまった。エンコーダーをUS Digital に注文する際、せっかくなのでAPM-Bino Orion のエンコーダーの分も注文し、導入制度の向上と、NEXUS を他の望遠鏡と共有できるようにした。エンコーダーはけっこう値が張るが、送料や今後の利便性を考えたら、一気に交換して正解。これで、エンコーダー・ステップ数がAYO II を除き、全て10000となった。

 

 垂直回転軸、水平回転軸ともにS2 が使われている。エンコーダーの出力端子は5ピンあり、1: Ground、2: Index、3: A Channel、4: +5V DC、5:B Channel 。ちなみに、A Channel、B Channel と出力が2つあるのは、ABAB の順に出力されるか、BABAの順に出力されるかで、エンコーダーの回転方向が判別でき、また、それぞれ立ち上がり、立下りで2パルス出力されるので、エンコーダー・ステップを10000にするためには、CPRをその1/4の数:2500で注文する。なお、Index 端子からは1回転ごとに1パルス出力され、何回転したかが判別できる、との事(以上の事は、友人のエンコーダー専門家に聞いて、初めて知った)。シャフトは6mmで、$5.8追加でベアリング付も選択できる。ベアリングは、高速回転、低トルク用だが、軸の耐久性が上がるようなので、こちらを選択。

 ちなみに、ダメになったエンコーダーの中身を見てみたら、ご覧のように合理的にモジュール化されていた。各パーツは、ただ穴に合わせてはめ込むだけで、組み立ても分解も簡単。

 さて、エンコーダー・ケーブルの接続箇所はむき出しだったのでツヤ消しビニール・テープで保護していたが、これを期にもう少しスマートに処理する事にした。ケーブルの接続は、他の望遠鏡と同様にRJ-11規格のものとし、暗い所でも一発で接続できるようにした 。
  

 追加 (2014年6月1日)


作成したケーブル

 やはりケーブルは、他の望遠鏡同様、RJ 規格のプラグ/ソケットだと便利。NEXUS との接続はRJ-45 規格(8ピン)だが、エンコーダーとの接続はRJ-11 を採用。両端がRJ-11 4芯の電話用ケーブルを秋葉原で\280で購入。これを真ん中で切断してRJ-45 ピンを付ければ、ケーブルの出来上がり。購入すれば数千円だが、自作すれば1/10。ピンの接続は、ObsessionOrion と同じなので、ケーブルが共用できる。

 エンコーダーとの接続は、やはりUS Digital のものを使用。上が垂直軸用、下が水平軸用のケーブルで、ソケットには協和ハーモネットの電話モジュラー・ジャック6-6 HLA-T-MJ-6 を使った。架台にソケットを固定する方法も考えたが、この望遠鏡の中軸式だと、ソケットと望遠鏡とが干渉する場合があり、空中接続の方が使い勝手が良い。なお、これらのケーブル、ソケットの加工はハンダ付け不要、はめ込むだけでなので、誰でも製作可能。

 エンコーダーとケーブルの接続はソケットになっているが、緩みやすく、ダメージも受け易い。そこで、ORION の斜鏡の接着に使用したバスコークでソケットを1箇所だけ固定し、また垂直軸のケーブルの露出した部分もバスコークでカヴァーした。いい感じで仕上がり、これでまたこの望遠鏡の完成度が高まった。

   

 バスコークに注意! (2014年6月8日)

、 先日、バスコークで固定したが、これが何日経っても固まらない! ネットで検索したら、どうやら3年もすると、固まらなくらしい。本体にも取り説にも何ら記載が無かったので、セメダイン社にクレームを出したら、手馴れた対応であっさり片付けられた。よほどクレームが多いのか。使う量は僅かだが、他に良い材料が見当たらないので、再度購入して固定した。今度は数時間もしない内に固まった。最近の商品には注意書きが載っている、と説明があったが、2014年2月製のものには、何ら記載が無かった。最後まで後味が悪い。

 しかし、当初使う際に、いやな予感はしていた。瞬間接着剤でも、イザ使う際に出ない、等あるし。まあ、事前に固まり具合をチェックしておくのが安心だろう。

    

 フィルターBOXの習作 (2014年6月15日)

  先月、望遠鏡オフ会に参加したが、そこでstarlight_365 さんのSky90-Bino を拝見し、フィルターBOXが、うまく2”延長筒の根元に収納されているのに気づいた。いままで幾度も見ていたのに、ここに注意が至らなかった。反省。


BORG フィルターBOXn 7519

 フィルターの装着、交換は面倒だし、また、フィルターはあっという間に結露するので、外に露出するタイプは、実用にならない。私のAPM-Bino の場合、メインで使うNAV-HW 17mm の場合、光路長にゆとりが3mm程しか無いので、とてもフィルターBOXを入れるゆとりが無い。しかし、BORG フィルターBOXn 7519 なら本機に組み込めそうだ、という訳で試してみた。


BORG 7501、7602、7508。組み上がったフィルターBOX内蔵2”延長筒。

 EMS ユニットとの接続には、2インチホルダーSSII 7501 を使用。最低高で接続ができる。また、アイピースの固定には、M57/60延長筒S 7602 を介して、2インチホルダーS 7508 を用いた。2インチホルダーMを使うと、アイピース固定ネジが、アイピース側でなくフィルターBOX側になってしまうので、M57/60延長筒Sを介して、2インチホルダーSを接続した。2インチホルダーSは、アイピース固定ネジが2箇所あるが、これは1箇所のみにして、片方をM6キャップネジ7500 で塞いだ。フィルターの交換は望遠鏡の上側で行うように固定し、フィルターが自然に落下してしまうのを防止し、アイピース固定ネジも上に位置するようにすると、ここの操作系が上部に統一され、具合が良い。

 実際に使用してみたら、本機の場合、余裕でピントが出た。フィルターの交換も、EMS ユニットと干渉せず、OK。アイピースの固定はバンド・クランプではないが、2インチホルダーSのアイピース固定ネジは大きく、固定ネジの先端にはテフロンが配されているので固定も操作も具合は良く、このままでも良いか、と思う位。

 フィルター・ケース7518 は、Astronomic の場合は、そのままフィルター・ケースに収められる。フィルターBOX内蔵2”延長筒の全長は、69mm。光路長に少々ゆとりがある場合には、これは有用ではないか。今まで、フィルターを付けたらどうなるかな?と思いつつ、面倒でそのまま通過してしまう事も多々あったが、これからはフィルター・ワークがバンバン楽しめそうだ。

  

 ソーラー・フィルター (2014年7月8日)

 このBino には、じつはもう一つ、隠し球があった。ソーラー・フィルターなのだが、ただ装着するのではない。ハイランダーのソーラー・フィルターを口径絞りアダプターを介して装着するのである。何で、口径絞り? それは最後まで読めば...(というか、ここまで書けば、見え見えかな?)。

 最初は、段違い円筒アダプターを自作しようと考えたが、金属性の対物キャップに穴を開けて円筒をねじ込み、ソーラー・フィルターアダプターにしようと考えた。という訳で、松本さんに製作を依頼した。バック・オーダーが沢山あるので長らく待っていたが、1年以上経ったある日、突然製作決行となった。というのも、EMS のアダプターが、そのままソーラー・フィルターの内径と同じである事がわかり、ちょうど、この断端があったので、それを利用して製作と相成ったのだった。

 実際に装着したのが、これ。7月8日の早朝、久々に黒点が盛大に出ていたので、見てみた。黒点とその周囲のモリモリっとしたところはNAV-HW 17mm シャープに描出され、ほれぼれする。白斑や表面を覆う粒状斑のザラザラ感もいい! ソーラー・フィルターは、即外す事ができ、外せば口径80mmの望遠鏡になる。

 2009年の皆既日食の時、ハイランダーが大活躍だったが、ポーラー・プリュームや彩層、プロミネンスを見ていた時、目の保護上、これ以上の口径は危険かな、とも感じた。口径42mmなら集光力は36倍だが、82mmなら137倍になり、125mmなら319倍にまで跳ね上る。夢中で見ていて、後で目に致命的なダメージを受けるのだけは避けたい。地上風景では、色収差が一段と収まり、太陽に照らされた鉄塔もクリアに見えた。で、このアダプターの内側にはネジが切ってあるので、必要に応じてさらなる接続が可能だ。

 また、これにはキャップが付属するが(つまりはEMS アダプターのキャップ)、BORG のマークが付いている。これは、対物レンズ・キャップに穴を開けてできた残りの一方で、これがキャップに付いている、という訳。つまりは、加工精度が優れていれば(CNCフライスの成せる業)このような芸当もできる訳で、いつも依頼主のイメージの遥か上で答えを出してくる流石の職人技とアイディアに、今回もうなったのであった。これで2017年対策にも間に合い、このアダプターも宝物となった。

 で、当然ハイランダーと見比べた。9mm (50倍、実視界1.3°)で見て驚愕! 125SD-Bino 本機と何ら遜色ないのだ。おそろしくシャープに黒点とその周囲を結像する。地上風景では、NAV-HW 17mm が使える本機とは比較にはならないけれど、改めてハイランダーの底力に脱帽してしまった。

    

 燃えるイガゴヨウマツ (2014年8月31日)

 NHK-BSで、宇宙遺産100が放送された。その中で、星景写真「燃えるイガゴヨウマツ」というのが紹介されていた。2010年のAstronomy Photographer of the Year 優勝作品、との事。驚いたのは、印象的な木と天の川、地平線は赤く、タイトルが「燃えるイガゴヨウマツ」。このページの冒頭写真と似た構図であるばかりでなく、タイトルまでソックリ! 言うまでも無く、私の「燃える木」は、野焼きの火と天文ファンなら誰でも知っているオリオン座の「燃える木 NGC2024」を引っ掛けたネーミングなのだけれど、地球に生きてきた生命と恒久の時ともいえる宇宙との対比、という撮影のコンセプトも同じなのだ。

 調べてみたら、イガゴヨウマツは樹齢4000年以上で、ネットには、沢山魅力的な写真が沢山掲載されていた。私には、「燃えるイガゴヨウマツ」より魅力的、良い写真があったけれど、コンテストは、あくまで応募したものが対象なので、まあそんなところか。写真を始めた時、写真誌に発表しているプロの写真家の作品やコンテストの写真を見て、自分の好みと目指しているものとが全く違っていて、以来、コンテストなるものに本年まで全く見向きもしなかったが、知らないと、「盗作」だ、等と言われかねない。しかし、考える事、感じる事は皆同じで、実際、このオーストラリア遠征でも、友人2人が同じような構図で撮っていて、あとで写真を見せ合って大爆笑になった(他にもいるはず)。結局、誰が先にこの構図で撮ったか、ではなく、写真の本質的な出来で価値は決まるとは思うのだが.....

  

フィルターBOXの組み込み (2014年9月4日)

 上記、フィルターBOX内蔵2”延長筒の習作が成功を収めたが、APM-Bino ではNAV-HW 17mm で焦点が出ないので、松本さんにEMS 接続アダプターの加工と特性アイピース・ホルダーの製作を依頼した。どうせなら、と本機も同じ仕様にしてもらった。

 習作では、EMS ユニットとの接続には、2インチホルダーSSII 7501 を使用したが、松本さん特性の接続アダプターでは1mm短く、光路長は10mm。ここは、1mmでも短くなったら、大いにありがたいところ。また、アイピース・ホルダーの長さはNAV-HW 17mm必要最小限の45mmとし、バンド・クランプ。以上は、ネジの切り方も考えられているので、アイピース固定ネジは6時方向、フィルター交換ノブは、左は10時、右は2時方向で、逆ハの時形、また、このフィルターBOX内蔵延長筒本体の固定は、左は9時と6時、右は3時と6時方向にネジが出ていて、フォーカス操作で干渉する事は無い。ちなみに全長は68mmとなった。


フィルターBOX内蔵アイピース・ホルダー(左側)とフィルター 。ケースは、友人が所有していたものを譲ってもらって、めでたく全て収納。


フィルターは、特性2”アイピース・トランクに全て収納できる(乾燥剤、防カビ剤、クロスは取って撮影)。

 とまあ、いつもながら鉄壁の完成度で流石! フィルターは、今は、CLS、UHC、OIII、笠井Hβ、NDフィルター:(Kenko のZeta シリーズ、52mmがあるので、直にフィルター・リングに装着)4×、8×のラインアップ。また、今後の希望的展開としては、最初からアイピース・ホルダーにフィルター・ケース7518 を挿入できるスリットを設けていただけたらありがたい。そうすれば、BORG フィルターBOXn 7519 を購入する必要が無いから。

  

第1回双眼狂祭 (2015年7月24〜26日)

 本機とソーラー・フィルターも第1回双眼狂祭に参加した。詳細は、こちら

   

   続く.....!

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   その2 笠井/Hofheim-Instruments RD-300DX
   その3 BORG 125SD Bino へ
   その4 「BORG 125SD Binoでテカポ遠征」 へ
   その6 「BORG 125SD Binoで 南米アタカマ・ウユニ遠征」 へ

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