日本の水銀問題に関する
国際NGOsとの連帯


掲載:化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年8月11日
更新日:2012年8月31日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/minamata/NGOs_solidarity_jp.html

■リスト (クリックで掲載ドキュメントのタイトルのリストにジャンプします。)
■はじめに

 当研究会は、世界中のどこでも水銀汚染が起きないようにするために、また水銀汚染が生じた場合には汚染場所の修復と汚染による被害者への補償を汚染者と行政に確実にさせるために、国連環境計画(UNEP)が2013年に制定を予定している水銀条約の策定に国際NGOsとともにかかわり、強い水銀条約にするよう取り組んでいます。

 日本では、水俣と新潟で甚大な水銀汚染被害を経験しましたが、公式に水俣病が確認されてから56年経過しているにも関わらず、いまだに、水銀汚染被害の全容が解明されておらず、全ての被害者が補償される仕組みになっておらず、水銀汚染場所が最終的に浄化されていないことについて、被害者等はこれらの解決を行政と汚染者に求めています。

 水俣病の悲劇は、単に水銀を使用する工業プロセスが環境を汚染して水銀被害を発生させたというだけではありません。むしろ、汚染が起きた後の、汚染を引き起こした会社、御用学者、中央及び地方行政による原因解明の意図的誤誘導と遅延、被害拡大防止の不作為、被害者に対する反社会的行為、被害者の範囲を狭めるための医学的根拠のない水俣病認定基準、被害者の裁判への抵抗と長期化、水俣病特別措置法の申請期限の打ち切りなどにより、被害者を50年以上にわたって苦しめてきました。これらは全て、汚染者及び行政が汚染責任が波及しないよう画策してきたことが根本原因です。

 このような水俣の悲劇を二度と起こさないようにするために、水銀条約の中に水俣の教訓を生かす、すなわち、水銀使用の工業プロセスを廃止するだけでなく、汚染者と行政に汚染責任を厳しく求め、汚染場所の修復と汚染被害者の補償をさせる条項を設けることを国際NGOsは求めていますが、現在の水銀条約案には、そのような要求は一切入っていません。水俣病を経験したはずの日本政府は、水俣の教訓を生かすために率先してこの汚染者責任要求を条約本文中に入れる義務があるはずなのに、国際条約になじまないとの理由で、そのような努力をするつもりは全くにように見えます。水俣病への対応で行政としての責任をきちんと果たしてこなかった日本政府にとっては、そのような対応は当然なことなのでしょう。

 さらに日本は、非鉄金属の採鉱/精錬から生じる副産物としての水銀を、年間100トン近くを主に途上国を中心に輸出していますが、世界の他の場所で、二度と水俣のような悲劇を起こさないようにするために、このような水銀輸出は止めさせなくてはなりません。

 日本政府は、水銀条約を”水俣条約”と命名することを提案していますが、上述のように、水俣病の問題は、正式確認後56年経過した現在でも、まだ終っておらず、年間100トン近くの水銀を輸出しており、また現行の水銀条約案では、汚染責任も修復と補償の義務も汚染者と行政に求めらていないという状況の中で、水銀条約を”水俣条約”と命名することは恥ずべきことであると世界中のNGOsは考えています。

 したがって世界中のNGOsは、強い水銀条約にする取り組みの中で、水俣被害者の闘いを支援すること、そして日本の水銀輸出を止めさせることが重要な要素のひとつであると考えています。


■リスト
1.国際NGOsから寄せられた連帯のメッセージ
  1. IPEN's Minamata page
    オリジナル(英語)日本語版
  2. 2012年8月 特措法申請締め切りに抗議する水俣病被害者に国際NGOsの連帯 (12/08/31)
    日本語版英語版
  3. 2012年6月 INC4 IPENと化学物質問題市民研究会の水俣キャンペーン
    日本語版英語版
  4. 2012年7月 INC4 IPEN プレスリリース発表 水銀条約は増大する水銀汚染を正当化する
    日本語版英語版スペイン語版
  5. 2012年6月 INC4 汚染サイトに関するIPENと化学物質問題市民研究会プレスリリース 新たな水銀条約交渉は“水俣条約”と呼ばれるに値しない方向に進んでいる 汚染サイトの浄化も被害者の補償も求めていない
    日本語版英語版チェコ語版ロシア語版スペイン語版中国語版
  6. 2012年6月ピコ通信第166号 6/17 水俣シンポジウム 報告(2) 国際NGOs の水俣への連帯
    日本語版
  7. 2011年1月 INC2 IPEN・化学物質問題市民研究会・HCWH 共同プレスリリース 人の健康に影響を与える多くの問題が水銀条約交渉で解決されなければならない/水俣条約と呼べる準備はまだできていない
    日本語版英語版
  8. 2011年1月 INC2 ZMWG・EEB・化学物質問題市民研究会・HCWH 共同プレスリリース 水俣を敬う最良の方法は強い水銀条約を採択することである
    日本語訳英語版
  9. 2011年1月 INC2 IPEN 連帯声明署名式スピーチ :マニー・カロンザ氏 IPEN/GAIA
    日本語版英語版
  10. 2011年1月 INC2 IPEN プレスリリース 世界水銀条約に水俣に因んだ名前をつける前に水俣問題を解決せよ
    日本語版英語版
  11. 2011年1月INC2 水俣を敬う水俣被害者団体を支援する国際連帯声明/INC2千葉
    日本語版アラビア語版英語版フランス語版ロシア語版スペイン語版タイ語版
  12. 2011年1月 INC2 水銀条約を“水俣条約”と命名するとの日本政府の提案に対する水俣被害者団体及び支援者団体の声明/INC2千葉
    日本語版英語版
  13. 2010年12月 世界水銀条約に向けての水俣病被害者・支援者の声明/NGO国際水銀シンポジウム
    日本語版英語版
  14. 2009年9月 タイNGOからのメッセージ 水俣病の真の解決こそアジアの願い 市民の力で環境と健康を尊ぶ政府と社会を ペンチョム・セータン さん NGO「タイ環境回復と啓発」(EARTH)代表)
    日本語英語版

2.国際NGOsに発信した報告書/発表資料/ニュース
  1. 「Update on Minamata Issues/IPEN Internal Strategy Meeting for INC3 on October 29, Nairobi, Kenya」(ppt資料pdf版)
    日本語版英語版
  2. The Japan Times March 1, 2012 / Mercury pact falls short on Minamata (Thursday, March 01, 2012 ) 英語版
  3. Mainichi Daily News/Kyodo Article on our CSO Joint Statement on Minamata (Sunday, February 26, 2012)  英語版
  4. 2011年6月 水俣 環境省主催「水銀条約を考える会」参加報告
    日本語版英語版
  5. 2011年2月 報告書「水俣と世界水銀条約
    日本語版英語版
  6. 2010年9月 熊本・水俣訪問記
    日本語版英語版
  7. 2010年6月 日本の水銀問題(ppt資料pdf版)
     (日本語版英語版
  8. 2010年5月 国際NGO連合へのメール  日本の水俣の悲劇と水銀貿易禁止の必要性
    日本語版英語版

3.国際会議での発言
  1. 2012年6月 INC4(プンタデルエステ) 「汚染サイト」 ジンドリッヒ・ペトロリク(IPEN)
    日本語版英語版
  2. 2012年6月 INC4(プンタデルエステ) 「INC4 におけるIPEN 冒頭陳述」 フェルナンド・ベジャラーノ
    日本語英語スペイン語
  3. 2011年11月 INC3(ケニア) 「汚染サイト」 安間 武(化学物質問題市民研究会)
    日本語版英語版
  4. 2011年9月 INC3アジア太平洋地域会合(神戸) 「汚染サイト」 安間 武(化学物質問題市民研究会)
    日本語版英語版
  5. 2011年1月 INC2(千葉) 「水俣からの教訓」 安間 武(化学物質問題市民研究会)
    日本語版英語版
  6. 2011年1月24日 INC2(千葉) 坂本しのぶさん 本会議発言
    日本語版英訳版
  7. 2010年6月 INC1(ストックホルム) 「水俣条約」 安間 武(化学物質問題市民研究会)
    日本語版英語版
  8. 2010年3月 UNEP水銀パートナーシップ 第2回廃棄物管理分野会合(東京) 安間武(ZMWG)
    日本語版英語版

4.国際NGOsとの共同声明
  1. 2012年7月 市民団体共同声明「水銀輸出禁止」への環境省回答と当研究会コメント
    日本語版英語版
  2. 2012年7月 市民団体共同声明「水俣の教訓」への環境省回答と当研究会コメント
    日本語版英語版
  3. 2012年2月 市民団体共同声明 2012 について ”日本政府に水銀輸出禁止法の制定を求める”
    日本語版英語版
  4. 2012年1月 市民団体共同声明について ”水銀条約に水俣の教訓を反映するよう求める”
    日本語版英語版
  5. 2009年11月 「日本政府に水銀輸出禁止法の制定を求める市民団体共同声明」に対する環境省の口頭回答とそれに対する市民団体の意見
    日本語版英語版
  6. 2009年10月 プレスリリース 市民団体共同声明 「日本政府に水銀輸出禁止法の制定を求める」
    日本語版英語版スペイン語版ポルトガル語版
  7. 2009年10月 市民団体共同声明 日本政府に水銀輸出禁止法の制定を求める
    日本語英語版

5.国際NGOsと共同作成のポスター/カード/チラシ
  1. INC4(2012年6月プンタデルエステ)IPENと化学物質問題市民研究会 水俣キャンペーン
    英語版
  2. Minamaa, Japan /INC2(2011年1月千葉)及びINC4(2012年6月プンタデルエステ)IPEN ブースに展示
    英語版
  3. Engage Minamata Victims and Ban Export of Mercury /INC3(2011年11月ケニア)及びINC4(2012年6月プンタデルエステ)ZMWG ブースに展示
    英語版
  4. 水俣を敬う/Honouring Minamata(千葉 2011年1月23日 水銀に関する第2回政府間交渉会議(INC-2))ランチタイムサイドイベントのポスター)
    日本語版英語版
  5. Remenber Minamata (ストックホルム 2010年6月11日水銀に関する第1回政府間交渉会議(INC-1)ZMWG ブースに展示したポスター)
    英語版
  6. 日本の水俣の悲劇と水銀貿易禁止の必要性(ストックホルム 2010年6月11日水銀に関する第1回政府間交渉会議(INC-1)ZMWG ブースに展示したチラシ)
    日本語版英語版




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