定義 : 実数の集合が有界 bounded  



 →【はじめに読む定義】
 →【厳密な定義−予備知識なしに】
 →【論理にこだわって…】


【はじめに読む定義】


・「有界な《実数の集合》」とは、

  上に有界かつ下に有界な「実数の集合」

  すなわち、

  「この実数以上、あの実数以下に、属してる元は、すべておさまる」

  と言える《実数の集合》のこと。
 
 《この実数》を、その《実数の集合》の下界
 《あの実数》を、その《実数の集合》の上界と呼ぶ。


・「有界でない実数の集合》」とは、

  「この実数以上、あの実数以下に、属してる元は、すべておさまる」

 と言えない《実数の集合》のこと。

・「有界でない実数の集合》」は、

  (1) 上に有界でないが、下に有界な「実数の集合」
  (2) 下に有界でないが、上に有界な「実数の集合」
  (3) 上にも下にも有界でない実数の集合」

 に分類される。 

 (1) 上に有界でないが、下に有界な「実数の集合」とは、

  「属してる元は、すべて、この実数以上」とは言えるが、
  「属してる元は、すべて、あの実数以下」とは言えない《実数の集合》。
  
 (2) 下に有界でないが、上に有界な「実数の集合」とは、
 
  「属してる元は、すべて、あの実数以下」とは言えるが、
  「属してる元は、すべて、この実数以上」とは言えない《実数の集合》。

 (3) 上にも下にも有界でない実数の集合」とは、
  「属してる元は、すべて、この実数以上」とは言えるが、
  「属してる元は、すべて、あの実数以下」とは言えない《実数の集合》。


* このように、

  上界下界がともに存在する「実数の集合」(有界な「実数の集合」)もあれば、
  上界は存在しないが、下界のみ存在する「実数の集合」(下に有界な「実数の集合」)、
  下界は存在しないが、上界のみ存在する「実数の集合」(上に有界な「実数の集合」)、




【類概念・関連概念】

適用対象を一般化:順序集合の部分集合が有界であることの定義  
適用対象を具体化:有界数列/1変数有界関数/2変数有界関数/n変数有界関数/実数値有界関数  
関連概念    :上界・上に有界/下界・下に有界/有界/上限sup/下限inf 
 








[文献]
 ・杉浦『解 析入門I』§1実数[2]順序-定義1(pp.5-6)
 ・高木『解析概 論』§3.数の集合・上限・下限(pp.4-5)
 ・笠原『微分 積分学』1.1実数(p.5)
 ・小平『解 析入門I』§1.5-a上限下限(pp.36-7.)
 ・ルディン『現代解析学』1.33(p.12)
 ・神谷浦井『経済 学のための数学入門』定義2.1.2(p.59):順序集合全般において。


 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』(p.3)



   上界下界がともに存在しない「実数の集合」(上にも下にも有界でない実数の集合」)もある。

  上界が存在する「実数の集合」(上に有界数列)に限ってみても、
  その上界は、
  複数存在するかもしれないし、
  無数に存在するかもしれない。

  さらに、下界が存在する「実数の集合」(下に有界数列)に限ってみても、
  その下界は、
  複数存在するかもしれないし、
  無数に存在するかもしれない。



→[有界な「実数の集合」冒頭]
→[トピック一覧:実数における順序概念]  
総目次 
【厳密な定義】


・「《実数の集合》Aは、有界boundedである」とは、

 「《実数の集合》Aの上界」「《実数の集合》Aの下界」が
 それぞれ最低一個は存在する

 ということ、

 つまり、

 | この実数あの実数m,M に代入すると、
 |  「どの『Aに属す実数』を選んでxに代入しても、mxM が成り立つ」 
 |     xA ( mxM )
 | が真になる

 と言える《この実数》《あの実数》が最低1ペア存在する

       m,MR  xA ( mxM )  

 ということ。
   [笠原『微分積分学』1.1実数(p.5);] 

ないし

・「《実数の集合》Aは、有界である」とは、

  | この正の実数M に代入すると、
  |  「どの『Aに属す実数』を選んでxに代入しても、 xM が成り立つ」 
  | が真になる

 と言える正の実数が、最低1個は存在するということ。

   M>0  xA ( xM )  





【類概念・関連概念】

適用対象を一般化:順序集合の部分集合 が有界であることの定義  
適用対象を具体化:有界数列/1変数有界関数/2 変数有界関数/n変 数有界関数/実数値有界関 数  
関連概念    :上界・上に有界/下界・下に有界/有界/上限sup/下限inf 
 









実数体は、順序集合の特殊例(実数体の定義を見よ)。

上記の、実数体の部分集合についての「下界」「下に有界」の定 義は、
一般の順序集合(X,≦)に おける「下 界」「下 に有界」の定義を、
   そのまま、(R,≦)に適用したもの。








→[有界な「実数の集合」冒頭]
→[トピック一覧:実数における順序概念]  
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【論理にこだわって…】


 





【設定】


 R
: 実数体  
 ≦: 実数体の定義によって、
    実数体R上に定められている順序関係(特に全順序となるよう定められている)。
    もちろん、実数体R順序""とを組み合わせた(R,)は、順序集合
    (実数体の定義によって、(R,)は、特に、全順序集合となるよう定められている)


 変数 m : 実数を代入。 議論領域は、R。 
 変数 M : 実数を代入。 議論領域は、R。 
 変項A: 「実数の集合」すなわち「R部分集合」を代入。ただし、空集合は除く。
     議論領域は、あらゆる『実数の集合』をあつめた集合」(Rベキ集合)から空集合を除いた範囲
           すなわち、 ドイツ大文字B(R)φ
   実数の集合。Rの部分集合。
 変数 x : 集合A属す実数を代入。議論領域は集合A








【有界】


変項Aだけの1項述語・1変項命題関数

  「Aは、(Rのなかで)有界bounded
     (A議論領域: ドイツ大文字B(R)φ  Rベキ集合から空集合を除いた範囲) 
 
 は、

  m,MR  xA ( mxM )   …() 
 
   〔読み下し例〕
    実数の集合Aに対して、ある実数m,Mが存在して、
    A,m,Mが「任意(すべて)のA属す実数xに対して mxM 」を、満たす。

 で定義される。[笠原『微分積分学』1.1実数(p.5);] 


 ()は、
 変項 x,m,M を組み込んだ3項述語・3変項命題関数mxM 」 の変項 x,m,M を、
  m,MR  xA で束縛したもの。

 「 mxM 」の3変項 x,m,M は束縛されてしまったが、
 m,MR  xA のなかのA変項であるから、
 1項述語・1変項命題関数






【類概念・関連概念】

適用対象を一般化:順序集合の部分集合 が有界であることの定義  
適用対象を具体化:有界数列/1変数有界関数/2 変数有界関数/n変 数有界関数/実数値有界関 数  
関連概念    :上界・上に有界/下界・下に有界/有界/上限sup/下限inf 
 









実数体は、順序集合の特殊例(実数体の定義を見よ)。

上記の、実数体の部分集合についての「下界」「下に有界」の定 義は、
一般の順序集合(X,≦)に おける「下 界」「下 に有界」の定義を、
   そのまま、(R,≦)に適用したもの。







もしくは、

変項Aだけの1項述語・1変項命題関数

  「Aは、(Rのなかで)有界bounded
     (A議論領域: ドイツ大文字B(R)φ  Rベキ集合から空集合を除いた範囲) 
 
 は、

   M>0  xA ( xM )  …(**

   〔読み下し例〕 実数の集合Aに対して、ある実数Mが存在して、A,Mが「任意(すべて)のA属す実数xに対して mxM 」を、満たす。

 で定義される。

 (**)は、
 変項 x,M を組み込んだ2項述語・2変項命題関数 「 xM 」 の変項 x,M を、
  M>0  xA で束縛したもの。

 「 xM 」の2変項 x,M のいずれも束縛されてしまったが、
  M>0  xA のなかのA変項であるから、
 1項述語・1変項命題関数


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→[トピック一覧:実数における順序概念]   
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