2変数関数の方向微分可能・方向微分係数・導関数の定義:トピック一覧 |
・ 1点における方向微分可能性・微分係数の定義:方向微分可能・方向微分係数[原意/操作化/定義1/定義2]・1点における方向微分係数の計算公式−偏微分係数から計算可 ・ |
※ 2変数関数の微分関連ページ: 偏微分/ 高次の偏微分/ 微分演算子/ 全微分/ 2階全微分/ 高階全微分※2変数関数微分の応用:合成関数の微分/平均値定理・テイラーの定理/極値問題/陰関数定理/逆関数定理/ラグランジュ未定乗数法 ※2変数関数に関する他の概念:2変数関数の諸属性/極限/連続/極限の性質/偏微分/全微分/矩形上の積分/点集合上の積分 ※微分関連ページ:1変数関数の微分 / n変数関数の偏微分/ n変数関数の全微分/ n変数ベクトル値関数の偏微分/ n変数ベクトル値関数の全微分 →総目次 |
定義: 2変数関数は点(x0, y0)で方向微分可能differentiable・点(x0, y0)における方向微分係数differential coefficient |
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・高橋『微分と積分2』§3.2 (pp.73-4): 2変数関数; ・笠原『微分積分学』5.1例3(p.157): 2変数関数 ・小形『多変数の微分積分』pp. 51-53:2変数関数。 ・杉浦『解析入門』U§3定義1 (p.107):n変数m値ベクトル値関数; ・黒田『微分積分学』8.3.3定義8.10(pp.287) :n変数実数値関数;. ・Lang,Undergraduate Analysis,15-§2-application(p.325): n変数実数値関数directional derivative; ・清野「多変数関数の微分」第3回/第4回 [文献−数理経済学] ・高橋一『経済学とファイナンスのための数学』5.2V方向微分(p.149) :n変数実関数. ・de la Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists, PartI-4-2-Definition2.1 (pp.163-4) :n変数実数値関数. [ 一般化]・多変数関数の方向微分 ・ベクトル値関数の方向微分 |
[ 原意の操作化]2変数関数f (x,y )の点(x0, y0)におけるθ方向微分係数は、以下の手順で、操作化される。 1. xy 平面上で、 点(x0, y0)から、x軸プラス方向からθ度だけ逆時計回りさせた方向に、 新たな座標軸tを設定[上図の水色の直線]。 なお、t≧0のみを考え、t<0は考えないことにする。 t座標の0は、(x, y)座標の(x0, y0)を表し、 t座標の1は、(x, y)座標の(x0+cosθ, y0+ sinθ)を表し、 一般に、t座標のt (>0)は、(x, y)座標の(x0+ t cosθ, y0+t sinθ)を表す。 2. t-z平面で、f (x,y )のグラフを切断する。 3.切断面に現れる曲線のグラフは、当然、t-z平面上にあるので、。 この曲線を、1変数関数z=φ(t)=f ( x0+ t cosθ, y0+ t sinθ)と表せる。 4.「f (x,y )の点(x0, y0)におけるθ方向微分係数」とは、 「切断面[t-z平面]のなかで、曲線z=φ(t)に、t=0で接する接線の傾き」であって、 「t =0におけるz=φ(t)の右微分係数」として表せる。 5. 「t =0におけるz=φ(t)の右微分係数」は、 二様に操作化されることから、 「f (x,y )の点(x0, y0)におけるθ方向微分係数」も 二様に操作化される。 [操作化1] → 定義1 「t =0におけるz=φ(t)の右微分係数」を、 ![]() ![]() というかたちに操作化した場合、 1変数関数z=φ(t)=f ( x0+ t cosθ, y0+ t sinθ) だから、 「t =0におけるz=φ(t)の右微分係数」は、 ![]() ![]() ![]() ![]() となるので、 「f (x,y )の点(x0, y0)におけるθ方向微分係数」は、 ![]() ![]() と表せることがわかる。 [操作化2] → 定義2 「t =0におけるz=φ(t)の右微分係数はA」を、 「点t =0に対して、ある一定の実数Aが存在して、 φ( t )−(φ(0) +A(t−0) )=o ( t−0) (t→0 +0) すなわち、 φ( t )−(φ(0) +At )=o (t) (t→ +0) を満たす」 というかたちに操作化した場合、 1変数関数z=φ(t)=f ( x0+ t cosθ, y0+ t sinθ) だから、 「f (x,y )の点(x0, y0)におけるθ方向微分係数」は、 f ( x0+ t cosθ, y0+ t sinθ)−(f ( x0, y0 )+At )=o (t) (t→ +0) と表せることがわかる。 |
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・「f (x,y )は点(x0, y0)において角度θ方向に微分可能である」 とは、 1変数関数φ(t)=f (x0+t cosθ, y0+t sinθ) について、 t =0における右微分係数 すなわち、 有限な右極限値 ![]() ![]() ![]() ![]() が存在することをいう。 ・f (x,y )が点(x0, y0)において角度θ方向に微分可能であるとき、 「f (x,y )の点(x0, y0)におけるθ方向微分係数」 とは、 1変数関数φ(h)=f (x0+h cosθ, y0+h sinθ) についての、 h =0における右微分係数 すなわち、 有限な右極限値 ![]() ![]() ![]() ![]() のことをいう。 |
[ 文献−数学]・笠原『微分積分学』5.1例3(p.157): 2変数関数 ・小形『多変数の微分積分』pp. 51-53:2変数関数。 |
・「z=f (x)は実2次元数ベクトルx 0において角度θ方向に微分可能」とは、 実2次元数ベクトル e(θ)=( cosθ, sinθ) にたいして、 有限な右極限値 ![]() ![]() が存在することをいう。 * hは実数、 he(θ)は、実2次元数ベクトルe(θ)のスカラー倍、 x0+he は、x0とh eとのベクトル和を表す。 ・z=f (x)が実2次元数ベクトルx 0において角度θ方向に微分可能であるとき、 「x0におけるz=f (x)のe方向微分係数」とは、 e(θ)=( cosθ, sinθ) にたいする有限な右極限値 ![]() ![]() のことを指す。 * hは実数、 he(θ)は、実2次元数ベクトルe(θ)のスカラー倍、 x0+he は、x0とh eとのベクトル和を表す。 ・「x0におけるz=f (x)のe方向微分係数」を、 e=( cosθ, sinθ) を用いて、 De(θ) f (x0) と表す。 |
[ 文献−数学]・黒田『微分積分学』8.3.3定義8.10(pp.287) :n変数実数値関数;. |
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[ 単位ベクトルで方向を指定する場合の方向微分の定義]角度θの代わりに、単位ベクトルを用いて方向を指定して、 方向微分を定義することもできる。 ・「z=f (x)は実2次元数ベクトルx 0においてe方向に微分可能」とは、 実2次元単位ベクトル e=( e1 , e2) にたいして、 有限な右極限値 ![]() ![]() が存在することをいう。 * hは実数、 heは、実2次元単位ベクトルeのスカラー倍、 x0+ h e は、x0とh eとのベクトル和を表す。 * e=( e1 , e2 ) 方向とは、 x-y平面上の直線{(x, y ) | x=x0+t e1 かつ y=y0+t e2 かつ t≧0} の方向を表す。 ・z=f (x)が実2次元数ベクトルx 0においてe方向に微分可能であるとき、 「x0におけるz=f (x)のe方向微分係数」とは、 実2次元単位ベクトル e=( e1 , e2 )にたいする有限な右極限値 ![]() ![]() のことを指す。 * hは実数、 heは、実2次元単位ベクトルeのスカラー倍、 x0+ h e は、x0とh eとのベクトル和を表す。 * e=( e1 , e2 ) 方向とは、 x-y平面上の直線{(x, y ) | x=x0+t e1 かつ y=y0+t e2 かつ t≧0} の方向を表す。 ・「x0におけるz=f (x)のe方向微分係数」を、 De f (x0) と表す。 |
[ 文献−数学]・黒田『微分積分学』8.3.3定義8.10(pp.287) :n変数実数値関数;. ・高橋『微分と積分2』定理3.14 (p.74): 2変数関数; |
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定義 2 |
・「 f (x,y )は点(x0, y0)でθ方向微分可能であって、f (x,y )の点(x0, y0)におけるθ方向微分係数はA」 とは、 f ( x0+ t cosθ, y0+ t sinθ)−(f ( x0, y0 )+At )=o (t) (t→ +0) が満たされることをいう。 ・「z=f (x)は実2次元数ベクトルx 0においてe方向に微分可能であって、 x0におけるz=f (x)のe方向微分係数はA」 とは、 実2次元単位ベクトル e=( e1 , e2) にたいして、 f ( x0+ te )−(f ( x0 )+At )=o (t) (t→ +0) が満たされることをいう。 * teは、実2次元単位ベクトルeのスカラー倍を表し、 x0+ te は、x0とteとのベクトル和を表す。 ・「x0におけるz=f (x)のe方向微分係数」を、 De f (x0) と表す。 |
[ 文献] |
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定理:方向微分係数の計算公式 − 偏微分係数から計算可能 |
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[ 角度θで方向を指定された方向微分係数の場合−ベクトルを使わない表現]2変数関数f (x,y )が点(x0, y0)において全微分可能ならば、 2変数関数f (x,y )は、点(x0, y0)で、任意の角度θ方向に方向微分可能で、 「f (x,y )の点(x0, y0)におけるθ方向微分係数」は、 f x ( x0, y0 ) cosθ+ f y (x0, y0 ) sinθ となる。 |
・高橋『微分と積分2』定理3.14 (p.74): 2変数関数; ・笠原『微分積分学』5.1例3(p.157): 2変数関数 ・小形『多変数の微分積分』pp. 52:2変数関数。 ・黒田『微分積分学』8.3.3定理8.11(pp.288) :n変数実数値関数;. ・志賀『解析入門30講』25講(p.195) :2変数関数; ・『岩波数学辞典』333G全微分(p.985):2変数実関数. |
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[ 角度θで方向を指定された方向微分係数の場合−ベクトルを使う表現]2変数関数f (x,y )が点(x0, y0)において全微分可能ならば、 2変数関数f (x,y )は、点(x0, y0)で、任意の角度θ方向に方向微分可能で、 「f (x,y )の点(x0, y0)におけるθ方向微分係数」は、 grad f (x0,y0)=(f x ( x0, y0 ), f y (x0, y0 ) )と e(θ)=( cosθ, sinθ) との内積 grad f (x0,y0) ・ e(θ) となる。 つまり、De(θ) f (x0,y0)=grad f (x0,y0) ・e(θ) |
・小形『多変数の微分積分』pp. 53:2変数関数。 ・杉浦『解析入門』U§5定理5.2 (p.121):n変数実数値関数; ・黒田『微分積分学』8.3.3式8.54(pp.289) :n変数実数値関数; [ 一般化]・多変数関数の方向微分 ・ベクトル値関数の方向微分 |
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[ 単位ベクトルで方向を指定された方向微分係数の場合]2変数関数f (x,y )が点(x0, y0)において全微分可能ならば、 2変数関数f (x,y )は、点(x0, y0)で、任意のe方向に方向微分可能で、 「f (x,y )の点(x0, y0)におけるe方向微分係数」は、 grad f (x0,y0)=(f x ( x0, y0 ), f y (x0, y0 ) )と e との内積 grad f (x0,y0) ・ e となる。 つまり、De(θ) f (x0,y0)=grad f (x0,y0) ・e |
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