対立――自殺的ウソ (Douglas Harding)
ウソとは、あなたがそう見える外見であるということである。つまり、そこでのあなたの現実が、ここで私たちに見えるあなたの外見と似ているというウソである。また、まさにあなたのいるところは、あらゆるものを取り入れる、何もないものの代わりに、私たちと他のあらゆるものを締め出す、何か物である、というウソである。
私たちの側からすると、あなたが何もないものであることは、非常に強力でふさわしいレンズつきのカメラをもって、あなたに少しずつ近づいていくことで、それを確認することができる。私たちの写真家は、あなたが最終的には空間へと消滅することを、示すことができる。
あなたの側では、今、誰か目の前にいる人(鏡の中のあなたの顔でもいい)に向き、あなたがその人のための空間となっていることを確認してください。まるで初めてであるかのように、今、証拠を調べてください。そして今、与えられている仕組みが、顔対顔がないものであり、二つの小さい目対一つの巨大な大きなであり、色のついた形対色がないものであり、不透明さ対透明さであり、音対静けさであり、動き対静止であり、闘争対平和であり、中味対容器であることを観察してください――第一人称現在形単数にとっては、それは常に非対称であり、非対立である。
あらゆる動物と赤ん坊は――どれほど自然に闘争的であるとしても――無意識に、その空間から、その何もなさから、非対称・非対立で生きている。
ただ人間だけが自分自身を物化し、あらゆる「あれ」に対立するために、一個の「これ」で、自分の空間をふさぐことを企てている。対立こそ、人間のゲームであり、百万年前の想像力豊かな天才的作品であり、人間は自分自身の生存、自分自身の驚くほどの成功、自分が貴重だと思っているすべてを、それに負っている。
そして、今や、対立は、人間を脅えさせるすべての原因でもある。というのは、個人としての、国家としての、そして今では惑星としての私たちの人生の中で、対立は私たちを挫折させるからである。それは非生産的になってしまったのである。生存のためにもっている対立の価値が、消滅のための価値となりつつある。そして私たちは、自分たちの苦境の原因、私たちの基本的間違いとその基本的矯正方法を知らないので、絶望している。
人類全体は、ただ間違ったところまで戻ることで、正されることができる。つまり、私たちの何もなさを再発見し、そこから―――(鏡のように)、取り入れるものによって、汚されることがないにもかかわらず、取り入れるものと一つである空間から―――生きることで。
過去5千年間、少数の特別な人々―――様々な宗教にしたがった、あるいは、宗教をもたなかった見者たち―――が、ただこれを行ってきた。そしてついに今、人類を救う真実が、脱神話化し、明白になるにつれて、それは、私たち普通の人たちにも利用可能となっている。そして、それがやがて十分な数となるとき、想像された対立が全面殺戮という結果になる前に、それは、私たちの指導者たちにも届くと信頼している。
私たちの空間――それは私たちの共通の基盤である――を見逃すという、頑固な習慣を打ち破るために、それを見ることを分かち合い、人類のこの第二の(そしてより現実的な)天才的作品、その斬新でもっと挑戦的な進化の冒険に、積極的に参加しよう。
もしウソがこれほどの不思議を起こすことができるなら、真実にできないことが、何かあるだろうか?
(原文は、 http://www.headless.org に掲載されています)
定価4,500円
*ご注文・問合わせは、こちらまで