一次写像(線形写像)と線形独立(一次独立) : トピック一覧 

・定理:一次写像と線形独立/単射である一次写像と線形独立/同型写像と一次独立/同型写像と基底  
※一次写像関連ページ:定義/ベクトル演算の一次写像/一次写像の代数系/一次写像―全射・単射/階数  
             同型写像/同型写像と線形独立  
実ベクトル空間から実ベクトル空間への一次写像と一次独立 

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定理:一次写像(線形写像)と線形独立(一次独立)  

 [永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.4(p.20);砂田『行列と行列式』§5.3c問9(p.176);]
(舞台設定)
K: (例:有理数をすべてあつめた集合Q、実数をすべて集めた集合R、複素数をすべてあつめた集合C)  
V :K上のベクトル空間 
V' :K上のベクトル空間 
+ベクトル空間Vにおいて定義されているベクトルの加法 
+ベクトル空間V'において定義されているベクトルの加法 
スカラーに続けてベクトルを並べて書いたもの:K上のベクトル空間Vにおいて定義されているスカラー乗法 
                  および、K上のベクトル空間V'において定義されているスカラー乗法 
f:V→V':K上のベクトル空間VからK上のベクトル空間V'への一次写像 
(本題)  
任意v1, v2, v3,, vlVについて、次のことが成り立つ。
  f (v1), f (v2), f (v3),, f (vl)一次独立ならばv1, v2, v3,, vl一次独立。 

定理:単射である一次写像(線形写像)と線形独立(一次独立)  

 [永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.4(p.20);志賀『線形代数30講』16講(p.102);]
(舞台設定)
K: (例:有理数をすべてあつめた集合Q、実数をすべて集めた集合R、複素数をすべてあつめた集合C)  
V :K上のベクトル空間 
V' :K上のベクトル空間 
+ベクトル空間Vにおいて定義されているベクトルの加法 
+ベクトル空間V'において定義されているベクトルの加法 
スカラーに続けてベクトルを並べて書いたもの:K上のベクトル空間Vにおいて定義されているスカラー乗法 
                  および、K上のベクトル空間V'において定義されているスカラー乗法 
f:V→V':K上のベクトル空間VからK上のベクトル空間V'への一次写像 
(本題) 
一次写像f:V→V'が単射ならば、 
任意v1, v2, v3,, vlVについて、次の2つの命題は同値
 命題P:f (v1), f (v2), f (v3),, f (vl)一次独立
 命題Q: v1, v2, v3,, vl一次独立。 


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定理:同型写像と線形独立(一次独立)  

 [永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.4(p.20);志賀『線形代数30講』16講(p.102);
  砂田『行列と行列式』§5.3c補題5.49(p.176);]
(舞台設定)
K: (例:有理数をすべてあつめた集合Q、実数をすべて集めた集合R、複素数をすべてあつめた集合C)  
V :K上のベクトル空間 
V' :K上のベクトル空間 
f:V→V':K上のベクトル空間VからK上のベクトル空間V'への同型写像 
(本題) 
任意v1, v2, v3,, vlVについて、次の2つの命題は同値
 命題P:f (v1), f (v2), f (v3),, f (vl)一次独立
 命題Q: v1, v2, v3,, vl一次独立。 


定理:同型写像と基底  

 [永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.5(p.21);志賀『線形代数30講』16講(p.102);
  砂田『行列と行列式』§5.3c定理5.52(p.178);]
(舞台設定)
K: (例:有理数をすべてあつめた集合Q、実数をすべて集めた集合R、複素数をすべてあつめた集合C)  
V :K上のベクトル空間 
V' :K上のベクトル空間 
f:V→V':K上のベクトル空間VからK上のベクトル空間V'への同型写像 
(本題) 
任意v1, v2, v3,, vlVについて、次の2つの命題は同値
 命題P:f (v1), f (v2), f (v3),, f (vl)がV'の基底である。  
 命題Q: v1, v2, v3,, vlがVの基底である。
 

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(reference)

日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目210線形空間(pp.570-576)
線形代数のテキスト
志賀浩二『数学30講シリーズ:線形代数30講』朝倉書店、1988年、16講線形写像(pp.100-105)。
ホフマン・クンツェ『線形代数学I』培風館、1976年、2.3基底と次元(pp.41-50)。
永田雅宜『理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、1.3ベクトル空間(pp.14-6)。
砂田利一『現代数学への入門:行列と行列式』2003年、§5.1-c(p.157).
佐武一郎『線形代数学(第44版)』裳華房、1987年、Vベクトル空間§6ベクトル空間の公理化(p.115)。線形従属・独立については、数ベクトルに限定?
藤原毅夫『理工系の基礎数学2:線形代数』岩波書店、1996年、4.1線形空間と写像(p.91)。 線形従属・独立については、数ベクトルに限定?
斎藤正彦『線形代数入門』東京大学出版会、1966年、第4章§2線形空間(p.96):実線形空間・複素線形空間のみ;附録V§2体(p.249)。
代数学のテキスト
本部均『新しい数学へのアプローチ5:新しい代数』共立出版、1969年、5.2-Aベクトル空間(p.132)。
酒井文雄『共立講座21世紀の数学8:環と体の理論』共立出版、1997年、1.6ベクトル空間(p.22)。:数ページしか触れていないが、逆に、一般の線形空間の理論の骨組みだけを浮かびあがってくるので、何が重要事項なのかを見極める上で便利。
数理経済学のテキスト
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、§3.1ベクトル空間とは何か(p.105)。