部分ベクトル空間の次元 : トピック一覧 

・定理:ベクトル空間とその部分空間の次元,ベクトル空間の2つの部分空間の次元,
・定理: 和空間の次元直和と線形独立直和の次元 
※関連ページ:
 部分ベクトル空間:定義部分ベクトル空間の性質〜が張る部分空間和・直和直和が定める射影 
 実ベクトル空間関連ページ:実ベクトル空間の定義一次結合線形従属・線形独立基 底次元 

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定理:ベクトル空間とその部分空間の次元 

 [永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.5.1(p.32):証明付;志賀『線形代数30講』21講(p.132);
  ホフマン・クンツェ『線形代数学I』2.3基底と次元定理5系1(p.47);
  砂田『行列と行列式』§5.3-d定理5.62(p.179).]

【舞台設定】
 R実数体(実数をすべて集めた集合) 
 V実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)  
 
WV部分ベクトル空間 
【本題】
1. Vの部分ベクトル空間次元が、Vの次元より大きくなることはない。   
  つまり、
  任意の実数体R上の有限次元ベクトル空間」について、  
     Wが「Vの部分ベクトル空間ならば、    
     dimW≦dimV   
2. 「Vの部分ベクトル空間」で、次元が「Vの次元」に等しいものがあるなら、それは、V自身。
  つまり、
  任意の実数体R上の有限次元ベクトル空間」について、  
     Wが「Vの部分ベクトル空間」、かつdimW=dimV ならば、    
     W=V  

定理:ベクトル空間の2つの部分空間の次元

 [永田『理系のための線形代数の基礎』系1.5.2(p.32);;斎藤『線形代数入門』4章§4[4.6](p.109);
  ホフマン・クンツェ『線形代数学I』2.3基底と次元定理6(p.47)]
【舞台設定】
 R実数体(実数をすべて集めた集合) 
 V実ベクトル空間 (実数体R上の有限次元ベクトル空間」)  
 
W1V部分ベクトル空間 
 W2V部分ベクトル空間 

【本題】
  任意の実数体R上の有限次元ベクトル空間V任意の部分ベクトル空間W1,W2について、  
     
W1W2 かつdimW1=dimW2 ならば、  
     
W1=W2   


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定理:和空間の次元

 [永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.5.3(p.33):証明付;;斎藤『線形代数入門』4章§4[4.7](p.109)]

【舞台設定】
 R実数体(実数をすべて集めた集合) 
 V実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)  
 
W1V部分ベクトル空間 
 W2V部分ベクトル空間 

【本題】
任意の実数体R上の有限次元ベクトル空間V任意の部分ベクトル空間W1,W2について、
  
dim(W1W2)=dimW1dimW2dim(W1W2)   

定理:直和と線形独立性  

 [砂田『行列と行列式』§5.3-a定理5.35(p.171):証明付]
【舞台設定】
 R実数体(実数をすべて集めた集合) 
 V実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)  
 
W1,W2,…,WkV部分ベクトル空間 

【本題】
1.
 実ベクトル空間Vが、その部分ベクトル空間W1 ,W2 ,,Wk直和に分解される 
      
 
ならば、 
 
W1 属す任意ベクトルv1  
 
W2 属す任意ベクトルv2  
  :          :  
  :          :  
 
Wk 属す任意ベクトルvk  
 のなかで、
零ベクトルでないベクトルは、線形独立となる。
2. 
 
V=W1W2Wn 
 
かつ  
 
W1 属す任意ベクトルv1  
 
W2 属す任意ベクトルv2  
  :          :  
  :          :  
 
Wk 属す任意ベクトルvk  
 のなかで、
零ベクトルでないベクトル線形独立となる  
 
ならば、 
 
実ベクトル空間Vが、その部分ベクトル空間W1 ,W2 ,,Wk直和に分解される 
          


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定理:直和の次元  

 [永田『理系のための線形代数の基礎』系1.5.4(p.34);砂田『行列と行列式』§5.3-d例題5.67(p.181):証明付]
【舞台設定】
 R実数体(実数をすべて集めた集合) 
 V実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)  
 
W1,W2,…,WkV部分ベクトル空間 

【本題】
1. 
 実ベクトル空間Vが、その部分ベクトル空間W1 ,W2直和に分解される 
     
 
 
ならば、 
 
dim(V)=dimW1dimW2 
2.  
 実ベクトル空間Vと、その部分ベクトル空間W1,W2について、
  ・
V=W1W2  
  
かつ  
  ・
dim(V)=dimW1dimW2 
 が成り立つ
ならば、 
 
実ベクトル空間Vは、部分ベクトル空間W1 ,W2直和に分解される 
 
 
3.  
 
実ベクトル空間Vが、その部分ベクトル空間W1 , W2 , ,Wk直和に分解される 
      
 
ならば、 
 
dim(V)=dimW1dimW2+…+dimWk   
4.  
 
実ベクトル空間Vと、その部分ベクトル空間 W1 ,W2 , ,Wk について、
  ・
V=W1W2Wk   
  
かつ  
  ・
dim(V)=dimW1dimW2+…+dimWk    
 が成り立つ
ならば、 
 
実ベクトル空間Vは、部分ベクトル空間 W1 , W2 , ,Wk直和に分解される 
       



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(reference)

日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目210線形空間(pp.570-576)
線形代数のテキスト
ホフマン・クンツェ『線形代数学I』培風館、1976年、2.3基底と次元定理5-6(pp.46-9)。
砂田利一『現代数学への入門:行列と行列式』2003年、§5.3-d(p.179).
永田雅宜『理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、1.3ベクトル空間(pp.14-6)。
佐武一郎『線形代数学(第44版)』裳華房、1987年、Vベクトル空間§6ベクトル空間の公理化(p.115)。
志賀浩二『数学30講シリーズ:線形代数30講』朝倉書店、1988年、13講ベクトル空間へ(pp.85-7);14講ベクトル空間の例と基本概念(pp.88-90)。
藤原毅夫『理工系の基礎数学2:線形代数』岩波書店、1996年、4.1線形空間と写像(p.91)。
斎藤正彦『線形代数入門』東京大学出版会、1966年、第4章§4線形部分空間(p.107-112)。
数理経済学のテキスト
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、§3.1ベクトル空間とは何か(p.105)。

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