更新 

筑紫倭国伝

東征行(後編)



鮭神社

鮭神社

 海神の娘「豊玉姫」を祭神とするこの神社は、神武天皇が東征の途中この地に祭ったとする伝承がある。豊玉姫は神武天皇の祖母である。遠賀川は鮭の遡上する南限の川と言われ、その支流の嘉麻川がこの近くを流れる。鮭は海神の使いだと信じられ、全国でただ一つの鮭神社である。
 福岡県嘉麻市大隈


熊野宮

熊野宮

祭神、伊奘諾神 伊奘冉神
 神武天皇東征の途中、急に雷雨がおこり天地が鳴り響いた、そのとき巨岩が疾風の如く飛んで来て、この山頂に落下した。そこに手力男神が現れて、「ここに住み不思議な術を持つ熊にも蜘蛛にも似たような悪鬼が、天皇を惑わすので巨岩をもって誅した」と言う。
 福岡県飯塚市立岩


熊野神社(若一王子宮)

熊野神社(若一王子宮)

祭神、伊邪那美命 饒速日命 他三柱
 神武天皇が東征のおり、船を海浜につなぎ、この山上の石に腰掛け四方を展望した「御腰掛石」が残っている。後に神功皇后は、この地が勝れた霊山であるので祭祀の御座に藁筵を敷き熊野大神を招請して、戦勝を祈念された。
 福岡県古賀市大字筵内


八所宮

八所宮

 自然創造の神六柱と、伊奘諾神・伊奘冉神の二柱をまつり、八所宮と言う。神武天皇が東征の途中、この地の御手洗池のほとりに来たとき、赤い馬に乗った神が現れ道案内をした。これが宗像市赤間(あかま)の地名の起こりと伝わる。その後の674年、神託により鶺鴒(せきれい)山(現在地)に遷座された。
 福岡県宗像市吉留


岡田宮

岡田宮

 古来よりここは海陸路の要(洞海舟溜、皇后崎津、太宰府官道)に位置する。近くを流れる遠賀川の源は英彦山であり、東征のための物資輸送は、この川を使って行われ集積した。各地から集まる東征団はここに結集し、やがて神武天皇率いる船団は、洞海湾を出て関門海峡から瀬戸内海へと入っていった。
 福岡県北九州市八幡西区岡田町


宝満宮竃門神社

宝満宮竃門神社

 宝満(ほうまん)山は御笠(みかさ)山ともいい、古代より霊峰として崇められた。中世は英彦山に次ぐ修験霊場として栄え、最盛期は370坊があったと伝えられる。山頂には竃門神社上宮があり、主祭神は玉依姫命である。玉依姫命は、神武天皇の母で、御子の建国の大業に心をくだき、この山に登り、祈念されたとする伝承がある。
 福岡県太宰府市内山